ひつじ書房 基礎日本語学 第2版 衣畑智秀編 基礎日本語学 第二版 衣畑智秀編
2023年3月刊行

基礎日本語学 第二版

衣畑智秀編

A5判並製カバー装 定価1,800円+税

ISBN 978-4-8234-1195-3

ひつじ書房

Basics of Japanese Linguistics, Second Edition
Edited by Tomohide Kinuhata



【内容】
初版刊行後要望の多かった「文字・表記」の章を加えリニューアル。日本語学の諸分野を包括的にカバーする入門書。音韻、文法、語彙、表記、文体の共時的・通時的記述とともに方言やコーパス、日本語学史、理論的研究についても解説。簡潔ながらも要点を押さえた記述で諸分野の導入を図るとともに読書案内も付し、ますます日本語学が学びたくなる一冊。執筆者:五十嵐陽介、平子達也、衣畑智秀、金愛蘭、橋本行洋、澤田浩子、田中牧郎、平塚雄亮、佐野真一郎、窪田悠介、山東功




【目次】
まえがき
第2版にあたって

1 現代日本語の音声と音韻

1. 音声の研究
1.1 音声学
1.2 調音音声学、音響音声学、聴覚音声学
1.3 音声学と音韻論
2. 音声器官
2.1 音声器官の名称
2.2 気流の起こしと音声器官
2.3 発声と音声器官
2.4 調音と音声器官
2.5 声道
3. 音声記号
3.1 国際音声記号―IPA
3.2 精密表記と簡略表記
4. 音の分類
4.1 母音と子音
4.2 子音の分類―調音位置
4.3 子音の分類―調音方法
コラム 狭めと関係しない調音方法
4.4 子音のその他の特徴
4.5 IPA の母音の分類
4.6 短母音と長母音
5. 音素分析
5.1 音素と異音
5.2 ミニマルペア
5.3 相補分布
6. 現代日本語の母音・子音
6.1 母音音素とその異音
コラム /u/ の「中舌化」
6.2 母音の無声化
6.3 長母音・二重母音
6.4 子音音素
コラム 音素分析と語種
6.5 子音音素の異音
コラム 再び簡略音声表記と精密表記の問題について
コラム ラ行子音の様々な異音
7. 音節・モーラ
7.1 音節
コラム 複雑な音節構造を許す言語
7.2 モーラ
7.3 日本語学に特有のモーラの分類
8. アクセント
8.1 「箸」と「橋」の違い
8.2 日本語のアクセント体系
コラム アクセントの類型
9. イントネーション
9.1 イントネーション
9.2 イントネーションの機能
9.3 音調句と句末音調

2 音韻の歴史変化

1. はじめに
2. 上代特殊仮名遣
2.1 上代特殊仮名遣とは
2.2 上代特殊仮名遣の意味するもの
2.3 上代特殊仮名遣の終焉
コラム 音節結合の法則と母音調和
3. ハ行子音の歴史変化
3.1 古代日本語のハ行子音
3.2 語頭ハ行子音の歴史変化
3.3 語中ハ行子音の歴史変化―ハ行転呼
コラム ハ行転呼の音声学的理由付けと古代日本語の清濁の対立
4. ア行・ヤ行・ワ行の歴史変化
コラム 外国語資料と音韻の歴史変化
5. サ行・ザ行・タ行・ダ行の歴史変化
5.1 サ行・ザ行の歴史変化
5.2 タ行・ダ行の歴史変化
5.3 四つ仮名の混同
6. 頭音法則とその周辺
6.1 濁音の歴史変化
6.2 古代におけるラ行音
6.3 音便の発生と音節構造の歴史変化
6.4 長音と拗音
7. アクセントの歴史的研究―資料と方法論
7.1 中央方言におけるアクセント資料
7.2 アクセントの歴史変化とその原理
コラム 奈良時代語のアクセント
7.3 アクセントの「類」と比較方法
コラム 比較方法と琉球列島のことば

3 現代日本語の文法

1. 文法の諸領域
2. 形態論
2.1 語形成
コラム 接辞と助詞
コラム 日本語の「助動詞」
2.2 品詞
コラム 「形容動詞」という名称について
3. 統語論
3.1 語と句
3.2 語順
3.3 統語構造と意味
コラム 従属節と統語構造
4. 意味論
4.1 動詞分類
4.2 ヴォイス
コラム 「に」受身と「によって」受身
4.3 アスペクト・テンス・モダリティ
コラム 「している」の多義性
コラム 日本語学における「モダリティ」
4.4 取り立て
5. 語用論
5.1 文を越えた意味
5.2 談話標識
コラム 条件文と理由文
5.3 待遇表現
コラム ポライトネス

4 文法の歴史変化

1. はじめに
2. 動詞の形態的変化
2.1 活用体系の変化
コラム 一段活用と二段活用の相補分布
2.2 いわゆる受身・使役の助動詞
2.3 可能動詞
コラム 子音語幹化
3. 統語的変化
3.1 主格助詞「が」の発達
コラム 「が」と「の」の相違点
コラム 属格「が」と主格「の」
3.2 格助詞の接続助詞化
3.3 係り結び
4. 意味変化
4.1 ヴォイス
4.2 テンス・アスペクト
4.3 モダリティ
5. 敬語運用の変化
6. 文法化

5 現代日本語の語彙

1. 単語
2. 語彙
3. 語彙論
4. 単語の語彙的性質(語彙的カテゴリー)
4.1 単語の形式(語形)
コラム オノマトペ
4.2 単語の意味(語義)
4.3 単語の出自(語種)
4.4 単語の構成(語構成)
コラム 語構成による単語の分類
4.5 単語の位相
コラム 集団語・専門語
5. 単語の基本度(基幹語彙)
コラム 語彙調査の基本的な概念

6 語と語彙の歴史的変化

1. はじめに―"語源"について
コラム 「けがれる」の語源俗解
2. 出自から見た語彙
2.1 和語の音節数とその変化
2.2 漢語の受容と和製漢語の造出
コラム 呉音・漢音・唐宋音
2.3 外来語の受容とその展開
コラム 外来語の氾濫とその言い換え
3. 体系としての語彙とその変遷
3.1 語彙体系の変化
3.2 体系意識による新語の生成
4. 語構成と造語
4.1 語の複合
4.2 接辞の添加
4.3 異分析
5. 語形変化・語義変化
5.1 語形変化と語の成立・派生
コラム 露出形と被覆形
5.2 語義変化とその要因
コラム 隠喩と換喩
コラム 再命名
6. 語の位相とその意識
6.1 位相差の意識と運用
6.2 位相差の利用―役割語
7. 〈食事〉を示す語彙体系とその変遷
7.1 古代における語彙体系
7.2 中世における語の交替
7.3 近世における体系の変化
7.4 漢語の導入
7.5 「夜(よる)」の参入と語構成の変化
7.6 「よるごはん」の成立
7.7 「よるごはん」の位相

7 文章論と談話分析

1. はじめに
2. 文章と談話
3. 文章論
3.1 一貫性と結束性
3.2 照応と接続
コラム 指示と代用
3.3 主題
3.4 文章の構成
コラム 文章の構造
4. 談話分析
4.1 言語情報・パラ言語情報・非言語情報
4.2 話し言葉らしさを作る要因
4.3 話し手と聞き手の相互行為
コラム 談話の転記方法
コラム 話し手と聞き手
コラム コード・スイッチング
4.4 発話行為と談話ストラテジー
コラム 言語による談話ストラテジーの異なり

8 文体差と文体史

1. はじめに
2. 現代語における文体差
2.1 文体のとらえ方
2.2 文法現象に見る文体差
2.3 語彙現象に見る文体差
3. 文体史
3.1 漢と和
コラム 日本語を特徴づける「訓」
コラム 万葉集の表記法
コラム 「女手」「男手」
3.2 言と文
コラム 言文一致と標準語
4. 文体差の史的事情
4.1 格助詞「を」
4.2 言文一致における敬体
4.3 文体による語の対立

9 言葉の変異と諸方言

1. 言葉の変異
2. 内的制約条件と外的制約条件
3. 現代日本語にみられる変異
3.1 年齢
3.2 性別
4. 変異の現れ方
4.1 音声・音韻的変異
4.2 語彙的変異
4.3 統語的変異
4.4 語用論的変異
5. 方言研究のトピック
5.1 方言の境界と区画
コラム 方言の系統
5.2 接触による方言の形成
コラム ネオ方言
5.3 方言の内的変化
コラム 新方言
5.4 方言の記述的研究
コラム 方言の研究方法
5.5 震災と方言

10 コーパスと統計

1. はじめに
2. コーパスの特徴
3. コーパスの種類
コラム コーパスの種類と代表性
コラム その他のコーパス
4. コーパスの利用方法
5. コーパス利用の意義と留意点
コラム オフライン形式でのコーパス利用
5.1 言語資料としてのコーパス
5.2 内省とコーパス
5.3 アンケート・実験とコーパス
5.4 コーパスと通時的研究
5.5 コーパス利用の限界
コラム コーパス言語学と生成文法研究
6. 統計
6.1 統計の基礎
6.2 記述統計
コラム 度数とデータのサイズ
6.3 推測統計
コラム その他の検定・解析
7. まとめ
補遺―日本語のコーパス

11 理論的研究とは?

1. はじめに
2. 仮説検証のプロセス—日本語の等位接続
コラム 仮説検証法と言語研究
2.1 ステップ1―仮説の設定
2.2 ステップ2―仮説の検証
コラム 良い仮説とは ?―仮説とデータの関係
コラム 理論研究と記述研究
2.3 ステップ3―仮説の棄却と修正
コラム 非構成素等位接続をめぐる論争の現状
3. 現在の理論言語学が抱える課題
3.1 理論の乱立
3.2 観察的妥当性と説明的妥当性のバランスの悪さ
3.3 経験科学としての方法論的粗雑さ
コラム コーパス、心理言語学、計算言語学
3.4 説明対象に関する合意のなさ
コラム 島の制約に対する心理言語学的説明
3.5 関連分野との接点の乏しさ
4. おわりに

12 日本語学史

1. 日本語学史とは
1.1 日本語学史の対象
1.2 日本語学史の時代区分
2. 古代・中世
2.1 辞書の編纂
2.2 古典解釈と言語研究
コラム 定家仮名遣いの意味
2.3 歌学秘伝とテニヲハ論
3. 近世
3.1 歌学秘伝の公開
3.2 国学者の言語研究
コラム 契沖の仮名遣い説と歴史的仮名遣い
コラム 国学と漢学
3.3 近世後期の言語研究
4. 近代
4.1 西洋言語学の流入と「国語学」の成立
4.2 音声・音韻、文字研究
4.3 文法研究
コラム 学校文法の意味
4.4 語彙・方言研究
5. 外国語としての日本語研究
5.1 キリシタン宣教師
5.2 ヨーロッパ東洋学・日本学
5.3 幕末・明治期の宣教師・外交官
5.4 中国・朝鮮における日本語研究

13 現代日本語の文字・表記

1. はじめに
2. 文字の種類
3. 仮名遣い
4. 現代日本語の表記法
5. 表記のゆれ
5.1 漢字・平仮名・片仮名のゆれ
コラム 送り仮名のゆれ
5.2 漢字表記のゆれ
コラム 仮名の異体字
5.3 ローマ字表記のゆれ
6. 国字問題とJIS 漢字
コラム 情報機器と日本語の表記


用例出典
参考文献
索引



編者紹介
衣畑智秀(きぬはたともひで) 福岡大学人文学部 教授


ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。

   



お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ