ひつじ書房 方言オノマトペの形態と意味 川﨑めぐみ著 方言オノマトペの形態と意味 川﨑めぐみ著
2025年3月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第212巻

方言オノマトペの形態と意味

川﨑めぐみ著

A5判上製函入 定価8,000円+税 392頁

ISBN978-4-8234-1293-6

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

ひつじ書房

An Investigation into the Form and Meaning of Dialectal Japanese Onomatopoeia
Kawasaki Megumi



【内容】
オノマトペは言語研究者の関心を集めてきたテーマの1つである。方言オノマトペは共通語にない多様な形態と独特の意味を持つが、まとまった研究は少なかった。本書は方言オノマトペの語形成と意味に深く踏み込む初の研究書である。方言オノマトペ研究の調査・分析手法を切り開いてきた著者の研究成果を集約した本書は、散在する方言オノマトペ研究の成果をまとめ、共通語のオノマトペ研究に対して新たな視点を提供する。




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【目次】
はじめに


I 方言オノマトペ研究の概要

第1章 オノマトペの定義と方言オノマトペ
1. オノマトペの定義
2. オノマトペの分類
3. 方言オノマトペとは

第2章 音象徴と方言オノマトペ
1. 音象徴とは
2. 音義説について
3. 音象徴のレベル
4. 音象徴と方言オノマトペの関係

第3章 オノマトペの形態と意味に関する先行研究
1. 共通語オノマトペに関する先行研究
1.1 音義説と意味の研究
1.2 形態に関する研究
1.3 後接する要素に関する研究
2. 方言オノマトペに関する先行研究
2.1 方言オノマトペ研究の全体的な俯瞰
2.2 形態に関する研究
2.3 意味に関する研究
2.4 地域差に関する研究
3. 先行研究を踏まえての本書の意義
3.1 方言オノマトペ研究の意義についての言及
4. 方言オノマトペ研究の困難さ

第4章 東北地方の方言オノマトペの特徴
1. 東北地方の方言オノマトペに関する先行研究
2. 形態的側面から見た特徴
2.1 語型に特徴のあるオノマトペ
3. 方言特有の音韻を含むオノマトペ
4. 語基の形態に特徴のあるオノマトペ
4.1 語型と語基の組み合わせ
4.2 語基の子音
4.3 拗音化
4.4 語基の母音
4.5 特徴的な語基
5. 統語的側面から見た特徴
5.1 副詞として機能する場合
5.2 副詞以外になる場合
6. 意味的側面から見た特徴
6.1 共通語と語形の異なるオノマトペの意味
6.2 共通語と同じ語形を持つオノマトペの意味

第5章 山形県寒河江市方言のオノマトペの概観
1. はじめに
2. 山形県寒河江市方言の概要
3. 山形県寒河江市方言オノマトペの形態的特徴
4. 山形県寒河江市方言オノマトペのオノマトペ辞
5. 山形県寒河江市方言オノマトペの統語的機能
5.1 副詞的機能
5.2 動詞化接辞
5.3 名詞化オノマトペ
5.4 形容詞・形容動詞的機能
5.5 統語的機能のまとめ
6. 山形県寒河江市方言オノマトペの音韻的特徴
7. まとめ


II 方言オノマトペの形態

第6章 山形県寒河江市方言オノマトペのオノマトペ辞
1. はじめに
2. オノマトペの語基について
2.1 固有の意味を持たない語基
2.2 生産的な語基と非生産的な語基
3. 共通語の非反復形とオノマトペ辞
4. 共通語の非反復形におけるオノマトペ辞の意味的機能
4.1 先行研究におけるオノマトペ辞の意味的機能
4.2 オノマトペ辞の意味的機能の再検討
5. 山形県寒河江市方言のオノマトペ辞
5.1 オノマトペ辞の促音、撥音、「リ」
5.2 反復辞
5.3 オノマトペ辞「ラ」
5.4 臨時的要素
6. まとめ

第7章 山形県寒河江市方言オノマトペのオノマトペ辞「ラ」
1. はじめに
2. 考察対象及び方法について
3. オノマトペ辞について
4. オノマトペ辞「ラ」の特徴
4.1 形式的な特徴
4.2 意味的な特徴
5. 「ラ」による派生
5.1 語基ABからの派生の種類
5.2 語基「ゴロ」を持つ派生形の意味
6. ABAB型とABラABラ型の関係について
6.1 基本的なABAB型とABラABラ型の関係
6.2 ABAB型に「ラ」が付加される条件
6.3 ABAB型を持たないABラABラ型
7. ABラABラ型の意味分類から見たオノマトペ辞「ラ」の意味用法
7.1 ABラABラ型オノマトペとオノマトペ辞「ラ」の意味用法
7.2 擬動における意味用法
7.3 擬情における意味用法
7.4 オノマトペ辞「ラ」の意味用法のまとめ
8. まとめと今後の課題

第8章 愛知県方言ABンABン型オノマトペの付加的要素「ン」
1. はじめに
2. 共通語におけるオノマトペ標識「ン」の意味
3. 「ン」以外の「強調」の付加要素
4. 愛知県方言における「ン」の意味の検討
5. 「ン」の意味が「動きの終結」である可能性
6. まとめと今後の課題

第9章 山形県寒河江市方言オノマトペの派生形
1. はじめに
2. オノマトペ辞の定義と派生のパターン
2.1 オノマトペ標識と派生
2.2 派生におけるオノマトペ辞
3. 考察対象と調査方法
4. オノマトペ辞の意味
4.1 オノマトペ標識の意味についての先行研究
4.2 A類派生辞(促音、撥音、「リ」)
4.3 R類派生辞(反復)
4.4 B類派生辞(「ラ」)
4.5 Ⅲ類派生辞(強調辞)
4.6 オノマトペ辞による派生形のまとめ
5. オノマトペ辞の意味から考察される派生ルート
5.1 一次派生非反復の場合
5.2 一次派生反復ルート
6. まとめ

第10章 東北方言オノマトペのABCB型系・ABCD型系語形
1. はじめに
2. ABCB型・ABCD型に関する先行研究
3. 考察対象とするオノマトペ
4. ABCB型オノマトペの種類と特徴
5. ABラCBラ型オノマトペの種類と特徴
6. ABCD型系オノマトペの種類と特徴
7. 語構成の分類のまとめ
8. 語基音の特徴 8.1 後部語基音の個別の特徴
8.2 ABCB型系の「C」にあたる語音の傾向

第11章 山形県寒河江市方言オノマトペの強調法
1. はじめに
2. 考察対象とするオノマトペ
3. オノマトペ辞と強調辞
3.1 オノマトペ標識
3.2 オノマトペ辞と強調辞
4. 強調辞の特徴
4.1 単形における強調辞の特徴
4.2 複形における強調辞の特徴
5. まとめと今後の課題

第12章 東北地方の民話に見るオノマトペ後接辞の用法
1. はじめに
2. 先行研究と本考察の意義
3. 資料について
4. 「テ」と「ト」の用法
4.1 修飾用法
4.2 非修飾用法
5. 「テ」と「ト」の地域差
6. まとめ


III 方言オノマトペの意味

第13章 方言オノマトペの意味的特徴
1. はじめに
2. 音象徴とオノマトペの意味
3. 考察の方法と資料について
4. 形態によるオノマトペの意味
5. 形態によらないオノマトペの意味

第14章 東北方言におけるグイラ・ボット系オノマトペの意味と分布
1. はじめに
2. 先行研究と本章の目的
3. 調査の概要と結果
3.1 山形県寒河江市面接調査(少人数調査)
3.2 宮城県気仙沼市アンケート調査(多人数調査)
3.3 陸羽東線グロットグラム調査
4. 調査からの考察
5. まとめと今後の課題
6. 具体的描写性に関する補足 強制的に行わせる意味のオノマトペとの比較

第15章 東北方言から見た宮沢賢治のオノマトペ
1. はじめに
2. 資料について
3. 岩手県方言オノマトペについて
4. オノマトペの意味解釈について
5. 慣習的オノマトペと臨時・創作オノマトペ
6. 宮沢賢治の童話のオノマトペ解釈
6.1 語基音の対立からの解釈 「ペカペカ」
6.2 語同士の意味対立からの解釈 「ニカニカ」「ニガニガ」
6.3 方言の慣習的な用法からの解釈 「ノンノン」
7. まとめと今後の課題

第16章 多義的オノマトペの意味・用法に関する全国分布調査
1. はじめに
2. 調査方法
3. 広範囲に点在する分布 「むたむた」(調査項目番号14)
4. 使用の中心地がある分布
4.1 使用の中心地がある分布① 「きときと」(調査項目番号6)
4.2 使用の中心地がある分布② 「わらわら」(調査項目番号1)
5. 全国に広がる分布
5.1 全国に広がる分布① 「ばさばさ」(調査項目番号2)
5.2 全国に広がる分布② 「ぐらぐら」の分布(調査項目番号7)
6. まとめと今後の課題


付録 山形県寒河江市方言オノマトペ一覧
参考文献
おわりに
索引





著者紹介
川﨑めぐみ(かわさき めぐみ)
 略歴
1979年生まれ。山形県寒河江市出身。旧姓・川越。名古屋学院大学商学部准教授。東北大学大学院文学研究科言語科学専攻国語学専攻分野博士課程後期3年の課程修了。博士(文学)。名古屋学院大学商学部専任講師を経て、2018年より現職。
 主な論文
『方言学の未来をひらく オノマトペ・感動詞・談話・言語行動』(ひつじ書房、共著、2017)、「山形県寒河江市方言オノマトペの意味とオノマトペ辞の関わりについて」(『文化』76-3・4、 2013)。


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