宮崎駿の『風の谷のナウシカ』に「森の人」というのが、出てくる。人が、呼吸できない汚染された森である腐海の中で、普通は人々を襲う巨大な虫たちをも手なずけている人々である。なぜ、そのようなことができるかというと、腐海の秩序にしたがい、火を使わず腐海のルールを守って聖者のように、生きているからだ。
出版界も、腐海のようなところかもしれない。普通の人々の常識が通じないし、命や倫理すらそこでは奪われてしまうこともある。
書籍は、神聖なものでもあり、汚らわしいものでもある。シクシクの本もあれば、ウピャーなものや、エヘヘのものもある。単にこの世界に順応してしまうのではなく、全く新しい世界を模索したい。
私はあえて、商品としてパワーのある角川のような本を本と呼ぶことにする。われわれの様なところの出すマイナーなものは、書店でもなかなか(売り物の)本としても認めてもらえないのであるから、ホンと呼ぶことにする。私は、ホンの人になろう!
(1998.1.20 房主)