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2021.10.20(水)

アジアの言語を一望できる


みなさまこんにちは。急に寒くなりましたね。
体調を崩さぬようお気をつけください。

先日、『Linguistic Atlas of Asia』(遠藤光暁・峰岸真琴・白井聡子・鈴木博之・倉部慶太編)が刊行されました。
B5判上製、函入り、A1判地図4枚付き、と盛りだくさんな1冊です。


『Linguistic Atlas of Asia』写真

アジア全域に分布するすべての語族について、2000地点ほどの密度で描かれた言語地図と、個々の解説の集成となっています。
言語地図は以下の8つの項目について作成されています。

1 : Sun(太陽)
2 : Rice Plant(稲)
3 : Milk(乳)
4 : Wind(風)
5 : Iron(鉄)
6:Numeric Quantification(計数法(類別詞))
7 : Tone and Accent(声調とアクセント)
8: ‘It Rains’(「雨が降る」)

1章のSUNの目次を見てみると、
以下のようにまずアジア全体の概観があり、続いて各語族や語群ごとの解説があります。
他の章についても同じような語族や語群をカバーしています。

‘Sun’ in Asia
‘Sun’ in Nivkh
‘Sun’ in Ainu
‘Sun’ in Japanese
‘Sun’ in Korean
‘Sun’ in Sinitic
‘Sun’ in Hmong-Mien
‘Sun’ in Kra-Dai
‘Sun’ in Tibeto-Burman
‘Sun’ in Austroasiatic
‘Sun’ in Austronesian
‘Sun’ in Tungusic
‘Sun’ in Uralic
‘Sun’ in Mongolic and Turkic
‘Sun’ in South Asia
‘Sun’ in Arabic

さらには、「‘Sun’ in Asia」など項目全体を1枚にまとめたカラーの言語地図も、8項目分付いています。A1判の特大サイズです。

このように、語族・語群ごとのミクロな地理分布から、アジア全体のマクロな地理分布まで一望することができる1冊です。これまで国内外で蓄積されてきた研究の総括であり、世界的にも類の無いたいへん貴重なものだと思います。世界への発信ということも視野に入れ、本文は英語で書かれています。
それぞれの語族の専門の先生方のコラボレーションの成果ということで、24名もの方々が協働すること自体もすごいことですが、それをまとめあげるというのは相当な苦労があったと思います。本当に、頭が下がる思いです。

また、言語学だけでなく、関連する分野の研究にも役立つ資料でもあります。
取り上げている8項目には、Rice Plant(稲)やMilk(乳)など、農業や牧畜などに関する重要語彙も選定されているといいます。
すでに「ヤポネシアゲノム」などのプロジェクトでもあるように、遺伝学や考古学などの分野との連携において重要な資料となるとともに、他の様々な分野でも役立つツールとなるはずです。

各図書館や研究拠点にぜひ置いていただければと思っています。

●チラシを作成しました



●書籍の外観や、函から出したときの動画です





2021.10.5(火)

『大学が地域の課題を解決する:ポートランド州立大学のコミュニティ・ベースド・ラーニングに学ぶ』


9月に『大学が地域の課題を解決する:ポートランド州立大学のコミュニティ・ベースド・ラーニングに学ぶ』(白石克孝・西芝雅美・村田和代編)を刊行しました。

タイトルにある通り、ポートランド州立大学で展開している地域連携型教育プログラム(コミュニティ・ベースド・ラーニング: 以下CBL)を紹介しています。

・CBLとは何か、その取り組み
・なぜポートランド州立大学が社会に関与する大学として台頭してきたか
・学部、大学院でのCBLのカリキュラム
・CBLを教える教員に対するサポート
・コミュニティ・エンゲージメント(積極的な地域への関与)の評価

などなど、様々な視点から、ポートランド州立大学のCBLがどのように取り組まれてきたか、そこから得られたことは何かが書かれています。

ポートランド州立大学には、280をこえるCBLのプログラムがあり、学生は机上の学びだけではなく、地域に出向いて実践的に学び、地域の課題解決に取り組んでいます。ポートランド州立大学と地域の間には、協力関係が築かれていて、地域にとっても大学がなくてはならない存在となっているようです。さらに、コロナの前から遠距離で授業を受ける学生のためにオンラインでCBLの授業に取り組まれていて、その方法にも言及がされています。

日本でも地域連携型の教育を行っている大学が多くありますが(本書でも龍谷大学の例を紹介しています)、本書から活動や授業の参考となることを得ていただけるのではないかと思っています。

本書は「バイリンガル版」で、日本語と英語で読めるようになっています。執筆者の先生のほとんどはポートランド州立大学の先生ですので、英語で書かれたものを、日本語に訳して掲載しました。海外でも販売できると良いなと思いますので、電子書籍も作る予定です。

さらに、お知らせがございます。本書の刊行イベントを12月4日(土)10時から、オンラインで行うことが決定しました。詳細はまだ決まっておりませんので恐縮ですが、白石克孝先生、西芝雅美先生、村田和代先生、飯迫八千代先生が登壇予定です。本の内容と、ポートランド州立大学のCBLの現状もお話しいただく予定です。 もしご興味がございましたら以下より参加申し込みをお願いいたします。 https://forms.gle/RW3JC9REYjuEGmnH8
近くなりましたらまたメール通信等でご案内いたします。

よろしくお願いいたします。

『大学が地域の課題を解決する:ポートランド州立大学のコミュニティ・ベースド・ラーニングに学ぶ』



2021.10.1(金)

海外旅行気分?


ようやく緊急事態宣言が解除されましたね。先月までの緊急事態宣言が最後のものとなり、少しずつ以前のような日常を過ごせるようになるといいなと思っています。
そして、いつかはまた海外旅行にも行けるような状況に戻ってほしいと切に願っています。

それほど多く海外に行ったことがあるわけではありませんが、国内では絶対に味わえない体験ができる海外旅行が私は大好きです。
日本と全く違う文化に触れるという体験はいつもとても新鮮ですし、驚きに満ちていて、いつまでも忘れられないことばかりです。
その中には「言語」にまつわる体験も多くあります。寝台列車に乗ったとき、車掌さんの説明がまったくわからなかったという失敗談や、「一言会話集」の単語だけでなんとか現地の人と話して仲良くなった経験など、「ことばの壁」すらも愛おしい思い出です。

大学生のころは「働き始めたら、貯めたお金でもっと海外に行ける」などと楽観的に考えておりましたが、働き始めた年にコロナウィルスが世界中に蔓延し、旅行にまったく行けなくなるとは思ってもいませんでした。そろそろ海外旅行に行きたいです。
最近は、私が編集している書籍が、今年は偶然にも外国語、しかも英語以外を扱っているものが多く、その言語や使用している国について調べることで疑似的な「海外旅行」気分を味わっています。中国語にフランス語、ヘブライ語、さらにはアラビア語と、様々な言語と文化に触れています。
しかし、調べれば調べるほど、かえって「実際に行ってみたい」という思いが強くなっている気もします。いつか海外旅行に行けるほどまでに事態が収束したら、自分が編集した書籍を片手に、その書籍で扱っている言語や文化に触れるという経験をしてみたいものです。






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