ひつじ書房 日本語変異論の現在 大木一夫・甲田直美編 日本語変異論の現在 大木一夫・甲田直美編
2024年5月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第198巻

日本語変異論の現在

大木一夫・甲田直美編

A5判上製函入 定価12,500円+税 614頁

ISBN978-4-8234-1186-1

ひつじ書房

Current Trends in the Study of Variation in the Japanese Language
Edited by Oki kazuo and Koda Naomi



【内容】
日本における近代的な日本語研究は現代の共通語的なものを対象にするというよりも、日本語の歴史的・地理的変異を中心的な対象としてはじまった。では、その日本語変異論は現在どこまですすんでいるのだろうか。本書では、現代日本語の方言・共通語の現象、歴史的現象をそれぞれ日本語の変異のひとつとしてとらえ、その構造や類型、社会との関係などの様相を多面的に明らかする。本書は、また小林隆教授(東北大学名誉教授)退職記念論文集も兼ねる。


【目次】
はしがき

感謝と恐縮、謝罪の地域差 小林隆

I 言語変異をとらえる視点

とりあわせの手法 記号の関係性と意味 野林靖彦
台湾人日本語学習者の接続詞「なので」の使用 言語の規範をめぐる葛藤 小針浩樹
『生活を伝える方言会話』の持続的活用に向けた語彙調査 設定場面と出現語句に関する定量的記述を軸に 鯨井綾希

II 日本語の地域的変異

東北方言におけるズーズー弁の現在 実相変化の捉え方に関する考察 大橋純一
東北地方北部地域アクセントにおける重起伏調の各種変異について 田中宣廣
富山市方言における文末の下降上昇調 小西いずみ
文末のコノについて 地理的分布と津軽方言における品詞性を中心として 田附敏尚
山形県方言におけるABCB・ABCD型系統のオノマトペの特徴 川﨑めぐみ
〈スゲ〉と〈スゲを使った製作物〉に関する語彙の記述的研究 群馬県吾妻郡中之条町六合方言について 新井小枝子
東北地方太平洋側地域における〈玉蜀黍〉の地方語史 作田将三郎

III 日本語地域的変異の類型

事態認識と文法的発想の地域差 日本語方言の時間表現を例にして 津田智史
四国方言の格 対格・主格・無助詞の形に注目して 玉懸元
若年層における接尾辞ラヘンの用法拡張の地域差 佐藤亜実
驚きの感動詞ジャの類 竹田晃子
子どもを楽しませるあやしことばの東西差 わらべ歌詞章を手掛かりに 椎名渉子
方言から日本語の「よろしく」を考える 櫛引祐希子
「先取り発話」の使用と地域差 大阪と東京の若年層女性の雑談の比較から 太田有紀

IV 日本語の歴史的変異

平安鎌倉時代の助数詞「遍」「返」「反」「度」 今昔物語集と続古事談を中心に 勝田耕起
奈良・平安・鎌倉時代の和文作品における感情形容詞の使用実態 安本真弓
動詞間における係助詞の介入と複合動詞 百留康晴
漢語副詞「徐々に」の成立と定着 鳴海伸一
『雑文穿袋』食物・時令佳節項目と『尺牘双魚』 尺牘資料の日本語への影響に関する一考察 園田博文
近世江戸語終助詞の承接による体系と終助詞の意味 黄孝善
謙譲語における制約の成立と機能・用法拡大 働きかけのあり方と補語配慮 伊藤博美
日本における漢字「弔・吊」の「つる」意の出現 山下真里

V 標準的な日本語変異

数詞に直接後続する要素の助数詞性/名詞性 名詞の副詞化と文法化 北原博雄
程度修飾・数量修飾と事象の終了との関与について 蔡薰婕
語構成と句構成に関する日中対照研究 字音形式「感」を通して 曽睿

VI 言語変異と社会・教育

方言研究と企業との連携 群馬県における俚言オンカの調査を介した社会貢献 佐藤髙司
国語教育と方言研究 藤原与一の理論的体系に関して 吉田雅昭
在米日本人2世の談話展開の方法 日本在住の若年層話者との比較をとおして 琴鐘愛
日韓の言語景観研究の新しいパラダイム 歴史社会言語学的な方法と関連事例を中心として 梁敏鎬
台湾における中国語の昼の出会いのあいさつ表現の定型性 中西太郎

あとがき
執筆者一覧



◎編者紹介
大木 一夫(おおき かずお)東北大学大学院文学研究科教授
『ガイドブック日本語史』(ひつじ書房、2013)、『文論序説』(ひつじ書房、2017)
甲田直美(こうだ なおみ)東北大学大学院文学研究科教授
『文章を理解するとは 認知の仕組みから読解教育への応用まで』(スリーエーネットワーク、2009)、『物語の言語学 語りに潜むことばの不思議』(ひつじ書房、2024)


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