ひつじ書房 自閉スペクトラム症と言語 幕内充編 ひつじ書房 自閉スペクトラム症と言語 幕内充編
2023年10月刊行

自閉スペクトラム症と言語

幕内充編

定価2000円+税 A5判並製 176頁

ISBN978-4-8234-1157-1

Autism Spectrum Disorder and Language

Edited by Makuuchi Michiru


ひつじ書房



【内容】
自閉症児が終助詞「ね」を全く使わないという、衝撃的な綿巻徹の1997年の報告にinspireされた言語学と医学領域の研究者が協同して自閉スペクトラム障害における終助詞使用の研究に取り掛かった。カートグラフィーの創始者であるリッツィが理論を解説(日本語訳 遠藤)、その理論を遠藤が日本語終助詞に応用する。
執筆者:木山幸子、和田真、遠藤喜雄、Luigi Rizzi、幕内充、他


【目次】
前書き

第1章 自閉症とは
和田真

1. はじめに
2. 発達障害における自閉スペクトラム症の位置づけ
2.1 自閉スペクトラム症
2.2 注意欠如・多動症
(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder, ADHD)
2.3 学習障害(Specific Learning Disorders)
2.4 ASDと他の発達障害の併発
3. 自閉症/アスペルガー症候群から自閉スペクトラム症へ
4. ASDをめぐる心理・認知科学的仮説
4.1 実行機能障害仮説
4.2 弱い中枢性統合仮説
4.3 マインドブラインドネス仮説(心の理論の障害)
4.4 共感化─システム化仮説
4.5 予測誤差障害仮説
5. ASDをめぐる生物学的仮説
5.1 ミラーシステム障害仮説
5.2 脳の早期過剰成長仮説
5.3 Disconnection syndrome(神経結合の障害)仮説
5.4 興奮抑制バランス障害仮説(E/I balance)
5.5 オキシトシン機能障害仮説
6. ASDの遺伝要因と環境要因
6.1 遺伝か環境か?
6.2 遺伝子多型とは
6.3 自閉スペクトラム症に関連するかもしれない遺伝子群

第2章 ASDの言語の問題
幕内充

1. カナーによるASDの報告論文(1943,1946)
2. アスペルガーによるASDの報告論文(1944)
3. ASDの言語の特徴
3.1 発達の遅れ
3.2 表出能力・理解能力・エコラリア
3.3 音韻論
3.4 語彙
3.5 読字
3.6 統語論・意味論
3.7 ASDの言語障害は特異的言語発達障害と同じであるか
3.8 語用論
3.9 終助詞「ね」の欠如
4. ASDの神経科学
5. ASDの言語研究の意義

第3章 文の左周辺部のカートグラフィー:研究成果と認知科学との関わり
ルイージ・リッツィ
遠藤喜雄(訳)

1. 文の左周辺部の詳細な分析
2. 人と繋がる領域:スコープと談話の位置
3. 言語習得:成長する木
4. ヘブライ語の事例
5. 成長する木と病理学

第4章 カートグラフィーで自閉スペクトラム症の言語の問題を捉える
遠藤喜雄

1. はじめに
2. カートグラフィーとは―文の詳細な地図を描くプロジェクト
3. ASDの言語の問題(1)―論文の事例
3.1 綿巻(1997)―ASD者は「ね」を使わない
3.2 松本(2017)―ASD者は方言を話さない
4. ASDの言語の問題(2)―観察事例から
4.1 「の」―自分の内面
4.2 上から目線のことば
4.3 攻撃的な言葉
4.4 「 こ・そ・あ」の視点―話し手と聞き手
4.5 養育
5. おわりに―当事者からの声

第5章 社会的言語の個人差:定型発達者における自閉傾向の影響
木山幸子

1. はじめに
2. 定型発達者における自閉傾向の連続性
3. 定型発達者の音声言語処理における自閉傾向の影響
4. 意味理解における自閉傾向の影響
5. 感情を伝え対人関係を構成する終助詞の理解における
自閉傾向の影響
6. おわりに

コラム
回想:共感獲得と自閉症
綿巻徹

ASDの言語研究は「役に立つ」か?:サブタイピングの観点から
岩渕俊樹

自閉スペクトラム症者の終助詞使用についての産出実験
直江大河

聴覚障害と心の理論の問題
高嶋由布子

自閉スペクトラム症者の会話コーパスについて
鈴木あすみ

執筆者紹介

   


【編者紹介】
幕内充(まくうち みちる)
国立障害者リハビリテーションセンター研究所 脳機能系障害研究部高次脳機能障害研究室室長
[主な著書]『音声コミュニケーションと障がい者』(共著 2021 コロナ社)



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