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3月



2015.3.27(金)

牡蠣小屋ツアーを終えて


ひつじ書房の前にある窪町東公園の桜が咲き始めました。今年はここ数年と比べるとすこし開花がはやいそうですね。

先週末は仙台へ出張にいき、仕事の後にグルメツアーにいってきました。

行きましたのは、石巻にある牡蠣小屋です。ビニールハウスの中で殻付きの牡蠣やホタテ等を炭火で焼いて食べる、牡蠣専門のバーベキューのようなものでした。
今回行った牡蠣小屋は、震災の後に牡蠣の加工場が津波により使えなくなり、牡蠣の出荷を補うために作られたそうです。

福岡にも牡蠣小屋がありますが、福岡の牡蠣小屋からノウハウ等を支援されたとホームページに書いてありました。(焼きあがった牡蠣にたらすポン酢は福岡産のものでした。)
とてもおいしく大満足な牡蠣小屋でした。

牡蠣小屋を訪れるために利用した石巻線は、全線が復旧したのが今年の3月21日。ほんの少し前のことです。震災の後の復旧の取り組みがまだまだ続いていることを実感しました。

震災の後の問題に対する取り組みはインフラだけではなく様々です。被災による人の移動等によって消滅の危機にある方言をどうするか、ということもあります。
被災地域の方言をどのように記録、継承し子供たちに教えていくか。震災後の研究者や団体による取り組みを紹介した、『方言を伝える(仮)』(大野眞男、小林隆編)が、5月に刊行予定です。お楽しみにしていただけますと幸いです。

牡蠣小屋ツアーにエネルギーをいただきましたので仕事も頑張ってまいります!



2015.3.10(水)

大学で何を教えたらよいのか


先週3月4日開催の教育再生実行会議で提出された提言、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。同日の朝日新聞朝刊オピニオン欄の記事「(争論)文系学部で何を教える」でも議論されていますが、大学教育が大きく変わろうとしているこの時期に大学生になる人も大変ですが、教える人はさぞ大変な思いをされていることと思います。(日比嘉高先生の近刊『いま、大学で何が起こっているのか』はひつじ書房から5月に刊行予定です。ご期待ください!)

教育再生実行会議の提言に、誰もが「学び続ける」社会にするためにとありますが、そのためにはまず自分で考え、書く力の育成が急務ではないかと感じます。L型G型の議論にあるような即戦力の育成というのは、真逆の方策ではないか。

先日ひつじ書房で刊行した『大学生の日本語リテラシーをいかに高めるか』を読むと、まず、大学に入ったばかりの学生に専門教育を行うことが多くの大学で現状いかに困難であるか、ということ、また、現場の先生方が初年次教育などで専門教育へつなげるためにどれほど苦労されているかということを痛感します。また、執筆者の先生とお話ししていて、「いまの若者は「だめ」だ、とただ文句ばかり言うだけの「大人」の意見やマスメディア等の論調には違和感がある」ということばにも考えさせられます。専門教育についていけない学生を「大学は専門教育を行う場」とつきはなすことも、大学を職業訓練校化させることも、学生のことを考えているのではなく、「大人」の勝手な都合でしかないのかもしれません。

まもなく発売の『週刊読書人』の3月13日発売号で、『大学生の日本語リテラシーをいかに高めるか』刊行に際しての対談記事が掲載されます。本書編者の成田秀夫先生と執筆者のおひとりである、山本啓一先生の対談です。ぜひお手にとってご覧いただきたいのですが、その中でも語られるように、専門教育へいかにつなげ、アカデミックなものにふれてから大学を卒業することが社会で生きていく力のひとつになる。人文科学の知見はきっと職業人の役に立つものでもあるはずです。


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