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5月

2016.5.30(月)

学会出展での本の並べ方


5/28と29日に、日本独文学会の書籍出展に参加しました。前日の27日には、書籍出展会場の設営と出展ブースの準備を行ったのですが、ブースの準備をするときに難しいのが、本の並べ方です。入社してからすでに何度か学会出展に参加していますが、学会によって書籍出展のスペースも、本を並べる机の大きさも、持っていく本の数も異なるので、どのように本を並べたらよいか今だに迷ってしまいます。

本の背を上にして並べるときも、平積みコーナーを作るときも、見せ方のセンスが問われます。そんなときに、先輩社員のブースの作り方は、とても参考になります。ひつじ研究叢書や教科書類、シリーズものなどをそれぞれ手早くひとまとめにして並べ、新刊などのより目立たせたい本は前の方に平積みにしていきます。なるほどなと思ったのが、平積みの本の間に背を上にした本を差し込んでいく並べ方です。本同士が互いに引き立てあって目に留まりやすく、そして手に取りやすくなります。
今はまだ先輩社員に教わりながらブースの準備をしていますが、これからわたし1人で学会出展に参加することもあるので、今のうちにたくさん学んでおきたいです。

5月の学会出展はひとまず無事に終わりましたが、学会シーズンはまだ続きます。
6月は、わたしは関西言語学会と日本言語学会の書籍出展に参加する予定です。特に関西言語学会は、わたしにとって初めての学会での出張となるので少し緊張しています。忘れ物だけは絶対にしないように気をつけたいです。






2016.5.26(木)

『太宰治ブームの系譜』刊行!


太宰治については、個人的には、有名な話ですが芥川賞に落選し銓衡委員の川端康成にあてた文章を発表する一連の騒動がお気に入りですぐに思い起こされますが(これについては弊社刊『昭和十年前後の太宰治』(松本和也著)の中で詳細に分析されています)、本書は、太宰が心中をして亡くなった後の話、つまり生身の太宰治がいない時代の〈太宰治〉を扱った本という点でユニークだと思います。

本書「あとがき」にあるとおり、「(太宰治ブームを)経験していない者にはわからない(…)遅れてきた者にとっての「わからなさ」」を出発点として、太宰の死後に起こった太宰ブームの実態を明らかにしていこうという本書の姿勢に共感を覚えます。

太宰がいまだにどうしてこんなに人気があるのか、気になる方はぜひ本書をお読みください。太宰に影響を受けた読者や、社会状況を丁寧に追っており、文学研究者でなくとも読めますので、おすすめします。

また、どのように太宰は受容されてきたかということを追う内容ということで、本書の装幀には、漫画家の久米田康治先生にイラストを描いていただきました。ご存知の方も多いと思いますが、久米田先生は太宰治作品の愛読者で、ある本ではご自身がコスプレをしている写真まで公開されています。また『さよなら絶望先生』では糸色望先生が『人間失格』を読んでいるシーンがよく描かれ、また糸色望先生のキャラにも反映されています。

さて、6月19日は太宰治の命日、桜桃忌です。(本書内でも桜桃忌について、その加熱ぶりが取り扱われています。第三部第二章の一節、「踏み荒らされる鴎外の墓」、なかなかにすごいです) ぜひこの機会に太宰作品とあわせて本書を、そして久米田先生の作品を(もうすぐ画集が出るそうです)ご覧ください!

『太宰治ブームの系譜』





2016.5.25(水)

文楽鑑賞教室


先週は、ひつじ書房で国立劇場の文楽鑑賞教室に行きました。
わたしが文楽を見るのは2回目です。初めての文楽は、大阪の国立文楽劇場での近松門左衛門の「国姓爺合戦」の公演でした。これも今年の初めに見たので、今年は文楽に縁がある年だなと思います。

先週の公演は、同じく近松門左衛門の「曽根崎心中」でした。
ただ今回は文楽教室ということで、公演の前に「文楽の魅力」と題した文楽についてのレクチャーがあり、文楽初心者のわたしには勉強になりました。
文楽は、義太夫節によって物語が進んでいきます。義太夫節は、太夫の語りと三味線から成ります。太夫はさまざまな登場人物の台詞や状況の説明などをすべて1人で語るので、その語り分けに感心しましたが、もっと驚いたのが三味線の演奏でした。ハンサムで爽やかな男性と大柄で堂々とした男性の登場シーンをそれぞれ弾いてくれたのですが、聞き比べてみるとまったく違っていました。前者は繊細で優雅で、後者は荒々しく大胆で、音だけでそれぞれのシーンが目に浮かぶようです。前に文楽を見たときには、三味線を伴奏くらいにしか意識していませんでしたが、三味線の表現の1つ1つにも注目せねばと思いました。

そんな、まさに文楽の魅力を教えてくれる「文楽の魅力」のレクチャーのおかげもあり、曽根崎心中の公演をより楽しんで見ることができました。
今回は文楽を知る良い機会となったので、これからは定期的に文楽公演を見に行きたいなと思います。





2016.5.20(金)

本の見出しについて


前回のスタッフ日誌に引き続き、組版指定にまつわることを書いていきたいと思います。
今回は、見出しの指定についてです。
本にはたいてい、章、節、項などの段階的な見出しがついています。ちなみに、項見出しよりもさらに細かい見出しをひつじ書房では綱見出しと呼んでいます。

このような見出しの仕組みを知るために、実際の本のページを見て調べたことがいくつかあります。
はじめに、それぞれのレベルの見出しの書体です。明朝体かゴシック体か、まずはこの2つを見分けられるようにしました。
つぎに、見出しの文字の大きさです。章、節、項とレベルが下がるにつれてだんだん文字の大きさが小さくなっていったり、あまり変わらなかったり、見出しの大きさもさまざまです。
文字の大きさは、級数表で計ります。文字の大きさを示す枠がついた透明のシートで、これを文字の上に重ね合わせて文字の大きさを計ります。1級(Q)は0.25mmで、これが文字の大きさの単位です。
それから、版面における位置についても確認しました。版面の右寄りか左寄りか、それとも中央寄りなのか。これは一目瞭然です。

難しかったのが、行取りについてです。見出しの行取りというのはつまり、見出しが本文の何行分を使うのかということなのですが、この見出しと本文の行の関係がうまくつかめず、行取りを把握できるようになるまで時間がかかってしまいました。
例えば、ある節見出しの指定は、3行取り1行空き2行中央となっていました。これは、本文の3行分を取り、上の1行は空けて2行目と3行目の間に節見出しがくるように、ということです。版面の大きさは本によって個別に設定されており、それに合わせて本文のフォーマットも決められているので、見出しの指定は行送り単位で行います。この感覚に慣れるまでが大変でしたが、一度理解すると、版面の上で本文や見出しがパズルのように組み合わさって構成されているのがとても美しく見えるようになりました。
編集の仕事については、まだまだ教わらなければならないことばかりですが、教わることの1つ1つに新しい発見があります。
これからも、地道に謙虚に学んで行きたいと思います。






2016.5.18(水)

版面のこと


組版指定をしています。
組版とは、原稿の指定にしたがって文字や図表、写真などを印刷するページの体裁に仕上げることをいいます。もともと活版印刷で使われていた用語で、そこでは活字を集めて1ページ分の版にまとめることをいいました。原稿に正しい組版の指定を記入するのが組版指定です。

組版指定を行うために、まずは自分で本のページのしくみを理解できるようになることが必要でした。
まず、本のページを見てみると、上下左右の余白が本によって異なっていることが分かると思います。この余白の内側、文字が書いてある部分を版面(ハンヅラ)と呼びます。当然、版面の大きさも本によって異なります。
わたしが最初に行ったのは、ひつじ書房の本のなかから数冊選び、それぞれの版面を測ることです。本の天(上の部分)、地(下の部分)、のど(綴じてある部分)、小口(開く部分)のそれぞれの方から版面までの余白を定規を使って測り、版面の大きさを求めました。
次に、その版面で文字がどのように構成されているかを調べました。本文は何行か、1行は何文字か、行間や文字の大きさはどれくらいか、などなど。そして今度は、それらの要素から計算して版面の大きさを求めました。例えば、1行の文字数×文字の大きさで版面の横の長さが分かります。縦の長さは行数と文字の大きさと、さらに行間も考えなくてはいけません。ある行の頭から次の行の頭までの、行間を含んだ間隔を行送りといい、版面の縦の長さはこの行送りで決まります。

2通りのやり方で版面の大きさを求めたのですが、2つの結果がなかなか合致せず、正しい答えが出るまでにかなり時間がかかりました。
こんなことをしなくても、実際に本を作るときにはパソコンで設定するだけだろうと思われるかもしれません。
けれども、実際に組版ソフトの設定画面を見せてもらうと、初めて見るわたしにとっては何が何だか分かりませんでした。本の実物を手にとって、しっかりと基本的なことを学ばなければならないのだと痛感しました。それに、わたしは地道に自分の手と頭を使って調べてみて良かったと思います。版面の大きさと本文のフォーマットの相関関係がよく分かりましたし、何より本のページの見方が変わりました。版面は1ミリ以下の非常に細かい数字で設定されている場合もあり、本のページってとても精密なものなのだな、と驚きました。定規を片手に本のページと格闘したからこそ感じることができたことだと思います。

それに、版面を指定して組版所で組んでもらったあとに、それがきちんと指定通りにできているかは、編集者がきちんと責任をもって確認しなければなりません。指定の通りにできているだろう、大丈夫だろう、と思い込まずに、きちんと自分で考えて確認するようにしたいと思います。もちろん、このことは仕事全般に言えることではありますが。

組版指定についてはもっと書きたいことがありますが、とても長くなりそうなので今回はここまでにします。
見出しの指定などについてもまた書きたいと思います。





2016.5.9(月)

未発ジュニア版、間もなく発送です


この春も「未発ジュニア版」発送の時期が近づいて来ました。

「未発ジュニア版」とは、ひつじ書房が毎年春と秋に発行している新刊と近刊のご案内です。
今回の「未発ジュニア版 2016年春号」の編集は、私鈴木がはじめて担当いたしまして、慣れない進行に四苦八苦しながら(先輩方にフォローされながら)先日、無事印刷・製本に入りました。
編集作業はひとまず終わったとはいえ、きちんとできあがったものを見るまではドキドキで、なんとも落ちつきません。

以前から「未発ジュニア版」をご覧いただいている方の中にはお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は「未発ジュニア版」は年々頁数が増加傾向にあります。
今手元にある過去の「未発ジュニア版」を手に取ってみますと、「2012年秋号」は16頁でした。「2016年春号」は32頁ですから、今や倍の厚さです。
今回の号を製作するにあたって、頁数を減らしてスリム化を図るかという案も出たのですが、社内で検討した結果、去年秋と同じ32頁に落ち着きました。ひつじ書房を既にご存知の方には新しい情報を、はじめて知るという方にはひつじ書房がどんな本を出している出版社なのか、不足なくお知らせしたいと思うと「この頁だけは削れない」という頁がどうしても多くなってしまうのです。
その分、新しいシリーズの刊行開始のご案内や、テキストの改訂版刊行のご案内など盛りだくさんな内容となっていますので、ぜひお手に取ってご覧いただきたいと思います。

「未発ジュニア版 2016年春号」は、来週なかばから順次発送を行います。書籍の割引き情報が掲載された注文書の他、教科書の採用をご検討になっている方向けの日本語表現法・スタディスキルのテキストのご案内なども同封いたします。
まだ送られたことがないけれど、興味があるという方もご連絡いただければ、お送りいたします。

また、今週末5月13日(金)-15日(日)に学習院大学目白キャンパスで開催される方言研究会および日本語学会では、発送に先駆けて「未発ジュニア版」の配布を行います。こちらに参加される方には、いち早くお手に取っていただけるかと思います。
今後、春の学会シーズンで書籍展示を行う際にも配布を行っていきます。どうぞ、お楽しみに。






2016.5.6(金)

ゴールデンウィークに思うこと


スーツでの通勤が汗ばむ陽気となってきました。
今年のゴールデンウィークは、5月2日と6日を休めば最長で10連休ですね。どこかにお出かけされた方も多いでしょう。ひつじ書房は祝日がお休みでカレンダー通りの営業でしたが、それでも3連休が2回あるので、わたしもゆっくりとお休みをいただきました。

この休日には、埼玉の秩父に行ってきました。お目当ては羊山公園の芝桜です。
羊山公園では、薄いピンクや濃いピンク、白や紫など様々な色の芝桜が模様を描くように一面に咲いていて、まさに絶景。天候にも恵まれ、青い空と武甲山を背景に芝桜がよく映えており、とてもきれいでした。

思えば、2月からアルバイトとして、4月からは正社員としてひつじ書房で働きはじめてからは、毎日家に帰ってからも仕事のことばかり考えていました。
社会人としての日常を忘れて、自分の時間を楽しめたのはなんだかとても久しぶりな気がします。
少し、気を張りすぎていたのかもしれないなと反省しました。心の余裕を持つことも仕事をするうえで大切なのかもしれません。

自分の仕事への姿勢に思いを巡らせていたら、入社式のときの社長や先輩社員の方々の言葉を思い出しました。
仕事をがんばるのはいいことだけれども、世の中の動きや文化や芸術などさまざまなものに触れて自らの知見を広げることも大切にして欲しいと言われたこと。相川さんは1つのことに集中すると周りが見えなくなってしまう傾向があるから、広い視点で物事に取り組んだらいいと言われたこと。
いまここでひつじ書房に入社してからの自分を省みたときに、これらの言葉の重みを以前よりも強く感じています。

もうしばらくゴールデンウィークは続きますが、わたしはすでに充分リフレッシュできました。
気持を新たにこれからもがんばっていきたいと思います。






2016.5.2(月)

学会シーズンへ向けて


5月の学会出展に向けて準備をしています。

ひつじ書房に入社してから、毎日本のご注文をFAXや電話などで受けていますが、学会出展では本を買ってくださるお客さまに直接会うことができるため、準備にも気合いが入ります。

どうしたらひつじ書房の販売ブースに興味を持ってもらえるだろうか、どうしたら本を手に取ってもらえるだろうかとたくさん頭を悩ませながら出展計画を練っています。

事前の準備としては、まず会場に持っていく本のリストアップがあります。
学会の内容に合わせて本を選ぶのですが、持って行くことのできる冊数が限られているため、あれもこれもと選ぶわけにはいきません。
本当はもっとたくさんの本を持って行き、色々なひつじ書房の本を見ていただきたいと思いつつ、1点1点厳選していきます。

同時に、学会での発表内容も確認し、テーマに合う本を多く選びます。さらに、学会で発表をされるひつじ書房の著者の先生の本も重点的にピックアップします。学会のプログラムの内容を把握しておくことも学会出展の準備の1つです。
新刊書籍も多めに持って行きます。特に新刊書籍は、1人でも多くの方に手に取って見ていただきたいと思います。

持っていく本のリストが完成したら、次はリストに沿って本を集める作業があります。
多いときで400冊以上にもなる本を集めるのは結構たいへんな作業です。わたしが初めて学会用書籍の集本を行ったときは、在庫の棚に置かれている本の場所もよく分からず、全ての本を集めるのにとても時間がかかってしまいました。5月の学会の準備では、テキパキと作業を行えるようにしたいです。

そして最後に、本を配送用の段ボール箱に詰めていきます。折れや汚れがないかどうか本の状態をチェックしながら、ここでも1冊1冊リストと照合させながら丁寧に箱詰めを行います。こうして、学会会場への発送の準備が整います。

5月の学会では、わたしはまず日本方言研究会と日本語学会の出展に参加します。
着々と準備を進めていますので、学会当日はぜひ、ひつじ書房のブースにお立ち寄りください。






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