本書は、多様なアプローチからの研究方法を用いてナラティブ(語り)を考察する実証研究論文9本とイントロダクションから構成される。様々な場所で、様々な人を相手に語られたナラティブを紐解くことで、そこに反映されている現代の価値観や社会規範を批判的に読み解き、それに基づく問題の所在とその解決を導くことをめざしている。
執筆者:相田慎、石原凌河、植田栄子、大場美和子、佐藤彰、秦かおり、村田和代、山口征孝、吉田悦子、饒平名尚子
秦かおり・村田和代編『ナラティブ研究の可能性 語りが写し出す社会』
本書は、言語を実際の言語経験に基づいて形成される動的な知識体系として捉える用法基盤モデルを接点として認知言語学と談話機能言語学の有機的融合を図り、言語知識、言語獲得、言語運用に関する研究の新展開の可能性を示す。第1部と第2部で用法基盤モデルで想定される言語観を概観し、第3部では学際的な視点から行われた9つの研究を実例としてあげる。
執筆者:岩崎勝一、大谷直輝、大野剛、木本幸憲、佐治伸郎、サドラー美澄、柴﨑礼士郎、鈴木亮子、第十早織、巽智子、田村敏広、長屋尚典、中山俊秀、堀内ふみ野、松本善子、吉川正人
中山俊秀・大谷直輝編『認知言語学と談話機能言語学の有機的接点 用法基盤モデルに基づく新展開』
「シリーズ 話し合い学をつくる」第三巻。話し合いは合意形成のツールとして考えられがちだが、目的はそれだけなのだろうか。多領域からの研究・実践報告や議論を通して、あらためて話し合いの機能や可能性を考える。そして、人口減少や超高齢化社会を迎えるこれからの日本社会にとって、話し合いがどのように貢献ができるのかについても問い直す。執筆者:佐藤徹、田中富雄、岡本能里子、服部圭子、中川雅道、杉岡秀紀、宗田勝也、佐野亘、森本郁代、香取一昭、野村恭彦、中村香苗、村田和代
村田和代編『これからの話し合いを考えよう』
【「シリーズ 話し合い学をつくる」既刊】
1 市民参加の話し合いを考える
2 話し合い研究の多様性を考える
文法史研究は、多様な研究成果が公表され、日本語学の中で最も活気のある分野の一つである。しかし、その一方で細分化・専門化により研究の全体像が見えにくくなってきている面もある。本書は、日本語文法史に関わる77のキーワードをとりあげ、文法史研究者による解説をおこなう。解説はコンパクトにまとめることで気軽に要点を知ることができ、研究者のみならず文法について学びたい一般読者にも最適な一冊。
青木博史・高山善行編『日本語文法史キーワード事典』
図書館の方向けにチラシを作成しました。
車が動かないのは、運転手がペダルを踏み間違えているからである。それを見つければ車内の誰でも「あ、ブレーキ踏んでる!」と言える。だが、「あ、ブレーキ踏んでた!」は基本的に運転手しか言えない。この運転手の「特権性」はどこから、どのように生じるのか? 語用論、会話分析、人類学、動物行動学の第一線の研究者たちの「答」がここにある。
執筆者:木村大治、串田秀也、定延利之、園田浩司、高梨克也、中村美知夫、細馬宏通、村田和代
定延利之編『発話の権利』
本書は、日本語文法史研究の発展を目指して編まれた論文集の第5号である。隔年刊行であるため、取り組みを始めてから10年になる。考察の対象とするテーマや時代、方法論の如何に関わらず、文法史を記述するとはどういうことか、という課題に自覚的であり続けている。研究論文10本の他、テーマ解説、文法史の名著、研究文献目録を収めている。
執筆者:青木博史、勝又隆、小柳智一、近藤要司、高山善行、竹内史郎、辻本桜介、仁科明、山口響史、吉井健、吉田永弘、渡辺由貴
青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究 5』
近年、世界的に政治は流動期に入っていると言える。その動きを、メディアなくして私たちが把握するのは不可能に近い。今回の特集では、そのような重大な役割を担うメディアが実際にどのように機能しているのかを、政治とメディアの共謀的関係や、政治とメディアの有り様などから紐解く。各章にキーワードのコラム付き。
執筆者:五十嵐浩司、遠藤薫、岡本能里子、片岡邦好、金水敏、佐藤彰、辻大介、坪井睦子、秦かおり、劉翔
秦かおり・佐藤彰・岡本能里子編『メディアとことば 5 特集:政治とメディア』
JACETが、1962年の創立以来行ってきた応用言語学研究の理論と実践を形として残すためにスタートしたのが本JACET応用言語学研究シリーズである。創刊号の本書は、授業学をテーマに開催された「英語教育セミナー」(2016〜2018年度)を総括した内容(基礎編、理論編、応用編、資料編)の4部で構成され、授業学の第一線で活躍する研究者達による珠玉の1冊である。
執筆者:ジュディス・ハンクス(訳:加藤由崇)、柳瀬陽介、吉田達弘、竹内理、淺川和也、岡田伸夫、村上裕美、佐藤雄大、馬場千秋
一般社団法人大学英語教育学会(JACET) 淺川和也・田地野彰・小田眞幸編『英語授業学の最前線』
『コミュニケーションのダイナミズム』に続く、「シリーズ 文化と言語使用」の第2巻。既存の語用論理論に新しい語用論の世界を切り拓く一冊。これまでの語用論理論から漏れてしまった非西欧社会の言語実践現象に息吹を与え、日本語のみならず、ハワイの文化・コミュニケーションの理解などに資する世界的視野からの新しい理論の提案書。執筆者:井出祥子、山口征孝、藤井洋子、井出里咲子、多々良直弘、難波彩子、堀江薫・古田朋子、片岡邦好、スコット・サフト
井出祥子・藤井洋子監修・編『場とことばの諸相』
新刊目録『未発 2020年秋冬号』、三密をなるべく避けながら発送作業中です。
おてもとに届きましたらぜひご覧ください。
英語で書かれた日本語統語論の教科書。言語学の中心的な統語理論である生成文法の哲学的背景から説明を始め、理論で使用される主要な概念をわかりやすく説明した上で、英語と比較しながら日本語に特徴的なさまざな構文を生成文法理論でどのように分析できるかを解説する。各章末には、理論的な背景や日本語の統語の論点についの簡略な補足解説がある。ネットで公開されている習熟度別の練習問題は、自学習や授業の教材として使用できる。
岸本秀樹著『Analyzing Japanese Syntax: A Generative Perspective』
西日本新聞2020年10月24日(土)
酒井順一郎著『日本語を学ぶ中国八路軍 我ガ軍ハ日本下士兵ヲ殺害セズ』
西日本新聞のWebサイトへ
英語学習者の作文や発話を自動で採点することは可能か? 本書では、学際領域である自動採点研究を自然言語処理、第二言語ライティング、学習者コーパス研究、言語テスト、教室における指導などの観点から論じる。また自動採点研究の知見を通して、人工知能と人間それぞれにとって、できることとできないことを明らかにすることを目的とする。
執筆者:石井雄隆、石岡恒憲、金田拓、小島ますみ、小林雄一郎、近藤悠介、永田亮
石井雄隆・近藤悠介編『英語教育における自動採点 現状と課題』
JACET 教育問題研究会主催の 「言語教育エキスポ 2020 補講」 において、著者の方に自著について紹介していただくブック・トークを行います。
Zoomでの開催です。
日時:2020年10月25日(日) 13:10-13:40
講師:久世恭子(東洋大学)
タイトル:『文学教材を用いた英語授業の事例研究』
内容:本書は、大学英語授業の事例から文学教材の意義を再検討した研究書です。日本における文学教材の地位の変遷と英米との比較を解説し、実際の授業の展開や学習者の反応の分析を紹介。コミュニケーション能力やEnglish for Specific Purposesを重視した授業での文学教材の利用も提案します。
キーワード:文学教材 / 事例研究
参加費:無料
言語教育エキスポ 2020 補講への参加登録が必要です。
参加登録は以下のURLでお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdQT3W7PLyqp0rKuCUtiZYYUB1qBm-GH_IanZL4Bogx37Ij_w/viewform
哲学カフェ、子どもの哲学、企業内哲学対話をやってみたい人のための必携ハンドブック。経験豊かな実践者が執筆を担当。人の集め方、場所の決め方、問いの出し方、対話の進め方、使える道具、困った時の対応の仕方など具体的な解決案が満載。対話に必要な哲学史と哲学説の知識も一通り学べる。誰でもが使える対話と思考のためのガイドブック。
河野哲也編 得居千照・永井玲衣編集協力『ゼロからはじめる哲学対話 哲学プラクティス・ハンドブック』
児童文学の女性作家たちはどのような物語を紡ぎ出したのだろうか。児童文学は一見子供向けとされるが、実際には別世界への飛翔だけでなく、時にメランコリックで無気力な人物を描き、死や記憶にまつわる物語が編まれていた。本書は、教科書教材に採用されることも多い安房直子・あまんきみこ・小川洋子の作品と共に、吉本ばなな・山内マリコの小説、岡田麿里脚本のアニメ、香魚子の少女漫画を取り上げ、女性児童文学の様相を探る。
西田谷洋著『女性作家は捉え返す 女性たちの物語』
ドイツ語という言語を切り口に、社会、歴史、文化の問題を論じるシリーズ第2巻。第1部「異言語に生きる」では、複数の言語のはざまで生きる人々の経験のなかでドイツ語が果たしてきた役割を見る。第2部「ドイツ語の主題と変奏」では、標準語、正書法、文法など制度面の転換点に光をあて、ドイツ語が今の姿になるまでのプロセスを俯瞰する。
執筆者:井出万秀、川島隆、黒田享、佐藤恵、真田治子、大喜祐太、高田博行、多和田葉子、中直一、浜崎桂子、美留町義雄、村瀬天出夫
井出万秀・川島隆編『ドイツ語と向き合う』
投稿論文3本、資料・情報1本を掲載する。また、「解説」として「方言研究の方法」と「方言学を支えた人々」の連載を開始し(本号は各2本掲載)、最新の方言研究に具体的かつわかりやすく導くとともに、方言研究を下支えしてきた市民による方言学に光を当てる。
執筆者:今村かほる、上野善道、大野眞男、ケナン・セリック、小林隆、佐藤亮一、真田信治、下地理則、杉本妙子、竹田晃子、林由華、日高水穂、半沢康、森勇太。
日本方言研究会編『方言の研究 6』
近年、ベトナム人の日本語学習者が急増しており、彼らの発音指導に困難を感じている指導者が多い。どうしてこのような発音になるのか? 彼らの母語のベトナム語にはどのような仕組みがあるのか? どのように指導すれば上手になるのか? 本書は、ベトナム語母語話者に日本語の発音を教える際の悩みの声に応える1冊である。ベトナム人学習者のさまざまな発音の特徴を解説し、その原因と効果的な指導法を紹介する。
金村久美・松田真希子著『ベトナム人に日本語を教えるための発音ふしぎ大百科』
表現の重複は、「量の公理違反」という語用論の問題でしかないのだろうか? 実際には、重複表現は言語の至るところに遍在しており、その自然さは、言語によって、また構文によって異なる。「冗長性」として忌避される重複だけでなく、許容される重複、好まれる重複、果ては「一致」「呼応」「同族目的語」「係り結び」の名のもとに文法システムに取り込まれて必須のものとなる重複まで、さまざまなものがある。本書は、現代日本語と現代中国語における重複表現の自然さを、文法の観点から記述分析し、重複と文法の関係を明らかにした。
程莉著『「重複」の文法的研究』(著者本人による自著解説動画あり)
日時 2020年8月28日(金) 18:30-20:30(2時間)
対象 どなたでも参加することができます(小学生以上)
開催方法 Zoomを利用したオンライン開催(無料)
人数上限 先着100名
詳細・お申し込みはひつじ書房ウェブマガジン(http://www.hituzi.co.jp/hituzigusa/2020/08/20/hieroglyph-event)をご覧ください。
ちらしPDFはこちら
『アムド・チベット語文法』書籍の詳細はこちら。
2020.7.27
『日本語を学ぶ中国八路軍』書籍の詳細はこちら。
2020.7.14
新刊目録『未発 2020年夏臨時号』、三密をなるべく避けながら発送作業中です。
おてもとに届きましたらぜひご覧ください。
日本言語学会第160回大会が早稲田大学での現地開催は中止となりましたため、学会員の方向けに特別セールを開催します。
研究集会の動画を下記のページより見ることができます。
日本語音声コミュニケーション学会 イベントページ
オンライン開催となったため、ひつじ書房の書籍の学会代替えセールも行っています(日本語教育学会春季大会代替えセールと同時開催)。6月17日(水)までです。
ひつじ書房 日本語教育学会2020年度春季大会代替特別セール
関西言語学会第45回大会が中止となりましたため、学会員の方向けにセールを開催します。
http://www.hituzi.co.jp/books/hituzikls2020spr.html
『教育展望』(2020年6月号、教育調査研究所)「展望らいぶらりぃ」掲載
・日本読書学会編『読書教育の未来』
評者:今村久二
2020.6.5
日本独文学会2020年度春季研究発表会が中止となりましたため、学会員の方向けにセールを開催します。
http://www.hituzi.co.jp/books/hituzijgg2020spr.html
新刊・近刊目録『未発ジュニア 2020春』を作成しました。今年はコロナウィルスの影響でまだ印刷と発送が出来ておりません。そこでPDF版を公開しました。この春も新刊がたくさん出ています! どうぞご使用ください。
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研究書出版をお考えの方のご相談にのります。日本語学、言語学に限らず、文学研究、文化研究などまで、さらには文理を越えた言語に関わる研究者の方のご相談を承ります。
これまでは、ひつじ書房のオフィスにお越しいただいて相談会を催してきましたが、本年からは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、お越しいただく以外にも、ZoomやSkypeなどでのオンラインでの相談も可能といたします。さらに研究書に加えまして、教科書の出版についてのご相談も受け付けることにいたします。
日本語教育学会2020年度春季大会が中止となりましたため、学会員の方向けにセールを開催します。 日本語音声コミュニケーション学会参加者の方も対象となります。
http://www.hituzi.co.jp/books/hituzinkg2020spr.html
現代中国の文学作品を翻訳・紹介する『中国現代文学』の第22号。郝景芳「遠くへ行くんだ」(疾駆する列車に乗った非力な若者の旅と挑戦)、星秀「“春の日”に」(DV家庭を抜け出す女性の奮闘と葛藤)、葉広芩「盗御馬」(陝北で過ごした知識青年の青春)、蘇童「紅馬(ホンマー)を弔う」(山の民と美しき紅馬の物語)のほかに、図書紹介(徐則臣の長編小説『北上』)も掲載する。
中国現代文学翻訳会編『中国現代文学 22』
コロナ禍の中、通常であれば、大学内や大学の近くの書店で教科書を手に入れることができますのに、入構できないなどのため、手にいれることができずにいる困難について、出版社として大変こころをいためております。つきましては、そのような場合に、どのようにするのがよいのかを出版社としてお伝えします。こちらの文章は、学生様向けです。教員の方は、この文章の下の5月8日の日付けの文章をご覧下さい。
大学の書店が、発送などの手配をしている場合がありますので、大学の書店にお尋ね下さい。大学の先生が、ネット書店で手に入れることを指示されている場合、現在、オンラインショップが、生活必需品を優先して流通しているために、書籍について、十分な補充を行っていない、あるいは注文が多く寄せられているために対応できていない場合があります。その場合は、以下のサイトで入手可能なオンラインショップがあるかを調べて下さい。あるいは、地元の書店さんに注文していただければ、1週間程度では手に入れることができますのでご注文なさって下さい。
授業をなさる先生が、大学の書店に発注していない場合は、直接、送ることも可能ですが、まずは先生に相談されて下さい。先生が直接、出版社に注文するようにということであれば、送ることは可能です。その場合、ご自身のお名前、大学名、講義・授業名、先生のお名前を書いたメールをtoiawase@hituzi.co.jpあてお送り下さい。サブジェクトには、「○○(授業名を入れて下さい)の教科書について」と入れて下さい。その後で、こちらから、代金と送料と振り込み口座名をお伝えします。その時に住所(送り先)をお聞きします。
(「書籍横断検索システム」は、オンライン書店の横断検索システムです。) http://book.tsuhankensaku.com/hon/
大学構内で授業ができず、遠隔で行っていて、教科書も学生の手元に届くまで、まだ時間がかかるという場合に、ご採用の教科書をご購入いただけるという前提で、非常事態ということで、教科書の前の方についてPDFでご提供します。恐縮ですが、大学名と講座名を透かしで入れさせてもらいます。印刷はできません。ご採用の先生からご連絡下さいましたら、対応させていただきます。
また、書店に発注されていない場合や書店が発送などの対応をしないという場合は、教科書を学生さんの元に直送することもできます。その場合は、送り先の学生さんの住所が必要です。個人情報は送付にしか使いません。また、代金と送料の先払いをお願いしています。詳細はお問い合わせ下さい。
問い合わせおよびご依頼のためのメールアドレスは、toiawase(a)hituzi.co.jpです。(a)は、アットマークです。件名に、「教科書について」と入れて下さい。どうぞよろしくお願いします。
まことに恐縮ですが、こちらで申し上げておりますことは、教科書をご使用される先生方に向けて申し上げています。教員の方の教科書採用の方針や事情が分からずには、対応はできませんので、学生さんから直接連絡をいただいても対応はできません。教員の方からのご連絡をいただいてからの対応になります。(すでに書店に注文されていて、書店様の方で発送する準備をされている場合には、書店様の注文が重複してしまいますと返品になりまして困ります。)
日本経済新聞2020年5月2日(土)掲載
・小川誉子美著『蚕と戦争と日本語』
2020.5.1
本書は、広島大学大学院総合科学研究科教授吉田光演先生が、2020年3月に定年を迎えられるに際し、国内外のドイツ語学・言語学研究者が寄稿した記念論文集である。吉田教授は、言語学者・教育者として多大な功績を残され、多くの言語を対象に専門分野は多岐にわたる。本書に収録された論文は、音韻論、統語論、意味論、語用論から言語教育、コーパス言語学、通訳理論まで様々な分野に広がっており、言語学研究の学際性を例証するものである。
執筆者:稲葉治朗、岩崎克己、岡本順治、小川暁夫、合田優子、崔春福、田中愼、田中雅敏、筒井友弥、橋本将、藤縄康弘、保阪靖人、宮下博幸、毛利史生、森芳樹、吉田光演、廖継莉、李林霏、Werner Abraham, Josef Bayer, Gisbert Fanselow, Elisabeth Leiss
田中雅敏・筒井友弥・橋本将編『学際的科学としての言語学研究 吉田光演教授退職記念論集』
戦争は兵士による武器の戦いだけではない。言語の戦いもある。日中戦争の際、中国八路軍は、日本語を武器として扱った。日本人将兵に対して、投降や降伏さらには協力者を作るために日本語で工作をするためであった。そのために八路軍は将兵に日本語教育を行い、これを駆使し日本人将兵の心に響く説得工作を行った。本書ではこれまで、ほとんど知られていなかった戦場における八路軍敵軍工作の日本語教育について明らかにする。
酒井順一郎著『日本語を学ぶ中国八路軍 我ガ軍ハ日本下士兵ヲ殺害セズ』詳細(著者本人による自著解説動画あり)
本書は、日本語学習者にとって最も習得困難な表現の一つであるノダを包括的に扱い、ノダの全体像を掴むことを試みる。ノダを先行事態を必要とするものと必要としないものの二つにわけ、後者を前者の拡張したものと捉えることによって、一見無秩序に見えるノダの多様な意味を統一的に解釈することが可能になった。外国人日本語教師という筆者の立場から、本書における研究が教育現場でも役立つよう配慮した。
戴宝玉著『日本語教育における「のだ」の研究』
日本語研究と語用論研究が通い合う広場(フォーラム)となることを目指して編まれたシリーズの第3巻。いま語用論の研究は、多様な領域と接触しながら、新たな研究テーマと成果が生み出され、熱く活性化されている。本書は、各領域の第一線で活躍する研究者や新進気鋭の研究者による、これからの語用論の研究にとって重要な論考を集めた論文集となっている。
加藤重広・滝浦真人編『日本語語用論フォーラム 3』
『社会言語科学』第22巻第2号(2020年3月)掲載
・横山詔一・杉戸清樹・佐藤和之・米田正人・前田忠彦・阿部貴人編『社会言語科学の源流を追う』
評者:尾崎喜光
・小林隆編『コミュニケーションの方言学』
評者:二階堂整
『日本語の研究』第16巻1号 新刊紹介にて取り上げていただきました。
・澤田治美・仁田義雄・山梨正明編『場面と主体性・主観性』
・庵功雄・田川拓海編『日本語のテンス・アスペクト研究を問い直す 第1巻 「する」の世界』
2020.3.27
日本人大学生の英語音声の向上を目的としたインストラクショナルデザイン(教育設計)を提起し、実際の教材の開発過程を通して得た知見を授業改善に応用することで、口頭コミュニケーション能力の向上を目指す。特に学習者の情意領域(学習者の教育内容に対する態度、価値観の形成を行い、外国語学習を促進または妨げる要因を持つ領域)に注目し、英語音声面に対する心理的障壁を取り除くことを重視した教材の開発についてを論じる。
中條純子著『An Affect-Oriented English Pronunciation Instructional Design for Japanese University Students』
教えるのが恥ずかしくなるような、わざとらしくお行儀のいい会話、普通そんなこと言ってないよと言いたくなる型どおりの話し方、――これらを廃し、従来の発想を大転換して本物の会話だけで作った中級学習者向けの日本語会話教科書。自然の談話の録音資料から選び抜いたナマの会話で、日本人のコミュニケーションの実際と、今の日本語の本当の姿をつかみとる。会話文のほか、「自然会話の特徴」「文化ノート」からも、日本語と日本文化を学習できる。★CD付
遠藤織枝編『そのまんまの日本語 自然な会話で学ぶ』
能格性に関する日本語での初の概説書。能格言語の特異性を示すと同時に、英語や日本語と能格言語の類似性にも注目することで、言語の普遍性研究の重要性を説く。頻繁に議論される能格言語(バスク語やヒンディー語等)と筆者の専門であるマヤ諸語に焦点を当てながら能格性とそれに関連する言語現象を網羅的に紹介する。さらに、生成文法理論における能格性研究を概説しながら、当該理論の成果・問題点・今後の展望を明らかにする。
今西祐介著『言語の能格性』
「人間の相互作用としてのコミュニケーション」の語用論的分析に適した「基本的な文字化の原則(Basic Transcription System for Japanese: BTSJ)」を活用して自然会話データを分析した「コミュニケーションの本質」に迫る論文集。語用論、談話分析、日本語教育の新境地を開く!
執筆者:宇佐美まゆみ、木林理恵、野口芙美、平山紫帆、磯野英治、毋育新、李宇霞 、鈴木卓 、萩原孝恵 、川口義一
宇佐美まゆみ著『自然会話分析への語用論的アプローチ BTSJコーパスを利用して』
認知言語学の体系は少しずつ形をとり始め、その過程は現在もまだ進行中と言ってよい。そこには、その若さの故の不確定さも多く内蔵されているが、新しいことの起こりうる可能性も豊かに内包している。「百花繚乱」とも言える認知言語学研究の各テーマを、第一線で活躍する研究者が解説する。
『認知言語学I』執筆者:山梨正明、﨑田智子、堀江薫、金杉高雄、守屋三千代、李在鎬、小松原哲太、安原和也、澤田淳、米山三明、杉本孝司、仲本康一郎、井上京子、黒滝真理子、吉村公宏、森雄一
池上嘉彦・山梨正明編『認知言語学I』
『認知言語学II』執筆者:池上嘉彦、早瀬尚子、野村益寛、進藤三佳、黒田一平、大堀壽夫・秋田喜美、深田智、菅井三実、鍋島弘治朗、木原恵美子、碓井智子、大月実、大谷直輝、高橋英光、坪井栄治郎、友澤宏隆、有光奈美
池上嘉彦・山梨正明編『認知言語学II』
本書は定型表現とその拡張用法の網羅的な記述・分析を通して、言語と慣習の関係を認知・社会的な側面から考察したものである。日本語慣用表現や諺をはじめとした定型性の高い表現を多く収集し、コーパス言語学の手法を用いて分析している。また「形式的変化を容認しにくい」と言われていた定型表現が様々な形式的変化を伴って使用されている事例を示し、定型的言語から創造性が発揮されるダイナミズムを理論的にまとめ上げている。
土屋智行著『言語と慣習性 ことわざ・慣用表現とその拡張用法の実態』
理論を問わず、英語中間構文は人気のあるテーマである。しかしながら、看過されてきた問いは、能動と受動の中間がなぜ「属性」を表現するのか、そのときの属性とはそもそも何か、という根源的な問いである。本書は伝統文法、生成文法、認知文法の研究成果を総括し、上記の問いに認知意味論的視点から切り込む。多数の実例データを駆使しつつ、新しい説明原理によってその本質に迫る。認知意味論・語彙・構文・語法の研究者には必見の一冊である。
吉村公宏著『英語中間構文の研究』
『壺坂霊験記』は、明治20年(1887)に浄瑠璃として初演されたのちに歌舞伎や講談、浪花節でも上演されて人気を博した。妻の献身と観音の霊験により盲目の男が開眼するというストーリーや、お里・沢市という登場人物は広く人々に親しまれている。本書は、近代芸能史上にユニークな位置を占めるこの作品について、宗教的物語が芸能化してさまざまなジャンルに展開する過程をたどり、時代背景からその特質を明らかにする。
細田明宏著『近代芸能文化史における『壺坂霊験記』 生人形から浄瑠璃、そして歌舞伎・講談・浪花節へ』
エチオピアの南西部で話されているウォライタ語(アフロアジア大語族、オモ系)の総合的で詳細な記述的研究。有声喉頭化音の存在の指摘、表記の実態の分析、「具体性」という概念を用いた普通名詞の形の使い分けの解明、固有名詞の多面的な記述、ヴォイスの複合現象の検討等、オリジナルな視点を含みつつもレファランスグラマーとして望ましい姿を模索。世界的に密かな注目を集めていた博士論文、待望の出版。
若狭基道著『A Descriptive Study of the Modern Wolaytta Language』
本書は、認知言語学的アプローチにより、付加疑問文の本質に迫ろうとするものである。先行研究では、用法の列挙と規則の提示に留まっており、用法間の関係や構造の変化を伴う事例に説明を与えていない。本書では、実際の使用例を認知文法の「現行談話スペース(Current Discourse Space)」と「Anchoring Structure」の概念に基づいて分析し、なぜ多様な意味機能と形式を持つのか、何が構造に変化を生じさせるのかを付加疑問文の持つ間主観性から明らかにしていく。
中谷博美著『Tag Questions and Their Intersubjectivity: A Cognitive Linguistic Approach』
本書は、日本語母語話者が目の前の対象へ共同注意を確立するために行うやりとりを観察し、それに基づいたコ系・ソ系・ア系の新たな意味論および語用論的分析を提示する。近年の海外の指示詞研究で注目されている「聞き手の注意の状態」などより相互行為的な要因を分析に導入し、直示用法、テキスト内用法、またコ系・ソ系・ア系に後接する「-レ」、「-コ」などの接尾辞も含め、相互行為場面に根差した統合的な日本語指示詞研究を行う。
平田未季著『共同注意場面による日本語指示詞の研究』
本書は、副詞“全然”に関する昭和10〜20年代を中心とした学界・一般社会双方における規範意識の考察や、現代日本語における「誤用」の定番例として知られている “気がおけない”・“世間ずれ”・“名前負け”等の使用実態と言語規範意識についての考察を行い、さらに昭和戦前〜20年代の日本語の実態とそれに関する言語規範意識の研究に役立つ新資料の紹介およびそれを用いた研究の実例をも示したものである。
新野直哉著『近現代日本語の「誤用」と言語規範意識の研究』
東京を中心とした首都圏の話しことばは、首都圏方言と呼ばれ、多くのドラマ、漫画などの作品で用いられるほか、日本語の会話教育でも取り入れられることがある。本書では、主に漫画作品を対象として、ラ行音の撥音化(わからない→わかんない)等、首都圏方言の表現のゆれがどのように使い分けられているかに関する観察を行った。日本語学習者の表現の幅を広げる支援を行うための基礎研究となることを目指す。
福池秋水著『漫画に見られる話しことばの研究 日本語教育への可能性』
本書は、東北方言における述部文法形式のうち、特徴的な形式が用いられる自発表現・可能表現およびテンス・アスペクト・ムードを取り上げ、共時的・記述的な観点による臨地面接調査、話者の属性差に注目した社会言語学的調査、明治から平成まで約百年間の方言分布調査を分析し、個々の現象・形式や各方言の体系のあり方および地理的分布が形成される過程の解明をめざしたものである。
竹田晃子著『東北方言における述部文法形式』
欧米の日本語学習は対日戦略とともに展開した。そのうち、国防、外交、交易など各国の国益と結びついた8つのトピックを紹介する。幕末の日本産「蚕」や日露戦争後の日本に注がれた関心が日本語の研究を促すなど、動機は意外なところにあった。16世紀から20世紀の西洋人の日本語学習は、綿密な計画とたゆまぬ努力、日本語教師たちの真摯な協力によって成果を生んだ。エピソードを交えながら当時の息吹を紹介する。
小川誉子美著『蚕と戦争と日本語 欧米の日本理解はこうして始まった』
生きたビジネス文書をネット上からコーパスとして取り出せる時代が到来した。クラウドソーシングをデータベースとし、日本語の国立国語研究所とAIの富士通研究所のコラボで、ビジネス日本語の諸問題と改善法を実証的に明らかにした、新境地を開拓する論文集!執筆者:青木優子、浅井達哉、石黒圭、市江愛、井上雄太、岩崎拓也、岩田一成、赫楊、喬曉筠、熊野健志、佐野彩子、蒙韞、布施悠子、アンドレイ・ベケシュ
石黒圭編『ビジネス文書の応用言語学的研究 クラウドソーシングを用いたビジネス日本語の多角的分析』
メタ言語表現の学習とコミュニケーションのメタ認知の向上を結びつける日本語教育を提案。日本語学習者の視点を基に、メタ言語表現の学習の意義を捉え直した上で、豊富な談話資料より収集したメタ言語表現を分析する。初級日本語クラスでの学び、インタビューで得られた学習者の語り、待遇コミュニケーション論と文章・談話論に基づいた分析、いずれも日本語教師や日本語教育研究者に有益である。
李婷著『日本語教育におけるメタ言語表現の研究』
・『図書新聞』2020年2月8日(第3434号)
加藤夢三著『合理的なものの詩学 近現代日本文学と理論物理学の邂逅』
評者:西貝
怜
・『ふぇみん』2020年2月5日(No.3244)
国際演劇協会日本センター編 林英樹・曽田修司責任編集『紛争地域から生まれた演劇』
2020.2.4
「使える日本語」を教えるために必要な情報を平易な日本語で書いたガイドブック。国際交流基金のJF日本語教育スタンダードのA1からB1レベルの学習者を教える日本語教員が、日本国内外、母語話者かどうかによらず、授業の前に読んで使えるよう配慮。本書は単なる文法書でも、タスク集でもない。「文法は不要」と思っている方にも学習者に場面で必要なことができるようになるためのタスクにおいて、文法がどう埋め込まれているかをやさしく解く。
中西久実子・坂口昌子・大谷つかさ・寺田友子著『使える日本語文法ガイドブック—やさしい日本語で教室と文法をつなぐ』
三重県尾鷲市尾鷲方言のアクセント体系について、フィールドワークにもとづいて詳細に記述する。尾鷲方言のアクセント体系は、3つの「式」の対立をもつ点、単独形では高い音調をもつ語が音環境によって低く発音される「連読変調」がみられる点が、通方言的にみて特異である。尾鷲方言は、2つの式の対立をもつ京阪方言とかつては同系統であったととらえられ、尾鷲方言が3つの式をもつに至った経緯について、考察を行う。
平田秀著『三重県尾鷲方言のアクセント研究』
「家の奥」ってどこ? 「若干名」って何人? 「小枝を拾って食べる」? 「観光地のソフト」と「ソフトの朝練」の「ソフト」は同じ? 「名前を控える」と「お酒を控える」は? 日本語学習者の頭のなかで起きている意味の理解という不思議な現象を、母語による分析からあぶり出し、その語彙推測能力や文脈把握能力に迫る画期的論文集!執筆者:井伊菜穂子、石黒圭、烏日哲、赫楊、Nguyen Thi Thanh Thuy、田中啓行、Dang Thai Quynh Chi、張秀娟、布施悠子、宮内拓也、蒙韞、劉金鳳
石黒圭編『文脈情報を用いた文章理解過程の実証的研究 学習者の母語から捉えた日本語理解の姿』
従来、後期咄本は江戸語資料としての価値を認められることが少なかった。しかし一方で、当時既に古臭さ・尊大さを想起させる「ござる」、婉曲な拒絶を表す「一昨日来い」等の様々な実例が見られ、市井の会話が得られる資料と言える。本書はこれらの実例から〈表記変化を促すもの〉〈類型化と使用層の変化〉等、表記・語彙・語法他の視点から、江戸語が上方語的要素を脱し、独自の発展を遂げた変化の要因を論じるものである。
三原裕子著『江戸語資料としての後期咄本の研究』
今年は、ひつじ書房30周年の年になります。これまでのご支援を感謝申し上げます。とともに、あたらしい時代を切り開いていきたいと思います。主に学術書をこつこつ、出している、ベストセラーを出すということのない、地味で人数の少ない零細出版社ですが、どうぞご支援下さいますようお願い申し上げます。