ひつじ書房 作文教育の日中対照研究 前川孝子著 作文教育の日中対照研究 前川孝子著
2024年1月刊行

シリーズ言語学と言語教育 46

作文教育の日中対照研究

前川孝子著

A5判上製カバー装 定価7,000円+税 322頁

ISBN978-4-8234-1185-4

ブックデザイン 三好誠(ジャンボスペシャル)

ひつじ書房

A Comparative Study of Essay Writing Norms in Japanese and Chinese High Schools
MAEGAWA Takako



【内容】
中国語を母語とする日本語学習者が日本語で書いた作文は、文法としては正確なのに、「何か」が違う。それは何なのか。それは何に由来するのか。この疑問に答えるため、本書では日本・中国それぞれの国語における作文の規範に注目する。両国において模範と見なされる文章の分析を通じて、「意見はどのように書かねばならないか」「どのように論証しなければならないか」という枠組みの差異を多面的に明らかにする画期的研究。


【目次】
凡例

第1章 序論
1. 研究の背景
2. 研究目的と研究課題
3. 本書の構成

第2章 日本・中国における意見論述文章
1. 日中における文章の種類と意見論述文章の位置づけ
1.1 日本における文章の種類と意見論述文章
1.2 中国における文章の種類と意見論述文章
2. 日中の国語教育における意見論述文章
2.1 日本の国語教育における意見論述文章
2.2 中国の国語教育における意見論述文章
3. 日中における意見論述文章に関する先行研究
3.1 意見文、小論文に関する先行研究
3.2 議論文に関する先行研究
4. 中国人日本語学習者は日本の意見文をどのように捉えるか
4.1 意見文の定義の作成の調査
4.1.1 調査方法の詳細
4.1.2 分析結果
4.1.3 考察
4.2 日本語の意見文に対する理解
4.2.1 調査方法の詳細
4.2.2 質問紙に取り上げた文章の種類
4.2.3 分析結果
4.2.4 考察
4.2.5 中国人日本語学習者への意見文に関する調査のまとめ
4.3 日本語の意見文に関する調査のまとめ

第3章 先行研究の概観と本研究の位置づけ
1. 日中の意見論述文章に関する対照研究の先行研究
1.1 日本語教育における文章構造に関する先行研究
1.2 日本語教育における論拠に関する先行研究
1.3 対照修辞学における中国の議論文に関する先行研究
1.4 日本語教育における対照修辞学の先行研究
2. 意見論述文章の分析方法に関する先行研究
2.1 文章の質的分析のための方法
2.2 文章構造分析のための方法
2.2.1 永野(1986)による文章構造の研究
2.2.2 市川(1978)による文章構造の研究
2.2.3 樺島(1983)の文章観とツリー構造
2.3 論拠の先行研究と本研究の立場
2.4 論証の先行研究と本研究の立場
3. まとめと本研究の位置づけ
4. 分析対象とする資料と本研究の分析枠組み
4.1 研究資料
4.1.1 日本の意見論述文章としての意見文、小論文の資料
4.1.2 中国の意見論述文章としての議論文の資料
4.1.3 日中の意見論述文章の資料のまとめ
4.2 本研究の分析枠組み
5. 中国人日本語学習者の意見論述文章に関する調査研究
6. 中国の記叙文
7. まとめ

第4章 文の内容の質的相違
1. はじめに
2. 「事実」と「意見(見解)」の区別に基づく分析方法の展開
3. 本研究の立場
4. 分析の方法―叙述の様相の特徴
5. 分析結果
5.1 意見文の分析結果
5.2 小論文の分析結果
5.3 議論文の分析結果
6. 意見文と小論文、議論文の文の内容の質的相違の特徴
7. まとめ

第5章 文章構造
1. はじめに
2. 文章構造に関する先行研究
3. 樺島(1979、1983)の文章観と本研究の理論的枠組み
4. 分析の方法―ツリー構造による文章構造の可視化
5. 分析結果と考察
5.1 分析の枠組みと前提
5.2 意見文の分析結果と考察
5.2.1 段落の要素による分析結果と考察
5.2.2 ツリー構造の形態的な特徴による分析結果と考察
5.3 小論文の分析結果と考察
5.3.1 段落の要素による分析結果と考察
5.3.2 ツリー構造の形態的な特徴による分析結果と考察
5.4 議論文の分析結果と考察
5.4.1 段落の要素による分析結果と考察
5.4.2 ツリー構造の形態的な特徴による分析結果と考察
6. 意見文と小論文、議論文のツリー構造による文章の特徴
7. まとめ

第6章 論拠―意見を正当化する論拠
1. はじめに
2. 学習指導要領から見た日中の意見論述文章における「論拠」
3. 先行研究と本研究の立場
4. 分析の方法―事実論拠と道理論拠
5. 分析結果と考察
5.1 意見文の分析結果と考察
5.2 小論文の分析結果と考察
5.3 議論文の分析結果と考察
6. 意見文と小論文、議論文における論拠の特徴
7. まとめ

第7章 論証―意見の正当性を示す行為
1. はじめに
2. 日中における「論証」の捉え方と本研究の位置づけ
2.1 日本における文章研究における論証の捉え方
2.2 日本の学習指導要領における論証
2.3 中国の論証方法の捉え方
2.4 本研究における論証の捉え方
3. 分析の方法―表現効果
4. 分析結果と考察
4.1 意見文の分析結果と考察
4.2 小論文の分析結果と考察
4.3 議論文の分析結果と考察
5. 意見文と小論文、議論文の論証の特徴とまとめ

第8章 中国人日本語学習者への日本語作文調査
1. はじめに
2. 調査方法の詳細
3. 調査資料の概要
4. 分析方法
5. 結果と考察
5.1 文の内容の質的相違の分析結果と考察
5.1.1 結果
5.1.2 模範文章との比較
5.1.3 考察
5.2 文章構造の分析結果と考察
5.2.1 結果
5.2.2 模範文章との比較
5.2.3 考察
5.3 論拠の分析結果と考察
5.3.1 結果
5.3.2 模範文章との比較
5.3.3 考察
5.4 論証の結果と考察
5.4.1 結果
5.4.2 模範文章との比較
5.4.3 考察
5.5 論点
5.5.1 分析方法
5.5.2 結果
5.5.3 考察
6. まとめ

第9章 結論と今後の課題
1. 本研究の結論
2. 本研究の言語教育への貢献と今後の課題

付論 中国の記叙文
1. 研究目的
2. 文の内容の質的相違から見た記叙文の特徴
2.1 分析方法
2.2 結果と考察
3. 記叙文の要素
3.1 分析方法
3.2 結果
4. 議論文との比較における記叙文の特徴
5. まとめ

参考文献
資料1 模範文章の資料として用いた教科書
資料2 模範文章の資料として用いた満点作文
初出一覧
あとがき
索引



著者紹介
前川孝子(まえがわ たかこ)
略歴
北海道出身。2021年筑波大学大学院人文社会科学研究科国際日本研究専攻博士後期課程修了。博士(日本語教育学)。2000年、中国大連大学外国専家となる。国際交流基金日本語試験センター特任研究員、聖学院大学基礎総合教育部特任講師などを経て、現在、三重大学教育学部特任講師。
主な著書・論文
「日本の小論文と中国の議論文における論拠の特徴」(2020)『表現研究』(111)、「中国人日本語学習者の意見文の捉え方―学校教育における作文学習を背景に」(2022)『国際日本研究』(14)、「中国の記叙文の特徴―大学入試作文の模範解答を資料として」(2022)『聖学院大学論叢』34(2)、Características de los ensayos de opinión japoneses desde la perspectiva de estudiantes universitarios chinos de lengua japonesa, KŌBAI, No.5(2023)など。


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