ひつじ書房 接尾辞「げ」と助動詞「そうだ」の通時的研究 漆谷広樹 著 接尾辞「げ」と助動詞「そうだ」の通時的研究 漆谷広樹 著
2010年3月

ひつじ研究叢書(言語編)第84巻

接尾辞「げ」と助動詞「そうだ」の通時的研究

漆谷広樹 著

A5判上製 定価6,800円+税

ISBN 978-4-89476-470-5

ひつじ書房



接尾辞「げ」は、類似した用法を持つ助動詞「そうだ」が発達した後も、消滅することなく現在も使用されている。その理由は「げ」の持つどのような性質によるものなのか。これまで「げ」については中古語の状況や現代語の状況についての研究が行われてきた。「げ」は他の多くの接辞とは異なり、中古から現代へと通時的に観察できる接辞である。そこで本書では、類似した用法を持つ「そうだ」と比較しながら通時的に観察し、それぞれの用法の変遷、また機能分担について考えた。


【目次】

序章 接尾辞「げ」と助動詞「そうだ」を通事的に研究する

 1 研究の課題
 2 ゲとソウダを通じ的に捉えることの可能性
 3 通事的研究はなぜ必要か
    3.1 これまでの通時的研究の方法
 4 ゲの研究史
 5 ソウダの研究史

1章 中古の接尾辞ゲの用法

 1 はじめに
 2 中古のゲの状況
    2.1 ゲの作品ごとの出現状況
    2.2 ゲの上接要素の分類
 3 品詞別の用法 
    3.1 形容詞の場合
    3.2 形容動詞の場合
    3.3 動詞の場合
    3.4 助動詞の場合
    3.5 名詞の場合
 4 共起関係から見たゲの用法
    4.1 わが身と御身、御姿
    4.2 動詞との共起
 5 ゲと位相について
    5.1 草子地とゲ
    5.2 訓点資料におけるゲの状況
 6 まとめ

2章 中世の接尾辞ゲの用法

 1 はじめに
 2 中世のゲの状況
 3 上接要素ごとに見た中世のゲ
    3.1 形容詞の場合
    3.2 形容動詞の場合
    3.3 動詞の場合
    3.4 助動詞の場合
    3.5 名詞の場合
 4 新表現の誕生
    4.1 「げな」の誕生
    4.2 ソウダの萌芽
 5 まとめ

3章 中古・中世における「〜ゲ」と「〜顔(ガホ)」の比較

 1 はじめに
 2 ガホの規定と出現する範囲について
 3 上接要素ごとのガホの状況
 4 ゲとガホの違い
    4.1 ゲとガホに差異が認められる場合
    4.2 ゲとガホに差異が認められない場合
 5 まとめ

4章 近世前期の接尾辞ゲの用法

 1 はじめに
    1.1 近世のゲとソウダの全体像
 2 近世前期のゲの状況
 3 上接要素ごとに見た近世前期のゲの特徴
    3.1 形容詞に下接する用法
    3.2 形容動詞に下接する用法
    3.3 動詞に下接する用法
    3.4 助動詞に下接する用法
    3.5 名詞および副詞に下接する用法
 4 「げな」の用法
 5 まとめ

5章 近世前期のソウダの用法

 1 はじめに
 2 上接要素ごとに見るソウダの用法
    2.1 動詞に下接するソウダの用法
    2.2 形容詞に下接するソウダの用法
    2.3 形容動詞に下接するソウダの用法
    2.4 助動詞に下接するソウダの用法
    2.5 名詞に下接するソウダの用法
 3 まとめ

6章 近世後期の接尾辞ゲの用法

 1 はじめに
 2 ゲの上接要素の状況
      2.1 品詞構成
    2.2 出現時期
 3 上接要素ごとの用法
    3.1 形容詞に下接する用法
    3.2 動詞に下接する用法
    3.3 形容動詞に下接する用法
    3.4 助動詞に下接する用法
    3.5 名詞の場合
 4 構文から見た特徴
 5 まとめ

7章 近世後期のソウダの用法

 1 はじめに
 2 上接要素の品詞構成
    2.1 動詞に下接する用法
    2.2 形容詞に下接する用法
    2.3 形容動詞に下接する用法
    2.4 名詞に下接する用法
    2.5 助動詞に下接する用法
 3 宣長のソウダのからわかること
 4 近世のヨウダについて
 5 まとめ

8章 近・現代における接尾辞ゲの用法

 1 はじめに
 2 近現代のゲの出現状況
    2.1 近代のゲの出現状況
    2.2 現代のゲの出現状況
 3 ゲの上接要素の構成
    3.1 近代のゲの場合
    3.2 現代のゲの場合
 4 上接要素ごとに見た用法
      4.1.1 形容詞の場合(近代)
      4.1.2 形容詞の場合(現代)
      4.2.1 形容動詞の場合(近代)
      4.2.2 形容動詞の場合(現代)
      4.3.1 助動詞の場合(近代)
      4.3.2 助動詞の場合(現代)
      4.4.1 名詞の場合(近代)
      4.4.2 名詞の場合(現代)
 5 作家ごとの諸相
    5.1 近代作家の用法
    5.2 現代作家の用法
 6 ゲの用法の考察
    6.1 感情の表出
    6.2 感情形容詞とゲの関係
 7 ゲの修飾機能について
 8 まとめ

9章 近・現代の助動詞「そうだ」の用法

 1 はじめに
 2 近現代のソウダの出現状況
    2.1 近代のソウダの場合
    2.2 現代のソウダの場合
 3 上接要素ごとの用法
      3.1.1 形容詞の場合(近代)
      3.1.2 形容詞の場合(現代)
      3.2.1 形容動詞の場合(近代)
      3.2.2 形容動詞の場合(現代)
      3.3.1 名詞の場合(近代)
      3.3.2 名詞の場合(現代)
    3.4 Ⅰ類のソウダの用法
 4 II類のソウダの用法
    4.1 接続の区別による分化
      4.2.1 新用法の獲得(近代)
      4.2.2 新用法の獲得(現代)
 5 まとめ

10章 近・現代の「げ」と「そうだ」の比較

 1 はじめに
    1.1 先行研究
 2 上接要素とゲ、ソウダの関係
    2.1 意味から見られる傾向
    2.2 語構成からの考察
    2.3 上接要素とゲ、ソウダとの関係のまとめ
 3 用例からの考察
    3.1 上接要素が同じ場合
    3.2 ゲとソウダがともに見られる場合
 4 副詞との共起について
    4.1 ゲにもソウダにも共起する副詞
    4.2 ソウダにのみ共起する副詞
 5 まとめ



【執筆者紹介】

漆谷広樹(うるしだに ひろき)  愛知大学 文学部 教授


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