本連載が書籍になりました。連載の内容に大幅な加筆をしての書籍化です。ぜひご覧ください。
並行世界の存在論 現代日本文学への招待
加藤夢三著
ISBN 978-4-8234-1181-6
2022年12月刊行
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1181-6.htm
[書籍版 目次]
はじめに
第一章 柄谷行人『探究Ⅱ』―この現実世界への疑念 「単独性」の在り処/固有名の論理/〝不健全〞な私たち
第二章 東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』―並行世界は何をもたらすのか 現実世界への順応/「ゲーム的リアリズム」とは何か/物語とメタ物語の往還運動
第三章 三浦俊彦・永井均の諸論―「この」性はどのように分析できるか 可能世界論という鉱脈/なぜこの人が「私」なのか/並行世界の重要性
第四章 筒井康隆『夢の木坂分岐点』―壊れているのは「私」か世界か 「現実」に対する「虚構」の優位/寓喩としてのサイコドラマ/夢の世界であることの意味
第五章 岡嶋二人『クラインの壺』―世界はこのひとつだと信じたい ヴァーチャル・リアリティの射程/「本物」らしさをめぐる問い/世界はただこのひとつである
第六章 押井守『アヴァロン』―「現実」らしさはどこにあるのか 「アヴァロン」とは何か/「Class Real」はなぜ「現実」と誤認されるのか/リアリティを生み出す「狂気」
第七章 米澤穂信『ボトルネック』―こんな「私」じゃなくても 「ポスト・セカイ系」の想像力/「個性」は存在理由になるか/〝自分らしさ〞至上主義のイデオロギー
第八章 円城塔『Self-Reference ENGINE』―「現実」はほんとうにひとつなのか 「私とは何か」という問いの不可能性/並行世界の「私」/多元宇宙という戦略
第九章 舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』―探偵は世界を創造する 「世界の形」を変えるということ/「本格ミステリ」の文法/「世界を作ること」のパラドックス
第十章 東浩紀『クォンタム・ファミリーズ』―あれも「私」だったのか 「量子脳計算幾科学」の意義/『ミスター・ノーバディ』との比較/「存在論的並行世界」の承認
第十一章 村上春樹『1Q84』―ここにもいるし、あそこにもいる 『1Q84』の物語構成/ひとつきりの現実世界/「拡張現実」の拡張
第十二章 新海誠『君の名は。』―並行世界はどこにあるのか 『君の名は。』の衝撃/一人称的世界から離れて/記憶の固執
第十三章 伴名練『なめらかな世界と、その敵』―並行世界を移動するとはどういうことか 伴名練という衝撃/実際には無限ではない並行世界/「存在論的並行世界」への通路
第十四章 それでも並行世界は〝在る〞―「存在論的並行世界」の役割と使命 並行世界は何のためにあるのか/分析哲学の〝実存的〞読解/「存在論的並行世界」の役割と使命
あとがき