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2025.9.9(火)

刊行! 『AIを外国語教育で使わない選択肢はもうない』



今までSFの世界のガジェットだと思っていたAIですが、この数年で一気に身近なものに様変わりしましたね。私も便利なので、海外の本を読む際に翻訳AIを活用しています。
AIを使う気がなくても、Googleで検索しますと検索結果の冒頭に「AIによる概要」が自動的に表示されるなど、「AIがあって当たり前」というような環境が出来つつある気がします。一方で前述のAIの概要は明らかに誤りを述べていることもありまして、油断なりません。
私と同じように「便利だけど不安な点もある」という方がたくさんいらっしゃるのではないかなと思います。中でも、外国語教員の方は「学生がAIを使ってしまったら学習者の外国語能力をちゃんと測れないのではないか」「そもそもAIがあると学習者は外国語を学ばなくなるのではないか」と、AIに対して懐疑的な方もいらっしゃると思いますし、すでに現場ではAIを使う学生とどう向き合うか試行錯誤されていることかと思います。
そんな方々に手に取っていただきたい書籍を刊行いたしました。本日は『AIを外国語教育で使わない選択肢はもうない』(大木充・小田登志子・岩根久編)を紹介いたします。

タイトルだけ見ますと、「AIを外国語教育でどんどん活用していこうという趣旨の本なんだな」という印象を受けますよね。たしかに本書はAIの外国語教育への活用を薦める本ではあるのですが、「なんでもかんでもAIありき」といった、AIを盲信するようなことはせず、「外国語教育・学習にAIありきではなくて、指導者は自分が担当している科目で学習者がAIを用いる必然性があるのかどうか」を問う必要があると「はじめに」で主張しているように、本書は「なぜAIを外国語教育に使う必要があるのか」を、第二言語習得の理論や近年の外国語教育の潮流などを踏まえて徹底的に考察し、AIを外国語教育に活用することに二の足を踏んでいる方のために、AIに対する不安点や疑問に答えるような1冊になっています。 そうした検討を踏まえた上で、どうして著者の先生方は「使わない選択肢はもうない」という結論に至ったのか、確かめていただければと思います。

まずは本書の詳細ページ(以下のURL参照)で編者の大木充先生による「はじめに」を公開していますので、こちらをお読みいただければ、本書のスタンスがよくわかるかと思います。

https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1308-7.htm

また、本書は上記のような理論的な部分だけでなく、実際に教育現場で行われている実践例も豊富に紹介しています。さまざまな授業で応用可能なものばかりですので、AIを使う必要を感じたその日から実践できるかと思います。
また、第8章では特別企画として、鳥飼玖美子先生へのインタビューを収録しています。さまざまな場でご活躍されている鳥飼先生はAI時代の英語教育をどのように考えていらっしゃるのか、必読です。

ここまでAIが普及すると、どうしたって誰もが向き合わざるを得ないと思います。「何でもAIにお任せ」という盲目的な全肯定でも「絶対にAIは使わない」という教条的な全否定でもない、さまざまに検討を重ねた上でAIとの共生・協働を図っていく必要があるかと思います。本書はそうしたこれからの時代に必要なAIに対する向き合い方を実践している1冊です。ぜひご一読ください。





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