★この記事は、2024年5月7日までの情報を基に書いています。
「日本語教育機関認定法」が、2024年4月1日から発効しています。今回の記事は、新しく始まった体制の進み具合を説明し、それに関係する日本語教育学会の学会誌187号に掲載されている論文の問題点に言及します。また、その他、注目すべき情報についても触れます。
1.2024年4月1日から始まった新しい日本語教育の体制
(1)「日本語教育機関認定法」成立までの経緯
まず、「日本語教育機関認定法」が成立した経過をおさらいしておきます。
これまで公開されてきた資料は、3月末や4月1日に一部修正されていますので、必ず最新の資料をチェックしておいてください。文部科学省の日本語教育のサイトは、以下のとおりです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/01_p.htm
2024年3月22日公開版の「認定日本語教育機関の認定申請等の手引き」では、4月5日から5月10日の事前相談と5月17日の申請締め切りの日程は変わっていません。ただ、実際のケースでの対応については、日本語教育課の課員の増加もあり、新しい職員の不慣れなどのために窓口の対応では日本語教育機関から不満が出ているとも聞いています。新しい制度への対応が落ち着くまでは、もう少し時間がかかるかもしれません。事務局の方針が揺れている訳ではないので、日本語教育関係者は、まず自分で以下に示すようないろいろな資料を読んで、まずは現在の施策の方向性を知ってください。
また、登録日本語教員養成機関の確認については、追加公募が4月1日から5月13日までになったので、この記事を書いている時点では最終的な確認結果は公表されていません。この確認に漏れた大学等にとっては大問題なので、この点については次の「未草」の原稿に書きます。
新しい現状については、第50回の「未草」の記事に書いた2024年3月18日の文部科学省中央教育審議会生涯学習分科会日本語教育部会の配布資料の「参考資料5 日本語教育部会に関する検討状況について」を見てください。前回は、この記事の重要性について触れただけでしたが、説明を加えないと分かってもらえないように感じましたので、以下に改めて詳しく説明します。
特に、「2.日本語教育機関認定法に関する日本語教育小委員会等での検討状況について」は、大事な資料です。ここでは、「日本語教育機関認定法の省令等に関する論議」で、この法律の成立に関わった会議が列記されています。田尻は、これ以外にも大事な会議資料があると考えていますので、ここではそれを前提に説明します。詳しくは、今秋ひつじ書房から刊行予定の『外国人受け入れへの日本語教育の新しい取り組み』に書きます。
2020年に始まった「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」が、2021年8月に「日本語教育の推進のための仕組みについて(報告)~日本語教師の資格及び日本語教育機関評価制度~」という報告書が公表されました。田尻もこの会議の委員の一人です。この報告では、日本語教育の質の向上と日本語教師の確保のために国家資格としての公認日本語教師の資格要件、試験内容等、教育実習、日本語教師養成機関の登録、更新講習、学士要件不要、現職教師の資格取得方法等々、さらに日本語教育機関の範囲・評価制度なども検討しました。
2022年5月に「日本語教育の質の維持向上の仕組みに関する有識者会議」が設置され、2023年1月に「日本語教育の質の維持向上の仕組みについて(報告)」が公表されました。田尻は、この会議の委員の一人です。「別紙資料」として、大事な資料が分かりやすく示されています。「日本語教育機関認定法」に関わる事項を扱う時は、この報告を読まなければなりません。日本語教育部会の「参考資料12」の11ページはそのことを示して、この有識者会議の後の各委員会での審議日程を一覧表にしています。
「日本語教育機関認定法」を理解するためには、最低限この流れを頭に入れておく必要があります。通常国会での審議が当初の計画より1年遅れたので、日本語教育推進議員連盟の国会議員の方々や事務局のご努力で、なんとか当初の予定どおりに「日本語教育機関認定法」が成立しました。政府の外国人受け入れ施策が次々と打たれている現在、日本語教育の施策が何とか間に合ったというのが、田尻の実感です。この法律が無ければ、日本語教育現場の実態を考慮されない施策が、人手不足対策として次々に実行される可能性がありました。
(2)日本語教育部会の資料の重要性
3月18日の日本語教育部会には、「日本語教育機関認定法」を理解するための大事な情報が列記されていて、大変便利です。
ただ、以前は文化庁国語課の方々のご努力で、資料を分かりやすいような形に整理して示されていました。今後は、この部会の資料のように、生(なま)の資料が出されているので、この時点で初めて資料を見る人には分かりにくいかもしれません。しかし、上に書いたように、この法律が成立するためには既に4年かかっていますので、この現状への理解不足は、そのまま現状認識不足と言わざるを得ません。とにかく、施策に不満を言う前に、資料を理解する努力をしてください。批判は、その後で行ってください。批判のための批判は、生産的ではありません。日本語教育関係者が、日本語教育課の方々と協力して、より良い日本語教育の未来を作るために共に行動するように期待しています。
これらの資料を理解するために、以下では改めてこの施策のポイントを整理しておきます。
- 生産年齢の減少に伴う人手不足対策の一つとして、政府は従来の「技術・人文知識・国際業務」等の資格としての留学生受け入れ拡大の方向を打ち出しました。
- 外国人を在留資格「留学」として受け入れるためには、該当する日本語教育機関は文部科学省の認定を受けなければいけません。「留学」以外の在留資格の外国人を受け入れる日本語教育機関はその限りではありませんが、ほとんどの日本語教育機関は留学生の受け入れ機関となっています。
- 日本語教育機関が認定される要件の一つに、教員が全員国家資格「登録日本語教員」でなければいけないということになりました。これには、5年間の猶予期間が持たれました。これで、日本語教員が国家資格という公的資格を持つことで社会的に認知されるようになり、日本語教育機関が登録日本語教員を確保しなければいけないことで日本語教員が雇用の安定した職業となる体制ができました。
- 登録日本語教員になるためには、大学や日本語教育機関で行われている日本語教員養成のコースが文部科学大臣による登録日本語教員養成機関として登録を受けなければいけないことになりました。
- 登録日本語教員になるために実践研修が必須となり、その実践研修をする機関も文部科学大臣による登録を受けた機関でなくてはならなくなりました。どのような機関が実践研修機関となりうるかという詳細な検討は、今後も実例に合わせて検討が行われると考えられます。
- 現時点ではまだ登録日本語教員は一人もいないので、現職教員が登録日本語教員になるために5年間の「経過措置」が持たれました。したがって、この「経過措置」は、あくまでも現職教員のためのものです。ただ、現在養成機関を受講している人のために経過措置が延長された箇所もあります。
- 今まで日本語教員養成をしてきた大学や日本語教育機関は、文部科学省に「確認」の手続きをしないと、かつての卒業生が登録日本語教員になる時に不利になる可能性があります。基礎試験免除や講習の受け方に差が出てきます。
- 「就労」や「生活」の分野での登録日本語教員の役割は、今後関係省庁や地方公共団体との連携の仕方で細かく決まっていくと思います。
- 将来的には、「児童生徒等」・「難民」・「海外」の分野での登録日本語教員の処遇が検討されることになっています。
基本的に知っておいてほしい事項を列挙しました。これは、最低限の項目です。
ここでは日本語教員に資格や関わっていく分野について述べましたので、日本語教育機関認定の仕組みや要件等については触れていません。これまでの法務省告示基準と今回の認定日本語教育機関の違いは「参考資料6」の12ページに出ていますので、現職の日本語教員も、これから日本語教員になろうとする人も必ず見ておいてください。
また、「日本語教育機関認定法」に関わって策定された法令等のうち、何が省令・告示・通知等や審議会での決定事項とあたるかは、「参考資料5」の13ページに表にして示されていますので、引用する場合は間違えないようにしてください。これらは法律用語として決まっています。
2.『日本語教育』掲載の論文の問題点
上に述べた施策が実際に行われようとする時に、気になる論文が日本語教育学会の学会誌『日本語教育』187号に掲載されました。発刊は、2024年4月です。学会の会員でなければこの論文は読めませんので、以下では内容を詳しく扱います。
その論文とは、北出慶子さん・澤邉裕子さん・嶋津百代さん・杉本香さんの「大学での日本語教員養成課程は、何を目指すのか―養成担当教員への調査から見えた課題と展望―」(以下、「論文」と略称する)です。この「論文」は、日本語教員養成課程に関わる33人の教員への質問の回答を分析したものです。その結果、回答者の関わっている大学では「多文化共生社会で活躍する人材育成のためのカリキュラムが展開されていることが示された」ので、「目指すべき日本語教育と具体的な育成・支援の方法について関係者間で連携体制を構築し、議論を重ねていくことの必要性が提示された」と書かれています。そこには、現在進められている日本語教育施策への批判の姿勢が見られます。それは、「知識伝授型の教師教育観にとどまっているともいえる」、「日本語教育の在り方に関する議論が十分にされているとは言い難い」、「国家資格の対象となる知識だけを押さえればよい、という発想に陥ると、そもそも大学で養成を実施する意義が失われることにもなり得る」、「『養成課程のカリキュラムへの影響』や『教育実習への制約』、『教師間の階層化が生じる流れ』などが懸念される」、「養成課程の意義とキャリア支援の関係性は問い続けるべき課題となっている」、「大学の養成課程が必須の49項目を満たすだけのものになってしまうと、日本語教育は資格を取るだけで意思決定権のない副次的、かつ孤立した存在となり、学内および社会において、さらに弱体化を迫られる可能性もある」、「文化庁が提示した今回の日本語教師の資格基準だけに固執するのではなく、目指すべき日本語教師像とそのような教師育成・支援の方法について関係者間で連携体制を構築し、議論を重ねていくことが不可欠である」などの表現で見て取れます。
以下では、田尻が考えるこの論文の問題点を述べていきます。その場合、施策が公表された時期が重要なので、2024年3月までは文化庁の施策、2024年4月からは文部科学省の施策として以下に説明します。内容は一貫した流れのものであり、日本語教育の所管が文化庁から文部科学省に移管された時期によって分けたものです。
以下では、「論文」の問題点を三つに絞って説明します。
① 文化庁の施策の経緯が整理されずに扱われている
「論文」が検討の対象とした2019年の国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)改訂版」(以下、「報告」と略称する)以降、2024年までかなり多くの新しい施策が出されていますが、参考文献を見る限りそれらは検討の対象としていないように見えます。これでは現時点での施策の検討とは言えません。「論文」では、なぜ「報告」だけを検討の対象にしたのかについての説明はありません。この「報告」は、「必須の教育内容50項目」を挙げた最初のものですが、「報告」では50項目についての詳しい説明はありません。田尻が見る限り、現在まで2024年5月まで文化庁の施策の経緯を説明した研究論文はまだ出ていません。このような場合、研究論文という形を取るならば、現在までの文化庁の施策の経緯を述べ、その経緯の説明の中でこの「報告」が大事な資料なので、この「報告」のみを検討の対象とするということを説明すべきと考えます。この「論文」では、この点が欠けています。少なくと、なぜこの「報告」だけを取り上げたかの説明は必ず必要です。なお、ひつじ書房から新しく刊行する本では、この点を詳しく扱っています。
② 「報告」の主旨を読み間違えている
「報告」では「日本語教育人材」というあまり見慣れない語を使っていますが、「報告」では、それは「主として日本語学習を希望する者に対して、『日本語を教える/日本語学習を支援する』活動を行う者」と書かれています。つまり、この「報告」は日本語教員の資質・能力を検討したもので、大学の日本語教員養成課程について検討したものではありません。
ところが、この「論文」では「報告」を「国家資格の新基準」を示すものとして扱っています。「必須の教育内容50項目」は、「国家資格の新基準」ではありません。「報告」は、国家資格の仕組みが作られる前に発表されたもので、「報告」にも「必須の教育内容50項目」は「必ず実施すべきもの」となっています。つまり、国家資格の登録日本語教員になるためには、この教育内容は押さえておいてほしいと言っているのです。「論文」は、明らかに「報告」の内容を読み違えています。この「報告」では、大学の日本語教員養成については、全く扱っていません。4月以降は大学の日本語教員養成課程を修了しても登録日本語教員になれる訳ではありませんから、各大学がどのような日本語教員養成課程を作るのかは大学独自で考えればいいのです。
文化庁の施策が大学や日本語教育機関での日本語教員養成に関わるのは、それらが「必須の教育内容50項目」などを満たしているかどうかの「確認」をする段階だけです。
③ 文化庁の日本語教師養成に係る大部な報告書を見落としている
文化庁の「登録実践研修機関及び登録日本語教員養成機関の登録手続き等の検討に関するワーキンググループ」の第3回(2023年8月30日)から第5回まで毎回出された文化庁委嘱事業で文化科学研究所が出した「令和4年度 大学等日本語教師養成課程及び文化庁受理日本語教師養成研修実施機関実態調査研究 報告書」(以下、「実態報告書」と略称する)は、日本語教師養成に関する最も重要な報告書です。この「実態報告書」は、日本語教師養成をする大学・短大185校(全体の88.1%)と日本語教師養成実施機関70校(全体の40.5%)の回答を得た、日本語教師養成に関する現在まで最も大規模な調査です。調査票の回収だけではなく、ヒアリング調査も行われています。「実態報告書」には、大学の日本語教員養成を考える時に必要な調査結果が出ています。「論文」のような記述式の回答ではなくても、「論文」執筆時には必ず参照すべき資料であることは間違いありません。しかも、このワーキンググループには、「論文」執筆者の一人である北出さんが入っているので、「論文」執筆者は、この「実態報告書」を知らないはずはありません。知らなければ、このテーマの研究はできません。どうして北出さんは、この「実態報告書」について「論文」で触れていないのでしょうか。
以上が、田尻が問題と考える三つの点です。その他にも、「必須の教育内容」を49項目としている点は、せめて注が必要でしょう。
「1」で述べたような状況が動き出している時点で、日本語教育学会の学会誌に査読を経た研究論文として文化庁の施策を批判した論文が掲載されることの意味は小さくないと考えて、あえて今回の「未草」の原稿では論文内容を詳しく扱いました。この問題点については、論文執筆者だけではなく、学会誌査読者も問題意識を共有してほしいと思っています。もし、田尻の考えに反論があれば、ひつじ書房までお寄せください。次回の「未草」で扱います。
3.「実態報告書」で分かった重要な点
「実態報告書」の詳しい説明はひつじ書房から刊行予定の本にかきますが、ここでは田尻が最低限知っておいてほしいと思っている点を列挙します。この「実態報告書」は、2023年3月に公表されています。残念ながら、この「実態報告書」に対する日本語教育関係者からの反応は聞かれません。大学の日本語教師養成課程を検討する際には、絶対に必要な資料です。
調査対象は、日本語教師養成課程を有する大学と短大210校と、文化庁届出受理日本語教師養成研修実施機関173校で、回答したのは、前者が185校、後者が70校です。
特に大学や短大を対象にした調査としては、現在まで最大規模のものです。以下では、大学・短大に関する資料のみを扱います。
- 設置年度は2001年~2010年が大学等では29.0%、2011年以降では40.5%です。届出受理機関は、2011年以降に77.4%と一気に増えています。田尻は、この時期に養成課程や機関が増えた理由を知りません。
- 「必須の教育内容」に対応していると答えた大学等は、95%以上です。「論文」で書かれている問題意識と各大学等からの回答は、大きくかけ離れていると言えます。
- 必要な単位数は、大学等の間ではずいぶんばらつきがあるのが分かります。これでは、目安となる単位数が分からないことになります。
- 修了後の進路で日本語教師になったのは、18.3%です。大学等の修了生で国内の日本語学校・大学等・専門学校の日本語教師になったのは、わずか2.1%です。
- 担当教員の半数近くが、非常勤です。
- 大学等で養成講座を担当している教員の45.9%は、外国人に対する日本語教育経験がありません。田尻は、この数字はかなり異常な数字だと考えます。大学等で日本語教師養成を担当している教員の半数近くは、外国人に日本語を教えた経験がないまま教師養成をしているのです。
- 教育実習については、外部委託の際の費用などずいぶん詳しい調査が行われています。それが、今回の登録実践研修機関の詳細を決める資料となっています。
- 主たる担当教員の年収(常勤・非常勤を含めて)も出ていますから、これから日本語教師を目指す人はぜひ見ておいてください。
現在進められている施策は、過去数年間の会議や実態調査に基づいて決められてきました。そこには、日本語教育の研究者や日本語教育機関の経営者や教員も参加しています。いろいろな会議資料やできれば議事録まで読んでください。議論や検討が十分でなかったと言われるのは、この議論に関わった者の一人として残念に思っています。
4.大学等での外国人留学生の在籍管理が厳密化する
4月4日に、文部科学省高等教育局佐藤参事官(国際担当)から「外国人留学生の適切な受入れ及び在留管理の徹底等について」という通知が、各国公私立大学学長と各国公私立高等専門学校長宛に出されました。
これは、改正が予定されている上陸基準省令改正に合わせて、外国人留学生受け入れと在留管理等の徹底を意図した通知です。
4月26日の法務大臣記者会見で、「留学」に係る上陸基準省令の改正が報告されました。内容は、出入国在留管理庁の「『留学』に係る上陸基準省令の改正について」に出ています。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001417661.pdf
「対応1」に、以下のような事項が示されました。
- 在留管理に適正を欠く大学・専門学校等は改善が認められるまでは、留学生への在留資格「留学」の付与を停止する。
- 専ら日本語教育を受けようとする研究生・聴講生には在留資格「留学」の付与を認めない(研究生・聴講生は省令で認められた教育機関に入学)。
- 大学の非正規課程・専門学校等では、入学時に日本語能力試験N2相当を求める。
- 専ら日本語教育を行う課程(大学の別科等)に入学する場合は、当該課程が文部科学大臣による認定を受けていることを許可要件とする。
つまり、研究生・聴講生などの非正規留学生と呼ばれた留学生や別科生は在留資格「留学」を得られないようにするというものです。
「対応2」に、大学の日本語別科・準備教育課程を含めた日本語教育機関の適格性を有するものについては、文部科学大臣が認定する制度を創設した、とあります。
それに合わせて、同日文部科学大臣決定として「外国人留学生の在籍管理が適正に行われない大学等に対する指導方針」が公表されました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1325305_00002.htm
これによると、退学者等が5%を超えた学校は「改善指導対象校」として公表され、そのまま3年連続指定された学校は「在留管理非適正校」として公表され、出入国在留管理庁に通告するとなっています。
文部科学省が留学生別科に対して、初めて踏み込んだ対応をしたことになります。留学生別科で教える日本語教師も登録日本語教員の資格が必要です。大学等での留学生の在籍管理も厳格に行われるようになります。
同日策定された出入国在留管理庁の「留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針に基づく措置について」の中で「専ら日本語教育」とはどんな範囲を指すかという質問の答えとして、出入国在留管理庁が考える日本語教育の定義がありますので以下に引用します。
「日本語教育」は「日本語教育機関認定法」で定められている「日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使用する能力を習得させるための教育」を指します。具体的には、進学又は就職を目的としたものを含め、簡易な程度において施される日本語教育をいい、受入れ時の日本語能力水準が日本語能力試験N2相当未満であるものに対して実施されるものを想定しております。
「留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針に基づく措置について」
つまり、出入国在留管理庁は、日本語教育については、従来使われている語で言えば、上級の日本語教育は想定していないことになります。
※今回は、従来の「未草」の原稿とは異なり、問題点を絞って書きました。そのため、今回も書けなかった重要な情報があることをお断りします。
なお、第47回の「未草」の記事では日本語学校に関する論文の執筆者が日本語教育の現場を知らないように書きました、最近ご本人から連絡があり(名刺交換をしていたので)、現職の日本語教師であることがわかりました。その点はお詫びしましたが、日本語学校の具体的な問題は取り上げられていないので「未草」の記事は修正しないと申し上げ、その点はご了解いただきました。