ひつじ書房 マンガ学からの言語研究 「視点」をめぐって 出原健一著 マンガ学からの言語研究 「視点」をめぐって 出原健一著
2021年3月刊行

未発選書 28

マンガ学からの言語研究

「視点」をめぐって

出原健一 著

定価3500円+税 四六判上製 260頁

ISBN978-4-8234-1048-2

ひつじ書房

Reconsidering “Perspectives” in Language from the Perspective of Manga Studies
Idehara Ken-ichi



【内容】
認知言語学とマンガ学。一見、関連性がないように見えるが、実はどちらも「視点」がキーワードとなっている。認知言語学では主観的な視点と客観的な視点が主に議論されるが、マンガにはさらに多様な「視点」が存在する。本書ではマンガ学の視点概念を用いて、日本語のルビと英語の自由間接話法を中心に分析し、言語研究全般に援用できるよう新たな視点理論の提案を試みる。

【目次】

はじめに

第1章 言語学とマンガ学の接点を求めて
 本書の目的

第2章 認知言語学は視点をどう取り扱ってきたか
2.1 「言語学」とは?
2.2 謎を解くための仮定(1)―生成文法理論―
2.3 謎を解くための仮定(2)―認知言語学―
 2.4.1 一般認知能力の「語の意味」への反映
  2.4.1.1 必要十分条件からプロトタイプへ
  2.4.1.2 図と地
 2.4.2 一般認知能力の「文法」への反映
 2.4.3 認知言語学における「視点」「視線」
  2.4.3.1 「視線」から「主体化」へ
  2.4.3.2 主体化
  2.4.3.3 言語化する際の「視点」

第3章 マンガ学における視点論
3.1 マンガ学とは
3.2 マンガ表現論
3.3 竹内オサムの視点論―同一化技法―
3.4 泉信行の視点論
 3.4.1 泉(2008a)の視点論
 3.4.2 誰でもない者の視点
 3.4.3 誰かの視点
 3.4.4 誰でも視点

第4章 マンガ学の視点論と言語学の視点論の融合
4.1 野村(2016)の意義
4.2 新たな視点理論の構築へ向けて

第5章 ルビと視点 マンガやライトノベルに見られる拡張的ルビ
5.0 ルビ以前―様々な見解の併記―
5.1 先行研究
5.2 「視点」から見たルビの分類
5.3 引用文献
5.4 データの分類・分析
 5.4.1 主観的把握の表現に客観的把握のルビ
 5.4.2 客観的把握の表現に主観的把握のルビ
 5.4.3 複数の視座が関わる事例
 5.4.4 連動型
5.5 拡張的ルビの効果
5.6 黒田(2016)、朽方(2017)
5.7 ルビと話法

第6章 話法と視点 
6.1 序
6.2 英語の話法
6.3 先行研究
 6.3.1 Brinton(1980)
 6.3.2 O’Neill(1994)
 6.3.3 自由間接話法の分析に向けて
6.4 自由間接話法と共同注意
 6.4.1 自由間接話法の「キュー」
 6.4.2 これまでの引用例
 6.4.3 知覚表現
 6.4.4 行為表現
 6.4.5 判断表現
 6.4.6 表現される順序と認知プロセス
 6.4.7 例外的(?)事例
 6.4.8 自由間接話法と同一化技法
 6.4.9 エコー発話
 6.4.10 第6章前半のまとめ
6.5 日本語の自由間接話法
6.6 自由間接話法の視点
 6.6.1 話法の視点
 6.6.2 英語の自由間接話法と身体離脱ショット
 6.6.3 日本語の自由間接話法の視点
 6.6.4 自由間接話法とは
6.7 最近の研究
6.8 自由間接話法と拡張的ルビ
6.9 まとめ

終章 今後の視点論の展望


参考文献
謝辞
索引

   


【著者紹介】
出原健一(いではら けんいち)
〈略歴〉1970年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士前期課程修了。修士(文学)。1995年信州大学人文学部助手、1998年滋賀大学経済学部講師、助教授・准教授を経て2017年より同教授。専門は認知言語学。
〈主な論文〉Aspects of Prepositional-Subjects(KLS 19, 1999)、「Goの意味論—認知論的視点から」(『認知言語学論考』6、2007)、「ルビと視点—ライトノベルを中心に」(『日本認知言語学会論文集』15、2015)、「自由間接話法の認知プロセス—マンガ学を手掛かりに(前)」(『滋賀大学経済学部研究年報』23、2016)


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