ひつじ書房 現代日本語における意図性副詞の意味研究 認知意味論の観点から 李澤熊著 ひつじ書房 現代日本語における意図性副詞の意味研究 認知意味論の観点から 李澤熊著
2023年1月刊行

ひつじ研究叢書(言語編) 第193巻

現代日本語における意図性副詞の意味研究

認知意味論の観点から

李澤熊著

定価7000円+税 A5判上製函装 348頁

ISBN978-4-8234-1171-7

ブックデザイン 白井敬尚形成事務所

Semantic Studies of Modern Japanese Adverbs Concerning Subject Intention: From the Viewpoint of Cognitive Semantics
Lee Tackung

ひつじ書房


【内容】
現代日本語の副詞に関する諸研究を整理・検討し、認知言語学の観点を視野に入れ、意図性に関わる副詞的成分22語の副詞における位置付けを提案する。また、従来の優れた意味分析の手法に加え、認知意味論の主要概念を援用し、22語のそれぞれの意味と相互の意味の類似点・相違点を明らかにすることによって、日本語の意味研究に新たな端緒を与えるとともに、他の品詞に比べて遅れをとっている副詞研究のさらなる発展・深化を目指す。

【目次】
第1章 はじめに
1.1 研究の対象と目的
1.2 理論的立場
1.3 本書の構成

第2章 意味分析の方法
2.1 意味分析の基本的な考え方と方法
2.2 類義語について
 2.2.1 類義語の定義付け
 2.2.2 類義語の認定基準
2.3 多義語について
 2.3.1 多義語の位置付け
 2.3.2 多義語分析の方法
2.4 認知言語学の基本的概念
 2.4.1 プロトタイプ
 2.4.2 カテゴリー化
 2.4.3 家族的類似性
 2.4.4 ベースとプロファイル
 2.4.5 フレーム
2.5 意味分析の手順

第3章 副詞とは何か
3.1 はじめに
3.2 先行研究
 3.2.1 山田(1936)『日本文法学概論』
 3.2.2 時枝(1950)『日本文法 口語篇』
 3.2.3 渡辺(1957)『日本文法講座1 総論』
 3.2.4 橋本(1959)『国文法体系論』
 3.2.5 市川(1976)『岩波講座日本語6 文法Ⅰ』
3.3 副詞の定義
3.4 副詞の分類
 3.4.1 情態副詞
 3.4.2 程度副詞
 3.4.3 陳述副詞
3.5 第3章のまとめ

第4章 意図性副詞とは何か
4.1 はじめに
4.2 先行研究
 4.2.1 中右(1980)「様態の主語副詞」
 4.2.2 工藤(1982, 2000)「叙法副詞」
 4.2.3 仁田(1983a, 2002)「主体めあて/主体状態の副詞」
 4.2.4 宮島(1983)「情態副詞」
 4.2.5 森本(1994)「主語の主観的/心理的態度を表現する副詞」
 4.2.6 高木(1997)「陳述詞」
4.3 意図性に関わる22語の副詞における位置付け
4.4 第4章のまとめ

第5章 意図性に関わる22語の階層構造
5.1 はじめに
5.2 先行研究
5.3 階層構造の基準
 5.3.1 主体の行う行為が意図して行う行為であるか、意図しないで行う行為であるか
 5.3.2 主体の行う行為が意識して行う行為であるか、意識しないで行う行為であるか
 5.3.3 話し手が主体の行為や状態に対してプラス評価をあたえているか、マイナス評価をあたえているか
 5.3.4 話し手以外の人や事物の客観的な様子を表すことができるかどうか
 5.3.5 主体の行う行為が瞬間的行為であるかどうか
5.4 階層構造の提示
5.5 各グループ間の連続性について
5.6 各語間の連続性について
5.7 第5章のまとめ

第6章 グループ間における連続性の検証
6.1 はじめに
6.2 先行研究
6.2.1 「思わず、つい、ふと(ふっと)」に関する先行研究
6.2.2 「何気なく、さり気なく」に関する先行研究
6.3 「思わず」と「つい」の比較分析
6.4 「思わず」と「ふと(ふっと)」の比較分析
6.5 「ふと(ふっと)」と「何気なく」の比較分析
6.6 「何気なく」と「さり気なく」の比較分析
6.7 第6章のまとめ

第7章 非意図性副詞AⅠグループ 「つい、うっかり(と)、うかうか(と)、うかつに、うかつにも」の意味分析
7.1 はじめに
7.2 先行研究
 7.2.1 「つい」と「うっかり(と)」に関する先行研究
 7.2.2 「うかうか(と)」と「うかつに」と「うかつにも」に関する先行研究
7.3 「つい」と「うっかり(と)」の比較分析
7.4 「うっかり(と)」と「うかうか(と)」の比較分析
7.5 「うっかり(と)」と「うかつに」の比較分析
7.6 「うっかり(と)」と「うかつにも」の比較分析
7.7 第7章のまとめ

第8章 非意図性副詞AⅡグループ/AⅡ′グループ 「思わず、無意識に、我知らず(に)、知らず知らず(に)、いつの間にか、いつしか」の意味分析
8.1 はじめに
8.2 「思わず」と「無意識に」の比較分析
8.3 「思わず」と「知らず知らず(に)」と「我知らず(に)」の比較分析
8.4 「無意識に」と「我知らず(に)」の比較分析
8.5 「知らず知らず(に)」と「いつの間にか」の比較分析
8.6 「いつの間にか」と「いつしか」の比較分析
8.7 第8章のまとめ

第9章 非意図性副詞AⅢグループ 「何となく、何だか、何気なく、それとなく(Ⅱ)、どことなく」の意味分析
9.1 はじめに
9.2 「何だか」と「何となく」の比較分析
 9.2.1 先行研究
 9.2.2 分析
9.3 「何となく」と「何気なく」の比較分析
9.4 「何となく」と「どことなく」の比較分析
 9.4.1 先行研究
 9.4.2 分析
9.5 「何となく」と「それとなく」の比較分析
9.6 「どことなく」と「それとなく」の比較分析
9.7 第9章のまとめ

第10章 意図性副詞BⅠグループ/BⅡグループ 「さり気なく、それとなく(Ⅰ)、敢えて、強いて、無理に、無理矢理(に)」の意味分析
10.1 はじめに
10.2 「さり気なく」と「それとなく」の比較分析
10.3 「敢えて」と「強いて」の比較分析
 10.3.1 先行研究
 10.3.2 分析
10.4 「強いて」と「無理に」の比較分析
10.5 「無理に」と「無理矢理(に)」の比較分析
10.6 第10章のまとめ

第11章 意図性に関わる22語の副詞における位置付け
11.1 はじめに
11.2 「AⅠグループ」の副詞における位置付け
11.3 「AⅡグループ」の副詞における位置付け
11.4 「AⅡ′グループ」の副詞における位置付け
11.5 「AⅢグループ」の副詞における位置付け
11.6 「BⅠグループ」の副詞における位置付け
11.7 「BⅡグループ」の副詞における位置付け
11.8 第11章のまとめ

第12章 おわりに
12.1 本書のまとめ
12.2 本書の意義と今後の課題


引用文献
あとがき
索引



【著者紹介】
李澤熊(い てぐん)
名古屋大学大学院国際言語文化研究科日本言語文化専攻博士後期課程修了。博士(文学)。名古屋大学留学生センター専任講師を経て、現在名古屋大学国際言語センター准教授。専門は現代日本語の意味論、日本語教育、日韓対照。
〈主な著書・論文〉
『日本語の意味研究の新たな扉を開く—意味分析の方法と実際—』(開拓社 2020)、「「腐る」と「腐敗する」の意味分析—百科事典的意味観に基づく日韓対照研究—」(『日本認知言語学会論文集』18, 2018)、「形容詞「正しい」の意味分析」森雄一他編『ことばのダイナミズム』(くろしお出版 2008)。


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