2021年5月26日(水)リモートでも風を起こしたい(5月26日にメール通信で配信した内容がもとになっています。) 今年も5月に学会がありました。ひつじ書房が、参加しましたのは日本語学会、日本方言研究会、日本近代語研究会、そして日本語教育学会、日本近代文学会、日本英文学会ですが、これらはオンラインでの開催になりました。今週末には、全国大学国語教育学会がオンラインであります。新型コロナによる緊急事態宣言が出される中、オンライン開催になることは仕方のないことと認識しています。ちなみに、出版社が出ることのできる方法は、日本語学会ではremo、日本方言研究会ではzoomのブレイクアウトルーム、日本語教育学会は、zoomで時間限定のブース、全国大学国語教育学会はspatial chatというやり方でした。近代文学会と英文学会は、公式的には場所なく、今回は独自にzoomで場所を作って呼びかけたというやり方でした。残念ながら、来店者はありませんでした。学会の開催と学術出版というのは、私たちの考えでは、本来的に関係し合っていると考えています。強くいうのなら、支え合っているといってもいいのではないかと思っています。そう考えると学会が開催されても出版社がそこにいないという状況が続いてしまうことは認めがたいものがあります。 学会を開催する主な意味は、学問を進めるということで、若手に発表の機会を提供し、研究を発表してもらい、議論をして学問を進めていきます。とともに、それは業績となって、成果をあげていって研究職を得るということもあります。学問自体の進展とともに、その学問ジャンルが、職業としてなりたつことも重要だと思います。研究は、学会誌に発表されて、評価されます。そのためには研究発表の機会を作ることが一番大事なことだと思います。コロナ禍の中、学問を止めないということが重要だと思います。 とともに、忘れられたくないのは、研究の成果は書籍というかたちでも作られ、学会に登場するということにも意味があるということです。そのことによって、新しい研究が成果として結実し、それを共有する機縁が生まれます。そこから、批判と継承が行われて、学問が発展していくことになります。評価と批判と継承、発展が、いろいろな角度で行われるのが学会という集まりであり、そのパワーが強くなるのが大会という場所です。日々の活動でもありますが、大会は、その活動が盛り上がって、人のパワーが強くなる、祝祭的な時間、空間でもあると思います。面白い発表があれば、盛り上がりますし、学問の潮流の潮目というか、ブームのようなものが生まれたりもします。学問の営みの上で、結果的に生まれることですが、それがとても重要なことだと思います。 出版社としては、本が出来るというのは、嬉しい成果であり、刊行したというタイミングは盛り上がる時です。そのような書籍を世に送り出して、見てもらうというのは、やはり、盛り上がる時です。ということで、本が出たタイミングで、出たことを学会の大会でリアルに知っていただく機会がなくなってしまったということは、辛いことであり残念なことです。何とかならないか、どうにか知っていただく機会を作れないかと思いました。そこで、学会の開催に合わせて何かできないものだろうかと考えて行いましたのが、オンラインの刊行イベントを行うということでした。学会当日に開催しますと学会と時間がダブってしまいますので、発表を聞きたいと思っている人の邪魔をしてしまうことになるかもしれませんので、学会の当日に限定しないで、学会の開催される週のどこかで刊行のイベントを行うことにしました。学会開催日を含めた週を学会ウイークと考えて、その期間に盛り上げようという考えです。この春に刊行した著者の先生方に「ライブ」をお願いしました。カッコ付きのライブというのは、ライブということを広く考えています。本当のライブでやるのが一番リアルで機会を作るにはよいのですが、ライブで行うのは、得意でないという方もあるかもしれませんので、録画していただいたものを流すということもありで、私がインタビューして、動画を撮って流すということもやり方の選択肢としてあることにしました。リアルな本人の声でない動画もあります。文先生の場合は、パワーポイントの動画に人工音声でナレーションをして、著書の説明をするというかたちになっています。私自身が案内をしているものは、なかなか上手く喋ることができず、上手く話せていないのですが、すいません、そういったことも優しい目で見ていただければと思います。zoomの使い方もいくつか知ることができました。自分のことをいうと、滑舌が悪く、もっと口を開いて明瞭な聞きやすい発音にしないといけないと思います。もともと、話すのが苦手で上手ではないのです! 動画の発信はしばらく続くことになりそうですので、少しずつでも話すことが上達できるといいと思っています。説得力のある口頭表現は私にとって大きな課題です。もっと聞きやすく話せる社員もいると思います。これからの時代は、ネットでのプレゼンスをどうするかということも、編集に重要な役割と思います。 抽象的な言い方になりますが、刊行したことによって起こる風のようなものを起こし続けて行かなければ、刊行したということ自体も知られず、広まらないと思っています。それは大きな課題です。こんな本がでたらしいよとか、面白そうな内容の本がでたらしいとか噂というか、話題になることを起こしていきたいと思います。これまで通り、新聞などの広告に出して、告知することもしますが、新聞の影響力は限定的になってきてもいますので、facebookやTwitterなども使って告知することは努めていきたいと考えています。動画をネットにあげることで、共有する動向が生まれるのかは分かりませんが、何もしないでいては、事態を変えることはできませんので、いろいろと工夫をして風を起こしていきたいと思っています。 以下に今回配信しました動画を掲示します。公開します期限が、今期の春の学会シーズン中のものもありますので、私の文章をご覧戴いた機会にはご覧になれない動画もあると思います。お許し下さい。 ----------
著者によるZoomでの新刊紹介
『日本語教育の新しい地図 専門知識を書き換える』(青木直子、バーデルスキー・マシュー編)
『テクスト語彙論 テクストの中でみることばのふるまいの実際』(髙﨑みどり著)
『述語と名詞句の相互関係から見た日本語連体修飾構造』(三好伸芳著)
『現代日本語の「ハズダ」の研究』(朴天弘著)
『日本語複文構文の機能論的研究』(田中寛著)
『日本語における短縮外来語の形成とその仕組み』(文昶允著)
『全国調査による言語行動の方言学』 (小林隆編)
『日本語文法史の視界』 (高山善行著)
『「中納言」を活用したコーパス日本語研究入門』 (中俣尚己著)
『環大阪湾地域におけるアクセント変化の研究』 (山岡華菜子著)
『「させていただく」の語用論 人はなぜ使いたくなるのか』 (椎名美智著)
『『認知言語学と談話機能言語学の有機的接点』 (中山俊秀・大谷直輝編)刊行記念 オンライン座談会↓
続きの動画は以下にあります↓
●新刊・近刊案内「未発ジュニア版」(2021年春夏)
●「未発ジュニア版」(2021年春夏)ライト版(上のものよりデータサイズが軽いです)
こちらは担当者が紹介している動画です。 ---------- 執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。 「本の出し方」・「学術書の刊行の仕方」・「研究書」・スタッフ募集について・日誌の目次・番外編 ホットケーキ巡礼の旅 日誌の目次へ
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