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2025.4.23(火)

5月もたくさん刊行します


毎年2月3月は年度末刊行の書籍がたくさんあり、今時分はそれらの刊行ラッシュがひと段落している頃なのですが、私はこの5月にもたくさんの本の刊行を控えており、バタバタが続いています。
5月前半に、私の担当書籍は以下の4冊が出来上がってくる予定です。

日本語表記の多様性 岩崎拓也 編

古典文学にとって会話文とは何か 半沢幹一 著

世界の配慮表現 山岡政紀・西田光一・李奇楠 編

近代日本語の時制体系 H. A. スィロミャートニコフ 著 鈴木泰・松本泰丈・松浦茂樹 訳

ぜひお楽しみに!ですが実は担当者が一番本が出来てくるのをわくわくしながら待っています。

5月末から6月にかけても2冊刊行予定で進行している本があるので、まだしばらくは息つく暇がなさそうです。




2025.4.8(火)

『現代日本語の数量を表す形容詞の研究』5月刊行予定です


4月になって気温もだいぶ暖かくなり、東京は桜の見頃となりました。
前回の私のスタッフ日誌(1月末)にも書きましたし、私以外のスタッフ日誌でも書いていましたが、ひつじ書房は毎年1月から3月ごろが繁忙期です。春の訪れとともに忙しさも一段落……すると思っていたのですが、4月に入っても刊行直前の書籍が多くあり、意外と慌ただしい日々が続いています。刊行予定表を見てみると、5月に刊行する予定の書籍が合わせて10冊以上ありました。
5月に刊行する書籍が多い理由の一つが、学会シーズンが始まることです。特に日本語学会が今年はゴールデンウィーク直後の5月10日、11日にあるので、学会出展時に参加者の方に手に取っていただけるように、学会前に刊行を予定している書籍が多くあります。
今日紹介する私の担当書籍、『現代日本語の数量を表す形容詞の研究』(包雅梅著)もそのうちの一つで、先日印刷所に入稿したばかりのものです。

本書は数量を表す形容詞の中でも「多い/少ない」がもつ興味深い特徴に注目します。例えば「大きい/小さい人がそこにいる」とは言えますが、「多い/少ない人がそこにいる」とは言わないように、「多い/少ない」は他の形容詞と違い連体修飾用法(装定用法)に制限があります。しかも「おびただしい、わずかだ、膨大だ」のような「多い/少ない」の類義語類は装定できるのです(「おびただしい人がそこにいる」)。一方で「少ない資源を大切にする」のように「多い/少ない」はまったく装定できないわけではないのです。では、その違いはどこにあるのでしょうか。
こうした「多い/少ない」をめぐる議論は以前からされてきましたが、本書では今までの先行研究を踏まえつつも、今までの研究がさまざまな特徴を持つ「多い/少ない」の一側面しか捉えられていないことを指摘し、「多い/少ない」が数量を表す形容詞であることと段階形容詞である点から、「多い/少ない」の使用制限について説明できること、そして数量を表す形容詞がもつ特徴を論証しています。
本書の研究では、コーパスを駆使して「多い/少ない」や他の形容詞の用例が豊富に紹介されています。また段階形容詞に関する議論では、中国語や英語の形容詞との比較対照がなされるほか、形式意味論の概念を用いた分析が行われます。そのため、本書は日本語学だけでなく、コーパス言語学、対照言語学、形式意味論といった分野にも寄与しますし、他言語の研究でも特に形容詞、修飾、数量に関する研究には大きな示唆を与える知見があります。
「多い/少ない」という普段から何気なく使っている語ですが、この語が非常に面白い特徴を持っていることに気付かされます。刊行されましたら、ぜひ「まえがき」の部分を読んでみてください。豊富な例とともに「多い/少ない」の他の形容詞にはない特徴がわかりやすく説明されており、この語の不思議さ・面白さに引き込まれるはずです。
5月初めに刊行される予定ですので、日本語学会の出展にももちろん持っていく予定です。ご参加の方はぜひお手に取っていただけると幸いです。







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