コーパスによる日本語史研究 近代編 田中牧郎・橋本行洋・小木曽智信編 コーパスによる日本語史研究 近代編 田中牧郎・橋本行洋・小木曽智信編
2021年11月刊行

コーパスによる日本語史研究 近代編

田中牧郎・橋本行洋・小木曽智信編

定価4000円+税 A5判並製 388頁

ISBN978-4-8234-1097-0

装丁者 坂野公一(welle design)

ひつじ書房

Corpus-based Studies on the History of the Japanese Language: Modern Japanese
Edited by Tanaka Makiro, Hashimoto Yukihiro, and Ogiso Toshinobu




【内容】

日本語史研究は、資料の読解とそこから取り出した言語形式の集計と分析を重ねる方法によって、発展してきた。近年整備が進む歴史コーパスは、この方法を質的に深化させ量的に拡大することで、新たな地平を開きつつある。近代に焦点をあて、〈展望〉2編、〈論文〉11編、『日本語歴史コーパス』の〈解説〉4編を掲載し、読者を新地平に誘う。執筆者:田中牧郎、橋本行洋、矢島正浩、宮内佐夜香、小島聡子、近藤明日子、髙橋雄太、間淵洋子、横山詔一、竹村明日香、岡島昭浩、新野直哉、小木曽智信、服部紀子

【目次】

はしがき

〈展望〉

コーパスによる近代語の研究
田中牧郎
1 はじめに
2 『日本語歴史コーパス』の現在
3 『国定読本用語総覧』と『太陽コーパス』
4 『日本語歴史コーパス 明治・大正編』へ
5 『日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅰ雑誌』を使った研究
6 『日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅱ教科書』を使った研究
7 『 日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅲ明治初期口語資料』を使った 研究
8 近代語研究における計量的方法
9 前後の時代との接続と独自コーパスの作成
10 おわりに

近代語の資料とコーパス
橋本行洋
1 はじめに:多岐にわたるコーパスと言語研究への利用
2 『日本国語大辞典』以後のコーパス整備
3  コーパスによる語彙の用例収集と考察:「就職運動」と「就職活動」
4 漢字表記語の読み方:「雑談」
5 近代語資料におけるコーパス
6 おわりに:コーパスの活用と今後の展望

〈論文〉

[文法]
逆接仮定条件史におけるトテの位置づけー近代文法史記述のあり方再考
矢島正浩
1 はじめに
2 使用状況の確認
3 上接語から見るトテ類の用法史
4 まとめと課題

「開化啓蒙書」の逆接表現形式ー「スタンダード言語」としての性質を探る
宮内佐夜香
1 はじめに
2 本稿の目的
3 調査の方法
4 分析
5 おわりに

大正期の子供向け文章の語法ー教科書と童話の関係
小島聡子
1 はじめに
2 「標準語」教育と教科書・童話との関わりについて
3 接続詞に着目する理由について
4 調査対象の資料・コーパス
5 教科書と童話における接続詞の頻度と語
6 各資料間の類似度について:相関係数とクラスター分析
7 各資料と接続詞の関係について:対応分析
8 おわりに

[語彙]
明治・大正期の書き言葉における文体と語彙ー順接の接続詞を例に
近藤明日子
1 はじめに
2 研究で使用するコーパスとテキスト
3 順接の接続詞の抽出
4 順接の接続詞の語形と文章種類との対応関係
5 使用語形の通時的変化
6 おわりに

近代語彙の語種構成ー時代差・文体差・読者差
田中牧郎
1 はじめに
2 『日本語歴史コーパス』の語種構成比率の推移
3 延べ語数の語種統計の分析
4 総合雑誌の全体の語種構成の変化
5 総合雑誌のレベル別の語種構成とその変化
6 文体差と語種構成
7 読者差と語種構成
8 語種構成から見た近代語彙
9 今後の課題

[表記]
近代の和語における意味と表記の結びつきの変化ー動詞アウを事例に
髙橋雄太
1 はじめに
2 調査資料
3 近代におけるアウの表記と意味
4 アウの用例分析
5 アウと「逢」「會」「遇」「遭」の関係
6 まとめ

近現代漢語における異表記の実態と変化
間淵洋子
1 はじめに
2 先行研究の整理と本稿の課題設定
3 研究方法
4 分析
5 考察
6 おわりに

コーパスによる言語変化の実時間研究ー検定問題と異体字問題
横山詔一
1 はじめに
2 漢字使用頻度の経年変化を調べる
3 コーパスの異体字問題
4 まとめ

[資料]
『上方はなしコーパス』についてー近代大阪方言の速記落語
竹村明日香
1 はじめに
2 『上方はなし』と5代目笑福亭松鶴について
3 『上方はなしコーパス』の概要
4 仕様
5 利用手順:初期設定(Windows 用)
6 検索方法
7 応用的な検索
8 保存
9 まとめと今後の課題

近代語資料としての『史談会速記録』
岡島昭浩
1 座談会の速記
2 史談会速記録
3 同内容の速記録
4 おわりに

「言語記事データベース」について
新野直哉
1 はじめに
2 「言語記事データベース」の意義と概要
3 「新聞記事データベース」の意義と概要
4 「雑誌記事データベース」の概要
5 データベースに収録されている記事
6 おわりに

〈解説〉

『日本語歴史コーパス 明治・大正編』の構成ーデータと公開形態
小木曽智信
1 はじめに
2 「明治・大正編」収録資料の由来
3 「明治・大正編」への形態論情報の付与
4 「明治・大正編」の形態論情報
5 「明治・大正編」の公開形態
6 「中納言」による短単位検索
7 検索結果の利用方法
8 おわりに

『日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅰ雑誌』解説
間淵洋子・近藤明日子
1 はじめに
2 収録資料と言語量
3 コーパスのテキストの仕様
4 アノテーション
5 おわりに

『日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅱ教科書』解説
服部紀子
1 はじめに
2 近代語資料としての国定国語教科書
3 コーパスの概要
4 テキスト作成の方針
5 「中納言」における表示項目
6 おわりに

『日本語歴史コーパス 明治・大正編Ⅲ明治初期口語資料』解説
近藤明日子
1 はじめに
2 コーパスの構築目的と収録資料
3 コーパスのテキストの仕様
4 アノテーション
5 基本言語量と収録資料の特徴
6 おわりに


索引
執筆者紹介

【編者・執筆者紹介】

◉編者
田中牧郎(たなか まきろう)明治大学国際日本学部教授
橋本行洋(はしもと ゆきひろ)花園大学文学部教授/国立国語研究所客員教授
小木曽智信(おぎそ としのぶ)国立国語研究所言語変化研究領域教授

◉執筆者
田中牧郎、橋本行洋、矢島正浩、宮内佐夜香、小島聡子、近藤明日子、髙橋雄太、間淵洋子、横山詔一、竹村明日香、岡島昭浩、新野直哉、小木曽智信、服部紀子


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