研究会の趣旨][過去の研究会の活動][ホームページ

2006.1.30更新

第13回メディアとことば研究会
場所: 東洋大学
日時: 2006年3月17日(金)午後3-6時

発表者:
宮副ウォン裕子(桜美林大学大学院国際学研究科教授)
渡辺学(学習院大学文学部教授)



発表者: 宮副ウォン裕子(桜美林大学大学院国際学研究科教授)
タイトル:
ジャンルとしての対談にみられる説得ストラテジー

キーワード:
対談、対談者、オーディエンス、編集、説得のストラテジー

概要:
概要: 本発表では、日本のさまざまな雑誌によく見られ、他の言語の雑誌ではあまり見られない「対談」というジャンルを取り上げる。対談者は読者を真のオーディエンスとして意識しながら、即興で、共同してジャンルを作り上げ、最終的に編集され出版されている。本研究では、印刷メディアの対談の中に、読者を意識した説得ストラテジーがどのように使われているかを分析・考察する。
考察対象のデータは二人の対談者によるもので、1)エンターテイメント誌の俳優同士の対談(4種)、2)一般週刊誌の対談(インタービュー者とゲスト)(4種)、3)学術的内容にかかわる対談(4種)である。分析の結果、対談内容の異なり、対談者の関係、読者の異なりなどにより、読者を意識した説得ストラテジーが使用されていることが明らかになった。




発表者: 渡辺学(学習院大学文学部教授)
タイトル:
日独携帯メールテクスト比較対照
―ドイツにおけるメディア言語学の現況を視野に入れて―
キーワード:
 携帯メール、エモティコン、メディア言語学、テクノロジー、対照言語学

概要:
 発表者は、過去数年にわたり若者ことば研究のケーススタディーとして言語類型論的には別のタイプに属する日独語の携帯メールテクストのデータを収集・分析し、双方のテクストから読み取れる言語的特徴、言語的記号と視覚的記号(エモティコン)の関わり、コミュニケーション上の特性と携帯電話利用者の行動や意識のあり方、メディア(テクノロジー)と言語の関係についての考察を進めてきた。今回の発表では、多くの具体的サンプルを示しながら、省略語・短縮語などの特有語法、テクスト構造、エモティコンの語彙論・統語論やその機能の解釈に注目して日独語の共通性と相違性を浮き彫りにする。なかでも文字と図像の関係について考察し、携帯メールテクスト分析時の方法論上の諸問題にも言及する。あわせてドイツにおけるメディア言語学の最近の動向の一端を紹介しながら、参加者とともにそこでの問題提起が日本語研究や対照言語学にとって持ちうる応用可能性を探る機会としたい。