本書は、農民文学および産業組合という観点から、1920-30年代に農村の人々が地域や個人を主体とした独自の文化を生んだことを明らかにする。宮沢賢治を中心に地方のアマチュア作家や投書家の表現、および産業組合の関連から賀川豊彦や平塚らいてうを扱った。農村の人々のなかには、仕事や雑事に明け暮れる日々のなかで、頭をひねって原稿用紙に向かった人がいた。本書は、彼らの表現が地域の暮らしから生まれたことを、浮かび上がらせようとする。
牧千夏著『農村青年の文学 昭和初期の農村アマチュア作家と宮沢賢治』
「ている」は食の話題よりも、ドラマ、アニメ、動画などの話題を話している時に多く出現する。間投助詞の「さ」は話題が難しくなると出現頻度が高まる。本書はこれまで扱われてこなかった「話題」に注目し、「話題の言語学」を開拓しようという挑戦である。編者らが構築した言語資源の解説と、日本語教育・日本語学の観点からの論考を収録。
執筆者:石川慎一郎、太田陽子、加藤恵梨、小口悠紀子、小西円、澤田浩子、清水由貴子、建石始、中俣尚己、橋本直幸、堀内仁、森篤嗣、山内博之
中俣尚己編『話題別コーパスが拓く日本語教育と日本語学』
近代における漢字文化圏の最も顕著な言語現象の1つとして、西洋文化を導入するための新漢語の成立があげられる。本書では、これまでの研究ではあまり触れられることのなかった具象概念を表す新漢語をとりあげ、成立過程を考察する。それにあたり、人的交流によって成り立った幕末·明治期の遣外使節団の西洋見聞録類、また、西洋から取り入れられた物の導入を記す公的記録資料の新漢語研究における資料的価値も明らかにする。
張春陽著『新漢語成立史の研究』
日本語史研究は、資料の読解とそこから取り出した言語形式の集計と分析を重ねる方法によって、発展してきた。近世語はその資料性において多様な様相を示すが、本書は近世語研究にコーパスを用いた方法論を取り入れることで、新たな展開を呼び起こす。また、資料性という観点から『日本語歴史コーパス 江戸時代編』の設計思想を平易に解説する。
執筆者:岡部嘉幸、村上謙、矢島正浩、村山実和子、橋本行洋、銭谷真人、髙谷由貴、北﨑勇帆、市村太郎、片山久留美、宮内佐夜香、上阪彩香、常盤智子、小木曽智信、松崎安子
岡部嘉幸・橋本行洋・小木曽智信編『コーパスによる日本語史研究 近世編』
認知言語学の最先端の論文を継続的に掲載するシリーズ第17巻。国内外の第一線の研究者の論文を掲載し、多岐にわたる認知言語学や関連する言語学の最新研究成果が交流する。【目次】井上拓也 生態学的意味論の構築/高橋英光 英語の行為指示文と談話構造/椹木幹人・上原聡 日本語時空間メタファーの包括的研究/松浦光 事象構造メタファーにおける「流れ」と評価性/小松原哲太 比喩の構文としての直喩/田中悠介 事態把握の選好性に対する理論的および認知科学的検討/木原恵美子 英語学習者による会話へのグッドイナフ・アプローチ/小林隆 I don’t knowの意味の広がりを認知文法でとらえる/伊藤薫・土屋智行 make NP構文における冠詞の選好と形容詞を含む構文の融合が与える影響/安原和也 ことば遊び現象とプロファイリング/金杉高雄 理論言語学史
山梨正明編『認知言語学論考 No.17』
これまで、言語研究において西洋言語研究の前提として扱われてきた語というものがある。しかし、当然と見なされてきた「語」というものについて、アジアの言語も視野に入れて類型論の視点から問い直す。数年間開催した研究会を踏まえて「語」の本質を再検討し、語を問い直し、言語学自体を問い直すことにもなり、あらたな議論を呼び起こす。執筆者:秋田喜美、韋彤、窪薗晴夫、定延利之、下地理則、沈力、堀博文、星英仁、山越康裕、由本陽子、渡辺己
沈力編『類型論から見た「語」の本質』
研究書出版をお考えの方へ
研究書出版をお考えの方のご相談にのります。日本語学、言語学に限らず、文学研究、文化研究、認知科学など、さらには文理を越えた言語や文化に関わる研究者の方のご相談を承ります。
ひつじ書房のオフィスに直接お越しいただく以外にも、Zoomなどでのリモートでの相談も可能です。さらに研究書に加えまして、教科書の出版についてのご相談も受け付けます。複数著者による論文集のご相談もできます。若手の研究者グループの萌芽的な論集の相談も歓迎します。
2023年11月6日(月)~2024年1月26日(金)
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大特価感謝セール2023
言語コーパスや音声・映像などの多様な言語・非言語データをベースに、言葉やコミュニケーションに関わる言語の諸相を分析した研究書。語彙や構文、会話と語り・文法形式、会話表現・談話標識、意味拡張や言語接触、会話パフォーマンスや日本語母語話者と非母語話者の相互行為能力など、言語・非言語データをもとにした言語研究のアプローチ方法を示す。
執筆者:内田諭、大津隆広、大橋浩、土屋智行、冬野美晴、松村瑞子、山下友子、山田明子、山村ひろみ、横森大輔、劉驫、Edmundo Cruz Luna
大津隆広編『データを用いたことばとコミュニケーション研究の手法』
従来、もっぱら文章とりわけ文学的文章に対して行われてきたレトリックに関する研究が、近年は語用論的な研究の進展にともない、談話一般さらには方言にも及ぶようになってきつつある。本書はそのような流れに棹さして、日本各地の方言における、とくに比喩やオノマトペの実態を明らかにし、さらに、これまでは対象外にされてきたといえる、手話語や書という、位相を異にする分野のレトリックの如何にも言及を試みたものである。
半沢幹一著『方言のレトリック』
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自閉症児が終助詞「ね」を全く使わないという、衝撃的な綿巻徹の1997年の報告にinspireされた言語学と医学領域の研究者が協同して自閉スペクトラム障害における終助詞使用の研究に取り掛かった。カートグラフィーの創始者であるリッツィが理論を解説(日本語訳 遠藤)、その理論を遠藤が日本語終助詞に応用する。
執筆者:木山幸子、和田誠、遠藤喜雄、Luigi Rizzi、幕内充、他
幕内充編『自閉スペクトラム症と言語』
本書は日中関係及び日本社会における対中世論の現状とその問題点を踏まえ、中国の一般国民が認識している「日本」の全体像を体系的・学術的に提示することを目的としている。「認知」と「評価」、「感情」、「行動意図」という4つの要素から中国人が抱く「日本イメージ」を再定義し、その構造内部における力学関係、またその形成過程において「内的心理要素」と「外的情報源」の種々の規定要因が果たしている役割を実証的に考察することを試みた。
江暉著『現代中国人に日本はどう「イメージ」されるか メディアが構築する21世紀の日本』
人類学、言語学、心理学、社会学などが交叉する領域で近年発展し、注目されている「言語社会化」アプローチの古典と最新の研究をまとめて紹介する本邦初の書籍。言語社会化の研究は、文化的新参者が「文化の文脈」と関連させつつ「状況の文脈」をどのようにとらえるのか、またそうしたとらえ方を文化的熟練者がどのように示唆するのかを明らかにする。これにより、「言語を使うための社会化」と「言語を使うことを通した社会化」を結びつけながら追究する。
クック峯岸治子・高田明編『日本における言語社会化ハンドブック』
本書の目的は、英語教育の新理論を提案することにある。統合型の外国語教育を効果的かつ効率的に展開していくに当たり、その理論的基盤となる、文章の理解と作成のメカニズムを解明する。現在、マルチモーダルとしての電子機器使用が一般化している。多感覚器処理に関する認知科学の研究成果に基づき、聴覚・視覚情報処理及び思考過程に焦点を当てながら、単語、句、文を超えた、文章レベルの理解と創作の関係性を探究していく。
中森誉之著『Integrated Skills Development: Comprehending and Producing Texts in a Foreign Language』
近年のAIの発達により、言語学も変革を迫られている。これまで不可能だったことがAIによって着実に実現されていく。言語学の課題はAIによってすべて解決されてしまうのだろうか。本書は、長年ラネカーの認知文法理論の研究を行ってきた著者が、言語理論を繙きながらディープラーニング以降の理論言語学および語学教育の在り方について提言を行う。AI研究と言語研究の共進化を目指して。ウェブマガジンでの連載に大幅な加筆修正をして書籍化。
町田章著『AI時代に言語学の存在の意味はあるのか? 認知文法の思考法』
本書は、日本語及び近隣言語に焦点を当て、これらの言語における文法化の特徴の解明に取り組んだものである。日本語では、漢文訓読からの文法化や、接続詞の文法化、係り結びと文法化、さらに理論面では文法化と(間)主観化・類推など、多様な側面から文法化現象が取り上げられ、近隣言語では琉球語と中国語が日本語にはない文法化の様相を見せており、今後の研究の土台となる。執筆者:青木博史、北﨑勇帆、小柳智一、ジスク マシュー、柴﨑礼士郎、下地理則、髙橋圭子、ナロック ハイコ、東泉裕子、宮地朝子、李佳樑
ナロック ハイコ・青木博史編『日本語と近隣言語における文法化』
特集「方言の計量的研究」として論文5本、そのほかに論文1本、資料・情報1本、解説「方言研究の方法」「方言学を支えた人々」各2本を掲載する。特集論文はアクセント、コーパス言語学、接触言語形成、意味変化、言語意識と幅広いテーマを含む。
執筆者:相澤正夫、五十嵐陽介、岩田礼、大塚貴史、小川潤、奥村晶子、乙武北斗、菅野倫匡、久保薗愛、佐藤道大、高田三枝子、高丸圭一、田中ゆかり、谷口ジョイ、友定賢治、中川奈津子、新田哲夫、林直樹、前田忠彦、松本和子、峯尾海成、宮川創、山岸祐己、横山晶子、吉田さち
日本方言研究会『方言の研究 9 特集 方言の計量的研究』
手話話者の権利を訴えた『手話を言語と言うのなら』(2016)が刊行されて7年が経つが、日本手話を第一言語とするろうの子どもたちが学ぶ環境は依然として厳しい状況のままである。札幌聾学校において日本手話で学ぶ権利を求める訴訟が起こる中、国内外のろう・聴の研究者がともにその専門的見地からろう教育における自然言語としての手話の重要性を訴える。
執筆者:オードリー・クーパー、菊澤律子、クリステル・フォンストロム、佐々木倫子、佐野愛子、ジム・カミンズ、杉本篤史、田中瑞穂、デボラ・チェン・ピクラー、戸田康之、富田望、ポール・ドゥディス、松岡和美、明晴学園、森壮也
佐野愛子・佐々木倫子・田中瑞穂編『日本手話で学びたい!』
辞書も教科書もない時代に日本語を学んだ西洋人と西洋語を学んだ日本人には、ある共通点があった。彼らは書き言葉としての中国語を用いていた。ペリー一行もヨーロッパの日本語学者もまた福沢諭吉の英学への取り組みも、漢文に支えられていた。日本と西洋が出会った歴史的場面で、未知の言語を話す相手を前に双方がどのようにサブチャンネルを活用したのか、本書は知られざる日欧の交流史を言語に焦点をあてて紹介する。
小川誉子美著『開国前夜、日欧をつないだのは漢字だった 東西交流と日本語との出会い』
英語教育をよい方向に導き、英語授業や学習をより魅力的にするには、質的研究が望ましいと考える。量的研究を否定するのではなく、実践的に英語教育を含めた言語教育や教育全体を改善するには、多面的な研究や実践がもっと必要である。そのための一歩として、小中高で英語教育に携わる教師や教師を目指す人に、質的研究をより身近に考えてほしいと意図し、本書を作成した。
執筆者:笹島茂、玉井健、柳瀬陽介、宮原万寿子、上條武、飯田敦史、末森咲、守屋亮
笹島茂・宮原万寿子・末森咲・守屋亮編『英語授業をよくする質的研究のすすめ』
グローバル化とともに激変する世界の中で、難しい位置に立つ文学。もはや日本、中国といった単体で考える意味は薄れている。創作の現場で作家はどのような問題に直面し、研究者はそれをどう捉えることができるのか。日本と中国の最先端で活躍する作家・研究者が文学の現状と未来を語り尽くす。
執筆者:酒井直樹、古川日出男、閻連科、秦剛、ジャンルーカ・コーチ、高榮蘭、鳥羽耕史、千野拓政、王暁明、王宏志、王風
千野拓政・鳥羽耕史編『新世紀の文学研究 一国主義を超えて』(ポストコロニアル時代の人文学と東アジア文化圏 2)
一般に、小説に代表される散文芸術を特徴づける言語表現には様々な描写の技巧が関わっている。本書は、認知言語学の視点から、特に小説を特徴づける描写の主観性と客観性の側面に焦点をおきながら、文学テクストの創造性に関わる修辞技巧の問題を考察していく。小説の表現技巧の研究に貢献するとともに、叙述と描写に関わる文体論の基礎研究として重要な知見を提供する。また、小説の作品論と作家論の研究にも新たな視点を提示する。
山梨正明著『小説の描写と技巧 言葉への認知的アプローチ』
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日本語学、言語学に限らず、文学研究、文化研究、認知科学など、さらには文理を越えた言語や文化に関わる研究者の方のご相談を承ります。
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日本近代文学研究におけるフェミニズム・ジェンダー研究の問題意識と成果を、文学史に目配りしながら解説し、主要なテーマを扱った小説について、あらすじやみどころを紹介する。気になる問題が描かれた小説を読んでみたい方、小説をフェミニズム・ジェンダー論で分析してみたい方のための入門書。執筆者:飯田祐子、泉谷瞬、井原あや、大串尚代、小平麻衣子、康潤伊、木村朗子、久米依子、倉田容子、黒岩裕市、笹尾佳代、篠崎美生子、武内佳代、竹田志保、徳永夏子、内藤千珠子、中谷いずみ、堀ひかり、光石亜由美、村上陽子、米村みゆき
飯田祐子・小平麻衣子編『ジェンダー×小説 ガイドブック 日本近現代文学の読み方』
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初版刊行後要望の多かった「文字・表記」の章を加えリニューアル。日本語学の諸分野を包括的にカバーする入門書。音韻、文法、語彙、表記、文体の共時的・通時的記述とともに方言やコーパス、日本語学史、理論的研究についても解説。簡潔ながらも要点を押さえた記述で諸分野の導入を図るとともに読書案内も付し、ますます日本語学が学びたくなる一冊。執筆者:五十嵐陽介、平子達也、衣畑智秀、金愛蘭、橋本行洋、澤田浩子、田中牧郎、平塚雄亮、佐野真一郎、窪田悠介、山東功
衣畑智秀編『基礎日本語学 第2版』
本書は、あたかもレトリックの代表のようにしばしば取り上げられながらも、あくまでも隠喩の添え物のような扱いしかされてこなかった直喩について、あらためてその正当な位置付けをするために、従来の直喩論に関する批判的な検討と、直喩とみなしうる日本語の表現例に関する詳細な分析とをとおして、その独自の特徴を明らかにしようとする試みである。著者:稲益佐知子、菊地礼、長沼英二、半沢幹一、松浦光、三田寛真
半沢幹一編『直喩とは何か 理論検証と実例分析』
ポライトな言葉は予定的に調和するが、インポライトなそれは隠微に絡み合う。21世紀以降、インポライトネスが言語研究者らを惹きつけているが、建前と本音を分ける日本では、未だ数えるほどしか研究がない。待たれていた初のインポライトネス論集として、漱石作品やママ友のバトルを解剖し、悪態・毒舌・ディスりを剔抉、善意が悪意に転じる契機を捉える。
執筆者:阿部公彦、大塚生子、佐藤亜美、椎名美智、滝浦真人、福島佐江子、柳田亮吾
滝浦真人・椎名美智編『イン/ポライトネス からまる善意と悪意』
児童生徒を主体とした国語学習においては、児童生徒自身による「言語活動を納得できるようにやり遂げるための解決策や計画をどうするか」や「自分は何ができるようになるのか」に主眼を向けるべきと考える。児童生徒自身が主体的に生きていくための言語活動を教室で学ぶ言語活動によって実現することを目的においた新しい国語科教育の教科書。現場の教師の問いにこたえていくことにより新しい言語教育を提言する。学習指導要領に準拠。
達富洋二編著『ここからはじまる国語教室』
このたび、「【出版記念イベント】サイエンスコミュニケーションとアートを融合する」を開催します。
アートを広報手段、サイエンスを単なる表現のためのテクノロジー、とお互いの活動の表層だけをすくいとる道具的な連携を超えて、共創的連携を生み出すための観点について語り合います。
当日は書籍も販売いたします。ぜひおこしください。
日時:2023年4月13日(木)19時-21時
場所:FabCafe Tokyo(渋谷区道玄坂)
登壇者:奥本素子・仲居怜美・パク ヒョンジョン・室井宏仁
参加費:1500円(ワンドリンク付きです)
詳細・申し込みはこちらから
https://fabcafe.com/jp/art-integrated-with-science-communication
主催:北海道大学CoSTEP 協力:ひつじ書房、FabCafe Tokyo
奥本素子編『サイエンスコミュニケーションとアートを融合する』
授業を変えたいと思っている教員に、読解力が高まる習得から活用へと進む「先行学習」型の指導法と、いじめ予防にもつながる授業スキルを提供する。教える側の授業スキル次第で、生徒の読解力と人間力は大きく向上する。いつでもどこでも使える39の授業スキルを手にして指導力を高めよう。『もっとわかる授業を! 「先行学習」のすすめ』(高陵社、2015年)に大幅な改稿を加えた改訂増補版。
鏑木良夫著『読解力を高め自信をつける先行学習 決め手はあなたの指導技術』
初版刊行以降の動向、CEFRの補遺版や新指導要領の実施などを反映して大幅改定。また、新章として外国語教育における多様性と包摂性の問題、批判的応用言語学について論じた章を加える。外国語はどのように習得されるのか、どのように指導するのが効果的なのか、どうすれば能力を正しく測定できるのか…。第2言語(L2)の習得・処理・学習・教授・評価の問題を統合的に位置づけ全体像を示す。外国語教育に関わるすべての人に必携の書。
石川慎一郎著『ベーシック応用言語学 第2版 L2の習得・処理・学習・教授・評価』
現代的な意味論や語用論といった分野は分析哲学から派生したため、言語学と哲学は密接な関係にある。本書は言語学において議論されることが少ないプラグマティズムという哲学の概念が言語分析の基礎概念として機能することを示すと共に、その帰結を論じることを試みる。本書はプラグマティズムに加え、身体性、フレーム理論、ネオ・サイバネティクスといった概念との関係について詳細に論じる初の学際的な研究書でもある。
山中司・神原一帆著『プラグマティズム言語学序説 意味の構築とその発生』
本書の目的は既存の通説を打破して、新しい上田万年像を打ち立てることである。上田万年は称賛するにせよ、批判するにせよ、西洋言語学を日本に導入した人という評価は変わらない。その評価はどこまで正しいのか。そこが本書の出発点である。新村出筆録・柴田武校訂(1975) 『シリーズ名講義ノート・上田万年 言語学』をネット上にある上田が参照したと思われる原書文献と照らし合わせ、上田の西洋言語学理解を検証する。
長田俊樹著『上田万年再考 日本言語学史の黎明』
カスタマー・ハラスメントが近年、注目を集めている。この問題に対しては企業から従業員への対処法教育が解決のアプローチとして主流とみられるが、元より問題が生じにくくするにはどうしたら良いのか。本書はマーケティング・コミュニケーションの観点から、サービス全般への適用可能な示唆を試みた。発達心理学の知見から仮説を設定し、エンタテインメント・イベントを題材に日本と中国で質問紙実験を実施した。
榎澤祐一著『消費者の向社会的行動原理 カスタマー・ハラスメント予防のためのコミュニケーション』
第I部では複合辞に関する研究史について、20世紀までの流れを記述。第II部は文法化の考え方を取り入れながら、複合辞と引用表現との関連性、思考動詞・視覚動詞との接点について論じた。第III部では、複合辞研究と複文構文の関係について取り上げた。第IV部では、体系的に複合辞を俯瞰した従来型の研究を紹介するとともに、最近のコーパスを資料とした網羅的・体系的な研究を取り上げたうえで、複合辞研究のここれからの方向性を模索した。
松木正恵著『複合辞研究 その成り立ちと広がり』
近年、語用論の発展はめざましいものの、歴史語用論や社会語用論に比べ、日本語の地理的側面についての語用論は遅れている。本書はそうした状況を踏まえ、方言学の世界に語用論的な見方を導入し、新たな方言学を切り拓こうとするものである。対象は言語行動、談話に留まらず、オノマトペや感動詞の運用、文法論との接点に及ぶ。また、それらの現象を背後から操る「言語的発想法」の地域差をあぶり出そうとするところに特色がある。
小林隆著『語用論的方言学の方法』
先端的な科学技術が社会に実装される際に、その間をつなぐものがサイエンスコミュニケーションである。そこにアートを取り入れたとき、どのようなコミュニケーションが生まれるのか。本書ではアートとサイエンスコミュニケーションの交差の歴史を紹介しながら、アートを活用した活動のデザインについても触れていく。
執筆者:奥本素子、仲居怜美、朴炫貞、室井宏仁
奥本素子編『サイエンスコミュニケーションとアートを融合する』
本書は、作品を〈読む〉というのはどのような行為なのかという問いから出発し、精緻に読解する方法と技術を習得するとともに、文学研究の知識、資料の集め方、分析の視点を習得するためのテキストである。基礎編「研究へのアプローチ」、実践編「批評理論を用いた分析」の全15章からなり、オンライン授業にも活用できる工夫を凝らした。
執筆者:飯田祐子、石川巧、大木志門、大島丈志、小平麻衣子、金子明雄、川崎賢子、久米依子、高榮蘭、斎藤理生、佐藤泉、出口智之、内藤千珠子、日比嘉高、山口直孝、渡部裕太
石川巧・飯田祐子・小平麻衣子・金子明雄・日比嘉高編『文学研究の扉をひらく 基礎と発展』
幼児の言語発達期に見られる発音の遅れや誤り、機能性構音障害と呼ばれる体系的な誤構音につき音韻理論からのアプローチを試みる書。伝統的古典的生成音韻論から、自然音韻論、素性階層理論、素性不完全指定理論、近年の最適性理論に至る理論の発展に伴い、幼児の誤構音にどのように光が当てられてきたかを、日本語と英語の誤構音のデータを分析の俎上に上げて議論を進める。臨床現場の活動と理論的な分析は車の両輪である。分野横断的で学際的な書である。
上田功著『獲得と臨床の音韻論』
『平家物語』を理論的に読むとはどういうことなのか。従来の作者論、成立論、成立圏、諸本論の整理からの入門書とはちがう角度から、『平家物語』に迫ってみよう。「ジェンダー」「怨霊と鎮魂」「権力」「武士と死」などの物語を構築する諸モチーフから、『平家物語』の世界に分け入っていきたい。と同時に、ゼミでの発表の仕方、卒論の発想の仕方・書き方など、物語へのアプローチの基本的な方法も提示してみる。執筆者:大津雄一、塩山貴奈、本橋裕美、水野雄太、鈴木泰恵、荻本快、樋口大祐、木村朗子、松下健二、高木信
高木信編 本橋裕美編集協力『21世紀日本文学ガイドブック3 平家物語』
英語を日本語に訳す際には、統語構造の違いから、語順の逆転が当然と思われがちである。一方、翻訳の実務や指導においては、語順を保持すべしとされることが多い。本書は、英語から日本語への通訳翻訳における語順処理の問題を多面的かつ包括的に論じた初の研究書であり、通訳翻訳の実務や英語教育における訳のあり方に新たな理論的視点を示す。
執筆者:石塚浩之、稲生衣代、岡村ゆうき、小川陽香、辰己明子、長沼美香子、畑上雅朗、平岡裕資、船山仲他、水野的、溝脇孝哲、山田優
石塚浩之編『英日通訳翻訳における語順処理 順送り訳の歴史・理論・実践』
本書は、アスペクト、否定、モダリティ、行為指示や感謝・謝罪における対人配慮などの、日本語の文法現象と関わる副詞をいくつか取り上げ、副詞を視点として日本語文法史に迫ることを試みたものである。個々の副詞の歴史変化を記述するとともに、それを通して、副詞に見られる文法変化のありようを示し、日本語の歴史の時代的動向についても論じる。語史研究の先にある、副詞の歴史的研究の新たな可能性を実践的に示した書。
川瀬卓著『副詞から見た日本語文法史』
AIによる翻訳によって外国語学習は不要になってしまうのか。本書は、言語学習の成否に大きな影響を与える「学習ストラテジー」と「動機づけ」に注目して、現代社会が求める、機械翻訳では代替できない統合的コミュニケーション能力を育成する英語教育の在り方について論じる。前半で2つのテーマにかかわる諸理論について創造的キュレーション(知的探索と整理)を行ない、後半では理論に関連した実証的研究を報告し、続いて効果的指導について論じている。
大和隆介著『言語学習における学習ストラテジーと動機づけ 理論と実践の創造的キュレーション』
現代日本語の副詞に関する諸研究を整理・検討し、認知言語学の観点を視野に入れ、意図性に関わる副詞的成分22語の副詞における位置付けを提案する。また、従来の優れた意味分析の手法に加え、認知意味論の主要概念を援用し、22語のそれぞれの意味と相互の意味の類似点・相違点を明らかにすることによって、日本語の意味研究に新たな端緒を与えるとともに、他の品詞に比べて遅れをとっている副詞研究のさらなる発展・深化を目指す。
李澤熊著『現代日本語における意図性副詞の意味研究 認知意味論の観点から』
日本語の受身文と中国語の“被”構文に関して、統語的・意味的観点から多くの知見が蓄積されているが、ほとんどは書き言葉を中心とするものであった。本書では、これまで重点的に論じられてこなかった話し言葉における日中受身表現の使用傾向に注目し、その非対称性、述語動詞の類型分布、主語の選択傾向、使用頻度の差などを調査・比較し、意味的機能・談話的機能のどちらをより重視するかという点を軸に、日中受身表現の使用の共通点・相違点の全体像を示した。
陳冬姝著『話し言葉における受身表現の日中対照研究』
2023.1.1
本年もどうぞよろしくお願いいたします。