清国人日本留学生の言語文化接触 ー相互誤解の日中教育文化交流 酒井順一郎 著
2010年3月
清国人日本留学生の言語文化接触 ー相互誤解の日中教育文化交流
酒井順一郎 著
A5判上製 定価4,700円+税
ISBN 978-4-89476-439-2
ひつじ書房
明治期、列強諸国に学ぶことに力を注ぐ日本。その最中、思いも寄らず清国から多数の留学生が来日してしまう。初の海外体験と近代教育を受ける清国人留学生、初の留学生教育を経験する嘉納治五郎と日本教育界、それぞれの戸惑い、苦悩、喜び、発見は一体何であったか。特に思い込みからくる相互誤解、留学生から突きつけられた日本語への疑問、日本社会から孤立していく留学生に手を差し伸べた日本人娼妓達等、ユニークな視点から教育文化交流を論じる注目の書。
目次
序章
1.はじめに
2.さねとう研究
3.さねとうの研究以降
4.明治期に於ける清国人日本留学生とは
一.留学の定義
二.清国人日本留学生のフレームワーク
三.留学生界の様相
第1章 日本留学生誕生 一 13名の留学生と1名の補欠留学生
1.はじめに
2.清国公使館と東文学堂
3.所謂1896年初の日本留学生
4.戦略なき日清両国の留学生政策
5.留学生受け入れ体制と留学生の反応
6.留学生の思想変化と留学効果
7.まとめ
第2章 本格的清国人日本留学生教育へ 一 宏文学院設立
1.はじめに
2.清朝留学政策と亦楽書院
3.宏文学院設立
4.宏文学院教育主旨
一.清国教育状況との関係
二.人材教育と速成教育
三.学院名改称へ
5.まとめ
第3章 宏文学院留学生教育の実態
1.はじめに
2.普通教育の実態
3.速成師範科
4.まとめ
第4章 近代日本語教育の誕生と清国人日本留学生への影響
1.はじめに
2.日本語教授陣
3.宏文学院編纂『日本語教科書』第1巻〜第3巻
一.基本構成
二.音声教育重視
三.例文
四.教科書編集に於ける「東京語」
五.留学生教育現場から国文法への影響
4.教授法
一.「◎日本語教授法改良ニ就キテノ鄙見」
二.漢文体を介した教授法
三.留学生の日本語学習観「和文漢読法」
四.近代日本語教育の留学生への影響 一 その効果と弊害
5.まとめ
第5章 留学生活の壁
1.はじめに
2.「衣」の壁 一 服装と辮髪
3.「食」の壁
4.「住」の壁
5.まとめ
第6章 もう一つの留学生活
1.はじめに
2.微笑ましい余暇と異文化異性交流
3.愛欲の日々 一 『留東外史』と新聞記事からの検証
一.売淫国日本
二.女学生及び女学生風淫売婦
三.「不遇に泣く」のは日本女性か留学生か
四.花柳病
五.裸足と纏足
4.まとめ
第7章 明治期清国人日本留学生の終焉 一 宏文学院閉校
1.はじめに
2.ぎこちなき留学生と教育機関の関係 一 嘉納治五郎と楊度の論議
一.論議のはじまり
二.服従教育から公理主義教育へ
三.楊度の疑義と嘉納の変化
四.留学生の関心と影響 一 宏文学院同盟退学騒動
3.日本社会の清国人留学生に対する感情の変化
4.留学生教育機関への批判と清国政府の留学生政策転換
5.嘉納の最後の賭け
6.まとめ
終章
1.まとめ
2.清国人日本留学の特質性
3.結論
あとがき
索引
【執筆者紹介】
酒井順一郎(さかい じゅんいちろう)
東北師範大学中国赴日本国留学生予備学校副教授。国際日本文化研究センター共同研究員。
ご注文は、最寄りの書店さんでお願いします。
お店に在庫が無くても、お取り寄せができます。
書店が最寄りにない場合は、オンライン書店でご注文ください。
お急ぎの場合は、小社あてにご注文いただくこともできます。
郵便番号、ご住所、お名前、お電話番号をメールか、FAXでお知らせください。
送料420円でお送りします。
新刊案内へ
ひつじ書房ホームページトップへ