書評 |
自著を語る 楠見孝 編 メタファー研究の最前線 比喩の研究は,言語だけでなく,感覚,思考,概念,発達等,心理学の多くのテー マに関わる研究領域です。本書は,日本独自の文体論や表現学研究の蓄積と,認知心 理学,認知科学,認知言語学の理論的展開,そして大規模コーパス,脳機能を解明す る手法,コネクショニストモデル等の導入によって一層進展してきたメタファー研究 を,認知的な視点から統合することを目指した論文集です。 本書は,26編の論文が所収されており,執筆者が若手から重鎮まで幅広いことが特 徴です。心理学に関連するテーマとしては,文章理解,共感覚,類推,「心の理論」 とメタファー・アイロニー理解の発達等がとりあげられています。多くの人に読んで いただき,この分野の研究がますます発展することを願っています。 (日本心理学会『心理学ワールド』42号,p36) (日本心理学会『心理学ワールド』42号,p36)より転載 |