ひつじ書房 新しい言語心理学 茂呂雄二・伊藤崇・新原将義編 ひつじ書房 新しい言語心理学 茂呂雄二・伊藤崇・新原将義編
2024年10月刊行

新しい言語心理学

茂呂雄二・伊藤崇・新原将義編

定価2,400円+税 A5判並製カバー装 256頁

ISBN978-4-8234-1251-6

ブックデザイン 村上真里奈

本文イラスト 黒木歩

Psychology of Language at Work and Practice: A New Perspective
Edited by Moro Yuji, Ito Takashi, and Shinhara Masayoshi

ひつじ書房



【内容】
ことばの実践には、社会や文化を作り出す力がある。実践としてのことばという見方に立ち、言語心理学の新たな方向性を示す。心とことばの関係、社会とことばの関係、ことばの発達プロセス、ことばの障害に関する従来の知識をおさえつつ、この新しい見方をみんなで考えていくための教科書。公認心理師試験「言語心理学」領域にも対応。執筆者:青山征彦、伊藤崇、太田礼穂、城間祥子、新原将義、広瀬拓海、仲嶺真、茂呂雄二

【目次】
はじめに


第1章 心とことば ことばの実践が作る心の営み
1.1 ことばを実践する
 1.1.1 「 大丈夫?」の実践
 1.1.2 ことばの実践の多様性
 1.1.3 ことばの実践の変化
1.2 ことばの実践と心の活動
 1.2.1 ことばの像
 1.2.2 発達障害
 1.2.3 言語ゲーム論
コラム ウィトゲンシュタイン
1.3 ことばの創造と発達:事例を読む
 1.3.1 事例の概要
 1.3.2 ことばを哲学する振り返り
 1.3.3 グループセラピー
1.4 ことばと心の発達:1章のまとめ
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第2章 ことばの仕組み
2.1 記号とは何か
 2.1.1 意味としての記号
 2.1.2 意味されるものと意味するものの結びつきとしての記号
2.2 記号の分類
 2.2.1 分類1:似ている関係
 2.2.2 分類2:習慣的な関係
 2.2.3 分類3:指し示す関係
 2.2.4 ここまでのまとめ
2.3 記号としてのことば
 2.3.1 ことばの象徴性
 2.3.2 ことばの類像性
 2.3.3 ことばの指標性
2.4 ことばの性質
 2.4.1 恣意性
 2.4.2 線状性
 2.4.3 分節性と二重分節性
2.5 言語学の諸領域1:ことばの形を調べる
 2.5.1 音韻論
 2.5.2 形態論
 2.5.3 統語論
2.6 言語学の諸領域2:ことばの意味を調べる
 2.6.1 意味論
 2.6.2 語用論
2.7 実践という観点からみてみると
 2.7.1 言語学という言語ゲーム
 2.7.2 定型表現の模倣としての言語習得
 2.7.3 規則はあるのか?
2.8 人々のことばの実践にせまる:2章のまとめ
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第3章 ことばと社会(社会言語学)
3.1 ことばの多様性
3.2 話し手に基づく言語変種
 3.2.1 地域に根ざしたことば
 3.2.2 地域方言の現在
 3.2.3 言語とジェンダー
 3.2.4 アイデンティティを創りだすことば
3.3 使い方に基づく言語変種
 3.3.1 言語使用域(レジスター)
 3.3.2 敬語
 3.3.3 話しことばと書きことば
3.4 多言語社会を生きる
 3.4.1 多言語社会
 3.4.2 コードスイッチング
 3.4.3 都市の多言語状況
3.5 ことばの多様性と社会:3章のまとめ
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第4章 ことばと認知(認知言語学)
4.1 認知言語学とは
4.2 認知言語学と心理学
 4.2.1 言語表現とゲシュタルト心理学
 4.2.2 言語構造とゲシュタルト心理学
 4.2.3 言語の意味とゲシュタルト心理学
コラム ベースとプロファイルを応用して「心」に働きかける
4.3 認知言語学の成立背景
 4.3.1 現代言語学のはじまり
 4.3.2 チョムスキーの反抗
 4.3.3 認知言語学の誕生
4.4 認知言語学の重要概念:認知文法,メタファー,カテゴリー
 4.4.1 認知文法
 4.4.2 メタファー
 4.4.3 イメージスキーマ
 4.4.4 カテゴリー
4.5 認知言語学における認知・言語観と実践としての言語
 4.5.1 認知言語学における認知・言語観
 4.5.2 実践としての言語
4.6 ことばと認知との関係:4章のまとめ
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第5章 ことばと語り 会話・ディスコース・ナラティブ
5.1 「 文」にならないことばと「文」を超えたことば
 5.1.1 漫画にみる「気まずさ」のことば
 5.1.2「 言い間違い」か,「手掛かり」か:教師の「リスタート」
 5.1.3 語られない背景:言説,法,文化
5.2 エスノメソドロジー:ことばの「常識」を読み解く
 5.2.1 エスノメソドロジーとは
 5.2.2「 調子どう?」によるコミュニケーション
 5.2.3「 女性として生きる」という実践
5.3 会話分析
 5.3.1「 その場の理解」はどう作られるか
 5.3.2 教室の秩序はいかに作られるか
 5.3.3 遊びの工夫としてのI-R-E 連鎖
 5.3.4 会話分析が迫る問い直し:医師と患者の信頼関係
5.4 ディスコースとはなにか
 5.4.1 ディスコース,談話,言説
 5.4.2「 女性がいる会議は時間がかかる」発言にみるディスコース
 5.4.3 ディスコース分析が迫る問い直し:市場原理の落とし穴
5.5 ナラティブとはなにか
 5.5.1 ナラティブとしてのことば
 5.5.2 臨床現場とナラティブ
5.6 語りをみるということ:5 章のまとめ
エクササイズ:「〇〇になる」実践
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第6章 ことばの獲得 スキナーからヴィゴツキーまで
6.1 ことばを覚えるのは,覚えたらいいことがあるから:行動主義
 6.1.1 行動主義とは
 6.1.2 行動主義からみたことば
 6.1.3 言語習得を行動主義で説明する
6.2 ことばを覚えるのは,もともと知っていたものだから:普遍文法
 6.2.1 生まれつきそなわった能力としての言語
 6.2.2 原理とパラメータによるアプローチ
6.3 ことばを覚えられるのは,大人が手助けしてくれるから:語用論的アプローチ
 6.3.1 語用論的アプローチとは
 6.3.2 言語獲得援助システム
 6.3.3 ことばに気づきやすくする仕掛け
 6.3.4 言語獲得援助システムとしての読み聞かせ
6.4 ことばを覚えられるのは,ことばの使い方を自分なりに作るから:用法基盤理論
 6.4.1 子どもはパターンを作り出す
 6.4.2 用法基盤理論とは
 6.4.3 普遍文法と用法基盤理論を比べてみると
 6.4.4 動詞の島仮説
6.5 言語発達を実践という観点からながめてみると
 6.5.1 ここまでの整理
 6.5.2 実践論に立った言語発達理論
 6.5.3 模倣の重要性
 6.5.4 赤ちゃんを話し手にする・赤ちゃんが話し手になるという実践
6.6 子どもの変化をとらえるための理論:6 章のまとめ
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第7章 ことばのはじまり
7.1 就学前のことばの発達
 7.1.1 言語発達の主要側面の交代
 7.1.2 ことばの最初の完成
7.2 初期の言語発達
 7.2.1 前言語期の言語発達
 7.2.2 音声・音韻の発達
 7.2.3 大人の働きかけの特徴
 7.2.4 初語期以降
7.3 ことばの発達を支えることばの実践
 7.3.1 ことばの発達の基本的な姿
 7.3.2 パフォーマンスとしての言語発達
コラム ヴィゴツキー
7.4 ことばのパフォーマンスの発達:7章のまとめ
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第8章 語彙の獲得
8.1 バックトゥザ赤ちゃん:赤ちゃんの視点に戻ろう
 8.1.1 ことばの切り出し
 8.1.2 意味の結びつけ
8.2 語彙獲得の基礎の「き」
 8.2.1 ことばの同定条件
 8.2.2 語彙獲得とシンボルの理解
 8.2.3 実践からみたことばの意味
8.3 はじめてのことば
 8.3.1 話し手としての赤ちゃん
 8.3.2 初期の表出語と理解語
8.4 語彙獲得の理論
 8.4.1 認知制約説
 8.4.2 社会的相互作用に注目する理論
8.5 ことばで遊ぶ:語彙獲得とオノマトペ
 8.5.1 育児語とオノマトペ
 8.5.2 オノマトペの面白さ
8.6 語彙の獲得と遊び:8章まとめ
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第9章 社会的なかかわりのなかでのことばの発達
9.1 識字:文字の読み書き
 9.1.1 『 代書屋』にみる日本の識字
 9.1.2 世界における識字の状況
 9.1.3 フレイレの識字教育
9.2 学校のことば
 9.2.1 教室のことば(1):リヴォイシング
 9.2.2 教室のことば(2):グラウンド・ルール
 9.2.3 教室のことば(3):学習言語
 9.2.4 ゲームが拓く学び
9.3 趣味のなかのことば:学校の外で
 9.3.1 オタクと解釈共同体
 9.3.2 つながりの学習
9.4 仕事の場のことば
 9.4.1 実践を支えることば
 9.4.2 隠語:伝えないためのことば
9.5 社会とともに変化することば
 9.5.1 性別とことば
 9.5.2 消滅の危機にあることば
9.6 ことばは社会と切り離せない:9章のまとめ
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第10章 ことばの障害
10.1 不思議な会話?
10.2 失語症とは何か?
 10.2.1 ブローカ失語
 10.2.2 ウェルニッケ失語
10.3 ことばの障害と実践
 10.3.1 身近なゲームを通して考える
 10.3.2 ことばを取り巻く実践
10.4 レフ・ヴィゴツキーの障害論
 10.4.1 生物学的な問題と社会的な問題
 10.4.2 障害と発達
 10.4.3 ヴィゴツキーの議論を踏まえて
10.5 実践の中の学習障害
 10.5.1 学習障害とディスレクシア
 10.5.2 クラブ活動における学習障害
 10.5.3 さらなる発達に向けて
10.6 ダイバーシティと発達
 10.6.1 多様性と発達
10.7 ことばの障害と実践:10章のまとめ
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索引
執筆者紹介



【編者紹介】
茂呂雄二(もろ ゆうじ)東京成徳大学応用心理学部教授・心理学研究科長。筑波大学名誉教授。
伊藤崇(いとう たかし)北海道大学大学院教育学研究院准教授
新原将義(しんはら まさよし)武蔵大学教職課程准教授


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