年末の慌ただしい時期になって参りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。一週間後には何事もなかったかのように年が変わってしまっているのが、いつも不思議な物ですが、そもそも年という概念もヒトが勝手に作ったもので、時間に区切りはどこにもないのでした。すっかり言葉にまみれてしまっていますね。
その会社の名は
さて、年末だろうと年明けだろうと変わらずオノマトペハントは続きます。ライフワークなのです。今回は「名前」に注目しています。ただ、名前といっても、個人の名前ではありません。
私のメインのお仕事はもちろんこのオノマトペハントなのですが、副業で会社員として働いております(ここでのメイン・サブは、心のもちようであって、実態と異なることがあります)。
会社員をやっていると、さまざまな会社の名前(屋号)を目にします。会社の名前は、その集団の性質や願い、在り方を表現する最も重要なものであるといえます。そのため、少しでも心に残るような、かつ特性を分かりやすく表現した会社名をつけようと、世の社長さんたちは苦心しているわけですね。
この間、会社で名刺を整理していたら、突然それは現れたのです。「株式会社mocomoco(仮)」(諸々の影響を考慮して仮名にしています)。
これは紛れもなくオノマトペ! オノマトペを社名にするとはなんという潔さ! こちらの会社に対する無条件の好感度爆上げを感じつつ、とりあえず大事にしまいました。しまいながら、他にもオノマトペがついている会社はあるのだろうか、とぼんやり思いついたので、早速しらべてみました。
オノマトペを冠する会社はあるのか
会社の名前を調べるためのデータベースというものがきっと存在するのだと思うのですが、企業というものは日々設立されては倒れゆくものですので、それを網羅するのもきっと大変なことと思います。そして、そんな大変で手のかかるデータはきっと落ちてはいないだろうとふんで、早々に以下にお世話になりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本の企業一覧
我らがWikipediaですね。こちらにある企業一覧をひとカテゴリずつ開いて見てゆきます。もちろん、自動でオノマトペを検出する手段はありませんので、目視での確認になります(ちなみに、量がそれなりの場合の目視作業は割と好きな作業です。時間はかかりますが)。
ざっと見ていると、やはり個人名(設立者ですかね)や地名、扱っている商材にちなんだ名前が多いですね。分野によって名前の付け方には傾向があるようですので、深掘りしてみたい、と気を逸らしつつも、粛々とオノマトペを探してゆきます。
それでは、目視の結果見つかった「オノマトペを名前に含む企業(由来があやしいものも含む)」をご紹介しましょう。
【ニコニコのり】
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニコニコのり
これはまさしくオノマトペです。笑っている様子を表す「ニコニコ」と、扱っている商品である「のり」が結合した形です。
コーポレート・キャッチコピーは「笑顔の食卓文化」で、「みんなが笑顔で食事できるように」付けられたのだそうです。こういった素朴な願いが込められた名前はいいですよね。
【NSファーファ・ジャパン】
https://ja.wikipedia.org/wiki/NSファーファ・ジャパン
あのクマのファーファで有名な企業ですが、ファーファが社名に付くようになっていました。こちらの社名はオノマトペ由来かどうかはあやしいものになります。というのも、あのクマは各国で柔らかそうな名前が付いているらしく、「ファーファ」なのは日本だけのようです。ということは、「ファーファ」は日本語を由来とする可能性があり、もしかしたらそれは「ふわふわ」なのかもしれないのです。しかし、この説を支持する説明は見つからなかったため、あくまで可能性に留めることとします。
【ぷらっとホーム】
https://ja.wikipedia.org/wiki/ぷらっとホーム
とてもわかりやすく「ぷらっ」というオノマトペが含まれています。ただ、全体を見ると「プラットフォーム(platform)」に非常に似ているため、一部をひらがな表記にしただけなのかもしれない…と不安を感じたので、公式ホームページを確認しました。その結果、プラットフォームと「ぷらっと」をかけあわせた名称であることがわかったので、安心して「オノマトペ由来」であると認定したいと思います。
【きらぼし銀行】
https://ja.wikipedia.org/wiki/きらぼし銀行
無数の星がキラキラと輝く様を示している「綺羅星」を関する銀行名です。「綺羅」自体は「キラキラ」から来たわけではないそうなのですが、「綺羅星」となることで「キラキラ」と光り輝く意味が付与されつつある(https://dictionary.goo.ne.jp/jn/58131/meaning/m0u/)ようですので、微妙ですが一応リストに入れておきます。
【株式会社ドーン】
https://ja.wikipedia.org/wiki/ドーン_(企業)
こちらも一見わかりやすく「ドーン」というオノマトペが含まれているのですが、カタカナ表記であることから、外国語の可能性が考えられました(あと、いくらなんでもオノマトペの「ドーン」を社名に付けるのはわかりにくすぎないか、という常識的な推測もあります)。そこで、公式ホームページを確認したところ、英語表記が“Dawn”(英語で「夜明け」の意)でした…ということで、残念ながらこの「ドーン」はオノマトペ由来ではありませんでした。
【株式会社うるる】
こちらは「うるうる」を変形させてできた「うるる」をそのまま社名にされたようです。「うるる」なので、加湿に関する事業をしているのかと思いきや、あまり関係無いIT系サービス事業を行っているようです。なんで「うるる」なんでしょうね?謎は謎のままです…
【すてきナイスグループ】
https://ja.wikipedia.org/wiki/すてきナイスグループ
こちらはハントの途中で見つけたあまりにすてきナイスなグループのお名前です。オノマトペ関係なくただただ「すてきナイス」だったので取り上げてみました。元々は「ナイス株式会社」だったのが、いろいろあってこの名前になったようです。すてきナイス!
いくつもの会社名を見てきましたが、分野によってカタカナだらけだったり、地名・名前しか付けない主義だったり、強い特色があることがわかりました。また、その中にオノマトペを冠する会社はほとんど無い(数社程度)であることがわかりました。今回のリストに含まれていたのは、ほとんどが上場企業であったため、もっと小さな会社も含まれるリストからハントを行うことで、オノマトペのついた会社がたくさん見つかるのかもしれません。