ひつじ書房 学術英語教育のための技能統合型タスク 字幕と事前学習を中心に 細越響子著 ひつじ書房 学術英語教育のための技能統合型タスク 字幕と事前学習を中心に 細越響子著
2025年3月刊行

シリーズ言語学と言語教育 49

学術英語教育のための技能統合型タスク

字幕と事前学習を中心に

A5判上製カバー装 定価7200円+税

ISBN978-4-8234-1282-0

ブックデザイン:三好誠(ジャンボスペシャル)

Skill-Integrated Tasks for EAP Education: Effects of Captions, Subtitles, and Advance Organizers
Kyoko HOSOGOSHI

ひつじ書房




【内容】
四技能統合型の英語教育が推進される中、学術英語教育への導入はまだ研究の蓄積がない。本書は学習補助として、字幕や事前学習などの足場かけの有効性の調査結果をもとに技能統合型タスクを開発、長期の授業実践でタスクの効果を検証し、音声知覚、内容理解、長期的な英語運用能力の向上が見られたことを実証的に明らかにする。英語オンライン講義等に教材として足場かけをすることで、英語力向上へ導くあらたな指導観を提案する。


【目次】

序論 学術英語教育のための技能統合型タスク
1. はじめに
2. 技能統合型タスクの可能性
3. 日本の大学生の英語運用能力の現状
4. 学術英語教育のための技能統合型タスクモデルの提案
5. 本書の構成

I 理論編

第1章 学術目的の英語教育
1. はじめに
2. 学術英語の理論的枠組み
2.1 学術テキストの特徴
2.2 学術英語のジャンル分析
2.3 学術英語の語彙とコーパス研究
3. アカデミックリスニングの理論的枠組み
3.1 リスニングの認知処理
3.2 アカデミックリスニングの特徴
4. まとめ

第2章 タスク重視の言語教育
1. はじめに
2. タスク重視の言語教育の枠組み
3. 技能統合型タスクの概要
4. 日本における技能統合型タスク
5. 技能統合型タスクの実例
5.1 ディクトグロス
5.2 口頭再生
5.3 再話
5.4 要約
5.5 統合
6. まとめ

第3章 字幕と事前学習によるインプット足場かけ
1. はじめに
2. 足場かけの定義
3. 学習にともなう足場かけ―字幕
3.1 字幕の内容理解への影響
3.2 字幕の聴解過程への影響
3.3 本書があつかう字幕の研究課題
4. 学習に先だつ足場かけ―事前学習(先行オーガナイザー)
4.1 見出しの事前学習
4.2 語彙の事前学習
4.3 事前学習(先行オーガナイザー)の比較
4.4 本書があつかう事前学習の研究課題
5. まとめ

II 基礎研究編

第4章 字幕のリスニング方略への効果
1. はじめに
2. 方法
2.1 協力者
2.2 使用素材
2.2.1 習熟度テスト
2.2.2 講義映像および字幕素材
2.2.3 リスニング方略の質問紙
2.2.4 内容理解テスト
2.3 調査手順
2.4 分析方法
3. 結果
3.1 内容理解テスト
3.2 リスニング方略の個別の使用度
3.3 リスニング方略の相補的な使用度
4. 考察
4.1 聴解学習における個別のリスニング方略
4.2 聴解学習における相補的なリスニング方略
5. まとめ

第5章 字幕の音声知覚への効果
1. はじめに
2. 方法
2.1 協力者
2.2 使用素材
2.2.1 講義教材
2.2.2 英語および日本語字幕
2.2.3 口頭再生テスト
2.3 調査手順
2.4 分析方法
3. 結果
3.1 設問全体の結果
3.2 内容語/機能語の結果
3.3 品詞別の結果
4. 考察
4.1 英語字幕によるインプット足場かけ
4.2 日本語字幕によるインプット足場かけ
5. まとめ

第6章 事前学習の内容理解への効果
1. はじめに
2. 方法
2.1 協力者
2.2 使用素材
2.2.1 講義教材
2.2.2 先行オーガナイザー
2.2.3 習熟度テスト
2.3 調査手順
2.4 分析方法
3. 結果
3.1 習熟度テスト
3.2 筆記要約の総語数
3.3 講義からの情報の再生率
3.3.1 主情報の再生率
3.3.2 補助情報の再生率
3.3.3 付加情報の再生率
4. 考察
4.1 見出しの事前学習によるインプット足場かけ
4.2 重要語の事前学習によるインプット足場かけ
4.3 低頻度語の事前学習によるインプット足場かけ
5. まとめ

III 効果検証編

第7章 技能統合型タスクの開発と実践
1. はじめに
2. 方法
2.1 協力者
2.2 使用素材
2.2.1 習熟度テスト
2.2.2 技能統合型タスクの教材
2.2.3 インプット足場かけ
2.3 調査手順
2.4 分析方法
2.4.1 習熟度テスト
2.4.2 要約データ
3. 結果
3.1 習熟度テスト
3.2 技能統合型タスクの6つの構成要素
3.2.1 元テキストからの情報の掘り出し
3.2.2 情報の選択
3.2.3 複数の元テキストからの情報の統合
3.2.4 元テキストの表現の変換
3.2.5 情報の構成
3.2.6 文体の規範の遵守
3.3 言語使用の正確性
4. 考察
4.1 技能統合型タスクにおけるインプット処理
4.2 技能統合型タスクにおけるアウトプット処理
5. まとめ

第8章 技能統合型タスクの効果検証
1. はじめに
2. 方法
2.1 協力者
2.2 使用素材
2.3 調査手順
2.4 分析方法
3. 結果
3.1 授業開始時の習熟度テスト
3.2 クラス全体の変化
3.3 上位群の変化
3.4 中位群の変化
3.5 下位群の変化
4. 考察
4.1 講義を理解するための聴解力の育成
4.2 会話を理解するための聴解力の育成
5. まとめ

IV 教育応用編

第9章 英語講義における論理展開のメタ談話標識
1. はじめに
2. 先行研究
2.1 アカデミックリスニングと談話知識
2.2 談話知識とメタ談話標識
2.3 英語講義におけるメタ談話標識
3. 方法
4. 結果と考察
4.1 連結(transitions)
4.2 文構造(frame markers)
4.2.1 a) 順序(sequencing)
4.2.2 b) ステージ分け(label stages)
4.2.3 c) 目標設定(announcing goals)
4.2.4 d) 話題転換(shift topic)
4.3 内部照応(endophoric markers)
4.4 引用(evidentials)
4.5 例示・言い換え(code glosses)
5. 講義ジャンルにおける論理展開の表現
5.1 平易で短い接続詞や接続副詞の活用
5.2 動詞的叙述の選択的使用
5.3 間テキスト性を示す引用表現
6. まとめ

第10章 英語講義における話者態度のメタ談話標識
1. はじめに
2. 方法
3. 結果と考察
3.1 評価・態度(attitude markers)
3.2 ブースター(boosters)
3.3 自己言及(self mentions)
3.4 関与表現(engagement markers)
3.5 ヘッジ(hedges)
4. 講義ジャンルにおける話者態度の表現
4.1 基本的で簡潔な内容語の選択
4.2 聞き手や話者自身に言及する代名詞
4.3 ブースターとヘッジの助動詞
5. まとめ

終章 まとめと今後の展望
1. まとめ
2. 本研究からの示唆
3. 今後の展望

 あとがき

 資料1 第4章 リスニング方略の質問紙
 資料2 第4章 リスニング内容理解テスト
 資料3 第4章 リスニング方略の相関係数
 資料4 第5章 口頭再生テスト問題
 資料5 第8章 習熟度テストの素点
 資料6 第9・10章 MICASE講義サブコーパスの概要

 参考文献
 索引



著者紹介
細越響子(ほそごし きょうこ)
岩手県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科(博士後期課程)研究指導認定退学。京都大学博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、京都府立大学文学部専任講師を経て、現在、同准教授。
(主著・主論文)「The Use of Integrated Listening, Reading, Speaking and Writing Tasks on Students’ Productive Skills in a University EAP Course」Professional and Academic English(2015年、共著)、『A New Approach to English Pedagogical Grammer』(Routledge、2018年、分担執筆)、『A Systems Approach to Language Pedagogy』(Springer Nature、2019年、分担執筆)。



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