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2010.6.29更新

第29回メディアとことば研究会

日時:2009年6月26日(土)15時―18時半
利用会場:

〈東京会場〉東洋大学白山キャンパス ナレッジスクエア

〈関西会場〉武庫川女子大学 日下記念マルチメディア館
     (通称MM館のMM-108)



発表者名:中村秩祥子(滋賀大学 教育学部 特任講師)
タイトル:マンガ言語の分析—原作の言語とマンガ言語の比較考察
キーワード:マンガ、言語分析、認知過程

概要: 本発表では、漫画の原作本の中で、ほぼ漫画に使用されている表現と同じ部分を抜き出して、漫画と本との表現形式の相違について、考察したことを述べる。漫画が一般的に親しまれているのは、そのreadabilityにあるとされるが、漫画理解には、コマ割りの順番やセリフとその話し手の絵が同じ画面になくても誰が話しているか認識する能力も必要とされると是永(2009)で指摘されている。そのことをさらに明らかにするため、原作本の表現と漫画の表現で、全く同じまたはほぼ同じ箇所を抜き出し比べてみる。文字表現自体には差異がないが、漫画には、吹き出しや背景の絵や文字のレイアウトの要素が加わる。それらが、どのような効果を出しているのか。また、原作の本では、1行で書かれている部分が、漫画では3行ぐらいにわたって表現されていることが多い。それは、コマ割りということで、各場面のスペースが狭くなっていて、そこに収めきるために、長さ的に一行で表現できないことが主な理由である。しかし、その分け方により生じる効果があるのかなどを探っていく。
【発表レジュメ(Doc)】



発表者名:金光成(京都大学大学院 人間・環境学研究科 博士後期過程)
タイトル:
メディア言説の批判的分析:「改憲」関連社説を事例に
キーワード:フレーム、間テキスト性、認知言語学、批判的談話分析

概要: マスメディアは、いわゆる世論の変化に大きな影響を及ぼしている。そのため、マスメディアには中立的な姿勢が求められるが、各メディア機関の性格によって伝える情報のカラーが微妙に変わってくる。そのような差が際立った形で現れるのが、言説であると言えるだろう。読売新聞は、1990年代に入ってから「憲法改正」という論題に強力にコミットしてきた。世論調査の結果もその推進する方向へと変化してきている。このように大手のメディア機関の主導的な働きによって、人々の意識に変化が生じているという現象はフレーム意味論と批判的談話分析の観点からみた時、非常に興味深い研究対象である。本発表では、 Lakoff(1996,2006a, 2006b, etc.)が提示する枠組みを基に、読売新聞の社説を朝日新聞の社説と対比しながら読売新聞の言説がどのような面で効果的であるかを検討する。また、 Lakoffの枠組みが言説分析にどのように貢献できるかを述べる。
【発表レジュメ(Powerpoint)】