『日本語の研究』第14巻4号(2018年12月1日)掲載
・大木一夫著『文論序説』評者:仁科明
・服部隆著 『明治期における日本語文法研究史』評者:金子弘
コミュニケーションにおける聞き手行動に着目し、異文化やジェンダーといった社会的なフィルターが内在した談話における「リスナーシップ」(聞き手の在り方や貢献)を多様なアプローチから実証的に映し出す。コミュニケーションを「聞き手」の立場から捉えなおすことを提案する論文集。
執筆者:難波彩子、植野貴志子、山口征孝、岡本雅史、増田将伸、横森大輔、村田和代、森本郁代、片岡邦好、井出里咲子、ブッシュネル・ケード、釜田友里江、首藤佐智子
村田和代編『聞き手行動のコミュニケーション学』詳細
『英語教育』2019年1月号(Vol.67 No.11)BOOKSHELF掲載
中森誉之著『技能を統合した英語学習のすすめ 小学校・中学校・高等学校での工夫と留意』
評者:伊東治己
中森誉之著『技能を統合した英語学習のすすめ 小学校・中学校・高等学校での工夫と留意』
現代中国の文学作品を翻訳・紹介する『中国現代文学』の第20号。蘇童「十九房間」(意気地なし男に降りかかった途方もない災難)、李文方「パッシェンカおばさんとその小さな店」(ハルビンに暮らす亡命ロシア人家族との思い出)、残雪「インスピレーション」(作家志望の男と彼を支える二人の女性)、裘山山「休み時間」(元教員老婦人の奇妙な習慣)のほかに、図書紹介(東西の最新長編小説)も掲載する。
中国現代文学翻訳会編『中国現代文学 20』詳細
本書は、日仏研究者交流という形で、フランスの大学で日本語を教える日本語研究者、日本の日本語教育研究者・日仏対照研究者の論文をまとめたものである。フランス語を母語とする日本語学習者の出会う問題点、困難点という観点から分析を行い、その成果を教育へ還元することを目的とする。
執筆者:秋廣尚恵、岩内佳代子、牛山和子、大島弘子、神山剛樹、黒沢晶子、砂川有里子、竹村亜紀子、中尾雪江、中島晶子、中村デロワ弥生、野田尚史、ジャン・バザンテ、東伴子
大島弘子編『フランス語を母語とする日本語学習者の誤用から考える』詳細
本書は筆者がこれまでに行ってきた批判的談話研究の中から、政治家の言説・沖縄米軍基地に関する言説・萌えキャラに関する言説・原発に関する言説を分析した9本の論文を収録したものである。批判的談話研究は決して談話研究や言語学の世界だけに留まるものではない。本書でもその学際性を反映して、ヘゲモニー論を取り入れたり日本語教育への応用を考えたり市民性教育への展開を試みたりしている。社会のあり方に興味関心のある人に広く読んでいただきたい。
名嶋義直著『批判的談話研究をはじめる』詳細
梓会出版文化賞は、「優れた出版活動を行っている出版社を激励することを目的」としている賞で、ウェブサイトには以下のように説明があります。
梓会出版文化賞について
出版界には、作品・著作者を表彰する賞は多数ありますが、出版社を対象に顕彰する賞は、わが国では類を見ません。梓会出版文化賞は、1984年(昭和59年)、当会の社団法人化を機に公益事業として創設されました。
昨今の出版界は前例のない変容期に直面し、活字文化の存続を危ぶむ声すらあります。本賞は、このような状況のもとで、なお優れた出版活動を行っている出版社を激励することを目的としています。
(出版梓会ホームページ:http://www.azusakai.or.jp/index.html)
このような栄誉ある賞をいただきましたのも、日頃支えてくださっているみなさまのおかげと存じます。
心より御礼申し上げます。
今後もより一層精進してまいりますので、ご支援のほどなにとぞよろしくお願い申し上げます。
日本で生まれ育ち、日本の学校に通う外国ルーツの子どもたちが、普段の日本語の会話では何不自由なく話しているように見えるのに、意外と簡単な日本語を知らないことがある。一見、不自由なく話せているのに、どうしてそのような簡単なことばを知らないのか。そして、そのような簡単なことばを知らないことで、学校での教科学習につまずくこともある。周りの大人がなかなか気づかないそのようなつまずきを教育上の盲点と考え、その実態を明らかにする。
西川朋美・青木由香著『日本で生まれ育つ外国人の子どもの日本語力の盲点 簡単な和語動詞での隠れたつまずき』詳細
『日本近代文学』第99集掲載
・書評 小谷瑛輔著『小説とは何か? 芥川龍之介を読む』評者:松本常彦
・紹介 西田谷洋著『村上春樹のフィクション』評者:木村政樹
『多職種チームで展示をつくる 日本科学未来館『アナグラのうた』ができるまで』(高梨克也編)
日本語用論学会『Newsletter 40』にて紹介が掲載されました。
高梨克也編『多職種チームで展示をつくる 日本科学未来館『アナグラのうた』ができるまで』
ソルボンヌ大学言語学教授によるベストセラー書籍の翻訳。本書では、広告、雑誌・新聞などメディアのテクストに焦点をあて、記号学的分析から一歩進んだ最新のフランスの言説分析の方法論を全21章で紹介。テクストの言説分析をより論理的に実践するための方法論とその事例研究が満載された、フランス言語学を専門にする学生、研究者のみならず、メディア研究に携わる研究者等幅広い読者を対象とする、学際的分野としてのメディア言説分析方法論の手引書である。
ドミニク・マングノー著 石丸久美子、?馬京子訳『コミュニケーションテクスト分析 フランス学派による言説分析への招待』詳細
日本語文法史の分野をリードする、隔年刊行の論文集の第4号である。今号では初めて、「コーパス」をテーマとする小特集が組まれた。特集テーマに基づいた論文4本の他、上代から中古、中世、そして学史、方言史までに亘る多様な研究論文6本、テーマ解説2本、文法史の名著、研究文献目録、といった充実した内容が収められている。
執筆者:青木博史、池上尚、大木一夫、岡?友子、岡部嘉幸、久保薗愛、小柳智一、富岡宏太、蜂矢真弓、福沢将樹、宮地朝子、森勇太、吉田永弘
青木博史・小柳智一・吉田永弘編『日本語文法史研究 4』
「英語教育は改革を繰り返す 『技能を統合した英語学習のすすめ』著者 中森 誉之さん(京都大学准教授)に聞く」
MORGEN 2018年10月号 No.196
中森誉之著『技能を統合した英語学習のすすめ 小学校・中学校・高等学校での工夫と留意』
『英語教育』2018年11月号(Vol.67 No.9)New Books & DVDs掲載
江利川春雄著『日本の外国語教育政策史』
英語コーパス学会20周年を記念した網羅的なコーパス研究シリーズ「英語コーパス研究」第3巻。本巻は、コーパス活用以前と活用以後の辞書編纂を概観した後、語義説明、文法情報、用例・定型表現、語法情報、シノニム記述、辞書出版、辞書編纂用ツールの各項目ごとに、コーパスが英語辞書編纂にどのように寄与してきたかを論じている。
執筆者:赤須薫、赤瀬川史郎、赤野一郎、井上永幸、中山仁、畠山利一、南出康世、山本康一
赤野一郎・井上永幸編『コーパスと辞書』(堀正広・赤野一郎監修、英語コーパス研究シリーズ 第3巻)
新刊・近刊のご案内の冊子『未発ジュニア版』を発送しました。近々みなさまのお手元に届く予定です。
今季の『未発ジュニア版』は秋らしいブラウンです。
『未発ジュニア版』をご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、ひつじ書房までどうぞご連絡下さい。連絡先は、toiawase(アットマーク)hituzi.co.jpです。どうぞよろしくお願いいたします。
方言の研究は、あらゆる角度からの視点と、多様な方法によってすすめられている。それらの視点や方法は、方言に関するさまざまな現象をすくい上げる方言研究のネットワークを形成する。このネットワークを深化させるために、他の研究分野との交流や、研究方法の交流が盛んに行われてきた。4号では、各交流における具体的な研究を紹介し、その実態に迫る。執筆者:朝日祥之、遠藤光暁、関根智子、高木千恵、高田三枝子、田中ゆかり、中井精一、灰谷謙二、半沢康
日本方言研究会編『方言の研究 4 特集 方言研究のネットワーク』詳細
諸言語のアスペクト現象が通時的経糸のどこに位置し、共時的横糸においていかなる平衡状態を示しているか、また動詞の語彙的意味との相関性、テンス・タクシスとの関わりなどを詳細に分析する。本書によるアスペクト・カテゴリーの基本枠組み、緻密な考察は、アスペクト研究の流れを決定づけたと言われる。1984年の発表以来、現在まで、多くの論者によって引用されてきた現代アスペクト研究史における金字塔の全訳。
ユーリー・S・マスロフ著 林田理惠・金子百合子訳『アスペクト論』(言語学翻訳叢書 16)詳細
「シリーズ 話し合い学をつくる」待望の第二巻。多領域からの研究・実践報告や議論を通して、「共創」を実現するための「話し合いのモデル」と、それを基調とする「社会・制度・政策のあり方」を探求する「話し合い学」の構築をめざす。
執筆者:村田和代、井関崇博、森篤嗣、杉山武志、青山公三、加納隆徳、田村哲樹、荒川歩、小宮友根、土山希美枝、篠藤明徳、坂野達郎、佐野亘
村田和代編『話し合い研究の多様性を考える』(シリーズ 話し合い学をつくる 2)詳細
会話分析は近年、幅広い分野にまたがって発展を遂げ、扱う研究主題は目覚ましい広がりをみせている。本書は、それら新たな研究主題??多様な連鎖組織、相互行為言語学、相互行為における身体、フィールドワークとの関係、行為の構成、認識的テリトリー、多言語比較など??の展開を具体的な分析事例とともに概説し、会話分析の向かう先を展望する。
執筆者:串田秀也、城綾実、戸江哲理、西阪仰、林誠、早野薫、平本毅、増田将伸、横森大輔
平本毅・横森大輔・増田将伸・戸江哲理・城綾実編『会話分析の広がり』詳細
本書は2013年3月に統計数理研究所で開催されたシンポジウム『「ことば」と「考え方」の変化研究:社会言語学の源流を追って』にもとづいている。社会言語科学の新しい流れを形づくっている研究活動と、源流として今も流れ続けている調査研究をそれぞれ取り上げ、これから向かうべき方向を模索した。また、科学的データを収集する調査の実際やデータ解析の方法論についても分かりやすく解説した論文集である。
執筆者:阿部貴人、伊藤彰則、井上史雄、佐藤和之、佐藤亮一、杉戸清樹、中村隆、前田忠彦、前田理佳子、水野義道、御園生保子、森篤嗣、横山詔一、米田正人
横山詔一・杉戸清樹・佐藤和之・米田正人・前田忠彦・阿部貴人編『社会言語科学の源流を追う』詳細
日本の実情に則した、英語教授学習理論を提案する。学校教育課程において、何に注意して指導し、何をしてはいけないのかについて、理由とともに示す。最新の言語習得理論と認知科学、学校教育臨床研究の知見を踏まえて、我が国独自の英語学習指導があるべき姿を、教育学の立場から考究していく。ことばを学ぶこととは何かを問い直し、言語教育の原点回帰を図る。英語を外国語として学び育てる全ての人、必携の書。
中森誉之著『技能を統合した英語学習のすすめ 小学校・中学校・高等学校での工夫と留意』詳細
認知言語学の最先端の論文を継続的に掲載するシリーズ第14巻。国内外の第一線の研究者の論文を掲載し、多岐にわたる認知言語学や関連する言語学の最新研究成果が交流する。 執筆者: 貝森有祐、 阪口慧、眞田敬介、高橋暦・堀江薫、中野研一郎、有薗智美、大澤(伊藤)理英、寺?知之、堀内ふみ野、 坪井栄治郎、山梨正明
山梨正明 編『認知言語学論考 No.14』詳細
職能の異なるメンバーからなる多職種チームが「まだ存在していない」展示を制作していく際、メンバーはさまざまな困難に出会い、これをさまざまな工夫によって乗り越えていく。この巻では、多職種チームによるこうした協同問題解決が「懸念」によって駆動されるさまや、提起された問題が「表象」を利用して共有・解決されていくさまを描く。執筆者:高梨克也、平本毅、小澤淳、島田卓也、田村大 (シリーズ監修 高梨克也)
高梨克也編『多職種チームで展示をつくる 日本科学未来館『アナグラのうた』ができるまで』詳細
日本人の初級韓国語学習者が学習を進めていく中でいかに変化していくのか。学習動機、学習ビリーフ、学習ストラテジーや、学習経験による韓国・韓国人に対するイメージの変化に着目し、実証的に明らかにする。また、学習者自身が認知する変化と統計的分析の結果に相違があることを明らかにした。韓国語に限らず、様々な語学学習が学習者に与える影響を考えるために有益な書。外国語習得研究者、外国語教員にぜひ手に取って頂きたい。
齊藤良子著『初級韓国語学習者の学習態度の変容に関する研究』詳細
古代から現在までの日本の外国語教育政策を、実践と関連づけながら通史的に考察し、今日的な示唆を抽出した。例えば小学校英語もコミュニケーション重視も、明治期から試行錯誤を重ね、貴重な知見と教訓を残している。歴史から学ぶことで、同じ誤りを繰り返すことなく、より的確な政策決定と実践を行うことができる。政策の策定過程と結果を検証し、改善すべき問題点を提言する。外国語教育政策史年表、主要な政策文書も収録。
江利川春雄著『日本の外国語教育政策史』詳細
言語学、心理学、工学など、様々な立場からレトリックを研究し、意見交換する場を提供することを目的とした日本語用論学会メタファー研究会の発表を中心としたシリーズ。第1巻では、キックオフミーティングの内容を中心に、ナラティヴや会話分析を含むメタファーに対する各アプローチの背景的概念説明を含み、メタファー研究の現在が展望できる。
執筆者:鍋島弘治朗、杉本巧、片岡邦好、内田聖二、大森文子、内海彰、後藤秀貴、楠見孝
鍋島弘治朗・楠見孝・内海彰編『メタファー研究 1』詳細
本書は現代韓国語の接続表現「neunde」と日本語「kedo」の多義性に注目し、それぞれの使い分けと両形式の対応関係を対照的に分析したものである。本研究によって導き出した分類基準は、関連する類似表現を統一的に記述することが可能で、一般性のある複文分析の枠組みとして活用を提案した。解釈の多義性と機能の抽象性を段階的に捉えることによって、接続表現全体における多義的接続表現の位置づけを目指したものである。
池?京著『接続表現の多義性に関する日韓対照研究』詳細
「日本語の動態」に関するシリーズの第2巻である。日本語の多彩さのなかで地域差だけが目立っていた時代はいまや幕を閉じつつある。そのかわり、その地域差を含んだ社会差、機能差などのさまざまに絡み合った日本語のバリエーションが注目される時代が登場してきている。本書では、その情況に関する著者の既発表の論稿をセレクトし集成した。国語教育、日本語教育に携わる人だけでなく、一般の方々に是非とも読んでいただきたい。
真田信治著「真田信治著作選集 シリーズ日本語の動態 第2巻『地域・ことばの生態』」詳細
「公共性」とは、誰もが知っているが、はっきりとは説明できない言葉である。公共性とは何か? なぜ必要なのか? 本書は「公共性」を、ハンナ・アーレント、ジャン=フランソワ・リオタール、ユルゲン・ハーバーマスといった現代思想の文脈の上に位置づけ、ポストモダンの現代においてなぜ公共性が必要とされるのか、その可能性によって現代にどのような道が開かれるのかを論じたものである。
五十嵐沙千子著『この明るい場所 ポストモダンにおける公共性の問題』詳細
本書は、否定研究の第一人者Laurence R. Hornの大著A Natural History of Negation(2001, 第2版)の翻訳である。自然言語の「否定」に関する先行研究を詳細に検討の上独自の分析を提示したもので、まさに否定研究のバイブルである。Hornは今回の翻訳に際し、本書を「第3版」と見なし「第3版の終章」を新たに書き加え、最新の否定研究の解説と文献を追加している。
ローレンス R.ホーン著 河上誓作監訳 濱本秀樹・吉村あき子・加藤泰彦訳『否定の博物誌』詳細
今年も研究書出版についての相談のためのオープンオフィスを行います。
出版社から研究書を出すというのはどうすればいいのか、から、
刊行助成金に応募する方法など、
入り口から実践まで。
日本語学、言語学から、文学研究、文化研究、脳研究、心理学など
文理を問わず、ことばの研究に関わる方のご相談にのります。
*ポスターを作成しました。大学・研究機関等で掲示して下さる方がいらっしゃいましたらお送りします。toiawaseアットマークhituzi.co.jpまでご連絡ください。
オープンオフィス詳細
本書は、Cours de linguistique g?n?raleでのソシュールの意味論の問題について、1996年に発見された自筆草稿を基に解決を試みる。ソシュール学説は日本でも迅速に受け入れられたが、一方で大きな抵抗もあった。その一つが、時枝誠記の「言語過程説」を基にした論争である。本書では両者の学説を再検討するとともに、両者の主張にはむしろ共通点が多く、それが当時すでに現代の認知的視点を先取りしていたことを明らかにする。
松中完二著『ソシュール言語学の意味論的再検討』詳細
株式会社さんぽうより、イベントのご紹介です。
日本語教師・職員を目指す方のために採用説明会を東京・京都・大阪で開催するとのことです。詳細は以下のURLをご覧ください。
■NIHON MURA × さんぽう「日本語教師・職員」採用合同説明会
[東京会場] 2018年7月7日(土)12:00〜16:00
http://job.nihonmura.jp/20180707tokyo.html
[京都会場] 2018年7月7日(土)12:00〜16:00
http://job.nihonmura.jp/20180707kyoto.html
[大阪会場] 2018年1月27日(土)12:00〜16:00
http://job.nihonmura.jp/20180721osaka.html
近年「ワークショップ」への関心が高まり、さまざまな実践事例が報告されるようになった。しかし、実践への志向が強い分、「そもそもワークショップとは何か」という本質的な問いを忘れがちである。「ワークショップ」は、人びとが相互に影響をあたえながら構成される場であり、まさにコミュニケーションの過程として理解されるべきものである。本書では、実践事例をふり返りながら、いまいちど「ワークショップ」をとらえなおし、その意味や意義を問い直す態度が重要であることを論じる。
加藤文俊著『ワークショップをとらえなおす』詳細
ノーム・チョムスキーによる本邦初出初訳、書き下ろしの2つの章を含む、言語研究の指針となるべき注目の書。「言語とは何か?」から出発し、第1部は生成言語学における言語研究の現在の動向と将来の展望を示す4つの章から成る。また第2部は、生成言語学の関連領域の現在とその発展に関して厳選したテーマの4つの章から構成される。これからの言語研究における必携書。
執筆者:ノーム・チョムスキー(斎藤伸治訳、今井隆・斎藤珠代訳)、岸浩介、奥脇奈津美、澤崎宏一、安原和也、斎藤伸治
今井隆・斎藤伸治編『21世紀の言語学 言語研究の新たな飛躍へ』詳細
本書は、現代韓国語の-n kes-ita文を統語構造によって「名詞文」「擬似名詞文」「非名詞文」という三つに分類し、「主題−解説」構造の観点から考察することにより、これまで明確ではなかった-n kes-itaの基本的機能と-n kes-ita文の意味解釈プロセスによる全体像を提示する。そして、-n kes-ita文を日本語のノダ文と対照考察し、-n kes-itaとノダの根本的な違いは、両形式の「主題?解説」構造の違いに起因していることを提示する。
李英蘭著『「主題−解説」構造から見た韓国語 -n kes-itaと日本語ノダ』詳細
『週刊読書人』3243号(2018年6月15日)掲載
・ダニエル・ロング著『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造』評者:橋本直幸
☆週刊読書人のサイトへ
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「新しい広辞苑は、やばい。」というキャッチコピーで改訂版を売り出した広辞苑。最近問題にされる「やばい」の実際は? 「すごいおいしい」と「すごくおいしい」はどう違う? 「そんなの駄目だよ、みたいな」の「みたいな」はどういう意味? 実際に話されたことばから解き明かす、今どきの日本語でちょっと知りたい事情が楽しく読める1冊。
執筆者:遠藤織枝、小林美恵子、佐々木恵理、孫?、?橋美奈子、?宮優実、中島悦子、本田明子、増田祥子
遠藤織枝編『今どきの日本語 変わることば・変わらないことば』詳細
現代中国の文学作品を翻訳・紹介する『中国現代文学』の第19号。徐則臣「もし大雪で門が閉ざされたら」(北京に来た若者と鳩)、王凱「対話」(解放軍の人事をめぐる苦悩)、飛?「巨人伝」(孤独な巨大ロボット)、姚鄂梅「秘密の通路」(マイホーム購入と疑心暗鬼)、金仁順「僧舞」(高僧と舞う女)、蘇童「莫医師の息子」(名医の放蕩息子と若妻)、史鉄生「最後の練習」(時空と迷いを越えて。著名作家の詩三編)などを掲載。
中国現代文学翻訳会編『中国現代文学 19』詳細
『図書新聞』3351号(2018年5月19日)掲載
・小谷瑛輔著『小説とは何か?』 評者:高橋龍夫
『日本文学』第67巻第5号(2018年5月号)掲載
・鈴木愛理著『国語教育における文学の居場所』 評者:坂本まゆみ
Corinne Iten 著 Linguistic Meaning, Truth Conditions and Relevance: The Case of Concessives (2005)の全訳。従来の真理条件に基づいた意味論を却下し、認知語用理論としての関連性理論の、概念的意味対手続き的意味の区別に基づいた言語的意味論の書。手続き的意味の本質とその後の広がりを理解するための礎となる。
コリン・イテン著 武内道子・黒川尚彦・山田大介訳『認知語用論の意味論 真理条件的意味論を越えて』詳細
本書であつかう派生動詞「してある」「しておく」「してしまう」は、「する?している」の対立の内の形態論的な変化では無く、「して」と、それぞれ補助的な動詞「ある」「おく」「しまう」のくみあわせによって、2単語による1単語相当の単位としてできた分析的な構造をなす派生動詞であるととらえる。アスペクトから排除されるこれらを適切に位置づけることで、より厳密にアスペクトという形態論的なカテゴリーの規定に資することをめざす。
迫田幸栄著『現代日本語における分析的な構造をもつ派生動詞 「してある」「しておく」「してしまう」について』詳細
★重版に際し、ISBNコードを変更し、軽装版になりました★
本書は、現代日本語の話しことばの観察を通じて、「コミュニケーションとはお互いを理解するためのメッセージのやりとりだ」といった言語研究に広く深く浸透しているコミュニケーション観の問題点を明らかにし、それに取って代わる新しいコミュニケーション観の姿を追求したものである。言語研究がコミュニケーション研究にどのように貢献でき、コミュニケーション?言語?音声をつなぐ架け橋となり得るかが具体的に示されている。
定延利之著『コミュニケーションへの言語的接近』詳細
本書は、「歴史語用論」という研究分野において、具体的にどのような攻め方、 ツール、アイテム(言語データ)、アングルがあり得るのか、その方法論を意識的に描き出したものである。対象言語は、日本語・英語・ドイツ語・ネワール語と多岐に亘る。誕生から20年を迎えた「歴史語用論」の未来を拓く、新たな可能性を感じさせる一書である。
執筆者:Susan Fitzmaurice (中安美奈子訳)、青木博史、家入葉子、小野寺典子、川瀬卓、岸本恵実、桐生和幸、佐藤恵、新里瑠美子、高田博行、深津周太、藤原浩史、森勇太
高田博行・小野寺典子・青木博史編『歴史語用論の方法』詳細
協調・調和ではないコミュニケーションのあり方を探るべく、不一致・不調和・葛藤を意味するメタ概念「ディスコーダンス」を新たな尺度として提案する。言語人類学の理論的視座を軸に、ディスコーダンスの理論的考察と、異文化、オンライン、儀礼、メディア翻訳がかかわる場面の分析から社会科学的な洞察を展開する論文集。執筆者:浅井優一、荻原まき、小山亘、杉森典子、砂押ホロシタ、武黒麻紀子、坪井睦子、野澤俊介、山口征孝
武黒麻紀子編『相互行為におけるディスコーダンス 言語人類学からみた不一致・不調和・葛藤』詳細
家庭内の家族との会話。幼稚園でのお手紙ごっこ。小学校での授業。友達とのLINEによるやりとり。外国移住後の第二言語習得。消滅の危機に瀕した言語をあえて学ぶということ。本書は、0歳から18歳までの子どもが出会う可能性のある多様な社会的場面で起こるコミュニケーションの検討を通じて、言語発達過程にひとつの筋道を読み解く。言語とは、社会に参加するための道具であると同時に、私たち自身の社会を作るための道具でもある。
伊藤崇著『学びのエクササイズ子どもの発達とことば』詳細
小林隆 編『コミュニケーションの方言学』
言語学や日本語学の関心は、コミュニケーションの世界へと向かっている。この潮流を方言学にも引き込み、研究の進展を後押しするのが本書である。言語行動や談話の地域差にどう切り込むかは今後の方言学にとって魅力的なテーマである。そうした課題に方言研究者のみでなく、現代語や日本語史の専門家も加わって取り組んだのが本書である。
小林隆 編『感性の方言学』
「ノロラノロラ」「ジェジェジェ」など、方言はオノマトペや感動詞など感性の言葉の宝庫である。しかも、形式の違いだけでなくそれを生み出す機構や発想法にも地域差が見られる。日本語のオノマトペや感動詞はけっして一枚岩ではない。そうした問題に方言研究者のみでなく、現代語や日本語史の専門家も加わって取り組んだのが本書である。
小林隆 編『コミュニケーションの方言学』詳細
小林隆 編『感性の方言学』詳細
新刊・近刊のご案内の冊子『未発ジュニア版』を発送しました。近々みなさまのお手元に届く予定です。
今季の『未発ジュニア版』は爽やかなミントグリーンです。
『未発ジュニア版』をご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、ひつじ書房までどうぞご連絡下さい。連絡先は、toiawase(アットマーク)hituzi.co.jpです。どうぞよろしくお願いいたします。
『社会言語科学』第20巻第2号(2018年2月)掲載
・名嶋義直・神田靖子編『3.11原発事故後の公共メディアの言説を考える』評者:渡辺学
・森壮也・佐々木倫子編『手話を言語と言うのなら』評者:加藤三保子
・高木智世・細田由利・森田笑著『会話分析の基礎』評者:森本郁代
『ドイツ文学』156号掲載
ヤーコプ・グリム、ヴィルヘルム・グリム著 千石喬、高田博行編『グリム兄弟言語論集 言葉の泉』
評者:田村健一
ロシア語教育を実践するロシア語研究者による論文集。5つの章で、ロシア語研究とロシア語教育の分野において、アスペクトなどの文法から語彙や文字の学習を含めた種々の問題に新たな視座を与え、それとともに、ソヴィエト言語学における外国語教育や、多民族国家ロシアにおけるロシア語と少数民族言語の関係にも言及している。執筆者:堤正典、阿出川修嘉、菊池諒、小林潔、田中孝史
堤正典編『ロシア語学とロシア語教育の諸相』詳細
『週刊読書人』3237号(2018年5月4日〔4月27日合併〕)掲載
・小谷瑛輔著『小説とは何か?』
評者:篠崎美生子
・『新英語教育』5月号(No.585)掲載
・阿部公彦著『史上最悪の英語政策』がBOOK REVIEWで紹介されました。
評者:村田純一
2018.4.11
『日本語文法』18巻1号(2018年3月)掲載
・早津恵美子著『現代日本語の使役文』評者:前田直子
・青木博史著『日本語歴史統語論序説』評者:竹内史郎
関西弁を対象にしたエッセイや社交用語ガイドの類は他方言に比べて圧倒的に多い。しかしながら、その全容を示す総合的な解説書、また本格的な「事典」はいまだ存在していない。本書はそのような渇望を満たすべく編纂したものである。関西弁の歴史、関西弁の地理、関西弁の位相、関西弁の変容、関西弁施策などに関して、学術的な記述を含みつつ、関西のことばに関心のある人なら誰もが手軽に利用できるよう、平易な説明を心がけた。編集委員:岸江信介、高木千恵、都染直也、鳥谷善史、中井精一、西尾純二、松丸真大
真田信治監修『関西弁事典』詳細
本書は、コミュニケーション能力の涵養を目指す日本の英語教育を念頭に、言語コミュニケーションと深く関わる語用論の知見、特にポライトネスに関わるものを語彙的アプローチによって取り入れることを提案するものである。本書の提案の一部はすでに語学書や辞書にも応用されており、日本語の「丁寧」と英語の‘polite’の違い、またその問題点など、教師から研究者、教材執筆者まで外国語教育に携わるあらゆる読者に新たな視点を与えるものである。
川村晶彦著『Lexical Pragmatics: Teaching English Communication and Pragmatic Skills to Japanese Learners』詳細
『週刊読書人』3233号(2018年3月30日)掲載
・西田谷洋著『村上春樹のフィクション』
評者:中村三春
『英語教育』2018年4月号(Vol.67 No.1)New Books&DVDs掲載
阿部公彦著『史上最悪の英語政策』
評者:及川賢
話し手の「視点」のあり方は我々の言語に影響を及ぼす重要な要素の一つであり、数多くの議論がなされてきた。しかし、論者によって「視点」の意味は様々であり、そもそも視点を持ち出す意義の問題もある。本書は、授与動詞文、移動動詞文、ヴォイスなどの文法項目に視点がどのように関与するのかを改めて検討した上で、視点の関与の仕方という観点から複数の文法項目の間に認められる体系を構築。言語と視点の関係を明らかにする。
古賀悠太郎著『現代日本語の視点の研究』詳細
本書は、現代日本語と韓国語の条件表現を対照的かつ統合的に分析することで、それぞれの言語の特徴を明らかにし、通言語的な現象としての条件表現を再考しようとするものである。特に、条件カテゴリー間の語用論的連続性に注目し、所謂条件と継起、理由、主題にわたる現象を有機的な連続体として把握することで、両言語の共通点や相違点を精密に記述するだけでなく、各言語の特徴的な現象を取り上げ、独自の枠組みでの分析を試みた。
金智賢著『現代日本語と韓国語における条件表現の対照研究』詳細
「日本語の動態」に関するシリーズの第1巻である。本書では、近代日本語における標準語の成立過程、それをめぐる地域社会での葛藤、そして、標準への〈集中〉と〈逸脱〉といった二つのベクトルの交錯の様相について、著者の既発表の論稿をセレクトし集成した。記述の情況はいずれも国語教育、日本語教育に当たって基本的に踏まえておくべき内容である。教育、研究に携わる人だけでなく、一般の方々に是非とも読んでいただきたい。
真田信治著「真田信治著作選集 シリーズ日本語の動態 第1巻『標準語史と方言』」
言語教育(特に国語科教育)を担当する教員が、文字のみで書かれたテクストだけでなく、絵や写真、図といった図像テクスト、さらにはそれらと文章テクストとの組み合わせから意味を構築したり、発信したりする授業を構想する際に、必要となる基礎的な理論枠組みを整理・提示した。学習者を取り巻くテクスト環境の変化に対応するため、本書ではこういった情報の形態の違いを理論的・意識的に整理・活用した授業実践の具体的なアイディアも提示している。
奥泉香著『国語科教育に求められるヴィジュアル・リテラシーの探究』
本書は、認知言語学の立場から日本語の語彙的複合動詞に光を当てるものである。複合動詞を「コンストラクション」として捉え、その体系を階層的なスキーマネットワークで示すとともに、その意味の非合成的な側面を説明する。また、動詞の意味構造として、背景知識や関連事象の情報を含む「意味フレーム」を用いることで、複合動詞の結合制約や意味形成における問題を解決する。付録として、様々な情報を付与した包括的な複合動詞リストを収録。
陳奕廷・松本曜著『日本語語彙的複合動詞の意味と体系―コンストラクション形態論とフレーム意味論』
本書では、日本語、英語、北欧諸言語の名詞複合語の特徴を比較した上で分析し、生成文法の枠組みの中でも特にミニマリスト・プログラムの枠組み内で新たな構造を提唱している。類縁関係のない言語を比較することで、複合語の言語普遍的な特徴と個別的な特徴を明らかにすることができる。また、構造を提唱することで、なぜヒトが複合語を理解することができるのかを明らかにする。
向井真樹子著『A Comparative Study of Compound Words』
本書は、19世紀イギリス小説をコーパスとし、英語代名詞の文法的ヴァリエーションにかかわる言語内外の要因を、巨視的・微視的に分析した歴史言語学の研究書である。小説の会話や語りにみられる代名詞の変異形は、どのように用いられ、そしてなぜ作家によって異なったのか。史的、社会言語学的、語用論的、地域的、文体的、統語的、形態的、音韻的などの様々な視点をとりいれ、19世紀から現代英語へと続く代名詞用法の変化の道筋をたどる。
中山匡美著『Grammatical Variation of Pronouns in Nineteenth-Century English Novels』
本書は、談話標識I I meanの本質と用法の広がりを、認知言語学における「現行談話スペース(Current Discourse Space)」の概念を用いて明らかにするものである。先行研究では、用法の羅列と、一つの観点からの窮屈な一般化に終始しているが、本書では、語用論と認知言語学の諸概念に基づき、諸用法を丹念に理論的に位置付けることで、その本質が「話し手の本意へと聞き手を導く」間主観的調整にあり、用法間の関係は、認知プロセスの差異として、統一的に示している。
小林隆著『I mean as a Marker of Intersubjective Adjustment: A Cognitive Linguistic Approach』
「私はあなたと同じ理解をしている」ことを相手に伝えるには、さまざまなやり方がある。本書では、二人以上で同時に同じジェスチャーをするジェスチャーの同期を対象とし、複数の相互行為環境で収録した映像データをもとに、人びとが「同じ」を目指すやり方に迫る。会話分析による精度の高い形式的記述を通じて、言語によるやりとりのみならず、身体と言語、身体と身体の相互彫琢を支える人びとの合理性と柔軟さを明らかにする。
城綾実著『多人数会話におけるジェスチャーの同期』
東京都の小笠原諸島がユネスコの世界自然遺産となってからよく話題になるが、実は180年以上前からそこには多数の言語を話す人々が暮らしており、2世紀近くにわたってさまざまな言語接触が積み重なった結果、現代使われる「小笠原混合言語」が形成されたのである。本書は、その構造をピジンやクレオールとの違いから分析しつつ、21世紀の日本が直面している「多文化共生」や「複言語」の状況を小笠原の欧米系島民がどのようにして乗り越えてきたかを解説する社会言語学の歴史的研究である。
ダニエル・ロング著『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造』
『語文』第159輯(2017年12月25日)掲載
・紅野謙介・大木志門編『徳田秋聲』評者:堀本嘉子
『日本語の研究』第14巻1号(2018年1月1日)掲載
・青木博史著『日本語歴史統語論序説』評者:吉田永弘
・早津恵美子著『現代日本語の使役文』評者:天野みどり
・森勇太著『発話行為から見た日本語授受表現の歴史的研究』評者:青木博史
2018.2.23
替え歌や落書きのような、素人による素人のための「芸術」を、哲学者・鶴見俊輔氏は「限界芸術」と呼んだ。だとすれば、職場や学校で「最近なんか面白い話ない?」「イヤそれがさぁ〜」と始まる「面白い話」も立派な限界芸術である。編者らはこの8年間、「面白い話」のコンテストを開いては、出品されたビデオ群をネットで公開してきた。音声言語やオラリティの研究のためである。では実際どう使えるか? 最初の試みがここにある。
定延利之編『限界芸術「面白い話」による音声言語・オラリティの研究』詳細
『図書新聞』3340号(2018年2月24日)掲載
・新保邦寛著『短篇小説の生成』評者:渡辺善雄
本書は、日本語および英語における修辞疑問文の発話解釈の仕組みを、関連性理論の枠組で探究するものである。従来の修辞疑問文研究の中で典型的に扱われてきた反語タイプの発話例のみならず、非反語タイプの発話例や、さらには弱いレベルで修辞性が伝達され情報要請との境界線があいまいな例、皮肉などの話者態度を伴うことで修辞性が暗に示される例等の非典型例も分析対象とし、包括的な修辞性の認知メカニズムを解明する。
後藤リサ著『Rhetorical Questions: A Relevance-Theoretic Approach to Interrogative Utterances in English and Japanese』詳細
『週刊読書人』3226号(2018年2月9日)掲載
・新保邦寛著『短篇小説の生成』評者:加藤禎行
『史上最悪の英語政策』の著者、阿部公彦先生がご来社されました。
おかげさまで各所で話題を呼び、発売1ヵ月で初版が売り切れ、このたび重版が出来ました。
各取次への搬入も再開しております。ぜひお手に取ってご覧ください!
「英語学概論(入門)」で習うような基礎知識を踏まえた、「英語学的な英語史入門」の好評テキスト。初版(1996年)からわかりにくい部分などを中心に修正・補筆を行った改訂版。さらに、旧版の章毎の「練習問題」全体を見直し、比較的易しい「練習問題」と、受講生がある程度、時間をかけて主体的に取り組める「課題」に分けて、新たな作問も行った。言語変化のメカニズムに関する様々な言語学的アプローチを試みる。
児馬修著『ファンダメンタル英語史 改訂版』詳細
「ハリケーン」「ものすごい大嵐」「台風みたいなの」「カトリーナ」。同じものを指すときに用いる表現にはいくつかの選択肢があり、性質を説明したり、固有名詞を用いたり、様々な方法がある。本書では会話分析の手法を用いて、日本語の日常会話のなかで、指示表現の選択が、質問・依頼・語りなどの活動を成し遂げるために、その場その場で聞き手の知識を考慮しつつ、指示対象の適切な認識を促すようになされることを明らかにする。
須賀あゆみ著『相互行為における指示表現』詳細
・『毎日新聞』(2018年1月21日)「今週の本棚」掲載
評者:沼野充義 ★毎日新聞のサイト
・『AERA』no.4(2018.1.29)
「刈部 直の読まずには居られない 235 入試「改悪」に鋭い批判」
評者:刈部直
林四郎氏の主著『基本文型の研究』(1960年)、『文の姿勢の研究』(1973年)を中心に、「林言語学」の現代的意義を読み解く一冊。言語活動全体を視野に入れ、文・文章の構造を時間の流れの中に位置づけようとする林氏の言語観は、現代の日本語文法研究や文章・談話研究、国語教育、日本語教育に大きな示唆を与えるものである。
庵功雄・石黒圭・丸山岳彦編『時間の流れと文章の組み立て―林言語学の再解釈』詳細
もっとも有名な純文学賞の名が芥川賞である通り、芥川龍之介は文学の象徴のような位置にいる。しかし彼の作品はそもそも小説なのかと当時から疑われ続けてきたのであり、むしろ小説の安定性を脅かす危険な存在でもあった。本書は小説という制度を疑い、そうした懐疑を文学的リソースとしていった芥川作品を解き明かすことで、言葉とは何か、小説とは何か、小説を書く人間の知性とは何かを自己言及的に問い返していく営みとしての小説のあり方を提示する。
小谷瑛輔著『小説とは何か?―芥川龍之介を読む』詳細
現代中国の文学作品を翻訳・紹介する『中国現代文学』の第18号。范小青「王元木って誰?」(見知らぬ名前の正体は?)、蘇童「海辺の羊たち」(海で様々なものを見た少年)、顔歌「三一茶会」(茶館に集う老人たち)、謝凌潔「父を想う」(南の海に生きる漁民)、多多「いまもなお」(著名詩人の90年代の代表作)、林白「過程」他(中堅作家の詩三篇)などを掲載。
中国現代文学翻訳会編『中国現代文学 18』詳細
本年もよろしくお願い申し上げます。