ひつじ書房 レトリック探究 瀬戸賢一著 レトリック探究 瀬戸賢一著
2024年8月刊行

レトリックの世界 1

レトリック探究

瀬戸賢一著

A5判上製カバー装 定価3,200円+税 264頁

ISBN978-4-8234-1232-5

装丁 杉下城司

ひつじ書房

The World of Rhetoric 1
Investigation of Rhetoric
Seto Ken-ichi



【内容】
本書は、「レトリックの世界」(全3巻)の第1巻『レトリック探究』である。伝統的にもっともレトリックらしいレトリック、メタファー(隠喩)をはじめとすることばのあやを取りあげる。レトリックの基礎を固めたい。シミリーを第1章にすえ、続く3つの章でメタファー、シネクドキ、メトニミーを順に論じる。最後に、メタファー・メトニミー・シネクドキを「認識の三角形」としてとらえ直し、それらが私たちの認識において果たす役割を新たな角度から探究する。


【目次】
はじめに

第1章 開拓するシミリー
第1節 メタファーにならないシミリー
第2節 シミリー標識(マーカー)
 「のよう」と「みたい」
 「のよう」「みたい」に近いマーカー
 比較のマーカー
 さらに希薄なマーカー
第3節 フルスケールのシミリー、あるいはネタバレ型シミリー
 Cがあるとき、Cがないとき
 シミリーマーカーとABC予想
 AB問題
 BC問題
 だらしのないシミリー
 3種の類似性
第4節 メタファーみたいなシミリー、シミリーのようなメタファー
 メタファーみたいなシミリー
 シミリーのようなメタファー
 四つの喩えとその構造
 シミリーとメタファーの関係を図解する
 s2の運命
 s1の運命
第5節 シミリーからメタファーへ
 「Bのようだ」のメタファー化
 ネタバレ型シミリーとメタファーの連係
 シミリーは文学の占有ではない
第6節 第1章のまとめ

第2章 深掘りするメタファー
第1節 二つの深掘り
 メタファーの種類
第2節 根元的メタファーを求めて
 存在と出現
 「ある」の主体
 「ある」の仲間としての「立つ」
 出現の様態
 ものの生涯
 究極的にはメタファーのシソーラス
第3節 概念メタファーの深掘り
 概念メタファーとはなにか?
 写像とはなにか?
 プライマリー・メタファーとはなにか?
 メタファーと創造性
 「動き」のある表現
 深掘りと浸透
第4節 持続可能なメタファー研究に向けて
 メタファーの分類はどこまで可能か
 統率メタファーの写像の観点から
第5節 第2章のまとめ

第3章 伸縮するシネクドキ
第1節 シネクドキとはなにか
 OEDに物申す
 ①と②は統合できない
 OEDの四つのごまかし
第2節 〈の一種〉の明解、〈の一部〉の曖昧
 なぜ、どこで誤るのか?
 問題の核心へ
第3節 耳をすませばシネクドキ
 ことばの弾性
 類のシネクドキ
 種のシネクドキ
 種に属するものがひとつの場合
第4節 シネクドキの光と陰
 ご飯論法とはなにか?
 食品偽装の類と種
 婉曲法とシネクドキ
 シネクドキの認識と行動
第5節 シネクドキの周辺
 カテゴリーの弾性
 シネクドキ小史
第6節 第3章のまとめ

第4章 横すべりするメトニミー
第1節 メトニミーを定義する
 まずはOEDの定義から
 日本語で定義する
第2節 空間のメトニミー
 空間の隣接関係を分類する
 ①全体・部分
 アクティブ・ゾーンとはなにか?
 部分で全体を表すメトニミー
 ②入れ物・中身
 不思議なパン屋
 ③その他の空間隣接
第3節 時間のメトニミー
 時間的隣接の意味
 直列的隣接の場合
 直列的隣接(部分で部分を表す)
 直列的隣接(部分で全体を表す)
 並列的隣接の場合
 因果と時間的隣接
第4節 特性のメトニミー
 特性でものを表す
 特性が自立するとき
 ものが特性を表すメトニミーは存在するのか?
 「白いもの」考
 もっと「白いもの」
 さらに「白いもの」
第5節 第4章のまとめ

補章 「認識の三角形」
第1節 「認識の三角形」の要点
第2節 「認識の三角形」を図解する
 E域とC域の意味
 メタファーは両域にまたがる
 メタファー、メトニミー、シネクドキの複合形
 メトニミーとシネクドキの結合の可能性を探る
 メタファー、メトニミー、シネクドキの三者の結合は可能か
第3節 「認識の三角形」と多義の記述
 多義語の記述に必要なこと
 中心義の設定
 各意義の認定
 各意義の関係
 各意義の配列
 多義記述の実際
 もっと多義記述の実例を
 たつ
 多義記述のこれから
 「認識の三角形」の今後

あとがき
参考文献
引用文献
言及辞書
索引


◎著者紹介
瀬戸賢一(せと けんいち)
1951年京都府生まれ。大阪市立大学文学研究科後期博士課程単位取得。博士(文学)。大阪市立大学名誉教授。専門はレトリック・言語学。単著に『レトリックの知』(1988、新曜社)、『空間のレトリック』(1995、海鳴社)、『メタファー思考』(1995、講談社)、『認識のレトリック』(1997、海鳴社)、『日本語のレトリック』(2002、岩波書店)、『時間の言語学』(2017、筑摩書房)、『よくわかるメタファー』(2017、筑摩書房)、『書くための文章読本』(2019、集英社インターナショナル)など。編著に『ことばは味を超える』(2003、海鳴社)、『英語多義ネットワーク辞典』(2007、小学館)、『プログレッシブ英和中辞典』(第5版、2012、小学館)、『おいしい味の表現術』(2022、集英社インターナショナル)、共著に『文化と発想とレトリック』(1997、研究社出版)、『味ことばの世界』(2005、海鳴社)、『認知文法のエッセンス』(2008、大修館書店)、『認知言語学演習』(2016–2017、全3巻、大修館書店)、『[例解]現代レトリック事典』(2022、大修館書店)など。


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