英語教育関係者以外にもおすすめです。『先生、英語ってなぜそう教えるんですか?』
私は学部生の頃、教員免許の取得を目指して教職課程も受講していました。色々と思い出はありますが、一番印象的なのはやはり模擬授業だったり教育実習だったりと、実際に授業をした経験です。教員免許は取得したものの教員にはなりませんでしたが、必死で授業準備をして拙いながらもなんとか教壇に立って授業をしたのは今でも良い思い出です。
それでも今思い返せば「教壇に立つ前に、もっと教育・授業について考えて勉強すべきだったのでは」と思うこともあります。模擬授業で取り入れたグループワークは、本当に必要な活動だったのかとか、振り返るとただ「なんとなく」で授業を成立させるために取り入れていたこともあった気がします。
前置きが長くなってすみません。なんでこんなことを振り返っているかと言いますと、先月3月に刊行したばかりの新刊『先生、英語ってなぜそう教えるんですか? 学生の疑問から考える英語科教育法』(仲潔・亘理陽一・藤原康弘著)の紹介をしたかったからです。
本書は、架空の大学を舞台にしてまして、英語教師志望の学生が、三人の著者の先生の一人に英語教育についての疑問や悩みを持ち込んできて、それに先生方が応える「オフィスアワー編」、その後に先生が他二人の先生にも学生の疑問を共有して意見交換をし、英語教育について多様な視点から検討する「グループチャット編」、学生が先生とのやりとりをノートにまとめた(各章のまとめの役割の)「ノート編」の3つのパートから、各章が構成されています。
「オフィスアワー編」は学生たちと先生の、グループチャットは先生方同士のやりとりですので、全て会話形式で進んでいきます。そのためとても読みやすいです。
各章で先生方に持ち込まれる学生の疑問(=章タイトル)は以下の通りです。
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1 文法って生徒に教える意味あるんですか?
2 楽しんでできるようになる授業はできる?
3 言語教師はやっぱり「ネイティブ」?
4 言語活動を通して基礎表現を定着させられる?
5 主体的に学習に取り組む態度って評価できるんですか?
6 英語の授業って英語で行った方がいいの?
7 教育に関するデータってどう捉えたらいいの?
8 オンラインで英語を使う機会は役に立つ?
9 リテリングって話すことの指導になってますか?
10 教科書ってどう使ったらいいですか?
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本書は英語の授業ですぐに役立つテクニックを教えるタイプの書籍ではありません。それよりも「どのようなテクニックが有効で生徒のためになるのか」「どうしてそのテクニックは有効なのか」といったようなことを考える教育的な本質の部分、「どう教えるか」ではなく「なぜそう教えるか」について(言語)教育研究の理論的な背景までしっかり学べる1冊になっています。
さて、冒頭で私が教職課程を受講していたことをお話ししましたが、私は英語ではなく社会科の教員志望でした。それでも私は、本書の編集をしながら「過去の自分に読ませたい!」と思いました。というのも、トピックは英語教育が中心ですが、中には他の教科の教育法にも役立つ知見がたくさん盛り込まれています。
冒頭で私が模擬授業でグループワークを「ただなんとなく」取り入れたことを反省したのはそのためです。「本当にグループワークを取れる必要のある授業だったのか。ただ単に生徒に作業的なことをさせるためだけに取り入れていなかったか」、そんなことを「9 リテリングって話すことの指導になってますか?」の原稿を読みながら考えたのでした。
9章でメインで扱われている「リテリング」自体は英語(外国語)教育での指導法の一つですが、この章で議論されていることの本質的な部分は、他教科の教員にも考えさせるものがあると思います。
英語教育関係者にはもちろん読んでいただきたいのですが、ぜひ英語以外の教育関係者にも手に取っていただきたいと思います。おそらく授業や教育を見つめ直すきっかけになるはずです。
『先生、英語ってなぜそう教えるんですか? 学生の疑問から考える英語科教育法』詳細ページ
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1245-5.htm
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