ひつじ書房 概説レトリック 表現効果の言語科学 小松原哲太著 ひつじ書房 概説レトリック 表現効果の言語科学 小松原哲太著
2025年3月刊行

概説レトリック

表現効果の言語科学

A5判並製カバー装 定価2500円+税

ISBN978-4-8234-1297-4

装丁:村上真里奈

Introduction to Rhetoric: A Linguistic Perspective
Komatsubara Tetsuta

ひつじ書房




【内容】
昔も今も、言語の技術は社会生活の切実な問題である。「話し方を変えれば人生が変わる」「文章術で成功する」と謳う本は巷に溢れているが、言語技術の研究史の原点は、修辞学(レトリック)にある。本書は、相手の思考、感情、行動に、言葉がさまざまな影響を与えるメカニズムを言語科学の立場から探求し、実例にもとづいて、古今の修辞学のエッセンスを概説する。比喩論にとどまらず、レトリックの全貌を描く。


【目次】

はじめに

第 1 章 修辞学の研究プログラム
1.1 修辞学のアプローチ
1.1.1 「修辞的」の意味
1.1.2 レトリックの定義
1.1.3 修辞学の意義
1.2 修辞学の伝統と刷新
1.2.1 修辞学の伝統
1.2.2 修辞学の刷新
1.2.3 言語科学としての修辞学
1.3 修辞学の 5 部門
1.3.1 発想論:コミュニケーションの要素
1.3.2 配列論:コミュニケーションの構造
1.3.3 文体論:コミュニケーションの表現法
1.3.4 記憶論:コミュニケーションの知識
1.3.5 発表論:コミュニケーションの実践

第 2 章 発想論:コミュニケーションの要素
2.1 発想論とは
2.2 レトリックの発想
2.2.1 課題の分析
2.2.2 対象の分析
2.2.3 方法の分析
2.3 発想の類型
2.3.1 エトス
2.3.2 パトス
2.3.3 ロゴス
2.4 本章のまとめ

第 3 章 エトス:信頼のコミュニケーション
3.1 信頼のコミュニケーション
3.1.1 エトスの定義
3.1.2 前提エトス
3.1.3 談話エトス
3.2 異質性によるエトス
3.2.1 知性と有能さ
3.2.2 感性と善意
3.2.3 道徳性と品格
3.3 同質性によるエトス
3.3.1 属性の共通性
3.3.2 経験の共通性
3.3.3 価値観の共通性
3.4 本章のまとめ

第 4 章 パトス:情意のコミュニケーション
4.1 情意のコミュニケーション
4.1.1 パトスの定義
4.1.2 感情を抱く対象
4.1.3 感情の種類
4.1.4 感情を引き起こす状況
4.2 現前化によるパトス
4.2.1 視覚的な現前化
4.2.2 写実的な現前化
4.2.3 比喩的な現前化
4.3 共感によるパトス
4.3.1 問い:これから何が起きるのか
4.3.2 答え:こんなことが起きるだろう
4.3.3 感情的反応
4.4 本章のまとめ

第 5 章 ロゴス:理性のコミュニケーション
5.1 理性のコミュニケーション
5.1.1 ロゴスの定義
5.1.2 争点
5.1.3 論証
5.2 共有基盤によるロゴス
5.2.1 説得推論
5.2.2 権威による論拠
5.2.3 動機による論拠
5.2.4 実体による論拠
5.3 事例によるロゴス
5.3.1 例証
5.3.2 観察によるデータ
5.3.3 予測によるデータ
5.3.4 想像によるデータ
5.4 本章のまとめ

第 6 章 配列論:コミュニケーションの構造
6.1 配列論とは
6.2 レトリックの構造
6.2.1 選択
6.2.2 配分
6.2.3 構造
6.3 構造のトポス
6.3.1 連鎖型のパターン
6.3.2 平行型のパターン
6.4 本章のまとめ

第 7 章 ジャンルとレトリックの構造
7.1 レトリックのジャンル
7.1.1 審議のレトリック
7.1.2 法廷のレトリック
7.1.3 演示のレトリック
7.2 ナラティブのレトリック:事例分析
7.2.1 データ
7.2.2 レトリックの条件
7.2.3 局所的な配列
7.2.4 全体的な配列
7.3 本章のまとめ

第 8 章 文体論:コミュニケーションの表現法
8.1 文体論とは
8.2 レトリックの表現法
8.2.1 文体価値の表現
8.2.2 文体のパターン
8.2.3 文体の成分
8.3 文体の言語分析
8.3.1 語彙レベル
8.3.2 文法レベル
8.3.3 相互行為レベル
8.4 本章のまとめ

第 9 章 文彩
9.1 逸脱の技術
9.2 トロープ
9.2.1 類似性のトロープ
9.2.2 近接性のトロープ
9.2.3 対照性のトロープ
9.2.4 程度性のトロープ
9.3 スキーム
9.3.1 反復のスキーム
9.3.2 均衡のスキーム
9.3.3 語順変更のスキーム
9.3.4 欠落のスキーム
9.4 本章のまとめ

第 10 章 類似性の文彩:統合のレトリック
10.1 隠喩・直喩・諷喩
10.1.1 未知性
10.1.2 既知性
10.1.3 類似性
10.2 フレーミング
10.2.1 定義
10.2.2 類推
10.3 イメジャリー
10.3.1 実体化
10.3.2 現前化
10.4 本章のまとめ

第 11 章 対照性の文彩:分離のレトリック
11.1 対照法・平行法・交差配列法
11.1.1 漠然性
11.1.2 共通構造
11.1.3 対照性
11.2 意味関係の画定
11.2.1 堆積法
11.2.2 類義区別
11.3 意味変化の整理
11.3.1 隠喩と直喩
11.3.2 逆説
11.4 本章のまとめ

第 12 章 近接性の文彩:凝縮のレトリック
12.1 換喩・転喩・提喩
12.1.1 近接性
12.1.2 不必要
12.1.3 際立ち
12.2 背景化とポライトネス
12.2.1 濫喩
12.2.2 婉曲語法
12.3 前景化とインポライトネス
12.3.1 ステレオタイプ
12.3.2 偽悪語法
12.4 本章のまとめ

第 13 章 同形性の文彩:希釈のレトリック
13.1 異義反復・類音法・兼用法
13.1.1 同形性
13.1.2 退屈
13.1.3 意味
13.2 詩的ロゴス
13.2.1 地口答
13.2.2 語源論法
13.2.3 懸延法
13.3 言葉遊び
13.3.1 駄洒落
13.3.2 もじり
13.3.3 むだ口
13.4 本章のまとめ

第 14 章 レトリックの言語科学
14.1 文彩の図式
14.2 修辞的効果
14.2.1 エトスへの効果
14.2.2 パトスへの効果
14.2.3 ロゴスへの効果
14.3 文彩の語用論
14.3.1 修辞学
14.3.2 語用論
14.3.3 文彩再考
14.4 本章のまとめ

修辞技法のリスト
トランスクリプト記号・コーパス
参考文献
索引



著者紹介
小松原哲太(こまつばら てつた)
略歴
1986年、兵庫県神戸市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。
立命館大学言語教育センター外国語嘱託講師、神戸大学大学院国際文化学研究科講師を経て、現在、同准教授。
主な著書
『レトリックと意味の創造性―言葉の逸脱と認知言語学』(京都大学学術出版会、2016年)、『言語の認知とコミュニケーション―意味論・語用論,認知言語学,社会言語学』(開拓社、2018年、共著)、The Routledge Handbook of Descriptive Rhetorical Studies and World Languages(Routledge、2023年、共著)ほか。



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