ひつじ書房 これからの言語学 ダイナミックな視点から言語の本質に迫る統語論 ジム・ミラー著 これからの言語学 ダイナミックな視点から言語の本質に迫る統語論 ジム・ミラー著 岸本秀樹監訳 吉田悦子・久屋孝夫・三浦香織・久屋愛実訳
2024年5月刊行

言語学翻訳叢書 22

これからの言語学

ダイナミックな視点から言語の本質に迫る統語論

ジム・ミラー著 岸本秀樹監訳 吉田悦子・久屋孝夫・三浦香織・久屋愛実訳

A5判並製カバー装 定価3200円+税

380頁

ISBN978-4-8234-1091-8

装丁 渡部文

ひつじ書房

A Critical Introduction to Syntax
Jim Miller
Japanese translation by Yoshida Etsuko, Kuya Takao, Miura Kaori and Kuya Aimi under the supervision of Kishimoto Hideki




【内容】
言語には異なるモード(話しことば、書きことば)や変種(地域的、社会的)が存在する。本書は、統語分析の対象から外されることが多い標準から逸脱した変種であっても、信頼できるデータを十分に観察すれば、言語現象を適切に分析できることを解き明かす。多彩な実例から言語の本質に迫ろうとするアプローチは、記述文法のみならず、形式文法においても十二分に価値を持つ。丁寧な訳注とコラムも付いて、新たな文法研究に挑む醍醐味を実感できる一冊。
原著:Jim Miller (著)A Critical Introduction to Syntax


【目次】
監訳者まえがき
日本語版への序
序論と謝辞

第1章 理論、データ、分析
1.1. はじめに
1.2. 説明と記述
1.3. データと理論
1.4. データと分析
1.4.1 wh語をもたないTH 分裂文
1.4.2 except節:主節か従属節か?
1.4.3 前置詞句前置
1.4.4 否定辞前置
1.4.5 付加疑問
1.4.6 間接疑問と破格構文
1.5. 節と文
1.6. 自然に発話された話しことば英語のやっかいな構造
1.6.1 which:関係代名詞か談話連結詞か?
1.6.2  名詞句+節(NP-Clause):単一節、それとも単一節+外部名詞句?
1.6.3 直接目的語名詞句+補部節
1.6.4 WH 分裂構文と‘ thing is ’構文
1.7. 結論:統合された構造と統合されなかった構造

第2章 依存関係
2.1. 主要部とは
2.1.1 主要部と修飾語句
2.1.2 補部と付加詞
2.1.3 数:一致か統率か
2.1.4 主要部の概念に関するCroft の見解
2.1.5 主要部と意味
2.1.6 前置詞句と名詞句の主要部
2.2. 依存と構成素構造
2.2.1 動詞句
2.3. 依存関係と従属節

第3章 名詞句と非階層構造性
3.1.  非階層構造性:ワルピリ語・ロシア語と自然発話の話しことば
3.2. 単純な名詞句と指示の成立
3.2.1 名詞句、複雑性、テクストのタイプ
3.2.2 2 種類の話しことばテクストにおける名詞句
3.3. 節内の複雑な名詞句:その回避法
3.4. オーストラリア先住民諸語における非階層構造性
3.5. ロシア語の名詞句の非階層構造性
3.5.1 非階層構造性と情報構造
3.6. 「分離名詞句」の分析
3.6.1 ロシア語の長形形容詞:名詞と直示詞
3.6.2 ロシア語の反復された前置詞
3.6.3 自然発話における分離名詞句と指示
3.7. 結論

第4章 構文
4.1. ネットワークを構成する構文
4.2. 構文と発話行為、談話機能
4.3.  分割する(splitting)のか統合する(lumping)のか:構文と構文の境界を設定する
4.4. 構文と第一言語獲得
4.5. 構文と統語的特徴
4.5.1 古典ギリシア語の条件構文
4.5.2 ロシア語の状態範疇構文
4.5.3 数の一致と存在構文
4.5.4 話しことばと書きことばにおけるIT 分裂構文
4.5.5 独立if 節
4.5.6 独立when 節
4.6. 結論

第5章 文法性
5.1. 概観
5.2. 文法性、大領域統語、そして英語の諸構文
5.2.1 関係詞節
5.2.2 間接疑問
5.2.3 非定形動名詞節
5.3. 文法性についての直観はどれくらい信頼できるのか
5.3.1 文法性判断と言語変異
5.3.2 文法性と言語変化
5.4. 文法性と言語的権力
5.5. 話し手の文法的知識と直観の限界

第6章 用法基盤モデル
6.1. 用法基盤モデルによるアプローチ
6.2. 英語の時制と相
6.2.1 Leechのモデル 
6.2.2 英語の時制・相体系で現在起きている変化
6.2.3 単純現在形と単純過去形
6.2.4 単純現在形:ロシア語、中国語、トルコ語との対照
6.2.5 進行相
6.2.6 単純過去と完了
6.2.7 結果と完了
6.3. 結論

第7章 文法と意味:get受動態
7.1. 導入
7.2. get受動態の出現頻度
7.3. get受動態の解釈
7.4. get:意味のない動詞か、移動動詞か
7.5. get受動態はどこから来たのか

第8章 文法と意味:wh語
8.1. 直示詞としてのwh語
8.1.1 wh補部節
8.1.2 副詞節におけるwhenever とwhen
8.1.3 whenに導かれる主節
8.1.4 wh関係詞節
8.1.5 wh疑問詞
8.1.6 IT分裂文
8.2. 不定代名詞・疑問代名詞
8.3. 結論

第9章 文法と意味論:品詞とは
9.1. 品詞と意味
9.2. 品詞と発話行為

第10章 文法と意味論:主題役割
10.1. はじめに
10.2. 文法機能
10.2.1 文法上の主語
10.2.2 直接目的語、間接目的語、斜格目的語
10.2.3 通言語的な文法機能
10.3. 役割
10.3.1 節構造、命題、役割
10.3.2 役割の根拠と役割の基準
10.3.3 文法的基準の重要性
10.3.4 状況タイプと役割の基準
10.3.5 役割と役割の担い手
10.3.5.1 プロトタイプ役割
10.3.5.2 プロト動作主とプロト被動者
10.4. 通言語的な役割
10.5. 結論

第11章 言語の複雑さ
11.1. はじめに
11.2. 話すこと、書くこと、複雑さ
11.3. 書きことば英語のコーパスにおける複雑さ
11.3.1 学生を対象とした複雑な書きことばの言語処理実験
11.3.2 自然発話の話しことば:句か節か
11.3.3 節の結合とイントネーション
11.4. 自然な状況下における話しことばの研究
11.5. (書き)ことばはいかにして複雑になるのか

第12章 第一言語獲得
12.1. 概観
12.2. 子どもは何歳までに母語を獲得しているのか
12.3. 刺激の貧困
12.4. 固定句
12.5. 生成文法の分析と子どもの言語

第13章 エピローグ

付録 3.1
付録 3.2
訳者注の参考文献
参考文献
訳者による解説
ジム・ミラー氏への追悼と謝辞 訳者あとがきに代えて
索引
著者・訳者紹介

* * * * *
訳者によるコラム
 自然な話しことばのデータ
 依存文法の考え方
 階層構造的言語vs. 非階層構造的言語
 構文
 文法性(Grammaticality)と大領域統語(Magnasyntax)
 用法基盤文法とコーパス言語学
 スコットランド英語連続体(the Scottish English continuum)
 直示詞(deictics)の概念と適用範囲
 品詞の区別と意味論・語用論
 文法論と意味論
 言語使用と言語知識



著者・監訳者・訳者紹介
[著者]
Jim Miller (ジム・ミラー)(James Edward Miller)(1942–2019)
1961エディンバラ大学入学 1965年エディンバラ大学M.A. 取得(ロシア語・フランス語) 1970年エディンバラ大学Ph.D. 取得(言語学) 1967年よりエディンバラ大学講師、1997年から2003年までエディンバラ大学言語学科教授(Personal Chair, Linguistics and Spoken Language)、2003年から2007年までオークランド大学(New Zealand)認知言語学教授、2007年からエディンバラ大学名誉教授。専門は文法論・意味論・話しことばと書きことばの文法と談話・言語獲得・スコットランド語[英語]

[監訳者]
岸本 秀樹(きしもと ひでき)
神戸大学大学院人文学研究科教授。神戸大学大学院文化学研究科修了(学術博士)。専門は統語論、語彙意味論。

[訳者]
吉田 悦子(よしだ えつこ)
滋賀県立大学人間文化学部教授。エディンバラ大学Ph.D.(言語学)。専門は語用論、談話分析、職場談話研究。

久屋 孝夫(くや たかお)
西南学院大学名誉教授。広島大学大学院文学研究科修了(文学修士)。専門は歴史社会言語学。

三浦 香織(みうら かおり)
九州産業大学国際文化学部教授。エディンバラ大学Ph.D. (言語学)。専門は統語論、語彙意味論。

久屋 愛実(くや あいみ)
立命館大学文学部准教授。オックスフォード大学Ph.D. (Comparative Philology and General Linguistics)。専門は言語変異・変化。



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