講座ドイツ言語学 第3巻 渡辺学・山下仁 編 ひつじ書房 講座ドイツ言語学 第3巻 渡辺学・山下仁 編
2014年2月

講座ドイツ言語学 第3巻

ドイツ語の社会語用論


渡辺学・山下仁 編

装丁 白井敬尚形成事務所

A5判上製 定価4,000円+税

ISBN978-4-89476-573-3

ひつじ書房



「講座ドイツ言語学」の紹介
ドイツ語に関する言語学的研究は、そのプレゼンスをわが国の言語学の風景のなかに今まであまり示してこなかったように思われる。「ドイツ語研究者よ、奮起せよ」という励ましの声が聞こえてくる。その風景のなかに、ドイツ語を対象とした言語研究の最新成果を積極的に、しかもある程度まとまった形にして発信しようというのが、今回企画した『講座ドイツ言語学』のねらいである。ドイツ語という言語の文法を共時的・通時的に分析したとき、どのような個別性と普遍性が見えてくるであろうか。また、ドイツ語は、時々刻々と変容する現代の社会・コミュニティ・メディアと言語使用者の関わりにおいてどのような相貌を示すのであろうか。さらにまた、とりわけ活版印刷というメディアの大転換期以降、ドイツ語はどのような歴史的進展を遂げてきたのであろうか。本『講座』では、このような問いかけに対する答えを、ドイツ語の知識がない読者にも理解できるように、丁寧にわかりやすく説明・論述する。したがって、本『講座』は単なる学術的論文集ではなく、学術的入門書という性格を持つものである。執筆陣には、ドイツ語学における精力的な研究で知られる言語学者たちをそろえた。

  「講座ドイツ言語学」全3巻責任編集 
   高田博行・岡本順治・渡辺学(学習院大学)


★全3巻、完結!
『講座ドイツ言語学 第1巻 ドイツ語の文法論』(岡本順治・吉田光演編):2013年4月
『講座ドイツ言語学 第2巻 ドイツ語の歴史論』(高田博行・新田春夫編):2013年2月
『講座ドイツ言語学 第3巻 ドイツ語の社会語用論』(渡辺学・山下仁編):2014年2月


☆『講座ドイツ言語学』出版記念イベント開催!
 「ドイツ語学 〔ドイツ言語学〕のこれからを語る」(学習院大学大学院人文科学研究科ドイツ語ドイツ文学専攻主催)
 日時 2014年3月17日(月) 14:00〜18:00(懇親会18:20〜20:20)
 会場 学習院大学北2号館10階 第1会議室
 詳しいご案内はこちら(PDF)




第3巻の詳細
本書は、メディアの変転に伴うドイツ語の「多様性」を見すえつつ、ダイクシス、異文化間コミュニケーション、コノテーション、社会文体論などを基軸として、語用論とコミュニケーション(論)の関係を明らかにしたものである。また、ディスコース、インタラクション、ポライトネス、スタイルに着目し、社会語用論の現代的「展開」の諸相を照射する。談話の仕組みとその問題点を明かし、情報伝達と社会行動の結節点にも迫った。執筆者は、田中愼、A. Deppermann、野呂香代子、星井牧子、丸井一郎、山下仁、渡辺学の7名。


【目次】

「講座ドイツ言語学」の刊行に寄せて
まえがき

第1章 社会語用論の射程
1. 「ドイツ語研究所」から言語学、社会語用論に迫る
2. 「社会語用論」とは
3. 社会言語学と近年における言語学の潮流
4. 社会語用論のトピック

第2章 ダイクシス(直示)と語用論
1. ダイクシス(直示)とは?
1.1 シンボルとダイクシス
1.2 ダイクシスの種類
1.3 言語行為としてのダイクシス
1.4 ダイクシスとアナファー
2. テクストにおけるダイクシスとアナファー
2.1 英語とドイツ語におけるダイクシス的つながりの言語化の有無
2.2 日本語におけるダイクシス的テクスト構成
2.3 アナファー的つながり—人称代名詞の使用、同一指示物の言い換え
3. ダイクシスと文法
3.1 オリゴからの描出—主語とトピック
3.2 トピック構文—名詞句分離構文
4. まとめ

第3章 会話分析
1. 成立史
2. 方法
3. 理論および方法論における前提条件
4. 言語化された相互行為の基礎構造

第4章 言語相互行為の様式(スタイル) 
都市コミュニケーション研究の成果から
1. 課題
2. 言語相互行為に関わる様式概念の諸相
2.1 新しい様式概念の形成
2.2 kommunikative soziale Stile(交流様式)
3. 大規模な様式研究事例
3.1 概要
3.2 解明された交流様式の特徴
3.3 分析例
3.4 中間的総括
4. 含意と考察—外から見る
4.1 異なる社会文化への視点
4.2 行為内的側面
4.3 行為外的側面
5. 展望

第5章 異文化コミュニケーション、ポライトネス、社会文体論
話しことばをめぐって
1. はじめに—話しことばへのアプローチ
2. 「異なるもの」と異文化コミュニケーション
3. イメージ、ステレオタイプ
4. 自己、他者、範疇化
5. 視点、ポジショニングからポライトネス(研究)へ
6. おわりに—話しことば研究の新しい流れ

第6章 コミュニケーション能力  
ハイムズの見解とその後の展開、そしてリテラシーについて
1. はじめに
2. ハイムズの「コミュニケーション能力」
2.1 言語知識と見なされるのは何か
2.2 どんな知識が重要か
2.3 知識はどのように得られるのか
2.4 誰がその知識を持っているのか
2.5 知識以外に能力に含まれるのは何か
3. さまざまな学問分野でのその後の展開
3.1 言語習得研究
3.2 外国語教育
3.3 教育学
3.4 社会学
4. リテラシーとコミュニケーション能力
4.1 リテラシーの研究の流れ
4.2 日本におけるリテラシー研究
5. 展望

第7章 批判的談話分析
1. 批判的談話分析とは何か
1.1 批判的談話分析(CDA)の共通点
1.2 批判的談話分析の主な流れ
2. デュースブルク学派の批判的談話分析
2.1 談話分析のための分析概念
2.2 分析法
2.3 移民談話の詳細分析例
3. 今後の展望

第8章 多人数会話場面での誤用訂正と発話構築のプロセス 
ドイツ語母語話者—学習者間のコミュニケーションを例に
1. 外国語・第二言語習得研究における相互行為
1.1 認知的アプローチ
1.2 社会文化的アプローチ
2. 相互行為における「誤用」と「誤用訂正」
3. データ
4. 分析例
4.1 自己開始・自己訂正
4.2 自己開始・他者訂正
4.3 他者開始・他者訂正
4.4 他者開始・自己訂正
4.5 自己開始・第三者修正・自己修正
5. まとめと今後の展望

第9章 メディア言語学の射程 
「コミュニケーション様式」と「スタイル」の位置づけを中心に
1. ニューメディアとモバイルコミュニケーション
1.1 インターネット利用の均一性と多様性
1.2 ニューメディアに向き合う言語学
1.3 メディア言語学の行く末
2. ネット言語は存在するのか
2.1 インフォーマルなネットコミュニケーション
2.2 コミュニケーション・スタイルの多様性
3. ヴァーチャル空間でのアイデンティティ—今後を展望して

第10章 ドイツ語の呼称表現、依頼表現、陳謝表現
1. はじめに—理論的背景について
2. 調査の概要
2.1 調査内容
2.2 調査の限界
3. 呼称表現の結果
3.1 呼称表現について
3.2 呼称表現と聞き手の属性との関係
4. 依頼表現
4.1 依頼表現の種類
4.2 異なる聞き手に対する依頼表現
4.3 依頼表現に用いられる心態詞
5. 陳謝表現
5.1 陳謝表現の種類
5.2 聞き手と陳謝表現
6. 展望

参考文献
索引
日独英術語対照表
執筆者紹介 





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