ひつじデジタルでしいり絵日誌

1999年11月01日(月)
 天気:くもり
ひるめし:お弁当
担当者:ゆきこ
 
かうちひつじ

虫談義

 さすがに11月です。この頃、朝晩肌寒い日が続きます。学校でもみんな服装が黒っぽくなってきて、ちょっと寂しげな感じです。
 ところで、今日、ひつじに来たら、それとは対照的に、のんちゃんが、ぎんぎんに光っているカラフルなシールで一心に遊んでいました。そのシールには、虫シリーズのものもあって、蝶やてんとう虫といった可愛らしいものから、蛾、蜘蛛、小バエ、挙げ句の果てにはのみまでが登場していました。そこで、「てんとう虫って、つぶすと黄色い汁が出るんだよね。」という話が出て、私はちょっとイヤなことを思い出してしまいました。のんちゃんが持っている虫シリーズのシールにもしっかり登場していた、青虫くんの思い出です。
 あれは、いつのことだったか、家の庭のパセリに青虫が何匹もついてしまったことがありました。そして、パセリはすっかり食べ尽くされて、一匹の青虫が、さなぎになる前に餌がなくなってしまったのです。すると、私の母が、「まぁ、かわいそうに。」といって、苺パックに、わざわざ買ってきたパセリを入れて、青虫を家の中で飼い始めたのでした。もちろん、家中が反対しました。「そんな、せっかく育てていたパセリを食べ尽くされた上に、そこまで情けをかけてあげることはないじゃないか。」「野生のものはほっといてあげた方がいいんじゃないの?」と。しかし、母は「だって、このままじゃぁ死んじゃうかもしれないじゃない。」と言い張り、苺パックはそのまま窓際に置かれ、青虫は母の愛を受けて(?)日に日に大きく、まるまると大きくなっていったのです。ところが、ある朝。カーテンを開けようとした母が、突然、「ぎゃっ!」という悲鳴をあげました。何事かと思って、立ちすくんでいる母のそばまで駆け寄ってみると、苺パックの中には、母がわざわざ八百屋さんから買ってきた、無農薬パセリだけがむなしく残っておりました。かわいそうな青虫くんは、もちろん、母の足の下に。
 「そのまま庭に置いておけばちゃんと育ったかもしれないのに、かわいそうに、さなぎになる一歩手前で殺されちゃって。だいたい、何で苺パックに蓋しないかなぁ。」みんなに責められて、母はさすがに落ち込んでおりました。やっぱり、野生のものは変に人間の手を加えてしまうよりもそっとしておいてあげた方がいいのではないかとつくづく感じた一件でした。ただ、そんな母のおかげか、私はみみずでも蜘蛛でも、全然平気な子に育ったので、それはちょっと感謝しています。今日見たところによると、のぞみ嬢も(というか、ひつじのみんなも)そのようで、ちょっと嬉しかった私です。虫と言えばファーブルという有名なフランス人の学者がいますが、本国のフランスでは知らない人が多いようです。なんでも、フランス人はそんなに小さいものにまで興味を示さないとか。そういう話を聞くと、「虫だって一生懸命生きているのに、それはあんまりひどいじゃないか。」と、虫が不敏に思えてきてしまいます。いつかフランスに行く機会があったらぜひともこの事実を確かめてこなければと少々意気込んでしまう私でした。


       
○○からのコメント
(ハンコ)

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