このたび、『聖書ヘブル詩の並行法 詩行の反復表現が表すもの』の刊行記念イベントを開催します。
聖書に記されている詩(ヘブル詩)を読み解く際に、詩独自の文法に注目することがどうして重要なのか、そもそも詩独自の文法「並行法」とはどのようなものか、著者の津村俊夫先生に解説していただきます。また並行法の研究が聖書学だけでなく、詩学や言語学の分野でどのように活かされるかについてもお話しいただきます。
日時:2023年1月14日(土)13:30-14:15 Zoom開催(参加費無料)
解説:津村俊夫先生(聖書宣教会・聖書学研究所 所長)
聞き手:松本曜先生(国立国語研究所 教授)
*参加希望の方は、【1月13日(金)午後1時】までに下記参加申し込みフォーム(Googleフォーム)よりお申し込みください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeB7R2RAHu-OAuRsT18qUccbPOH5cItGDabM-hgVXH1vr74NQ/viewform
お申し込みいただいた方には1月13日(金)までに、当日のZoomURLをお送りします。当日はそちらのURLからアクセスしてください。
津村俊夫著『聖書ヘブル詩の並行法 詩行の反復表現が表すもの』
文法指導はどうあるべきか? 本書では、教師による一方的な文法説明に代わるものとして、アクティブ・ラーニングを導く課題解決型の文法指導を提案する。具体的には、第二言語習得過程の各々の段階に対応して、意識化指導、認知文法、ディスコース、インプット、アウトプット、タスク、訂正フィードバックの7つの観点から、「気づき」をうながす英語の文法指導の基盤となる理論を解説し、その実践例を紹介する。
島田勝正著『「気づき」をうながす文法指導 英語のアクティブ・ラーニング』
本書は、日本語文法史研究の最新の研究成果を発信する論文集の第6号である。今号では「言語対照」をテーマとする小特集を組んだ。日本語諸方言、琉球語、韓国語、スペイン語といった対照研究の成果4本の他、当該分野の研究の深化を示した研究論文5本、今後の研究の展望を示したテーマ解説と名著紹介、直近2年分の研究文献目録を収めている。
執筆者:青木博史、荻野千砂子、北﨑勇帆、小柳智一、酒井雅史、澤田淳、志波彩子、竹内史郎、三宅俊浩、森勇太、吉田永弘
青木博史・小柳智一・吉田永弘 編『日本語文法史研究 6』
なぜ(ある特定の)人びとは、ただひとつの現実世界に飽き足らず、並行世界というものに強く惹きつけられるのか。並行世界に思いを馳せるとはどういうことなのか。私たちにとって並行世界とはどのような意味を持つのか。本書は、こういった問いの枠組みを、哲学でも心理学でもなく自然科学でもなく、文学研究の立場から考えようとする試みである。それは、個別具体的な作品分析を通じて、並行世界という舞台設定が担う思想的な潜勢力を解き明かす企てともなるだろう。
加藤夢三著『並行世界の存在論 現代日本文学への招待』
研究書出版をお考えの方のご相談にのります。日本語学、言語学に限らず、デジタルスタディ、文学研究、文化研究など、文理を超えた言語・インタラクションに関わる研究者の方の単著、若手の研究者グループの萌芽的な論集の相談も歓迎します。
日本学術振興会の研究成果公開促進費が、博士論文そのままでは申請できなくなっています中で、改稿して出版を目指す方法についてもご相談を承ります。
ひつじ書房に直接お越しいただく以外にも、Zoomなどでのオンラインでの相談も可能です。研究書に加えまして、教科書の出版についてのご相談も受け付けます。
期間 2022年12月12日(月)〜2023年1月27日(金)
詳細はこちら
驚きの声を挙げることに地域差はあるのだろうか。その疑問に答えるべく、感動詞をテーマにした全国1000地点規模の調査を行った。本書はそのデータを分析することで、感動詞の全国的な地域差を明らかにしようとするものである。狭義の感動詞に留まらず、生理音的な発声や動作のかけ声、行為指示・意思表示の表現、さらには挨拶的な言い回しも対象にする。
執筆者:有元光彦、勝又琴那、川﨑めぐみ、櫛引祐希子、小林隆、坂喜美佳、作田将三郎、椎名渉子、竹田晃子、田附敏尚、津田智史、友定賢治、中西太郎、舩木礼子、松田美香
小林隆編『全国調査による感動詞の方言学』
認知文法理論への超入門書。英語で書かれた専門書や論文は敷居が高い。でも英語を使って専門知識を得たいもの。本テキストは平易な英語で認知文法に近づく道案内の書である。Exerciseでは英語で考え、英語でoutputする体験型テキスト。独習も可能。英語の運用力をつけながら理論を体感する構成となっている。教養レベル、専門の英語学・言語学における初学者向きの一冊である。
吉村公宏著『An Introduction to Cognitive Grammar: Basic Readings in English』
ひつじ書房は、正社員を募集します。
短大、大学、大学院既卒、2023年春卒予定の方。未経験者も応募できます。年明けに卒業論文・修士論文提出がある方は、書類は後で応募の表明をしていただければ、選考は提出後でも可とします。
広い意味でインタラクションを含んだ言語の研究および言語教育に関心があり研究に出版人として貢献したいと思う方を募集します。
詳細は以下をご覧下さい。
https://www.hituzi.co.jp/kotoba/kyuujin.html
本書は聖書に記されている詩(ヘブル詩)について、詩独自の文法に注目することで新たな解釈を示す。詩の文法を分析する必要性を唱えた、ヤーコブソンの議論を踏まえて、ヘブル文字をローマ字転写した本文と最新の邦訳聖書を比べながら、漢詩やモンゴル語、スラブ語の詩にも見られる並行法の特徴を、多くの具体例から検討する。聖書学だけでなく、言語学・詩学の研究にも資するところが大であろう。
津村俊夫著『聖書ヘブル詩の並行法 詩行の反復表現が表すもの』
宮古島のことわざ、「んきゃーんじゅく(先人の知恵)」。昔の宮古島の自然と生活風景がことわざの中に残されている。カルタの読み札は、宮古語、日本語、英語の三言語、宮古語はQRコードからさどやませいこさん(1950年生まれの宮古島ネイティブ、ことわざ選定と絵を担当)の声で聞くことができる。付属の解説シートとさらにウェブサイトにことわざや宮古島の先人の知恵について紹介。「んきゃーんじゅく」で宮古島の魅力を満喫できる。
内容:読み札48枚、絵札48枚、解説シート1枚
さどやませいこ絵・ことわざ選定、藤田ラウンド幸世編『んきゃーんじゅくカルタ(宮古島の昔のことわざカルタ)』
コミュニケーションは、話し手の発話意図を巧みに伝え、聞き手が誤解することなく理解できれば成功したと言える。その成功の鍵を握るのが談話標識である。本書では、英語談話標識について、個々の用法を詳細に述べると同時に、英語談話標識の全体像を明らかにしている。談話標識の理解を深めることで、ネイティブスピーカーの「心」が見える。
廣瀬浩三・松尾文子・西川眞由美著(シリーズ監修 赤野一郎・内田聖二)『英語談話標識の姿』(ちょっとまじめに英語を学ぶシリーズ 5)
新刊目録『未発ジュニア 2022年秋冬号』、発送しました。
おてもとに届きましたらぜひご覧ください。
『未発ジュニア 2022年秋冬号』PDF版はこちら
村田和代先生が、ひつじ書房事務所にきてくださいました。
10月に刊行した『レジリエンスから考えるこれからのコミュニケーション教育』をもって記念撮影。村田先生、ありがとうございました。
村田和代編『レジリエンスから考えるこれからのコミュニケーション教育』
コロナ禍で大きくコミュニケーションの有様が変容した状況で、教育も大きく変わらざるを得なかった。予期せぬ困難は、今後も起こりうることを誰しもが感じているが、本書では、教育、とりわけ言語・コミュニケーション教育を「レジリエンス」という側面から考える。今後、我々の経験をどのように生かしていくことができるかも含め多様な領域から議論する。執筆者:松下達彦、秦かおり、池田麻衣子、村田和代、横溝紳一郎、吉田悦子、嶋津百代、熊谷由理、中村香苗、涂銘宏、チャプル・ジュリアン、岡本能里子、柳瀬陽介
村田和代編『レジリエンスから考えるこれからのコミュニケーション教育』
日本語学習者向けの読解教材の作成方法を解説する。実際に読む必要がある日本語を分析し、学習者が読解で難しい点を調査した上で、コミュニケーションに役立つ読解教材をどのように作成すればよいかを提案する。例として取り上げるのは「薬の表示を読む教材」「ネット上のクチコミを読む教材」「白書を読む教材」「論文を読む教材」である。国語教育にも有益。
執筆者:任ジェヒ、王麗莉、加藤陽子、北浦百代、桑原陽子、小西円、塩田寿美子、白石実、蘇鈺甯、中島晶子、野田尚史、松下光宏、山口美佳、山本晃彦、吉本由美
野田尚史・桑原陽子編『日本語コミュニケーションのための読解教材の作成』
多様な記号の反復・対照性・平行性によってもたらされる等価性、すなわち「詩」の原理は、様々なコミュニティ内で指向される「行為の型」を司る原理でもある。伝統儀礼、芸能から、教育、福祉、実業、観光、社会運動まで、我々が実際に身を置く社会に存在する実践を「生活の詩」と捉え直し、社会的行為の根底にある詩的機能の作用を解き明かす。
執筆者:浅井優一、井出里咲子、榎本剛士、梶丸岳、片岡邦好、高梨博子、武黒麻紀子、古川敏明、山口征孝
片岡邦好・武黒麻紀子・榎本剛士編『ポエティクスの新展開 プルリモーダルな実践の詩的解釈に向けて』
好評の『ピア・ラーニング入門』改訂版。ピア・ラーニングとは、仲間(peer)同士で学び合う学習のこと。理論編として、協働の概念を整理し、様々な教育分野で実現された協働の形を紹介した上で、日本語教育における協働のありかたを探る。実践編として、ピア・レスポンス及びピア・リーディングの学習活動の例を紹介し、その意義について検討。さらに、ピア・ラーニングを実践する日本語教師の養成、研修について解説する。
池田玲子・舘岡洋子著『ピア・ラーニング入門 改訂版 創造的な学びのデザインのために』
日本語史研究は、資料の読解とそこから取り出した言語形式の集計と分析を重ねる方法によって、発展してきた。本書は中古語・中世語を対象とし、コーパスの構築や活用を通して実践した成果を集成するものである。中古・中世は従来から歴史的研究の中心であったと言えるが、コーパスを用いた方法論を取り入れることによって、新たな領域を切り拓く。執筆者:岡﨑友子、近藤泰弘、吉田永弘、大木一夫、青木博史、北﨑勇帆、池上尚、渡辺由貴、片山久留美、小木曽智信、松崎安子、鴻野知暁、市村太郎
青木博史・岡﨑友子・小木曽智信編『コーパスによる日本語史研究 中古・中世編』
階層性と意図共有を言語進化の2つの柱として、言語学および脳科学・生物学など各関連分野から未来の言語進化学への提言を行う。本書は、文科省新学術領域研究『共創言語進化』を進める中で組織された「若手の会」メンバーにより企画され、若手による意欲的な論考12編と、領域計画班代表5名によるコメント論文、そして自由闊達な座談会からなる。2022年9月に金沢で開催の国際学会『言語進化合同会議』(JCoLE)開催記念出版。
岡ノ谷一夫・藤田耕司編『言語進化学の未来を共創する』
日本近現代文学で卒論を書こうとしたら、何から手をつけたらよいだろうか。必要な準備、分析の手立て、執筆の進め方は? 本書は、作品研究に重点を置いた、現代の研究環境を踏まえた上での卒論執筆のマニュアルとなる。テーマ決めの段階から提出前の推敲まで、読者をサポートする。執筆者:安部水紀、荒井真理亜、小谷瑛輔、斎藤理生、佐藤希理恵、武久真士、広瀬正浩、松本和也、水川敬章、山田夏樹、𠮷田恵理、吉田竜也、禧美智章、渡邊英理
斎藤理生・松本和也・水川敬章・山田夏樹編『卒業論文マニュアル 日本近現代文学編』
19世紀の成立以来、危機が叫ばれ続けてきた心理学。現在の隆興も、科学性の勝利というよりも、社会と文化の心理学化と心理学の産業化の結果にすぎないと批判するニューマンとホルツマンは、生活の形を変えるためのアートとしての心理学を提案する。それは自然科学を模倣し心の内部を覗き込み測定する科学的心理学を超えて、人々がコミュニティー作りを通して、新しい振る舞い、新しい声、新しい生を紡ぎ出す新しいアプローチだ。原著:Fred Newman and Lois Holzman(著) Unscientific Psychology: A Cultural-Performatory Approach to Understanding Human Life.
フレド・ニューマン、ロイス・ホルツマン著 茂呂雄二監訳 岸磨貴子・北本遼太・城間祥子・大門貴之・仲嶺真・広瀬拓海訳『パフォーマンス・アプローチ心理学 自然科学から心のアートへ』
「プロフィシェンシー」(熟達度)が第一、第二言語使用者の運用能力研究に使われるようになって久しい。非流暢だが自然な日本語、視覚・聴覚障害者や定住外国人の社会エンゲージメント、談話分析、ライティング、e-Learning、教師養成など多岐多様に渡る日本語プロフィシェンシー研究の広がりを著者全員のピアレビュウの後、一挙に披露した珠玉の論集である。
執筆者:東健太郎、麻生迪子、池田隆介、和泉元千春、伊藤亜紀、伊東祐郎、岩﨑典子、宇佐美まゆみ、閻琳、遠藤智子、奥野由紀子、鎌田修、北川幸子、阪上彩子、坂本正、桜井千穂、定延利之、佐藤慎司、島津百代、嶋田和子、白鳥文子、立部文崇、田中真理、塚田智冬、堤良一、中井好男、西川寛之、野山広、長谷川哲子、林良子、范一楠、船橋瑞貴、松田真希子、丸山岳彦、溝部エリ子、三井久美子、山路奈保子、由井紀久子
鎌田修監修代表 鎌田修・由井紀久子・池田隆介編『日本語プロフィシェンシー研究の広がり』
コロナ禍で大きくコミュニケーションの有様が変容した状況で、教育も大きく変わらざるを得なかった。予期せぬ困難は、今後も起こりうることを誰しもが感じているが、本書では、教育、とりわけ言語・コミュニケーション教育を「レジリエンス」という側面から考える。今後、我々の経験をどのように生かしていくことができるかも含め多様な領域から議論する。執筆者:松下達彦、秦かおり、池田麻衣子、村田和代、横溝紳一郎、吉田悦子、嶋津百代、熊谷由理、中村香苗、涂銘宏、チャプル・ジュリアン、岡本能里子、柳瀬陽介
村田和代編『レジリエンスから考えるこれからのコミュニケーション教育』
日時:2022年10月9日(日)10:00~12:00(オープン9:40)
定員:250名(先着順,定員になり次第締め切ります)
参加費:無料 ※要予約,前々日(10/7)17時までに招待URLを送ります。
[講 師]
金澤 裕之 先生(目白大学外国語学部教授)
山内 博之 先生(実践女子大学文学部国文学科教授)
岩田 一成 先生(聖心女子大学日本語日本文学科教授)
橋本 直幸 先生(福岡女子大学国際文理学部准教授)
内容:
みなさんのまわりに「ちょっと気になる一語」はありませんか?
たとえば,ホットケーキの作り方を調べると「20回くらい,大きくさっくり混ぜます。」と書いてありますが,この「さっくり混ぜる」とはどんな混ぜ方なのか。また,ゼミ生から「確かに教授のおっしゃる通り,」と書かれたメールをもらったことがあるのですが,「教授」ではなく「先生」でいいのではないか。
日本語学習者の発話にも「ちょっと気になる一語」があります。「先生,お子さんはいらっしゃいますか?」「はい,1人います。」「そうですか,先生のお子さんならかわいそうですね!」 こんなことを笑顔で言われても困りますよね?
この研修会では,「ちょっと気になる一語」から始める日本語研究についてお話しします。
主催:ひつじ書房/凡人社
お申し込み・詳細は凡人社Webサイト(https://www.bonjinsha.com/wp/event)をご覧ください。
金澤裕之・山内博之編『一語から始める小さな日本語学』
日中対照研究者必携!中日対訳コーパスを利用し、条件文の日中対応状況を可視化する方法を説明した最初の研究書。初心者でも理解できる中日対訳コーパスの構築と研究の方法を紹介。日中対照研究を量的に比較・可視化する新たな研究方法を提示。海外版のWindowsでも使え、数学が苦手な文系の研究者でも統計処理が可能。三種類以上の言語と日本語の対照研究にも応用可で、海外の日本語学習者でも日本語教育者でも使える。
李光赫・趙海城著『条件文の日中対照計量的研究 KH CoderとSPSSを利用した可視化分析』
編者の日高佳紀先生が事務所に来て下さいました。
小説がフィクションであるとはどういうことか──。分析美学の影響下に、ポスト構造主義以降の文学・芸術理論を形成しつつあるフィクション論。欧米の主要な理論的アプローチを概観しながら日本独自の「フィクショナリティ」を照射し、近現代小説の新たな読みを提案する。巻末に「読書案内」としてフィクション論主要文献リストを付す。執筆者:高橋幸平、久保昭博、日高佳紀、河田学、大浦康介、黒田大河、中村三春、西田谷洋、服部徹也、飯田祐子、ホルカ・イリナ、山本歩、西川貴子、笹尾佳代、ボーヴィウ・マリ=ノエル
高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編『小説のフィクショナリティ 理論で読み直す日本の文学』
「手話は言語である」といわれるようになって久しい。では、手話が「話せなく」なると、どうなるのか? 本書では、交通事故で手話が部分的に「発音」できなくなった例をとりあげ、話者の立場、言語学からみた解釈、そして法律上の解釈を紹介する。アメリカでの類似の事例もとりあげつつ、手話が言語であるとは?と社会との関係を考える。
執筆者:石原和、市田泰弘、菊澤律子、那須川訓也、原大介、スーザン・フィッシャー、藤原百合、藪ノ内寛
石原和・菊澤律子編『手話が「発音」できなくなる時 言語機能障害からみる話者と社会』
「わーい」はいかにも話し言葉だが、実際に「わーい」と発話することはほとんどない。それはなぜなのか……。本書には、このような問題意識から出発し、一語にこだわった分析を行う17本の論文が収録されている。ネタ・素材に触れた時の発想・着想がとても重要で、一方、論証は最小限でよい。これが、本書の提案する「小さな日本語学」である。
執筆者:岩田一成、奥野由紀子、加藤恵梨、金澤裕之、小口悠紀子、小西円、嶋ちはる、建石始、田中祐輔、中石ゆうこ、中俣尚己、橋本直幸、本多由美子、茂木俊伸、森篤嗣、栁田直美、山内博之
金澤裕之・山内博之編『一語から始める小さな日本語学』
認知言語学の最先端の論文を継続的に掲載するシリーズ第16巻。国内外の第一線の研究者の論文を掲載し、多岐にわたる認知言語学や関連する言語学の最新研究成果が交流する。執筆者:井上拓也/濱本秀樹/濱田英人/Ash L. Spreadbury/夏海燕/中村渉/栗田奈美/五十嵐啓太/松中完二
山梨正明編『認知言語学論考 No.16』
エドモン・ド・ゴンクール著『北斎』は、著者が古美術商林忠正の助力を得て、北斎に美術史上の評価を与えた、先駆的業績であるが、その評価はいかなるものであったか。筆者の見解は、ゴンクールが、「版画の世紀」と謳われたエッチングを中心とするフランス版画と同じ土俵に北斎を上せ、版画家でもあった弟ジュールとの共著『十八世紀の美術』の延長線に、世界美術史上の類稀なデッサン画家として位置付けたというものである。
鈴木淳著『エドモン・ド・ゴンクール著『北斎』覚書』
投稿論文3本、特集論文8本、また「解説」として「方言研究の方法」と「方言学を支えた人々」(各2本)を掲載する。特集は、第111回研究会のシンポジウムの発表をふまえ、さらに内容を充実させたものとなっている。
執筆者:有元光彦、稲熊詩帆、今村かほる、岩城裕之、工藤真子、後藤典子、小西いずみ、小林隆、澤村美幸、下野雅昭、杉村孝夫、武田拓、田附敏尚、友定賢治、日高貢一郎、舩木礼子、松田謙次郎、松田美香
日本方言研究会『方言の研究 8 特集 感動詞の研究』
今年1月に刊行した「シリーズ 文化と言語使用3」『場と言語・コミュニケーション』(岡智之・井出祥子・大塚正之・櫻井千佳子編)
本書は、近代科学・哲学の主客分離・自他分離のパラダイムに対し正面から疑問を呈し、「場の理論」に基づく場の言語・コミュニケーション研究を展開しています。
言語・コミュニケーション研究に「場」の考えを取り入れる意義について「序文」を寄せてくださったウィリアム・ハンクス教授が特別講演を、また編著者である大塚正之先生が「場の理論概説」、岡智之先生が「場の言語学への招待」の発表を行います。
言語・コミュニケーション研究に新たな視界を拓く可能性をもったこのシンポジウムへのご参加をお待ちしています。
▼開催日時:2022年7月30日(土)午前9:00-12:00
▼会場:オンライン(Zoom)
▼参加費:無料
申し込み・詳細はこちら
国内の危機言語である、奄美群島沖永良部島の言葉(しまむに)を、体系的に学べる読本である。文法記述研究を元に、音の体系、単語の作り方、文の作り方まで幅広くカバーし、実際の会話で使う文例や、はじめに学ぶべき100語も付録されている。豊富なイラストと平易な文章で、小学校高学年から大人まで、楽しみながら学ぶことができる。他地域の方言教本を作る上でも参考になる一冊である。
横山晶子著『0から学べる島むに読本 琉球沖永良部島のことば
現代日本語の格助詞について、複合格助詞も含めて、個々の助詞の性質や、助詞同士の関連について論じる。国語辞書における格助詞・格情報の記述法を検討し、コーパスをもとに、書き言葉・話し言葉の格助詞がどのように用いられているかの実態把握を行った。格の複数性(多重性・多側面性・連続性)と段階性(述語との結びつきの強さ)についても論じる。無助詞の現象やうなぎ文・こんにゃく文についても触れている。
丸山直子著『書き言葉と話し言葉の格助詞 コーパスと辞書記述の観点から』
学会の多くがオンラインになり、書籍を手に取ってご覧いただける機会が減っているため、ひつじ書房のオフィスで刊行物をご覧いただける機会を設けます。
[お申し込み方法]
・要事前予約制
・toiawase[アットマーク]hituzi.co.jpまでメールにて以下をご記入のうえお申し込みください。
件名:書籍見学希望
お名前
ご所属
ご所属学会
何を見て知ったか
ご希望の日時(第3希望まで)
[開催期間]
2022年6月6日(月)〜8月31日(水)
土日祝を除く平日 10:00〜18:00
月曜午前は不可
[注意事項]
・ここ1年ほどの新刊はテーブルの上に広げて展示します。そのほかの既刊書籍は棚にありますので、ご自由にご覧ください。
・小社のスタッフは必要がなければお相手せず、自由にご覧いただけるようにします。
・滞在は30分程度を目安にお願いいたします。
・ご購入いただける場合、お支払いは現金か、郵便振替あるいは銀行振込でお願いします。現金以外の場合は、その場でご請求書を作成してお渡しします。
・クレジットカードや各種電子決済はご利用いただけません。
・公費支払いの場合は、提出書類(請求書・納品書・見積書)を作成してお渡しします。
・発送も承ります(送料660円)。お支払いの合計金額が、10,000円以上の場合は送料330円、20,000円以上の場合は、送料無料でお送りいたします。
・見学のみでも大丈夫です。ご質問、ご相談などお声がけください。(調べ物や複写など、図書館的機能としてのご利用はできません。)
ご案内ページ
LC(Language and Communication)研究会による研究成果をまとめたシリーズ。“外界”とは単に屋外のことを指すわけではない。本巻では“外界”をコミュニケーションに参加していない人々やモノと捉え、文化人類学、ロボット工学、会話分析、語用論などの幅広い分野からのアプローチによる研究を収録。
執筆者:川口一画、黒嶋智美、清水大地、須永将史、砂川千穂、徳永弘子、名塩征史、蓮見絵里、平本毅、牧野遼作
伝康晴・前川喜久雄・坂井田瑠衣監修 牧野遼作・砂川千穂・徳永弘子編『外界と対峙する』(シリーズ 言語・コミュニケーション研究の地平)
新刊目録『未発ジュニア 2022年春夏号』、発送作業中です。
おてもとに届きましたらぜひご覧ください。
『未発ジュニア 2022年春夏号』PDF版はこちら
研究書出版をお考えの方のご相談にのります。日本語学、言語学に限らず、文学研究、文化研究などまで、さらには文理を越えた言語に関わる研究者の方のご相談を承ります。
ひつじ書房のオフィスに直接お越しいただく以外にも、ZoomあるいはSkypeでのオンラインでの相談も可能です。さらに研究書に加えまして、教科書の出版についてのご相談も受け付けることにいたします。複数著者による論文集のご相談もできます。複数著者による論文集のご相談もできます。若手の研究者グループの萌芽的な論集の相談も歓迎します。
期間 2022年4月15日(金)〜9月2日(金)
詳細はこちら
本書は、村上春樹が日本を離れ「イグザイル」(故郷離脱)を開始した時期から最新作までの村上文学の全体像および、変遷を捉えることを目的としている。現在村上は「世界文学」作家と評されることも多いが、自らを故郷離脱者と捉え模索した時期がある。この「イグザイル」意識からテクストを逆照射し、村上文学の新たな側面を提示した。また、本書では村上文学における「サバルタン」(下層・従属的・副次的存在)に着目し、村上文学の持つ批評性(とその限界)を捉えていることも特徴である。
山根由美恵著『村上春樹 〈物語〉の行方 サバルタン・イグザイル・トラウマ』
山田真寛先生、山本史先生にご来社いただきました。みる・よむ・きく 南の島ことば絵本シリーズ完結をお祝いして記念撮影。
与那国島の民謡を元にした与那国語による創作物語。与那国語の朗読音声・動画がネットにあり。
おなかをすかせた子どもたちのために、ディラブディはたいまつを、ウデャマとイサは銛を持って、アブヒッティ浜に魚をとりに行きました。イラブタイユ、ミサダイユ、ミーバイ、カタカシン…ウブダヌ浜に上がって突いた魚を数えると、360匹! 家族みんなでおなかいっぱい食べました。総ルビ。
與那覇悦子・山本史・山田真寛『ディラブディ』(みる・よむ・きく 南の島ことば絵本—与那国島—)
ドイツ語という言語を切り口に、社会、歴史、文化の問題を論じるシリーズ第3巻。第1部 「近代ドイツにおける「国語」」では、言語の規範(ノモス)の形成と変容の社会的、物質的条件についてドイツ語を例に歴史的観点から考察する。第2部「現代におけるノモスの揺らぎ」では、現代の言語規範のありかたについて地理的、社会的、文体的な観点から検討する。執筆者:井出万秀、遠藤浩介、大宮勘一郎、小川敦、川島隆、清野智昭、杉田優子、高田博行、高橋秀彰、武田利勝、田中愼、宮田眞治
大宮勘一郎・田中愼編『ノモスとしての言語』(シリーズ ドイツ語が拓く地平 3)
「研究書出版」相談 オープンオフィス
研究書出版をお考えの方のご相談にのります。日本語学、言語学に限らず、文学研究、文化研究などまで、さらには文理を越えた言語に関わる研究者の方のご相談を承ります。
オープンオフィス詳細
古典語の詩には、表現に並行して神格や作者名、テーマなどの音像を形成するような未知の詩法が存在したのではないか——この直感はソシュールを夢中にさせたが、結局その確証を得るに至らず、また後世の研究者たちも目ぼしい成果を挙げられないできた。しかし最近ようやくアナグラムの存在とその仕組みに関する有望な学説が登場した。本書ではそこに至る紆余曲折を略述し、最終解と思しいこの新説を紹介する。
山中桂一著『ソシュールのアナグラム予想 その「正しさ」が立証されるまで』
「昭和」の時代を1927年から1970年まで、象徴的に区切って全11章に仕立てた文学史のテキスト。各章の冒頭では読者に向け、当該の時代・社会状況から作品の解釈、あるいは文学者個人の動向までを絡めたいくつかの「問い」を提示した。また各章の後半には小説・童話・詩歌などを収録。文学史の学びプラス文学講読にも役立つよう編集をした書である。執筆者:外村彰、橋本正志、辻本千鶴、田村修一、楠井清文、福田涼、島田龍、古澤夕起子、藤原崇雅、東口昌央
外村彰編『昭和の文学を読む 内向の世代までをたどる』
「英語学習は早く始めるほどよい」、「留学すれば英語は確実に身につく」「英語学習は母語を身につけるのと同じやり方で進めるのが効果的である」など、英語学習に関してよく耳にする7項目を取り上げて、それがじつは誤解であることをわかりやすく解説する。そのうえで、英語学習ではどんな方法が効果的なのかを探る。英語使いの達人たちがどうやって英語を身につけたかについてのアンケート調査の結果も収められている。
(『英語学習 7つの誤解』[生活人新書 229](NHK出版、2007年)の改訂新版)
大津由紀雄著『ワイド新版 英語学習 7つの誤解』
国語教育は、ことばによる一人ひとりの自立を支援する教育的営みである。学びの場でそれを具体的に実現するには、どのような準備と考え方とが必要なのか。本書は、この問題を以下の三つの観点から検討する。1.国語科の教育内容の問い直し、2.ことばの学びの成立に関わる事例の考察、3.史的観点からの位置づけの更新。新稿も含めて、著者による最新の成果を集成した創見に満ちた論考集。
府川源一郎著『一人ひとりのことばをつくり出す国語教育』
『感動詞の言語学』(ひつじ書房 2015)に次ぐ2冊目の感動詞論文集。感動詞化のメカニズムの対照研究、「おっと」「えーと」など「と」系感動詞の意味・用法、役割語における感動詞、日本語学習者の応答表現、など感動詞研究の広がりと深化を示す論文で構成されている。感動詞の魅力と研究の可能性が感じられる一冊。執筆者:井上優、金田純平、金水敏、小林隆、定延利之、冨樫純一、友定賢治、中西太郎・林青樺、仁科陽江、野田尚史、森山卓郎、楊虹、羅希、劉伝霞・有元光彦
友定賢治編『感動詞研究の展開』
近代日本演劇史に〈小劇場演劇〉を位置づけ、その流れを辿る。さらに歴史的観点とともに、現在においてどのような劇団がどのような活動をしているのか、現代の小劇場演劇の諸相についても考察する。また、日本に留まらず世界の小劇場演劇の様相についても概説し、総合的に小劇場演劇について理解を深めることができる一冊。執筆者:石川巧、梅山いつき、加藤敦子、後藤絢子、後藤隆基、嶋田直哉、高萩宏、仲田恭子、中村邦生、新野守広、早船聡、日置貴之、堀切克洋、松本和也
後藤隆基編『小劇場演劇とは何か』
語彙論と文法論が密接に関わることは従来から言われてきたことだが、本論文集は、接辞や語はもちろん、連語や句といった語と文をつなぐ単位や、文章を構成する諸単位における語彙と文法との関連性(第1部)、文法化や対照研究の面(第2部)といったこれまであまり重点的に論じられなかった点から語彙論と文法論とのつながりを探ったものである。
執筆者:庵功雄、石井正彦、甲田直美、斎藤倫明、佐藤佑、修徳健、曽睿、東条佳奈、ナロック・ハイコ、林雅子、早津恵美子、宮地朝子、森山卓郎、呂妍
斎藤倫明・修徳健編『語彙論と文法論をつなぐ 言語研究の拡がりを見据えて』
言語学入門書にこそ、なじみのない言語を——! 言語学テキストのほとんどは、最もなじみのある言語を中心に作られている。しかし、既存の枠組みを取っ払って考えるという言語学の基本を実践するのに、なじみのない言語こそ格好の素材である。日本語や英語とは違ったことばの世界があることを知り、なじみのある言語を見つめ直すことにもつながる。筆者の研究対象であるガーナの言語を主に取り上げ言語のしくみを紐解いていく、一味違った言語学入門書。
古閑恭子著『フィールドワークではじめる言語学 なじみのない言語から考える』
新型コロナウイルス感染拡大に伴うオンライン・ツールの普及によって、私たちのコミュニケーションは否応なしに変化を迫られている。このような変化の時期だからこそ、私たちは冷静に「話し合う」ことの重要性を再認識しなければならない。本書は明治期から現在における国語教育の「話し合い」学習が、どのような理論や目標に基づいて行われてきたかを分析した上で、今求められる「話し合い」学習の具体的な実践案を提案している。
内田剛著『国語科における「話し合い」学習の理論と実践』
日本語学習者向けの聴解教材の作成方法を解説する。実際に聞く必要がある日本語を分析し、学習者が聴解で難しい点を調査した上で、コミュニケーションに役立つ聴解教材をどのように作成すればよいかを提案する。例として取り上げるのは「飲食店スタッフの発話を聞く教材」「雑談を聞く教材」「講義を聞く教材」「会議の発話を聞く教材」である。国語教育にも有益。
執筆者:久保輝幸、阪上彩子、島津浩美、首藤美香、鋤野亜弓、高山弘子、太原ゆか、中尾有岐、中山英治、野田尚史、萩原章子、日比伊奈穂、村田裕美子、吉川景子
野田尚史・中尾有岐編『日本語コミュニケーションのための聴解教材の作成』
社会言語学の成り立ちから、最新の研究知見までカバーした『概説 社会言語学』の改訂版。社会言語学の基本的なテーマを扱う一方で、相互行為的社会言語学、談話分析、会話分析の章を設け、言語人類学、批判的談話分析に関しても充実させた。はじめて社会言語学を学ぶ学生だけでなく、これから談話分析を目指す学生にも役立つ内容である。言語と社会、言語と文化、異文化コミュニケーションに興味のある学生の読本としても使える一冊。
岩田祐子・重光由加・村田泰美著『改訂版 社会言語学 基本からディスコース分析まで』
現代中国の文学作品を翻訳・紹介する『中国現代文学』の第24号。双雪濤「平原のモーセ」(連続強盗殺人事件と二人の幼なじみは、どうつながっていくのか?)、畢飛宇「作り事」(亡き祖父の最後の願いとは?)、王蒙「灰色の鳩」(80年代初めの中国、農村から都会へ出稼ぎにやってきた若者の夢と現実)、史鉄生の晩年の詩三編(「今晩は夜明けまで起きていよう」「トーニャとニーチェ」「グリゴラ」)、本の紹介などを掲載。
中国現代文学翻訳会編『中国現代文学 24』
日本社会における喫緊の課題である多文化共生をめぐり、ナラティブ分析というミクロアプローチから、言語教育政策や公共政策への提言といったマクロアプローチまで、分野を超えて多層的に考察する。ポストコロナの日本社会において、何を変えるべきなのか、誰が変わるべきなのか、越境者との共存や多様性をあらためて問い直す。
執筆者:岩田一成、大石尚子、岡本能里子、片岡邦好、木村護郎クリストフ、村田和代、山口征孝、吉田悦子、Julian CHAPPLE、Magda BOLZONI、Astha TULADHAR
村田和代編『越境者との共存にむけて』
アスペクトは動作のどの部分を言語上で切り取るかを問うカテゴリーだが、それも言語的世界像の一部をなす。動作の展開において〈限界〉志向のロシア語と〈安定〉志向の日本語では、同じ意味でも「重み」や「振る舞い」が異なる。アスペクト的志向の違いはさらにテンスやモダリティ、語形成や構文における表現上の差異となって現れる。アスペクト意味の理論と実践の実態を多様な言表事実を基に検証する本邦初の本格的な露日対照言語研究。
金子百合子著『〈限界〉志向のロシア語と〈安定〉志向の日本語 アスペクト表現のロシア語・日本語対照研究』
述詞関係節や副詞句を空所とするある種の関係節が、関係節の形をしていながら修飾部とは異なる「補部」という意味機能を果たすのはなぜであろうか? 本書は、可能な補部の関係節を限定するため関係節化を個体対象のものと述語対象のそれとの2つに分け、後者が補部の関係節を特徴づけるとする考えを生成文法の枠組みで論じた最初の試みである。本書では、命題関数でなく「命題」として解釈される関係節の存在が新たに提案される。
渡辺良彦著『英語の補部の関係節の統語論・意味論と先行詞の問題』
アラビア語チュニス方言についての本邦初の文法研究書。否定辞maと接尾辞-ʃで動詞などを挟むのは、アラビア語方言に広く見られる否定文の作り方だが、本研究はチュニス方言の否定文の実証的な分析を通じて、maと-ʃの役割をはじめて解明。さらにチュニス方言独自の文法現象についても豊富に扱う。否定と非現実モダリティの関係、現実性の観点からの否定の類型、談話モダリティとしての否定など、他言語の研究にも応用可能な理論的考察も豊富。
熊切拓著『アラビア語チュニス方言の文法研究 否定と非現実モダリティ』
語の意味とは何か。構文的なパターンは言語使用の中からどのように形成されるのか。これらの問いに迫るため、本書では、英語前置詞の振る舞いを大規模コーパスや親子会話のデータを用いて分析し、前置詞を含む構文的なパターンが使用文脈の中で創発・定着するプロセスを、認知、談話、相互行為の観点から解明する。分析の帰結として、意味を担う基本単位は単一の語より大きな構文的単位であるという「構文的意味論」を提唱する。
堀内ふみ野著『English Prepositions in Usage Contexts: A Proposal for a Construction-Based Semantics』
本書は、日本語や英語・フランス語・ドイツ語における語りの問題、特に自由間接話法をはじめとする主観性関連の諸現象への複合的なアプローチの試みである。15篇の論文それぞれの関心は相互に重なり合うが、第1章では言語学的問題、第2章では文学論・物語論、第3章では言語以外の表現形態との接点について主として考察している。
執筆者:赤羽研三、阿部宏、石田雄樹、出原健一、川島浩一郎、小林亜希、嶋﨑啓、鈴木康志、田原いずみ、平塚徹、深井陽介、牧彩花、松澤和宏、三瓶裕文、吉川一義
阿部宏編『語りと主観性 物語における話法と構造を考える』
日本統治期台湾の文学において、横光利一の「純粋小説論」や作品が与えた影響は大きく、また、その影響は中国や韓国など東アジアに広がる。本書は、日本統治期において台湾人作家がいかに横光を受容したかを解明し、台湾文学史の中にこれまで看過されてきた「台湾新感覚派」の誕生を文学史に正しく位置づける。更に、韓国の李箱や中国に渡った劉吶鴎の横光受容や、新発見された横光の随筆「台湾の記憶」を通して台湾の表象を論じる。
謝惠貞著『横光利一と台湾 東アジアにおける新感覚派(モダニズム)の誕生』
デュルケームは、ラビの継承者でありながらユダヤ教信仰を棄ててフランスの世俗道徳論者になった。この通説に対して、ユダヤ教に根拠を置いて彼の道徳的連帯論を検討することが本書の目的である。近代以降キリスト教に対抗して進展してきた民主主義は、その基盤に世俗主義を掲げてきた。彼の世俗道徳論をユダヤ教の法概念に照らして解釈することは、「キリスト教から世俗主義へ」という近代西洋思想の展開に新たな視点を与える。
平田文子著『デュルケーム世俗道徳論の中のユダヤ教 ユダヤの伝統とライシテの狭間で』
本書は、戦時期に日本の言語や文化の価値を教え、紹介し、広げていった人々の活動やその仕組みに焦点をあてる。知や情報を広げ、読者に働きかけていく仕組みを、国内の文化統制と、外地や占領地に向けた文化工作とに通底する技術として明らかにする。そのために、書物の読者への広がりをとらえる新たな研究方法を用いた。思想戦の政策から実践への展開が、占領地や移民地に遺る日本語蔵書の詳細なデータから初めて明らかにされる。
和田敦彦著『「大東亜」の読書編成 思想戦と日本語書物の流通』(未発選書 30)
日本語母語話者が英語発音を学ぶ際、カタカナ外来語の発音との混同が起こりやすい。しかし日本語発音と英語発音のしくみの違いを体系的に理解できれば、発音を学ぶことは難しくない。本書では、日常語として馴染みのあるカタカナ語を例に、敬遠されがちな発音記号を分かりやすく説明する。さらに音声変化やプロソディのしくみについても解説し、発音練習におすすめの学習法を紹介する。身近にあるカタカナ語の知識を活かして、発音の苦手意識を克服してほしい。
中西のりこ著(シリーズ監修 赤野一郎・内田聖二)『カタカナ語からはじめる英語の発音』(ちょっとまじめに英語を学ぶシリーズ 4)
『場とことばの諸相』に続く、「シリーズ 文化と言語使用」の第3巻。近代哲学・科学のパラダイムを乗り越え、場の理論に基づく「主客非分離」「場における相互作用」のパラダイム転換を打ち出した渾身の一冊。人称詞、指示詞、絵本の日英対照、複合動詞、身体論など、豊富な事例研究を展開し、新たな言語研究の地平を切り開く。William F. Hanksによる序文掲載。
執筆者:大塚正之、井出祥子、岡智之、植野貴志子、新村朋美、成岡恵子、小森由里、小柳昇、河野秀樹
岡智之・井出祥子・大塚正之・櫻井千佳子編『場と言語・コミュニケーション』
子どもたちが大人になったときにもしまのことばが聞こえる世界を残すために…
沖永良部島で古くから伝わる昔話。沖永良部語(2つの方言を収録)の朗読音声と詳しいことばの解説付き。浜辺で長者がうたた寝していると、神様たちの話し声が聞こえてきた。集落で生まれた赤ん坊に運命を授けに行くという。女の子には塩一升の運、男の子には竹一本の運が授けられた。二人はやがて夫婦になるが、ある事がきっかけで夫が妻を追い出してしまう。数年後再会した二人はすっかり命運が分かれていて…。言葉と語りの多様性を感じられる絵本です。総ルビ。昔話の解説:中脇初枝(作家)
松村雪枝・田中美保子・山本史・横山晶子『塩一升の運(ましゅ いっしゅーぬ くれー)』