公共図書館の在り方
先日、神保町の岩波ホールで公開中の『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(監督:フレデリック・ワイズマン)というドキュメンタリー映画を観てきました。
本編の上映時間が3時間25分と、通常の映画としては異例ともいえる長さにもかかわらず、私が観た回も、その次の回も満員という盛況ぶりでした。
3時間を超える映像の中で映し出されるのは、ニューヨーク公共図書館の本館および分館の活動や舞台裏です。ナレーションは一切入りません。
図書や資料の貸出だけではなく、さまざまな講演やワークショップなどを行う様子や、図書館スタッフ間のディスカッション、図書館スタッフと市民との対話の様子などがありのままに映し出されます。
これから観に行かれる方もいらっしゃるかもしれませんので、詳細については控えますが、映画では、ニューヨーク公共図書館で実際に行われている活動の一部として、子どもへのプログラミング教育や演劇の手話通訳のワークショップなど、興味深い取り組みの様子も紹介されており、図書館の可能性を感じさせられました。
また、経済的格差による情報格差を是正するために、インターネットの接続機器の貸し出しを行うなど、図書だけではなく、「知」の提供、共有という観点からも、市民生活に深く根ざした存在になっていることが印象的でした。
ちなみにひつじ書房は、2001年に『進化する図書館へ』という書籍を刊行しており、そのなかに菅谷明子氏による「進化するニューヨーク公共図書館」という論考を掲載しています。
当時より時代がすすんでいるためサービスの内容は進化しているようですが、基本的には今回映画でとりあげられている内容と重なる部分が多くあります。
このように、弊社も約20年前から公共図書館の在り方について関心を寄せています。
梅雨のこの時期、お出かけが億劫になりますが、映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』、ご興味のある方におすすめしたいとおもいます。
ちなみにこれだけの長さの映画なので、全編真面目に起きていようとすると多少の気合いが必要ですが……!
上映は7月5日(金)までです。
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