書協の著作権・出版権委員会の幹事会で知らされた横浜市立図書館の恐るべき実態さらには、それをそそのかす南というヤツの書いた記事。それがなんと国会図書館の機関誌に載っているではないか。年間、結構いい値段の購読料であるのに。
私は、あまりものを考える方ではなく、不法コピーをそそのかす悪いヤツという認識で、さっそく不法に南さんの文章をホームページに張り出した。そのあと、図書館総合展で、図書館情報大学の石川さん、青空文庫の富田さんとの「けんけんがくがく著作権トーク」というのに出て、富田さんが、「著作権よりも共有を!」というのは目に見えていたので、朝鮮学会の時のひつじの海賊版の話とこの横浜問題を取り上げた。なんとその時に、南さんがいて、意図は違うんですという。そうなら、本意をメールで送ってほしいといって、送ってくれたのが、以下のものである。
南さんの挑発的なタイトルに私は踊らされたといってもいいだろう。人を驚かし、踊らせるだけの力を持っていた文章であるという点で、すぐれているし、結果的に、1年以上もたっていながら、出版界も南さんの発言以前には気がついていなかったのだから、彼は判ってみれば、盗人をそそのかす悪人ではなく、恩人といってもいい存在である。感謝しても感謝しきれないと思うべきだ。それを一部のバカモノが、実際に本人に意図を確認もせず(私もそうだったわけだが、少なくとも個人的なページで訴えた。そのことによって、結果的に本人の意図の確認ができた。私もバカモノであったことは認めておこう。)、そういう発言が公開されたことが、いけないなどと言っているようである。それは言論の封鎖であるし、その人がつとめている会社は、雑誌を持っているのだから、そっちで抗議すればいいではないか。そうすれば、議論になるのに。
私は、この問題は、組織VS組織ではなく、その組織の実務で争うべきだと思う。なぜ、著作権の問題が、総合雑誌で扱われないのか。出版界の内輪の事情は、読者には関係ないと思っているのだろう。デスクを説得できないで、どうして、社会的な問題にすることができるだろうか? この問題は横浜の一つの図書館の問題に留まらないのだ!
松本さん、お待たせいたしました。
あの記事を書いた意図について書きます。
御存知とは思いますが、現在、図書館のコピーサービスは、セルフコピー機を使ったものが中心になっていますよね。職員の目が届いているのかも怪しいような感じのところが多いのではないかと思います。もちろん国立国会図書館ではきっちりチェックをしてますけれども。そのせいで、やれ「ウルサイ」だの「料金が高い」だのと色々利用者さんからは言われていますけど。
そういう状況をみるにつけ、著作権法第31条って一体何なんだろうって思っていたのですが、そんな中、びっくりするような情報が入ってきたわけです。「横浜市立図書館ではコピーサービスを30条でやっているらしい」。
他の図書館でも一度は考えたことのあるこの「妙案」(あえてカギカッコを付けていることをお忘れなく!)といいますか、「禁断の果実」を、まさか本当に取るところがあるとは!いやあ、大胆といいますか、勇気があるといいますか、本当にビックリしました。
こんなスゴイ話は、ぜひ広めて、この際ですからそのモヤモヤした曖昧模糊な図書館のコピーサービスの実態に一石を投じるべきではないか!と思ったのです。
ですから、この話を紹介することで、別にそういう動きを推奨するなんて、そんな意図はあるわけありません。「「勇気ある」決断」という表題をつけたのも、心から「勇気あるよなあ」という気持ちから出たもので、別にその決断を称賛しているわけではありません。
一部の出版関係団体の方が、この表題についてかなり問題視なされているようですが、要するにこれだけの意味しかないのです。
あと付け加えますと、その後の動きをみるにつけ、私の意図どおりの展開になっていますし、著作権者団体の方の中には、この記事で新たにこういう事態に気付いたという方もいらっしゃいますのに、個人的には、あの記事が書かれて、掲載されたこと自体をなぜ問題視されるのか理解に苦しみます。松本さんはいかがお考えでしょうか?
(断っておきますが、以上の記述はすべて南個人の見解を示したもので、国立国会図書館及びその内部の特定の組織の意思を示したものではありません。付け加えますと、カレントアウェアネスの記事についても同様です。念のため。)
南 亮一