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2022.8.24(水)

『小説のフィクショナリティ』まもなく刊行!

来週に出来上がってくる新刊のご紹介です。

『小説のフィクショナリティ 理論で読み直す日本の文学』
高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1162-5.htm

本書は2014年に立ち上げられた「フィクションと日本文学の研究会」での研究成果の一端をまとめた論文集で、全部で18本の論文と、巻末にフィクション論の主要文献を紹介した「読書案内」を収録しています。

本書は2部立てとなっており、第1部が「フィクション論の争点」として、フィクション論はこれまでどのように語られてきたかが整理されています。第2部では「フィクション論は日本文学をどう読むか」として、さらにテーマごとに4つのセクションに分けて、小説が表現される際のフィクションの意識や受容、現実と虚構の境界など様々な観点から小説の分析がされます。

嘘はフィクションなのか、ニュースがフィクションではないとしてその内容が間違っていたときはフィクションになるのか、誰かの日記を小説として差し出されたときそれはフィクションなのか。フィクションについてこれまで様々な考え方で論じられてきたわけですが、それらが整理されていて、本書を読むと、何が虚構であって虚構でないのか、それを判断する立ち位置についても自覚的になり、とても頭が良くなったような気になります笑。それは冗談ですが、虚構作品として読んできた小説について、よりクリアに理解ができるようになるのではないでしょうか。

巻末の読書案内も、フィクション論を知るには何を読めば良いのかということが分かりとても便利です。

研究者だけでなく、小説や物語に愛着を持っている人にもおすすめです。




2022.8.9(火)

秋に刊行する近刊です。

連日の猛暑続きでまいってしまいますね。皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私は少々夏バテ気味です。「夏なんかとっとと過ぎ去ってしまえ!」などと考えてしまいます。
早く過ごしやすい秋が訪れてほしいものです。

秋のことを考えたところで、少し気が早いかもしれませんが、今回は秋に刊行する近刊、『日本語プロフィシェンシー研究の広がり』(鎌田修監修代表 鎌田修・由井紀久子・池田隆介編)をご紹介したいと思います。編集作業は現在佳境に入っています。

プロフィシェンシーは「熟達度」とも訳され、日本語教育におけるプロフィシェンシーとは「日本語学習者がどれだけ自然に日本語を使いこなせるか」という「言語運用能力」を評価する概念です(「自然に」という部分がポイントです)。
本書は日本語プロフィシェンシー研究学会の10周年記念事業の一環として刊行する論文集です。日本語プロフィシェンシー研究についての30を超える多彩な論文が7つの部(カテゴリー)に分けられて収録されています。
各部のテーマは以下の通りです。これを見ただけでも「日本語プロフィシェンシー研究の広がり」を感じてもらうことができるかと思います。

・第1部 ソーシャルエンゲージメントとプロフィシェンシー
・第2部 流暢さ、非流暢さとプロフィシェンシー
・第3部 談話とプロフィシェンシー
・第4部 ライティングとプロフィシェンシー
・第5部 ポストコロナを見据えた将来の日本語教育
・第6部 「共育」による教師の学び合いと成長
・第7部 第二言語習得研究とプロフィシェンシー

論文の内容も、プロフィシェンシー研究を理論的に考察したものから、日本語教育へ実践的な提言を行うものまで多種多様です。日本語教育のあらゆる分野を幅広くカバーしているので、日本語教育関係者には必読の1冊となるかと思います。
また、秋には刊行イベントも企画中です。詳細が決まりましたら、またお知らせいたします。

過ごしやすい秋の訪れと、『日本語プロフィシェンシー研究の広がり』の刊行を楽しみにしていただけますと幸いです。
(もっとも、近年は秋も暑い日が続くことが多いですが……。)






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