ひつじ書房 〈学問史〉としての近代文学研究 「はじまり」の位相 中山弘明著 〈学問史〉としての近代文学研究 「はじまり」の位相 中山弘明著
2024年5月刊行

未発選書 31

〈学問史〉としての近代文学研究

「はじまり」の位相

中山弘明著

四六判上製カバー装 定価3400円+税

ISBN978-4-8234-1239-4

装丁:中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

The Study of Modern Japanese Literature as an Academic History: Aspects of the Beginning Era
Nakayama Hiroaki

ひつじ書房




【内容】
本書は、日本の近代文学研究がどのようにはじまったのかを、戦間期・戦時下・戦後と10の視点でたどったものである。それは単純に起源をどこに見るかではなく、様々な研究会の動向に着目し、さらには卒論のあり方、全集の作られ方、雑誌や新聞をもちいた研究の歴史など、研究の「日常」にも光をあて、現在に接続させる。人文系の研究が岐路にある現在、文学研究の学知のあり方を〈学問史〉という新視点から解明するものである。


【目次】
序章 近代文学研究の〈学知〉を開く―知の「系脈」を問う―
一、〈学問史〉をなぜ問うのか
二、尹伊桑と「音楽言語」

Ⅰ 戦間期の〈学問史〉

第一章 「明治文学談話会」と文学史―木下尚江/「談話」の力―
一、〈学問史〉と文学史
二、塩田良平と「明治文学会」
三、北村透谷は発見された
四、「大逆事件」と文学史の接続

第二章 木村毅の〈移民〉論―「明治文化研究会」周辺―
一、「明治文化研究会」と新聞・雑誌
二、「古本あさり」はスポーツだった
三、木村毅の〈移民〉論
四、会津移民、海を渡る

第三章 島崎藤村とプロレタリア文学―秋田雨雀を視座として―
一、労働者と学会
二、「国民文学」論と島崎藤村
三、雨雀の藤村論を読む
四、秋田雨雀の藤村模倣
 
II 戦時下の〈学問史〉

第四章 片岡良一と「国際文化振興会」―戦争と「明治文学会」―
一、「近代文学研究」の始発と卒論
二、「国際文化振興会」とは何か
三、Introduction to Contemporary Japanese Literatureという書物
四、二つのテクストと三木清

第五章 「大正文学研究会」と「ジッテ(Sitte)」―民間史家・田村栄太郎―
一、「大正文学研究会」の意味
二、「ジッテ」の語源
三、『日本の風俗』を読む
四、民間史家・田村栄太郎
 
第六章 吉田精一の短歌―〈浪漫〉と「国文学」―
一、吉田精一の卒論
二、吉田精一と「国文学」
三、短歌集『春の口笛』
四、『近代日本浪漫主義研究』解読

II 戦後の〈学問史〉

第七章 神崎清の〈戦後〉―「大逆事件」から「基地」問題へ―
一、神崎清の経歴
二、女学生と文学研究
三、「大逆事件」と文学
四、「基地」問題・「売春」問題
 
第八章 藤村全集生成考―島﨑蓊助資料から見えるもの―
一、島﨑蓊助と個人全集
二、「戦後作家」の手紙
三、島﨑蓊助の「ノオト」
四、『藤村全集』の生成過程

第九章 尾崎秀樹と雑誌『中国』―戦争の「傷痕」と文化大革命体験―
一、引き揚げ者・尾崎秀樹の「傷痕」
二、雑誌『中国』について
三、所謂「とりきめ」問題
四、尾崎とA・グラムシ
五、尾崎の文革体験

第一〇章 〈研究必携〉という風景―「近代文学懇談会」会報を読む
一、「近代文学懇談会」をめぐる〈風景〉
二、「会報」を読む
三、様々な研究会の動静
四、〈研究必携〉という書物

附録・近代文学研究会概説
―日本近代文学館編『日本近代文学大事典』講談社より―

あとがき
初出一覧
索引




著者紹介
〈略歴〉1961年東京都生まれ。
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)
徳島文理大学文学部教授
専攻 日本近代文学
〈主な単著書〉
『戦間期の『夜明け前』―現象としての世界戦争―』(新曜社,2012)
『第一次大戦の〈影〉―世界戦争と日本文学―』(双文社出版,2012)
『溶解する文学研究―島崎藤村と〈学問史〉―』(翰林書房,2016)



ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

 

 



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ