ひつじ書房 日本手話の歴史的研究 相良啓子著 ひつじ書房 日本手話の歴史的研究 相良啓子著
2024年2月刊行

日本手話の歴史的研究

系統関係にある台湾手話、韓国手話の数詞、親族表現との比較から

相良啓子著

定価8500円+税 A5判上製カバー装 368頁

ISBN978-4-8234-1221-9

装丁 平林裕一(ヒラサンワークス)

ひつじ書房

A Historical Study of Japanese Sign Language: A Comparison of Numerals and Kinship Terms with Taiwan Sign Language and South Korean Sign Language
SAGARA Keiko



【内容】
日本手話と、系統的に関係がある韓国手話、台湾手話の3つの言語の数詞および親族表現に焦点を当てて、表記法を用いて記述し、その記述に基づいて、音韻、形態、そして意味の観点から語彙の変化の特徴についてまとめている。地域により様々な表現があることが知られていたが、詳しい実態が知られていなかった3つの言語の文献資料における記述から現在にわたるデータをまとめた初めての資料である。言語学研究者、歴史研究者、教育関係者など、幅広く読んでほしい。

【目次】
第1章 手話の歴史研究の新たな可能性
1.1 本研究の目的
1.2 本書の構成
1.3 本書で用いる用語の定義
1.3.1 言語の構成に関わる基本概念
1.3.2 数の形態と構成および数の記述で用いる用語と定義
1.3.3 変化に関する用語と定義
1.4 日本手話系の言語の歴史的背景
1.4.1 日本手話と台湾手話、韓国手話の言語的背景
1.4.2 日本手話の歴史
1.4.3 指文字および空書の歴史
1.5 記述研究および言語変化についての先行研究
1.5.1 日本手話系の言語の語彙に関する記述研究の概要
1.5.2 日本手話系の言語における数詞と親族表現に関する先行研究
1.5.3 ジェスチャーと手話言語の写像性
1.5.4 手話言語における言語変化
1.5.5 歴史社会言語学的な研究
1.5.6 日本手話系の言語に関する歴史言語学的研究
1.6 本研究における調査の方法
1.6.1 文献資料
1.6.2 データの収集
1.6.3 データ収集に伴う研究倫理

第2章 日本手話系の言語における表記法
2.1 ストーキー法、先行研究における表記法とその課題
2.2 選択指と手の形
2.3 手のひらの向きおよび手の向き
2.4 両手を使う場合の表記および表記の形式
2.5 手の位置
2.6 手の動き
2.7 手首の動き
2.8 まとめ

第3章 数詞にみられる様々な表現とその変化
3.1 「1」~「9」
3.1.1 「1」~「9」の表現
3.1.2 「1」~「9」の変化
3.2 「10」
3.2.1 「10」の表現
3.2.2 「10」の変化
3.3 「10」の倍数
3.3.1 「10」の倍数の表現
3.3.2 「10」の倍数の変化
3.4 「100」
3.4.1 「100」の表現
3.4.2 「100」の変化
3.5 「100」の倍数
3.5.1 「100」の倍数の表現
3.5.2 「100」の倍数の変化
3.6 「1000」
3.6.1 「1000」の表現
3.6.2 「1000」の変化
3.7 「1000」の倍数
3.7.1 「1000」の倍数の表現
3.7.2 「1000」の倍数の変化
3.8 二桁の数(1)「11」~「19」
3.8.1 「11」~「19」の表現
3.8.2 「11」~「19」の変化
3.9 二桁の数(2)「21」以上
3.9.1 「21」以上の二桁の数の表現
3.9.2 「21」以上の二桁の数の変化
3.10 三桁の数
3.10.1 三桁の数の表現
3.10.2 三桁の数における変化
3.11 四桁の数
3.11.1 四桁の数の表現
3.11.2 四桁の数における変化
3.12 まとめ

第4章 親族表現にみられる様々な表現とその変化
4.1 「男」「女」
4.1.1 「男」「女」の表現
4.1.2 「男」「女」にみられる変化
4.2 「父」「母」
4.2.1 「父」「母」の表現
4.2.2 「父」「母」にみられる変化
4.3 「祖父」「祖母」
4.3.1 「祖父」「祖母」の表現
4.3.2 「祖父」「祖母」にみられる変化
4.4 「息子」「娘」
4.4.1 「息子」「娘」の表現
4.4.2 「息子」「娘」にみられる変化
4.5 「夫」「妻」
4.5.1 「夫」「妻」の表現
4.5.2 「夫」「妻」にみられる変化
4.6 「兄」「弟」「姉」「妹」「兄弟」「姉妹」
4.6.1 「兄」「弟」「姉」「妹」「兄弟」「姉妹」の表現
4.6.2 「兄」「弟」「姉」「妹」「兄弟」「姉妹」にみられる変化
4.7 「伯父」「叔父」「伯母」「叔母」
4.7.1 「伯父」「叔父」「伯母」「叔母」の表現
4.7.2 「伯父」「叔父」「伯母」「叔母」にみられる変化
4.8 まとめ

第5章 日本手話系の言語における語の変化の種類とその特徴
5.1 中和
5.2 簡略化および消失
5.3 融合
5.4 同化
5.5 両手化・対称化
5.6 中心化
5.7 語の入れ替え
5.8 パラダイムの水平化
5.9 意味の変化
5.10 まとめ

第6章 現在の日本および台湾におけるふたつの数の体系とその変化
6.1 調査の背景と調査方法
6.1.1 二種類の「10」「100」「1000」の表現
6.1.2 データ収集の方法
6.2 現日本手話の話者の使用調査から得られたデータとその解析
6.2.1 データの詳細
6.2.2 解析方法
6.2.3 近畿および関東の分布状況に関する解析結果
6.3 現台湾手話の使用調査から得られたデータとその解析
6.3.1 データの詳細
6.3.2 解析方法
6.3.3 台南および台北の分布状況に関する解析結果
6.4 まとめ:現日本手話および現台湾手話の比較

第7章 まとめと今後の課題
7.1 本研究における結果のまとめ
7.2 本研究で明らかになった変化
7.3 学術的な貢献
7.4 今後の課題

略号表
参考文献
付録
あとがき
索引



【著者紹介】
相良啓子(さがら けいこ)
〈現職〉人間文化研究機構 人間文化研究創発センター、国立民族学博物館拠点 特任助教
〈略歴〉筑波大学大学院修士課程教育研究科障害児教育専攻を経て、国立大学法人総合研究大学院大学にて学位取得(博士(学術)、2021年9月)。
〈主な著書・論文〉Semantic Fields in Sign Languages: Colour, Kinship and Quantification(with Ulrike Zeshan, De Gruyter Mouton, Ishara Press, 2016)、Linguistic and Cultural Design Features of Sign Language in Japan (with Nonaka Angela, Jean Ann, Visible Language 54(1–2), 30–65, 2020)、「日本手話、台湾手話、韓国手話の二桁から四桁の数の表現における変化―「10」「100」「1000」に着目して―」『国立民族学博物館研究報告』 44(3), 557–583,(2020)、「第2章 類型論」『手話言語学のトピック―基礎から最前線へ―』(松岡和美・内堀朝子編、くろしお出版、2023)など。



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