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2006.5.19更新

第14回メディアとことば研究会
場所: 〈関東会場〉東洋大学
   〈関西会場〉武庫川女子大学
日時: 2006年6月10日(土)15時〜18時半

発表者:
倉田芳弥(お茶の水女子大学大学院)
中村秩祥子(龍谷大学非常勤講師)



発表者: 倉田芳弥(お茶の水女子大学大学院)
タイトル:
チャットの母語場面と接触場面の比較
―意味的なつながりのあるメッセージが隣接しない場合に着目して―

キーワード:
チャット 接触場面 母語場面 メッセージの連鎖

概要:
概要: インターネットの普及により、母語話者同士のみならず、母語話者と非母語話者の間でもチャットが広く用いられるようになった。
チャットの会話では、メッセージに対する応答が必ずしもその直後に送信されるとは限らず、メッセージの連鎖は、対面と比べより複雑なものとなっている。この複雑な連鎖が接触場面でも現れるとすると、コミュニケーション上の問題となる可能性がある。また対面では、母語話者と非母語話者の言語行動の違いから、違和感を感じることがあるが、チャットの接触場面でも同様の問題がみられるのだろうか。更にこれらの問題が起こった場合、どのように対処しているのだろうか。
そこで、本発表では、チャット特有の連鎖の仕方に着目し、母語場面と接触場面を比較した上で、接触場面の母語話者と非母語話者の言語行動を比較する。まず、送信された発話に対する発話がその直後に配置されていない箇所数を調べ、そのような連鎖が起こるきっかけを3つに分類し、両場面を比較する。さらに、そのような箇所において接触場面の母語話者と非母語話者のメッセージの送信の仕方に違いが見られるのかどうか分析し、チャットの接触場面における連鎖の特徴を明らかにする。




発表者: 中村秩祥子(龍谷大学非常勤講師)
タイトル:
架空請求文書の文体分析
―機能文法分析の観点から―
キーワード:
 架空請求文書、機能文法、主題(Theme)、モダリティ、文体分析

概要:
 本発表では、架空請求文書をHallidayの機能文法におけるThemeとModalityの概念を使用して文体分析を行ない、読み手の意識に引き起こす効果を考察する。架空請求文書の事件について新聞、テレビ、メールなどを通じて大いに報道され、注意を呼びかけているにも関わらず多数の被害者を出し続けている状況から、架空請求文書の文体効果には、いったいどのような手法があるのか探っていきたい。今回取り扱うのは、手紙、ハガキ、メールによる書かれた文書を対象とした。これらは、読み直したりして十分検討できる時間を持つことができる点で、受け手側が能動的に行動、判断できる立場にある。しかし、被害者はこれらの送り主の意図に沿った行動を行なった。そのように行動を引き起こさせる言語表現方法の特徴を分析、分類して示していくことにする。