2002年4月9日(火)

公共図書館に関わるわけ

ひつじ書房は、いくつかの事業を手がけている。出版がもっとも基本的なことだが、図書館について最近大きく関わるようになっている。それは、菅谷明子さんの「進化するニューヨーク公共図書館」から、名前を拝借した「進化する図書館の会」というものと、「ビジネス支援図書館推進委員会」である。

いっしゅの社会運動のようなものであり、何でそんなことをやっているのか、株式会社なら、出資者に問いつめられるようなものだ。どういうふうにひつじのビジネスと連携するのかということを説明しなければならないだろう。ひつじ書房を昔から、支援してくれている人々は、いったい何をやっているのかとおしかりをくださるかもしれない。

1)知の復権のため

知的な財産・コンテンツが、実際に生活に役に立つ、意味を持つということを証明することができてはじめて、出版の存在意義が明白になる。戦後、人文科学系の出版社は、役に立たないことを、知の純粋性の現れであるとして、きたため、そもそも、本は必要がないという気風を生んでしまった。それを逆転させたい。これ自体には、10年はかかるだろう。

生活に必要な情報を提供できてはじめて、中長期的に必要な情報の価値が認識される。研究書の必要性も、この段階である。2段階目ということになる。

2)図書館の世界での認知度を上げる

けっこう批判もしているので逆効果かもしれないが、主要な図書館の人にひつじ書房の名前を知ってもらうこと。ひつじ書房自体の認知度を上げる。公共図書館に100冊はひつじの本が入るという状況をひとまずは、ここ数年のレベルで、実現したい。ちなみに、『ジャワの宗教と社会』は、TRC(図書館流通センター)からは30冊事前注文をとった。知の復権が、中長期的に実現した段階では、たとえば、公共図書館と大学図書館、学校図書館レベルで、500冊くらいは、研究書を購入するということがあってほしい。こうなれば、研究書はずいぶん出しやすくなる。

3)図書館向けの本を作る

図書館での認知度をあげるということとも関連しているが、日本の公共図書館の世界に欠けていて、重要なことというのは少なくない。これについて、提言するブックレットを出したり、アメリカの図書界のビジネス支援とかに関する翻訳書を刊行したりする。将来的には、これで社員2人が食えるようになると、図書館に対する働きかけをする事務局を作れるのだが。

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