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2008.8.22更新

第22回メディアとことば研究会

日時:2008年9月12日(金)15時―18時
利用会場:
愛知大学 豊橋キャンパス 6号館622号室


発表者名:増田正也(中京テレビ放送株式会社 企画部副部長)

タイトル:テレビとことば
キーワード:テレビ、メディア、言葉、双方向性、コミュニケーション
概要: 「言葉」は本来極めてパーソナルで、FACE-TO-FACEな関係での双方向コミュニケーションツールとして生まれてきた。この道具が人間の意志の伝達効果を飛躍的なものにしたことは疑う余地はない。しかし、それはもちろん完全無欠な万能の道具ではないため、少しでも完全な形に近づけようと人は多様な創意で補完の術を工夫してきた。映像は言葉の機能をより高める最も影響力を持つものの一つと考えられる。テレビはそれらを最大乗数的に重ね合わせて、不特定多数の受け取り手に訴求を図ろうとする媒体である。しかし、「放送」と言う、読んで字の如く、基本的に送りっ放しとなるメディアの特性の中で、もともとは双方向の伝達ツールとして発達してきた言葉と言う道具が、上手く扱われない事態が起こってしまっていることへの危惧も少なくない。テレビと言う業界に身を置くものの一人として、責任や反省を込めて今一度「言葉」について考えてみたいと思う。
【発表レジュメ(PDF)】

発表者名:渡辺義和(南山大学総合政策学部准教授)
タイトル:ライブショーにおけるコミュニケーションの可能性と限界
キーワード:ライブショー、コミュニケーション、ヴァーチャル体験、五感
概要: 普段の会話によるコミュニケーションと違い、ライブショーを通してのコミュニケーションは、原則として制作側がゲストの五感に訴えるべく一方的に尽力している。効果音、照明、匂い効果、キャラクターとの物理的接触、会場における食品販売等、すべてがライブショーの「トータル・エクスペリエンス(全体としての経験)」を実現するためのツールである。技術が発達すればするほど、五感に訴える(つまりヴァーチャル体験からリアル体験へとゲストの感覚を操作する)ことの実現性は高くなる。その一方で、双方向のコミュニケーションという側面においては、まだまだ限界が多い。今後、ヴァーチャルな双方向性が高まる可能性は高いが、それを本来のコミュニケーションと置き換えてしまうことの可能性と危険性に対して、コミュニケーションの専門家はある種の危機感を感じているべきではないだろうか。
【発表レジュメ(PDF)】