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2012.11.30更新

第37回メディアとことば研究会

日時:2012年6月23日(土)15時〜18時半
利用会場:

東洋大学 白山キャンパス 5号館2階 5201教室

発表者名:
芹澤円氏(学習院大学大学院人文科学研究科ドイツ語ドイツ文学専攻博士後期課程1年)

タイトル:耳で聞く報道テクストから目で読む報道テクストへ—1600年前後のドイツにおける言語の文語性をめぐって
キーワード:文語性、読み聞かせ、「新しいお知らせ」、報道的印刷物

概要: ドイツはヨーロッパにおいて、新聞史におけるパイオニアである。ドイツでは早くも15世紀末には不定期ながらも報道を目的とした印刷物、「新しいお知らせ(Neue Zeitung)」が誕生していた。この「新しいお知らせ」は、当時の低い識字率(16世紀において文字を読むことができたのは全人口の1%未満)のために、「行商人が市場など人の集まるところで人々を前に読んで聞かせたり、韻を踏んで歌」(シュトラスナー 2002: 9-10)われていた。つまり耳で読まれるテクストであった。ところが17世紀に入ると、定期刊行の新聞(現存するドイツ最古の週刊新聞は1609年)も登場し、その読者数は全人口の20-40%に増加したと言われている。では、この増加に従って「新しいお知らせ」の報道テクストは、より目で読まれるためのテクスト、つまりより文語性の高いテクストへと変化したといえるだろうか。そこで本発表ではサンプル的に16世紀中頃そして17世紀前期に流布した「新しいお知らせ」のテクストを分析の対象とする。そして、Ágel/Hennig(2006)の口語性測定モデルを使用することで文語性の値を相対的に比較する。さらに、テクストがどのような要素(名詞文体や受動態など)で構成されているのかを観察することで対象のテクストの文語性の程度の変化を考察して行く。その際には、当時の定期刊行新聞に特徴的ないわゆる「数珠つなぎ構造」による複合文の使用という観点からも考察を行う。

【発表レジュメ(Word)】



発表者名:
甲斐千代子氏(甲南大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻博士後期課程1年)

タイトル:テレビニュースにおけることばの選択と視聴者の違和感について
キーワード:日本の民間テレビ局・テレビニュース・放送用語・用語の選択

概要: 民間テレビ局のニュース番組で使用されていることばは、視聴者に違和感なく受け止められているのだろうか。今回の発表では、テレビニュース番組で使用されるニュース原稿と映像に登場する一般人のインタビュー、アナウンサーのコメントを取りあげる。発信者(テレビ局)と視聴者(学生)それぞれにアンケート調査を行い、発信者のことばの選択と、視聴者のことばの選択を比較した結果を加えて、考察を試みる。
発表者は元地方民間テレビ局のアナウンサーで、報道に携わった経験がある。さらに現在もフリーアナウンサーとして放送局で仕事をする機会をもつ。本研究の考察を通して得られたことを、実際の報道現場での原稿作成やアナウンスメントに生かしていきたいと考える。

【発表レジュメ(Pdf)】