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2022.3.23(水)

天井から水が


このところ通勤途中に袴姿の女性を見かけます。
ひつじ書房のある茗荷谷には学校や大学がいくつかあるので、式典帰りの親子を見ることもあり、卒業の季節なのだなと感じます。桜も咲き始めていますね。

2月、3月は毎年、年度末刊行の書籍や教科書用テキストの重版と慌ただしくしているのですが、今年は追い打ちをかけるように天井からの水漏れに悩まされるひと月となりました。

2月10日の朝、事務所の床が水で濡れていることに気がつき、天井からポタポタと水が漏っていることがわかりました。
業者に連絡し原因を調べてもらうと、どうやらビル上階の床下配管からの水漏れがあったと言うことで、まずは水漏れの工事をすることになり、その後、弊社事務所の天井の張り替え工事などが続きました。

漏れ出た水量がそれなりにあったのか、水漏れ箇所は最終的には4箇所にもなり、天井からしたたる水をバケツで一時的に受け止めたり、ビニールで養生して水がつたって落ちてくるようにしたりとさまざまな緊急措置がとられていましたが、出版社は商品も紙である書籍、書籍をつくるまでのゲラも紙、パソコンなどの機器もあり水にはたいへん弱いので心配な毎日でした。

幸い水漏れ部分に商品などは置いておらず、かなり初期の段階で気づくことが出来たので被害は最小限であったと思います。
それでも事務所の三分の一以上の面積を張り替える大工事でしたし、先日は大きな地震もあったのでひやひやしました。
また、張り替え部分の下に置いてあるモノを一時的に撤去せねばならず、結果的に時期外れの大掃除もすることになり、なんとも大変でした。

三連休で天井の張り替え工事が終わり、連休明けの昨日は社員総出で片付けと清掃。
いまやっと落ち着いて仕事が出来るようになりました。
ほっとしました。
ああ、これで毎朝「もしかして……天井が落ちているかも」という心配もしないで済みます。




2022.3.8(火)

新刊紹介 『「大東亜」の読書編成』


新刊の校了ラッシュが一段落し、そろそろ春の学会が視野に入る時期になりました。
今年はオンラインでなく対面にする予定の学会もあるようで、今後の動向が気になるところです。
学会に先駆けてになりますが、2月に刊行した新刊を1点紹介します。


『「大東亜」の読書編成 思想戦と日本語書物の流通』(和田敦彦著)

本には作り手がいます。また、読者がいます。それは身をもって感じているところですが、それ以外に、本を動かす人がいて、またその思惑があるという視点を、この本は提供してくれます。
第二次世界大戦期、「大東亜」が唱えられていた時代、国内においては日本文化を価値づけ浸透させる文化統制が行われます。また、国外に向けてはそれを発信していく活動、すなわち文化工作が重要視されます。では、どのようにすれば当時行われていたことがわかるのでしょうか。
この本では、国内において行われていた読書指導や読書傾向調査等の資料を、また国外においてはベトナムやインドネシアに遺された日本語資料等を材料に、それを解き明かしていきます。誰に、何が、どれだけ読まれていたのか。それらを動かし、集めたのは誰なのか。それらの流れから「思想戦」を読み解くという試みです。

「読書編成」という言葉は耳慣れないものであると思います。本書の序章に説明があります。
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出版、印刷、流通、教育などの技術によって組織化、システム化されるのが読書という行為であり、それゆえ、これら技術の変化によって読書はつくられ、あるいはつくりかえられる。戦時期はそれが意図的に、顕著にみられる時期でもある。このように読書へと働きかける仕組みと、読者との関係を書物の広がりを通じて描き出すのが本書のもくろみだが、それを一言であらわす適当な言葉がない。本文では一言であらわす必要はないが、タイトルでは数百字で説明するわけにもゆかないため、「読書編成」という言葉でこれを示しておくこととした。
(序章 p.7より)
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これを読んだときのぞくぞくする気持ちが伝わるとよいのですが。
戦争中の情報の流れについては、いまだからこそ振り返るべきものでもあるかと思います。
序章全体もWebサイトで公開していますので、ぜひご覧ください。
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1129-8.htm








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