ひつじ書房 英語抽象名詞の可算性の研究 英語教育の視点から 小寺正洋著 英語抽象名詞の可算性の研究 英語教育の視点から 小寺正洋著
2024年2月刊行

英語抽象名詞の可算性の研究

英語教育の視点から

小寺正洋著

A5判上製函入 定価7800円+税

ISBN978-4-8234-1222-6

ブックデザイン:白井敬尚形成事務所

ひつじ書房

A Study on the Count/Noncount Distinction of Abstract Nouns in English: From A Pedagogical Perspective
Kodera Masahiro




【内容】
英語抽象名詞の可算性に関して解明すべき問題点を整理し、先行研究の主張を検証した。「適切な文脈があればすべての名詞は可算・不可算のどちらでも用いられる」と「不可算抽象名詞は修飾を伴うと不定冠詞と共起する」の2つの主張についてアンケート調査およびコーパスデータにより支持されないことを示した。また、抽象名詞が可算解釈を得るメカニズムを調べ、英語学習辞典の可算・不可算表記の問題点を指摘し改善案を提示した。


【目次】
本書の構成

序章 本書の目的とねらい

第1章 英語教育における可算・不可算の問題点
 1.1 可算・不可算言語と助数詞言語
 1.2 可算・不可算の区別と英語学習
 1.3 解決すべき課題
 
第2章 可算・不可算の区別に関する先行研究概観
 2.1 はじめに
 2.2 可算・不可算の文法上(統語・形態上)の区別
 2.3 可算・不可算の意味上の区別
 2.4 具象名詞の意味と文法のミスマッチ
 2.4.1 指示対象の特性と可算・不可算の区別
 2.4.2 概念化と可算・不可算の区別
 2.4.3 伝達機能と可算・不可算の区別
 2.4.4 文法的慣習と可算・不可算の区別
 2.5 有界性と抽象名詞の可算・不可算
 2.5.1 有界性と文法的慣習
 2.5.2 客観的な有界・非有界と解釈
 2.6 抽象名詞と不定冠詞
 
第3章 意味強制と可算具象名詞の不可算転換
 3.1 はじめに
 3.2 調査方法
 3.2.1 調査参加者
 3.2.2 調査内容
 3.2.3 評価の測定
 3.3 結果と分析
 3.3.1 言語背景による影響
 3.3.2 先行研究で提示された例文の容認度
 3.3.3 名詞のタイプとaN, Nsの容認度
 3.3.4 食べ物を表す名詞とaN, sの容認度
 3.3.5 形状破壊と可算具象名詞の不可算転換
 3.3.5.1 形状破壊を意味する前位修飾とaN, sの容認度
 3.3.5.2 拡張性とaN, sの容認度
 3.3.5.3 拡張性の有無とaN, sの容認度
 3.3.5.4 調査結果の要約:形状破壊と可算具象名詞の不可算転換
 3.3.6 認知領域転換
 3.3.6.1 動詞句‘to smell + cat’
 3.3.6.2 動詞句‘to smell of + cat’
 3.3.6.3 名詞句‘smell of + cat’
 3.4 結論および将来の研究に向けて
 
第4章 形容詞と不定冠詞の統語的関係
 4.1 はじめに
 4.2 文法書や辞書における不定冠詞と修飾要素の共起関係の説明
 4.3 前位(限定)形容詞と不定冠詞、ゼロ限定詞、その他の限定詞との関係
 4.4 形容詞と不定冠詞・ゼロ限定詞との共起関係
 4.5 不定冠詞とaversion, dislike, fierceness, fondness, understanding
 4.6 形容詞と不定冠詞の共起関係の方向性
 4.6.1 不定冠詞に対する形容詞の影響
 4.6.2 形容詞に対する不定冠詞の影響
 4.7 結果と考察
 
第5章 前置詞句と不定冠詞の統語的関係
 5.1 はじめに
 5.2 後位修飾を伴う場合と伴わない場合の比較の困難点
 5.3 調査対象とする前置詞句
 5.4 前置詞句の有無と不定冠詞との関係
 5.4.1 前置詞句を伴わない場合の不定冠詞とゼロ限定詞
 5.4.2 前置詞句を伴う場合の不定冠詞とゼロ限定詞
 5.4.2.1 Dislike of/for/to
 5.4.2.2 Aversion to, fondness for, love for/of, understanding of
 5.4.3 愛好・嫌悪の気持ちを表す名詞と[to have +(Adj)Noun + PP]
 5.5 結果と考察
 
第6章 関係詞節と不定冠詞の統語的関係
 6.1 はじめに
 6.2 調査対象とする関係詞節
 6.3 調査対象とする名詞
 6.4 関係詞節と不定冠詞およびゼロ限定詞との関係
 6.5 関係詞節と不定冠詞との関係
 6.6 結果と考察
 
第7章 不定冠詞と名詞および形容詞との意味的関係
 7.1 はじめに
 7.2 調査対象の名詞
 7.3 形容詞と名詞の組み合わせと不定冠詞およびゼロ限定詞との関係
 7.3.1 名詞・形容詞の種類と不定冠詞との関係
 7.3.2 名詞・形容詞の種類とゼロ限定詞との関係
 7.4 結果と考察
 
第8章 不可算抽象名詞と不定冠詞
 8.1 はじめに
 8.2 種類(type)と具体的事例(instance)の区別
 8.3 不定冠詞と個別の特性
 8.4 まとめ:不可算抽象名詞が不定冠詞と共起する条件
 
第9章 抽象名詞の可算解釈
 9.1 はじめに
 9.2 感情を表す名詞の可算解釈
 9.2.1 感情を表す名詞が原因を指示する場合
 9.2.2 感情を表す名詞が感情を指示する場合
 9.2.3 感情を表す名詞の可算用法のまとめ
 9.3 精神活動を表す名詞の可算解釈
 9.3.1 精神活動を表す名詞の視点解釈
 9.3.2 Knowledgeと不定冠詞
 9.3.3 精神活動を表す名詞の可算用法のまとめ
 9.4 人の特質を表す名詞の可算解釈
 9.4.1 人の特質を表す名詞の多様な可算解釈
 9.4.2 人の特質を表す名詞の可算用法のまとめ
 9.5 状態を表す名詞の可算解釈
 9.5.1 状態を表す名詞の出来事解釈
 9.5.2 状態を表す名詞の種類解釈
 9.5.3 状態を表す名詞の可算用法のまとめ
 9.6 第8章・第9章の結果と考察
 
第10章 辞書編纂への提言
 10.1 はじめに
 10.2 英語学習辞典における可算・不可算表記
 10.2.1 同じ語義に対する異なる可算・不可算表記
 10.2.2 同じ語義に対する可算と不可算の併記
 10.2.3 英語学習辞典の用例
 10.2.4 可算解釈に関する情報の提示
 10.2.5 規則的多義語の派生語議とその予測可能性
 10.3 英語学習者にわかりやすい可算・不可算の区別
 10.3.1 Fearの場合
 10.3.2 Silenceの場合
 10.4 まとめ
 
第11章 結論
 11.1 調査結果の要約
 11.2 今後の研究の方向性
 11.3 最後に
 
 参考文献
 
 Appendix I アンケート調査の結果
 Appendix II 前位(限定)形容詞と不定冠詞およびゼロ限定詞との関係
 Appendix III 同格構文での不定冠詞とゼロ限定詞
 Appendix IV 人の特質を表す名詞と[Subject + Verb + (Object) + with + Quality Noun]
 
 索引



著者紹介
小寺正洋(こでら まさひろ)
略歴
1956年生まれ。広島県府中市出身。Dalhousie University 教育学修士(MEd)。University of Cambridge 英語・応用言語学修士(MPhil)。University of Birmingham(英語・応用言語学)博士課程在学中。京都聖母女学院短期大学准教授を経て、現在,阪南大学国際コミュニケーション学部教授。
主な論文
「不定冠詞と修飾との関連性についてーCOBUILDdirect のデータからー」(『英語コーパス研究』第5号、1998),'Acceptability of Count-to-Mass Shifting of Concrete Count Nouns in English'(阪南論集 人文・自然科学編 52(1)、2016),'Count-Noncount Distinction of Abstract Nouns Denoting Emotions, Mental Activities, Qualities and States'(阪南論集 人文・自然科学編 57(1)、2021)


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