ひつじ書房 日本における言語社会化ハンドブック クック峯岸治子・高田明編 ひつじ書房 日本における言語社会化ハンドブック クック峯岸治子・高田明編
2023年10月刊行

日本における言語社会化ハンドブック

クック峯岸治子・高田明編

定価3000円+税 A5判並製カバー装 354頁

ISBN978-4-8234-1049-9

ブックデザイン 三好誠(ジャンボスペシャル)

Japanese Handbook of Language Socialization

Edited by Haruko Minegishi Cook and Akira Takada


ひつじ書房



【内容】
人類学、言語学、心理学、社会学などが交叉する領域で近年発展し、注目されている「言語社会化」アプローチの古典と最新の研究をまとめて紹介する本邦初の書籍。言語社会化の研究は、文化的新参者が「文化の文脈」と関連させつつ「状況の文脈」をどのようにとらえるのか、またそうしたとらえ方を文化的熟練者がどのように示唆するのかを明らかにする。これにより、「言語を使うための社会化」と「言語を使うことを通した社会化」を結びつけながら追究する。


【目次】
総論

序章 日本語・日本文化に関する言語社会化研究概観
高田明 クック峯岸治子
1. 言語社会化理論
2. 初期の研究
3. 主要な研究
4. 問題と今後の課題
5. 本論集の概要
6. トランスクリプションで用いられる記号

第1部 翻訳編

第1章 言語社会化が文法発達にもたらす影
エレノア・オックス バンビ・シェフェリン (園田浩司訳)
要旨
1. 提案
2. 言語を獲得する者の文化的風土
3. 子どもの文法形式にかかる文化的風土
4. 子どものコード選択をめぐる文化的風土
5. 文法発達の文化生態学に向けて

第2章 日本語におけるコミュニケーションのスタイルの習得
パトリシア・クランシー (本間邦彦訳)
要旨
1. 序論
2. 日本語におけるコミュニケーションのスタイル
3. 習得
4. 聴くことと応答
5. 行為指示
6. 共感性を育む訓練
7. 同調の訓練
8. 「ノー」と言うこと
9. 総括と結論

第3章 パプアニューギニア、ボサヴィ社会における言語のキリスト教化と文化の脱–場所化
バンビ・シェフェリン (金子亜美訳)
要旨
1. 連続性/不連続性、そして既存の範疇
2. 枠付けなおすことと定位しなおすこと
3. ボサヴィの住人とアジア太平洋キリスト教ミッションの略歴
4. ボサヴィは場所から空間へシフトする
5. 宣教のメッセージに対する現地の応答
6. 「地上のもの」
7. キリスト教徒になることを示す新たな社会範疇
8. 結論
謝辞

第4章 職場における言語社会化
セリア・ロバーツ (中野隆基訳)
要旨
1. 導入
2. 社会化の場としての職場
3. 「新たな労働の秩序」
4. 「言語的ペナルティー」
5. 多言語使用の職場への社会化
6. 結論

第2部 論文編

第5章 日本における言語社会化と「責任」の文化的形成
高田明
要旨
1. はじめに
2. 「お腹の赤ちゃん」をめぐる参与枠組み
3. 指さしによる注意の共有
4. 行為指示をめぐるコミュニケーション
5. ものの移動による環境の更新
6. 感情語彙による道徳性の社会化
7. 物語りによる注意、感情、道徳性の組織化
8. まとめ

第6章 デジタル社会の言語社会化: スカイプ・ビデオによる三世代家族会話を事例に
砂川千穂
要旨
1. はじめに
2. 遠隔地間コミュニケーションと言語社会化
3. データ収集と分析方法
4. ウェブカメラの前に立つ: ウェブカメラを介した共同操作領域
5. スカイプ・ビデオ会話における「ありがとう」表現の実践
6. 養育者の促しと参与者の関与促進
7. まとめ

第7章 言語社会化と物語り: オーストラリア在住日本人家族の夕食時の会話を中心に
武井紀子 マシュー・バーデルスキー
要旨
1. はじめに
2. 先行研究
3. 研究方法
4. 日本人に関する物語り:自己と他者の比較・対比
5. おわりに
謝辞

第8章 学習者の行為主体性が第二言語語用論能力に及ぼす影響
池田麻衣子
要旨
1. はじめに
2. 言語社会化理論
3. 第二言語語用論習得と学習者の行為の主体性
4. データと方法論
5. 分析結果
6. おわりに

第9章 新人は何も知らない: 日本の会社における「社会人」への言語社会化
クック峯岸治子
1. はじめに:職場の言語社会化
2. 「美の労働」と日本の職場における言語社会化
3. データと方法
4. 分析
5. まとめ

第10章 国内企業と外国人留学生の採用: 就職のための「キャリア教育」に見える言語社会化
池田佳子
要旨
1. はじめに: 日本国内の外国人留学生の就職にかかわる現状
2. 社会言語化の観点でみたキャリア教育
3. 留学生のためのキャリア教育の中の言語社会化
4. おわりに

原著者・執筆者・訳者紹介
索引

   


【編者紹介】
クック峯岸治子(くっくみねぎしはるこ)
ハワイ大学マノア校東アジア言語文学科教授
Cook, Haruko M. (2021) Referential and non-referential (im)politeness: The trainer’s speech in a new employee orientation in a Japanese company.East Asian Pragmatics 6(1): pp.109-134.
https://doi.org/10.1558/eap.18239
Language socialization and stance-taking practices. In A. Duranti, E. Ochs, and B. B. Schieffelin (eds.), The Handbook of Language Socialization. (2012) Malden, MA: Wiley-Blackwell, pp.296–321.

高田明(たかだあきら)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授
『相互行為の人類学─「心」と「文化」が出会う場所』(新曜社 2019)
『子育ての会話分析─おとなと子どもの「責任」はどう育つか』(共編 昭和堂 2016)



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