ひつじ書房 聖書ヘブル詩の並行法 詩行の反復表現が表すもの 津村俊夫著 聖書ヘブル詩の並行法 詩行の反復表現が表すもの 津村俊夫著
2022年11月刊行

聖書ヘブル詩の並行法

詩行の反復表現が表すもの

津村俊夫著

定価4800円+税 A5判上製カバー装 264頁

装丁 中垣信夫+中垣呉(中垣デザイン事務所)

ISBN978-4-8234-1135-9

ひつじ書房

Grammar of Hebrew Parallelism: Appreciating Biblical Poetry
TSUMURA, D. T.


【内容】
本書は聖書に記されている詩(ヘブル詩)について、詩独自の文法に注目することで新たな解釈を示す。詩の文法を分析する必要性を唱えた、ヤーコブソンの議論を踏まえて、ヘブル文字をローマ字転写した本文と最新の邦訳聖書を比べながら、漢詩やモンゴル語、スラブ語の詩にも見られる並行法の特徴を、多くの具体例から検討する。聖書学だけでなく、言語学・詩学の研究にも資するところが大であろう。

【目次】
まえがき
構造の諸形式
略号(一般)
略号(参考文献)

第1章 ヘブル詩を味わうために
1.1 詩にも文法がある
1.2 詩の文法は、散文の文法とは異なる
1.2.1 アモス書 1章2節
1.2.2 箴言9章10節
1.2.3 詩篇117篇 1–2節
1.3 並行法でないヘブル詩はあるのか
1.4 並行法とは何か?

第2章 並行法の定義
2.1 並行法は2行で1つの文を構成する言語表現である
2.1.1 並行法(parallelism)
2.1.2 重ね合わせ(superimposition)
2.1.3 交差並行法(chiastic parallelism)
2.1.4 省略または欠落(ellipsis, またはgapping)
2.2 並行法は垂直文法によって特徴づけられる
2.2.1 ロマーン・ヤーコブソン(Roman Jakobson)
2.2.2 垂直性の原理(principle of verticality)
2.2.3 「垂直並行法」“vertical parallelism”
2.2.4 垂直文法(vertical grammar)
2.3 AXBパターン
2.3.1 a of b (合成句)
2.3.2 a & b (複合句)

第3章 並行法の分類
3.1 形式による分類
3.1.1 並行する行数
3.1.1.1 一行詩(monocolon)
3.1.1.1.1 冒頭の一行詩
3.1.1.1.2 中心部の一行詩
3.1.1.1.3 結論部の一行詩
3.1.1.2 三行詩(tricolon)
3.1.1.2.1 A//B//A’
3.1.1.2.2 A//B//B’
3.1.1.2.3 A//A’//B 拡大詩(expanded colon)
3.1.1.2.4 A//X//B
3.1.1.3 四行詩(tetracolon)
3.1.1.3.1 2つの二行詩か、四行詩か
3.1.1.3.2 一行詩+三行詩か、四行詩か
3.1.1.3.3 A//B//A’//B’ 「交互並行法」
3.1.1.3.4 A//B//B’//A’
3.1.1.3.5 A//X//B//X’
3.1.1.3.6 A//x//y//B → A//X//X’//B
3.1.1.4 五行詩(pentacolon)
3.1.2 音声的並行法(phonetic parallelism)
3.2 意味による分類
3.2.1 同義的並行法(synonymous parallelism)
3.2.2 包摂的並行法(hyponymous parallelism)

第4章 動詞の省略か、兼務か、あるいは垂直文法か
4.1 用語整理
4.1.1 水平文法(horizontal grammar)
4.1.2 垂直文法(vertical grammar)
4.1.3 省略(ellipsis)
4.1.4 兼務(double-duty)
4.2 省略か兼務か?
4.3 動詞省略か、垂直文法か?
4.3.1 動詞省略(verbal ellipsis)
4.3.2 垂直文法(vertical grammar)

第5章 並行法における垂直文法
5.1 二行詩における垂直文法
5.1.1 詩篇2篇6節 SS : 押韻(rhyme)、音声的並行法(phonetic parallelism)
5.1.2 ハバクク書2章1節b
5.1.3 ハバクク書3章6節a
5.1.4 ハバクク書1章16節
5.1.5 詩篇24篇6節
5.1.6 ハバクク書3章13節b
5.1.7 イザヤ書64章10節b (MT 9節b)
5.1.8 詩篇2篇4節
5.2 三行詩における垂直文法
5.2.1 詩篇19篇14節(MT 15節)
5.2.2 詩篇 18篇11節(MT 12節)
5.2.3 詩篇2篇2節
5.2.4 ハバクク書3章8節a
5.3 四行詩、AXXfBパターンにおける垂直文法
5.3.1 詩篇 9篇6節(MT 7節)
5.3.2 アモス書1章5節(AXXfB)
5.3.3 ヨブ記12章24–25節(AXXfB)
5.3.4 サムエル記第二3章33–34節c(AXXfB)
5.3.5 詩篇89篇36–37節(MT 37–38節)(AXXfB)
5.3.6 雅歌5章5節
5.4 四行詩、AA’XBパターンにおける垂直文法
5.4.1 詩篇34篇9–10節(MT 10–11節)
5.4.2 アモス書3章7–8節
5.4.3 ハバクク書2章4–5節a
5.5 詩文の連における垂直性

第6章 聖書ヘブル詩における統語と詩行分析
6.1 「句またがり」(enjambment)
6.1.1 ヨブ記4章8節
6.1.2 ハバクク書1章7節b
6.2 第2行におけるkî-節
6.2.1 句またがりを伴う場合
6.2.1.1 詩篇22篇31節(MT 32節)
6.2.1.2 詩篇 49篇15節(MT 16節)
6.2.2 句またがりを伴わない場合
6.2.2.1 詩篇18篇17節(MT 18節)
6.2.2.2 詩篇25篇6節
6.2.2.3 詩篇18篇19節(MT 20節)
6.2.2.4 詩篇 22篇8節(MT 9節)
6.2.2.5 詩篇41篇4節(MT 5節)
6.2.2.6 詩篇60篇2節(MT 4節)
6.2.2.7 詩篇141篇6節
6.2.2.8 詩篇132篇14節
6.3 第3行におけるkî-節

第7章 ヤーヌス・パラレリズム─ことば遊びと垂直性
7.1 雅歌2章12節
7.2 創世記49章26節
7.3 ナホム書1章8節
7.4 ハバクク書3章4節
7.5 ハバクク書1章9節

第8章 ヘブル語の散文における垂直性
8.1 サムエル記第一28章19節
8.2 サムエル記第一12章17節
8.3 サムエル記第一 2章14節
8.4 サムエル記第一16章18節
8.5 サムエル記第二7章22節
8.6 サムエル記第一2章12–17節

第9章 ウガリト詩の並行法における垂直文法
9.1 動詞省略(VE)
9.1.1 KTU 1.2 I 37–38
9.1.2 KTU 1.3 III 20–22
9.1.3 KTU 1.2 I 18–19
9.1.4 KTU 1.14 I 33–35
9.2 垂直文法(VG)
9.2.1 KTU 1.14 I 26–27
9.2.2 KTU 1.3 I 20–22
9.2.3 KTU 1.3 I 18–19
9.2.4 KTU 1.2 IV 15–16, also 13–14, 20–21, 23–24
9.2.5 KTU 1.18 IV 24–26, 36–37
9.2.6 KTU 1.3 III 28–31

結論

付録
付録I 漢詩の並行法(対句)
付録II 詩篇139の並行法
付録III 詩篇8─新改訳2017と協会共同訳の比較

参考文献
用語集
ヘブル・ヘブライ考
あとがき
索引
索引(聖書箇所)

   


【著者】津村俊夫
[略歴]
1944年、神戸で生まれる。一橋大学卒業。1973年、ブランダイス大学大学院、Ph.D. (セム語学・ウガリト語)。ハーバード大学客員研究員、筑波大学文藝・言語学系助教授を経て、1990年〜2022年、聖書神学舎専任教師。現在、聖書宣教会・聖書学研究所所長。
[著書]The Second Book of Samuel(New International Commentary on the Old Testament; Eerdmans, 2019)ほか。
[訳書]サイラス・H・ゴードン『古代文字の謎』(社会思想社、1979)ほか。



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