ひつじ書房 女性作家は捉え返す 女性たちの物語 西田谷洋著 ひつじ書房 女性作家は捉え返す 女性たちの物語 西田谷洋著
2020年9月刊行

未発選書 27

女性作家は捉え返す

女性たちの物語

西田谷洋著

定価3600円+税 四六判上製 416頁

ISBN978-4-8234-1047-5

ひつじ書房

Reviewing Women Writers: Narratives of Women
Nishitaya Hiroshi


【内容】
児童文学の女性作家たちはどのような物語を紡ぎ出したのだろうか。児童文学は一見子供向けとされるが、実際には別世界への飛翔だけでなく、時にメランコリックで無気力な人物を描き、死や記憶にまつわる物語が編まれていた。本書は、教科書教材に採用されることも多い安房直子・あまんきみこ・小川洋子の作品と共に、吉本ばなな・山内マリコの小説、岡田麿里脚本のアニメ、香魚子の少女漫画を取り上げ、女性児童文学の様相を探る。



【目次】

はじめに

序 読解の方法

Ⅰ 安房直子

1 創作の方法
2 時間と共同体―小学校童話教材
3 スペクタクルと覚醒―中学校教材
4 無気力なファンタジー

Ⅱ あまんきみこ

1 不可視を可視化すること―あまんきみこの世界
2 日常空間のファンタジー性、あるいは空間の変質―『鳥よめ』『空の絵本』
3 比喩と虚構―「わたしのかさはそらのいろ」「おかあさんの目」
4 物語の効能と主体形成―「いっかい話、いっかいだけ」「青い柿の実」「夕日のしずく」
5 外部空間化された意識・記憶―『だあれもいない?』
6 夢・白昼夢の物語―「口笛を吹く子」
7 連作による幻想長編の構成―『北風をみた子』
8 メタフィクションの挑戦―『もうひとつの空』

Ⅲ 儀礼・儀式とステージ

1 透明と障害―香魚子
2 輝くことの物語と過剰―劇場版『花咲くいろはHOME SWEET HOME』
3 終わらないことの夢想―吉本ばなな
4 らしさを生きる/らしさに抗う―山内マリコ

Ⅳ 小川洋子

1 虚構の民俗的カテゴリー―「百科事典少女」
2 グロテスクのゆくえ―「愛されすぎた白鳥」「果汁」
3 媒介者の機能―「缶入りドロップ」「トランジット」「博士の愛した数式」「巨人の接待」「ハキリアリ」
4 プロットの修辞学―『アンジェリーナ』
5 パサージュと窪み―『最果てアーケード』


あとがき
初出一覧
索引


   


【著者紹介】
西田谷洋(ニシタヤ ヒロシ)
〈略歴〉1966年生まれ。金沢大学大学院社会環境科学研究科修了。博士(文学)。富山大学人間発達科学部教授。 〈主な著書〉『政治小説の形成』(世織書房、2010)、『ファンタジーのイデオロギー』(ひつじ書房、2014)、『テクストの修辞学』(翰林書房、2014)、『文学研究から現代日本の批評を考える』(編著、ひつじ書房、2017)、『村上春樹のフィクション』(ひつじ書房、2017)ほか。


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