編者の仕事その3 校正の手順について
すっかりご無沙汰してしまいましたが、「編者の仕事」第3回です(第2回のときもほとんど同じ文意の書き出しでした……。怠慢ですね)。
今回は、「校正の手順について」です。
まず、論文集ではない単著の場合の流れを、前提として説明します。
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■初校ゲラ出校→ひつじで校正→著者へ送付、著者校正→ひつじへ戻し→組版所へ(初校ゲラを修正して再校ゲラを出校)
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この手順を、初校・再校・三校と繰り返します。ひつじ書房では単著の場合、通常は三校まで著者校正を行っています。
さて、論文集の場合ですが、実はこの場合の方式は一定ではありません。編者による校正をほかの執筆者と並行して行うか、それとも執筆者→編者の順に見ていただくかで変わってきます。
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■パターン1
初校ゲラ出校→ひつじで校正→執筆者へ送付、執筆者校正→執筆者から編者へ送付、編者校正→編者からひつじへ戻し→組版所へ
■パターン2
初校ゲラ出校→ひつじで校正→執筆者へ送付、同時に編者へコピーを送付、それぞれ校正→執筆者・編者がそれぞれひつじへ戻し→組版所へ
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パターン2の場合は、執筆者と編者が同時並行で校正をしますので、稀に赤字が競合することがあります。その場合はひつじの編集者が問い合わせをすることになりますので、できればパターン1のように、編者が全ての赤字を取りまとめることが出来る方法の方が効率的です(ちなみに、論文集の場合では執筆者は再校の校正まで、編者は三校の校正までとすることが多いです)。
パターン1と2、どちらの方法でも、編者の先生方に見ていただきたいのは、全体の統一が取れているか、です。執筆者の先生方はほかの執筆者の先生方のゲラを通常は見る機会がありませんので、全体を見通すことができるのは編者(と編集者)だけです。
基本的な統一の方針は、執筆要項をつくる段階で決めます。原稿提出時に、その点については編者の先生にも確認していただいているはずです。ですので、校正時は、執筆要項がきちんと守られているかの再確認となります。また、執筆要項ではカバーしきれない事例も、多々発生します。
参考文献の形式は違っていませんか? 相互参照をするときの言い回しは揃っていますか? 「第1章を参照」「山田論文を参照」など、意外とパターンがあります。自論文を示す時のことば、「本章」「本論」「本稿」なども、統一したほうが望ましいです。同じような図表なのに組み方が違う、キャプションが違う、出典の示し方が違う……なんてこともあります。
通常の校正だけでなく、書籍全体を通して矛盾がないか、統一がとれているか、全体を見通す俯瞰的視座から、編者の先生には校正をしていただきたいと思っています。もちろんひつじの編集者も確認します。
1本の論文としてではなく、1冊の本として世に送り出す以上、1つのものとして、気持ちのよいつくりの本にしたいと思います。編者のみなさま、そして将来の編者のみなさま、どうか論文を見る目だけではなく、本を見る目で、校正を行ってください。
どうぞよろしくお願いいたします。
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