2008年夏の合宿 年度後半の本作りのために

2008年8月24日(日)

2008年夏の合宿 年度後半の本作りのために

2008年夏の合宿に行ってきました。ひつじ書房は、2003年の夏に第1回目を行い、その後、毎夏と正月に合宿を行っているので、今回は通算12回目の合宿ということになります。同じ文京区内で「つたや」という旅館でした。事務所下のバス停から、バスに乗って10分くらい、菊坂下でおります。要するにとても近いところです。

実は、同じ本郷にある以前にも泊まったことのある鳳明館にしようと思っていたのですが、鳳明館は今は素泊まりと宴会が主体になっていて宿泊者が10名以下だと夕食が用意できないと言われて断念し、本郷界隈で大浴場がある旅館はないかと専務が調べて、つたやにしました。鳳明館は、外観も木造で歴史を感じさせる建物だったので残念でしたが、つたやも、外見こそ少しモダンですが、内装は木造で泊まる部屋の入り口には、木の格子戸があって、やはり和風の雰囲気があり、夜のご飯もおいしかったですし、よかったと思います。檜の個室風呂もあって、堪能しました。

今年の1月はじめの合宿に参加していた社員が3名辞めるということがあったわけです。合宿の2ヶ月後の3月でしたので、それから6ヶ月です。この半年、その修復と今後のことで、私自身かなりの労力をつぎ込んだといってもいいすぎではありません。今回の合宿は、どうにか3名の新人たちが、本作りの入り口である割付をすることができるというところまで、こぎ着けたというタイミングで次の段階に入ろうというところで行ったわけです。実際には割付することができる(can do)ようになったというよりも、一回程度、割付の経験をする段階に達したというところですけれども。

学術書の本作りは、例年、年度の後半に集中します。これから3月までにかけての半年間がとても大きな比重を占めます。科研の研究成果公開促進費をいただいて刊行する書籍たち、年度内に出すことが強く求められている書籍たち、それらをきちんとした本に作っていくことがこれからの半年です。40冊を越える書籍を刊行していきます。この山を乗り切っていくために、今年の後半、どういうふうにやっていけばいいのか、編集のスタッフのうち、新人が3人という中で乗り切っていけるのか。どうやって乗り切っていくかということではなくて、このような山があるということを目の当たりにするということから、はじめるというところ。今回はそれを知ってもらうというところが主眼であったわけです。

本を丁寧にきちんと作るということを実現することそれ自身とともに、1人10冊ほどの割り振りになるので、新人が仕事で、押しつぶされてしまわないでそのことを実現していくことができるように頑張ってくれること。この半年を乗り切って、本を作っていくことができれば、大きな自信になるでしょう。小さな失敗もあるかもしれないけれども、乗り切って行ってくれるでしょう。それぞれ、みんな頑張ってほしい。祈っています。新人を気に掛けているばかりではなく、もちろん、もっとも頑張らなければならないのは、編集長だということはわかっています。いきなり大衆演劇の比喩を使いますが、私は座長ですからね。

新人でありながら、少なからぬ部分を担わなければならないという状況ということ、たいへんなことではありますが、不幸なことではないのではないでしょうか。(座でいえば、それは主役をはることだから。)少なからぬ部分を担ってもらいます。担っていくことはできるでしょう。そう願っています。新人だけが乗り切るということではなくて、やはり、ひつじ書房として全体として乗り切っていくということです。ひつじ書房も20周年に向けて、出版社として一皮むけるように出版社としての命をかけた脱皮を図っています。

本作りの実際は、研究成果公開促進費によるものなど、義務的な要素が強いものなどに優先順位の上の方を付けることになるでしょう。その他それぞれの本に優先順位をつけた上で、わたしたちのできる範囲で作っていくということになります。いついつまでに作りますということを明確に約束できないかもしれません。申し訳ないことです。でも、無責任だとは思わないで下さい。最善を尽くすともに成果を上げていくことを、約束します。

どんな仕事があって、それらの仕事の割り振りの確認、どの学会に出て、どの学会を担当するかを確認しました。刊行予定のリストを見て思うのは、「多文化共生」「言語政策」についての本が今年の後半に多くひつじ書房の新しい潮流を作っていくことになるのだろうということ。これらは、ひとつのジャンルを作っていくことになるはずだ。そういう今後の企画動向を分析したり、これからどういう本を作っていくのか、新しい傾向に合わせてプロモーションの計画を立てたりということを議論することは、今度の課題だ(これはこれまでも出来ていなかった)。一方、本を作っている過程で、「原稿を読む」とはどういうことなのか、という板東の質問は、的を射たものだったと言えるだろう。そういうことを話し合えた点で今回の合宿は、これまでに比べて、充実したものであったのではないだろうか。座長としてはそのように感じる。

12時まで会議し、東大正門前から秋葉原行きのバスに乗って、そして神保町のまで行って、うなぎを食べて解散しました。岩波ホールの近くのなかや蒲焼店です。たいへん、さっぱりしたタレで、おいしくいただきました。肝焼きもおいしかった。看板むすめさんに、近くに来たらまた寄って下さいと言われました。解散後、私は宮沢章夫の『サーチエンジン・システムクラッシュ』を買いに三省堂神保町店へ。『サーチエンジン・システムクラッシュ』というのはすごいタイトルです。サーチエンジンが、知ることの大元を押さえてしまった時代に、それがシステムクラッシュしたとしたら…。内容は池袋の街の話しでしたが…。


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