【近況】ひつじ書房、移転記念パーティ

2007年6月26日(火)

【近況】7人の体制で行きたい

三井が4月末の引っ越しの直前に入社して8人の体制になった。私としては、この8人の体制でこれからひつじ書房を動かしていきたいと思っていた。しかしながら、青山が自分が切り盛りしている「中上級の日本語」をメインにしたいという意志は固く、6月末にひつじのフルスタッフから離れることになった。それでも、国際交流基金の日本語教授法のシリーズについては変わらず、社外のベテランのスタッフとして参画してくれるということだ。そもそも、国際交流基金のこの14冊のシリーズが始まるということで、当時、フリーであった青山を口説いて引き込んだというのが発端であったので、そのとっかかりの仕事について続けてくれるということはたいへんありがたい。

これまでのことを考えると、自分の「中上級の日本語」を作りながら、ひつじ書房の仕事を正社員でフルでやるというのは、めちゃくちゃ大変なことであったと思う。社長としてはいつも反省しているのだが、ひつじ書房は過酷な仕事状況であると言える。仕事が立て込んでくる時期には、終電でしかも最寄り駅からタクシーで帰るということも時期によっては毎日のように続く時もあった。1月の終わりから2月などはそんな状態であった。申し訳なかったという気持ちだ。先生方からの希望についてはとことん応える編集者であり、私のようにちゃらんぽらんでは決してしなかった。

今の時代、本が売れない時代に学術書を出すということはそもそも、かなりチャレンジングなことである。学術書はページ数も字数も多いし、内容は簡単に読んで分かるものではないし、体裁も複雑だ。仕事をするスタッフにとっても並大抵ではない。定時に帰れる通常のサラリーマンのような仕事のやり方ではなりたたない点がある。こつこつ仕事をこなすという職人的なところもプロデューサー的な要素もある。

私は、社長なのである程度はわがままに仕事をしている点もあるし、疲れたり、やる気が出てこない時は帰ってしまうこともできる。実際には誰よりも早く来て、誰よりも遅く事務所を出てはいるけれども、仕事を自分でハンドリングできると思うとストレスもそんなにはたまらない。好きで言語学の本を作っているのだから、こんなに幸せなことはないと思っている。本を作るのは天職だと思っている。それでも、編集という仕事柄、印刷所から急に校正ゲラがでてきたり、執筆者から戻ってきたゲラが思いの外赤字が多かったりすると、急に仕事が立て込んでしまうということもある。残念ではあるが、自分のペースで仕事をしてもらった方がいいと納得し、退職という結論になった。

ひつじ書房の編集という点では、これまで確かにいてくれたベテランで優れた優秀な編集のマンパワーが、1人分不在ということになるというのは紛れもない事実である。非常に痛いことである。本を出すペースが、ダウンせざるを得ない。青山の分を無理に誰かがカバーするということをしない方がいいだろう。カバーしようとすると残ったものがダウンしてしまう。刊行ペースを少し、高速ではない巡航モードで行くことにしたい。鈍行ペースで、確実にゆっくりになると思う。そもそも、仕事のペースについては、人数に関係なく、燃え尽きないように楽しくできるペースを考える必要があると思っている。原稿の段階で不完全なものは受け取らないでお戻ししたり、校正段階の大幅な赤字などは予定を狂わせるし、最初の仕事が無駄になるということなので、慎重にしていきたい。もちろん、スケジュールについてこれまで以上にこちらがわもシビアにするということも当然のことだろう。

今、直ぐに誰か変わりを探して、入れるということは不可能であるし、若い新人を育てるということになれば、私の方がダウンしてしまうだろう。新人を育てるのは、本当にしんどくてたいへんなことだ。今は新しく入ってくれた三井を含めて、7人の体制で行きたい。しばらくは、人的なことではなく、企画を立てるとか、これから書いていただきたい方と相談をするとか、もっと他のことに気持ちを注ぎたい。


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